Racing With The Moon/8


   



 『現実になる、私の妄想』
 勧められるままお酒を、もう何杯飲んだのか解りません。唯、窓から見える空が上村さんと小林さんが来た時は茜色だったのに対して、今はどっぷり暮れているので、かれこれ五時間は経ったんじゃないかなと思います。
「随分飲んだな。さすがにもう飲めねぇや」
「だな。酔い冷ましに烏龍茶が飲みてぇ」
 言って上村さんと小林さんは絨毯の上にゴロリと仰向けになりました。
「烏龍茶を飲んだら帰るんだな? じゃあ、ちょっと買ってくるよ」
 周兄さんも私と二人きりになりたいと思ってくれているのでしょうか? 買い出し役を申し出て足早にリビングから出て行きました。
 それにしても……飲み過ぎたみたいで、少し身体が怠(だる)いです。顔でも洗ってスッキリしようと思い、立ち上がって洗面所を目指そうとするのですが……やはり飲み過ぎだったのでしょう。数歩進んだ所で足が縺(もつ)れてしまい、ドスンと尻餅を付いてしまいました。余り痛く無かったのは、お酒の所為で神経が麻痺しているからなのだと思います。
「もうっ! ドジっちゃったな……」
 そうブツブツと言いながら腰を撫で、立ち上がろうとすると、上村さんと小林さんの驚いた面持ちが目に飛び込んできました。何をそんなに、驚いているのかと不思議で視線の先を追うと、ワンピースが捲り上がった状態でM字に股を開く自分の股間に辿り着きます。
「……や、やだぁっ!」
 ショックの余り、一瞬出遅れてしまいましたが、それでも慌てて股を閉じました。でも、もう遅かったんです。上村さんと小林さんは鼻息を荒くして私のすぐ目の前に立っていました。
「ノーブラなんじゃないかなーとは思ってたけど、まさか下も穿いてないなんて……驚きだな」
「露出趣味ってヤツなんだろ? じゃあ、もっとよく見て楽しませてやるよ」
 言うが早いか二人は襲い掛かって来、恐怖で声が出ない私を押し倒してしまいます。そうしてワンピースを胸の上までたくし上げられた私は、仰向けの状態で脚を大きく押し広げられました。
「い、いやぁあぁぁあぁぁぁっ! こんな恰好やだぁああぁぁあぁぁっ!!」
 私が強いられた姿勢は俗に言う“まんぐり返し”という恰好で、自分の膝が自分の肩に当たる程、身体を押し曲げられています。下着を着けていないので、おっぱいもアソコもお尻の穴も……全部が丸見えの状態です。
「いやじゃないだろ? こんなに濡らしといて」
 くくくっと低い笑い声を上げて上村さんは私の割れ目を押し開き、アソコに指を這わせました。
「ひっ! 中に挿れるのだけは止めてっ!! 処女なんです! お願いっ!!」
 指でロストヴァージンさせられちゃうと、危機感を覚えた私が悲痛な声で哀願すると、
「じゃあ、アソコ以外ならいいんだよな」
 上村さんは私の言葉尻を捉えて、お尻の穴に指を突き挿れてきます。私のアソコはとても濡れていて、お尻の方まで愛液が垂れていましたので、難無く上村さんの指を受け入れてしまいました。
「ひぁっ! あぁんっ! やだぁっ!!」
 さっきまでアソコを触っていた上村さんの指はヌルヌルと濡れていて、出し挿れされる度にじゅぷじゅぷとエッチな音が響きます。
「すげーなぁ。尻の穴ってそんな簡単に出し挿れ出来るモンなのか? 普通はもっと締まってて入り辛いんじゃねぇの?」
 そんな小林さんの感心したような、呆れたような声を聞き、私の身体は激羞に震えました。死ぬ程恥ずかしいと思うのに、それでも私の口からは喘ぐ声ばかりが漏れます。妄想が妄想で無くなる恐怖を感じながらも、周兄さんから受けたエッチな検診の所為で身体が疼いて堪らないんです。
「乳首もクリ○リスもすげーピンピン。これ、同時に弄ったらすぐイっちゃうんじゃねーか?」
 言って小林さんは私のツンと硬くなった乳首と、ヒクヒクと揺れているクリ○リスとを同時に摘み上げました。そうしてグリグリと磨り潰すように弄られ、小林さんの言葉通り、私の身体はグングンと絶頂の波に向かって突き上げられていきます。
「あぁあぁぁぁあぁんっ! も、もう止めてぇっ! イっちゃうよぉぉぉ……っ!!」
 もうずっと疼いていて……イってしまいたいとは思うけど、周兄さん以外の人にイかされるのはイヤで、そう大声で叫んだ瞬間、「何してるの?」との冷めた声が室内に響きました。周兄さんの声です。
 周兄さんの帰宅に伴い、上村さんと小林さんは慌てて私から身を放し、
「え……。あっ! こ、これは……その、沙智菜ちゃんが俺等に見てくれって……な?」
「あ、あぁ。そ……そうなんだ。沙智菜ちゃんに言われて……その……」
 無表情でこちらを見下ろしている周兄さんに向かって、この場を取り繕う為の嘘を並べ立てました。
「ひ、酷い! 嘘言わないで下さいよ!!」
「嘘じゃねーだろ! すげ悦んでだじゃねーかよ!!」
「それを証拠に、俺等は服脱いだりしてねーだろ!?」
 罪を擦り付けられ、揉め合いになっていると、
「上村、小林。……悪いけど、もう帰ってくれないか?」
 そう静かに周兄さんが声を漏らしました。その声で辺りがシンと静まり、上村さんと小林さんは気まずそうに頭を掻いて無言で部屋を去って行きます。残された私はと言うと……全身に周兄さんの視線を感じますが、萎縮してしまって顔を上げる事が出来ません。さっきの事は、上村さんと小林さんの方からシてきた事だけど、感じてしまった事は事実なので……どんな顔をすればいいのか解らないからです。
「クリ○リスへの刺激は控えるようにと、そう言ったばかりだろう?……上村と小林を誘う程、我慢出来なかったの?」
「っ!? 違う! 私、ホントに誘ったりしてない!! 転んで……その、下着を穿いてなかったから、それで……襲い掛かってきたの。ホントだよ」
 そう事実を語る私に周兄さんは首を振り、
「君から誘ったんだよ。沙智菜。……その濡れた瞳、ぽってりとした厚い唇、柔らかい髪、扇情的なボディラインの全てでね」
 言いながら私の目蓋と唇、髪と胸とを順に撫で下ろしました。「そんなつもりじゃなかった」と否定しなくちゃイケナイのに、銀フレームの奥で妖しく光る周兄さんの瞳に射抜かれて全身が凍り付きます。
「沙智菜に必要なのは内科的治療じゃなくて、メンタルヘルスケアなのかもしれないね」
 知られていた。私の性癖を。呆れられた。もう嫌われたに違いない。……そんなショックでガタガタと身を震わせていると、
「……脱いでごらん。君の露出癖を治してあげるよ」
 言って周兄さんは薄い唇の端を僅かに上げて冷たく微笑しました。



   


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