第0話 少女たちの挑戦 −河合あい編−


2004年夏、また少女たちの戦いが始まろうとしていた。 今年の舞台は都内某所に建設されたリゾートホテルで行われる。 海沿いに建設された50階建てのホテル「シーサイドパレス」に巨額の投資により 作られたアスレチックコースを舞台に、全国から選抜された女子高生が戦いを挑む。 7月20日 AM6:00 全国から一人、また一人と夏服の制服をまとった女子高生たちがシーサイドパレスに集まってきた。 今回の商品は、賞金1000万円に加え、一流事務所による芸能界デビューが約束されるという。 その上、参加費用は全て主催者負担であり、一人当たり出演料として10万円が渡されていた。 集まってきた女子高生は、どの子もスタイル、容姿ともにトップレベルであり、主催者側よりスカウトされ 招待された者ばかりである。 その中の一人、聖華女子高等学校からの参加者である、一人の女子高生が到着した。 ブレザー姿の彼女は、ホテルの入り口に入ると、早速受付へと向かった。 「ハァ、ハァ、間に合った・・・すみません、遅れました。」 「ようこそお越しくださいました。まずはこの袋をお受け取り下さい。」 私は一つの紙袋を受け取った。 「では、エレベータで10階の控え室へどうぞ」 私の名前は河合あい、17歳の高校2年生。 一ヶ月前、下校途中に突然スカウトされ、このイベントへの参加が伝えられた。 賞金と芸能界デビューが約束されるのであれば、誰だって参加するでしょう? 私は内容まで考えずに二つ返事で快諾した。 エレベータが10階に到着した。 「それでは、奥の控え室で説明を行いますので、そちらでお待ち下さい。」 「はい、分かりました。」 会場には、200人近くの大勢の女子高生たちがすでに座って待機していた。 待つこと10分、主催者側の女性が説明を始めた。 「今日はようこそお越しくださいました。女子高生水上アスレチックの説明をさせていただきます。 まずは、みなさん受付で受け取っていただきました、紙袋を開けてください。」 わたしは紙袋を開けると、ゼッケンバッチとピンク色のビキニ、白い手袋、そして長めのハイソックスが 入っていた。 「これが今日チャレンジして頂くための服装です。この後、更衣室で着替えていただき、会場へ向かって 頂きます。」 え?コレを着るの?水着にハイソックスって? 「ハイソックスと手袋は、競技で怪我を防止するためのものです。かならず着用してくださいね。」 そして更に競技内容へと説明が進んだ。 「このイベントは、ホテル内で行われ、外部からは一切公開されません。今回、ホテル内部にはさまざまな 難関が待ち受けています。最終的にゴールにたどり着いた方が賞金と芸能界デビューの権利を手にすること になります。」 絶対勝ち残ってみせるわ。 「しかし、今回の難関は一度失敗してしまうとゴールへたどり着けないようになっています。つまり、失敗 するとホテルの外へと自動的に追放されてしまいます。」 それって、どういうこと? そして、説明が終わり、私たちは更衣室へと案内された。 私は用意されたビキニに着替え、手袋とハイソックスを身に着けた。 ハイソックスはひざ上まである長いものであり、黒のオーバーニーであった。 「やだ、この水着!?」 私は水着を身につけた瞬間、妙な違和感があった。 乳首を挟むようにフィットするブラジャー、そしてあそこに変な突起が当たっているのだった。 ほかの女の子たちも同じように違和感を覚えたようであった。 私たちは、会場となる部屋へと案内された。 そこには、目を疑うような広大なアスレチックが準備されていた。 大広間を大きく改造した巨大プール、そしてプール上にはロープや丸太、平均台がセットされていた。 「ようこそ!それでは女子高生水上アスレチックを開催します!」 どこからかスピーカから司会者の声が聞こえてくる。 「最初のゲームは、ご存知、水上つり橋渡りです。ルールは簡単、水上3mに設置されたつり橋を渡って いただきます。」 そして、私の戦いがはじまった。 (続)


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