Racing With The Moon/7


   



 『エッチな妄想』
 インターホンが鳴ってリビングを後にする周兄さんの背中を見送りながら、
―来たかなって事は、インターホンを押した人に心覚えが在るって事?―
 そんな事を考えていると……どうやら私の勘は当たったようで、廊下の方から複数の男性の声が聞こえてきます。
「今日は人が来てるからって、さっき電話で断っただろう?」
「来てるって、沙智菜ちゃんだろ? 一緒に飲めばいいじゃんか」
「そうそう。四年ぶりの再会なんだから邪険にすんなよ」
 ガヤガヤと響く声と共にリビングの扉が開かれ、周兄さんと同年代の男性が二人程入ってきました。
「久し振り、沙智菜ちゃん。俺の事、覚えてる?」
「馬鹿。お前の事なんて覚えてる訳ないじゃん」
 異様に痩せた男の人と、ポッチャリ太った男の人がゲタゲタと目の前で笑っています。
「沙智菜。コイツ等は高校の頃の同級生で、小林と上村っていうんだ。酒持って遊びに来ちゃったんだけど……どうする? 今日は帰って、明日また来る?」
 私の方が先約なのにと怒りたい所なのですが、さっき聞こえた話の内容から察するに、周兄さんが断ったにも拘わらず、それでも勝手に来ちゃったみたいだから……怒るに怒れません。でも、此処まで来て、引くに引けなくなった私は「帰らない。一緒にいる」と困り顔の周兄さんに答えました。
「そう? 悪いね。なるべく早く帰すから」
 そう周兄さんに耳元で囁かれ、不完全燃焼な身体がビクリと反応してしまいます。
―私、耳が弱いのよね……とか思ってる場合じゃないでしょお〜! この二人が帰るまでエッチな気分にならないようにしないと!! 乳首が勃ったりしたら……白いワンピースを着てるんだもん。この二人に見られちゃうよ。もしそんな事になったら……―

=======沙智菜の最悪なイメージ==================================================================
「沙智菜ちゃんも大きくなったなぁ。こんな可愛くなるとは思わなかったよ」
 しみじみと頷く小林さんの肩を上村さんは小突き、
「大きくなったのは身長だけじゃないみたいだぜ。ほら、見てみろよ」
 言って私の胸をニヤ付いた笑みでジロジロと凝視してきます。
―や、やだっ。ノーブラなのがバレちゃった?―
 そう思い、慌てて胸を隠そうとすると、
「隠す必要無いじゃん。もっと見せてよ。ノーブラだなんて沙智菜ちゃん、露出狂ってヤツなんだろ?」
 言いながら上村さんは私の腕に掴み掛かってきました。強い力で掴まれているので、振り払う事が出来ません。
「い……いやっ! 違うの! 違いますから、放して下さい!!」
「違うかどうかは、下を見りゃ解るんだよ。おい、小林。スカート捲り上げてみな」
 言われて小林さんは舌なめずりをし、私の「止めて」との悲痛な叫びを無視してワンピースを捲り上げてしまいました。
「いやぁあぁあぁぁああぁあぁぁぁっ!!」
 晒け出されたアソコを手で隠したいとは思うのですが、上村さんに腕を掴まれている為、それは適いません。勿論、逃げる事だって出来ない。
「ほら。やっぱノーパンなんじゃん。……つってもまさか、パイパンだとは思いもしなかったけどな」
「すげーな! マジで露出狂ってヤツかよ! じゃあ、もうびちょびちょなんじゃねーの?」
 興奮に目を血走らせた小林さんは私の脚を掴み、これ以上は無理って程に大きく股を開かせました。思い切り開かれているので、太腿の伸びに連られて割れ目もパックリと開いてしまいます。
「きゃあぁあぁあぁぁああぁぁっ! 見ないでっ! やだぁっ!!」
「おお〜! すっげー濡れてる! クリ○リスも真っ赤に腫れてるぜぇー!!」
「乳首も凄い事になってんぜ。露出狂ってヤツは手軽でいいよな。見られるだけで感じるんだから」
 言って小林さんは肥大したクリ○リスを、上村さんは硬く尖った乳首を摘まみ、力任せに引き伸ばしました。
「あぁああぁぁああぁぁぁっ! 痛いっ! 止めてぇ!!」
「もっと素直になれよ。痛いとか言いつつ、ツルツル滑って触り辛いぐらいにアソコはぐしょぐしょなんじゃん?」
「馬鹿だな、お前は。沙智菜ちゃんはレイプされてるってな雰囲気を楽しんでんだよ」
 上村さんと小林さんは口々に勝手な事を言い、ゲタゲタと嫌な笑い声を上げています。……でも、酷い事をされているのに濡れているのはホントなんです。だって、愛液がお尻の方まで垂れてきて……冷たい。
「そっか。沙智菜ちゃんは無理矢理ヤられるのが好きなんだ? じゃあ、前戯無しで突っ込んじゃってもいいよな。こんなに濡れてるし」
「じゃ、俺はこのデカイおっぱいで挟みながら口でシて貰うとするか」
 言いながら二人はジーンズのファスナーを下ろし、赤黒いモノを取り出して私の唇とアソコに近付いてきます。
「いやぁああぁぁぁああぁぁぁっ! こんなの遣り過ぎよぉぉぉーっ!!」
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「……菜。沙智菜!」
「……え!? な、何? 周兄さん」
 気が付くと、周兄さんが訝しげな目でこちらを見ていました。……どうやらまた、妄想に耽っていたみたいです。
「ボーっとしてるから、大丈夫かなって思ったんだけど……。平気?」
「あ、うん。もう全然平気! 気にしないで」
 そうニッコリ笑顔で返すと、周兄さんはブランデーグラスに浮かぶ大きな氷を指で撫でながら「それならいいけど」と言って笑みを返してくれました。その指の動きが何だか凄くセクシーで、周兄さんの細長い指に触れられたいと思ってしまい、私はお酒じゃなくて……周兄さんの仕草に酔ってしまいそうです。
「梅酒サワーなんか飲んでないで、沙智菜ちゃんもブランデー飲んでみたら?」
「そうそう。ロックで飲んでみな。喉がカッとなって気持ちいいよ〜」
 既にボトルを半分以上空けてしまった上村さんと小林さんは赤ら顔で梅酒サワーを取り上げ、水で薄めていないブランデーを突き付けてきました。
―私、ちゃんとしたお酒って飲んだ事ないのよね。でも、ボトルが空になったら二人は帰ってくれるかもしれない―
 そう思い立った私はグラスを受け取り、恐る恐る琥珀色の液体に口を付けていきます。……何か、もあっと濃くて、口から鼻へと広がる感じ。決して美味しいとは思えません。
「沙智菜は未成年なんだから、余り飲ませるなよ」
 周兄さんは眉根を顰めて二人に注意を促してくれましたが、私は喉が焼けるのも我慢してブランデーグラスを空にしていきます。早く周兄さんと二人きりになりたい一心で。



   


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