第5話
バスタオルの下に水着を着ていたマイは、私の回しをグッとつかみました。
「お仕置き、してあげるね?」
私はその言葉にあわてて抵抗します。
しかし手を後ろに縛られているので、体をよじることしかできません。
するとマイはそのまま回しに手をかけると、あっという間に私を回転させまし
た。
私は土俵際、岩のフチで外を向けられます。
後ろからマイが私の体を押さえています。
「あははは! そのまま落としちゃえー!」
女性たちは笑いながら言います。
「う、うわっ!」
「負けたら恥ずかしい罰ゲームだよ? タナカさん?」
私はその言葉を聞き、とにかく体を踏ん張りました。
「あはっ! アレじゃん? 応援団とかが、手後ろに回して、エール送ってる
みたいじゃない?」
「そうね! でもそれと違うのは、裸エプロンってとこじゃない?」
「言えてる言えてるー!」
そうです。
今の私は、腰の周りに巻いたタオルのベルトに、ハンドタオルを前に小さく挟
んでタラした状態。
前しかないフンドシ、もっといえば、それこそエプロンみたいなものです。
しかも私の両手は、後ろ手で縛られています。
「ほーら、落ちないのぉ?」
マイがぐりぐりと後ろから押してきます。
私は必死に足を前に出してこらえます。
すると女性の一人が、私の前に来て言いました。
「じゃーん、ただいま、タナカさんのフンドシの前に到着しましたー!」
「いぇーい!」
「ただいま、彼は女の子とスモウしています! さすがにそれは女の子にとっ
てかわいそうなので、わたくし、助太刀しようかと思います!」
「いぇーい!」
「やっちゃえー!」
そして彼女は、私の前掛けのタオルに手を伸ばしました。
そんな。
私は必死に叫びます。
「や、やめろー! やめろー!」
「あらあら? なんか叫んでますね? 女とスモウしようとした卑怯な男が、
なんか叫んでますよー?」
その声と共に、女性は、私の股間を、タオルの上から、ギュっと握りました。
「ふぐうっ!」
私は思わず声を出します。
「いやーん! なんかちっこい物体が触れました! 果たしてこれは何なので
しょうか!? みなさん分かりますか?」
「ちんぽーー!」
「ブー!」
「ちっさい包茎ちんぽー!」
「はい正解ーー!」
女性たちは大声で盛り上がっています。
義妹であるサキコは、無言で私の方を見つめています。
前からあんなにかわいがっていた義妹に、こんな姿を見られるなんて。
「もちろん、奥様も見てらっしゃいます! いかがですか? 奥様、ご主人の
このお姿は!?」
私はその瞬間、妻のことも思い出しました。
女性はふざけて、マイクを妻に当てるような仕草をしました。
「あ…。あっ…」
妻は反応することができません。
私も、妻と目を合わせることができませんでした。
「後ろには女子高生! 前からは、チンポ握るOL! すごいですね! ダン
ナさま、両手に花ですね!」
「うっ…」
妻は言葉を失います。
「や、やめっ…!」
そう言いかけた瞬間です。
「そしてぇ!」
「あぐぁっ!」
女性は私の股間を、タオル越しにグリグリっとこすりました。
「あぁぁぁっ!」
「キャー! 感じてるんじゃない!?」
「そうねー! サイテー!」
私の局部が、タオル越しに摩擦されます。
私はたまらず腰をよじります。
しかし足を踏ん張っているため、うまく逃げることができません。
「はいはーい!」
「うぐぁぁぁ…っ」
女性は構わずタオルをこすります。
「これ、何してるか、分かる?」
「…う…ぇ!?」
「下のクリーム、拭き取ってるの」
「………!!」
そうです。
私のタオルの下、局部はクリームで隠れていたはずです。
それがなくなったら、それこそタオルの下で隠すモノは何もなくなってしまい
ます。
「はーい、綺麗に拭けたみたいよ?」
「や、やめ…。やめっ…!」
「そろそろ、タオルとって、ご開帳と行こうかしら?」
「いっちゃえー!」
「や、やめっ…!」
「はーい、テレビの前のみなさん? 今からちっこいチンポが、ご開帳ですよー
!?」
「スタンバイ、OKでーす!」
女性の一人がビデオカメラ、そしてもう一人がデジカメを構えて、私の真っ正
面に陣取ります。
「やめっ………!」
その瞬間、後ろの手に強い痛みを感じました。
「うぐっ!」
「ほーら、じっとしてなさいよ?」
マイの声が、私の耳に響きます。
「や、やめてあげてくださいっ!」
妻が突然に叫びました。
するとマイは、にこやかに笑って言います。
「あーら、何ですか、奥さん?」
「や、やめてあげ…」
「ご主人、私のこと、素っ裸にしようとしたんですよ?」
「そ、それは…」
「それにこれ、勝負なんですから! 周りの人が口を出すコトじゃ、ないです
よね?」
「う…」
本人は、周りの人間に、手を出させようとしているのに。
私はそう思いましたが、それを口にする気力はありませんでした。
もう、あきらめるしか、ない。
さっきだって、すべて見せたんだ。
マイ以外の女性たちに見られることは何より恥ずかしいが、もう、気持ちをく
くるしかない。
「はいっ! 5! 4! 3! 2!」
全員がカウントダウンを始めます。
「1!」
ゴクリ。
全員の時間が、止まったように感じました。
「0!」
それと同時に、私の局部に、冷たい風を感じました。
「きゃああああああっ!」
「赤ちゃんー!?」
「つるっつるん!?」
「うっわーーー!」
なんだ。
なんだ、この声は。
私の予想とは、少し違う声に、あわてて、下を見つめました。
………………。
信じられない。
「チン毛ないじゃん!」
「さいってー! パイパンちんぽ!?」
サキコも妻も、目を丸くして、私の局部を見つめています。
私の陰毛が、すべてなくなっていたのです。
「言わなかったっけ? さっきのクリーム、除毛クリームだから」
何てことを。
私は、ここまでの恥辱は想像していませんでした。
「はいっ! タナカさんの、つるんつるんチンポ記念に一枚!」
「はい、チーズ!」
すぐに女性たちが、私の左右に陣取り、ピースをしながら、写真に写りました。
サキコと妻は、涙目になりながら、私の姿を見ていました。
「やめって…!」
私はすぐに体を後ろに引こうとします。
「試合中に、どこに逃げるの?」
マイはそういいながら、私の体を弓なりに反らせました。
「あはははっ! チンポ丸出しー!」
「ほんっと赤ちゃんみたいねぇ!」
「こんな写真あったら、もう一生さからえないよ、ウチらに!」
「言えてるー!」
女性たちは口々に罵声を言います。
もう、ここから逃げる方法は、一つしかありません。
私は全力で、マイの体を背中越しに押しました。
「きゃっ!」
「あっ!」
マイは予想外の反撃に、必死に耐えます。
「加勢するよ!」
「お願い!」
すると女性は、私の局部に手をかけました。
「うっ!」
私は思わず動きが止まります。
「せーの!」
えっ。
ビン!
「うぎゃあっ!」
そんな音と共に、私は思わず腰を引きました。
信じられない感触が、私の脳を突き抜けます。
「ぃだだぁっ!」
「あははは! チンぱっちん!」
「最強ー!」
「や、やめ…やめ…」
もはや私に、押す力はありません。
するとマイは、さらに私の体を前に寄せ、女性たちに腰を突き出させました。
「今度はさらに破壊力アップさせたげるね?」
「え?」
マイは、私の体を片手で押さえ、もう片手で、私の陰部をつかみました。
「うぐっ!」
「ほーら、防御壁、なくさないと」
まさか。
すると彼女は私の皮に手をかけ、亀頭を露出させました。
「あーー! 出たー!」
「パイパンちんぽから、亀ちゃんが顔出したー!」
「仮性! 仮性ってヤツ!? 笑えるーーー!」
女性たちは大声ではやし立てます。
「じゃ、さきっちょまで裸の赤ちゃんに、一撃くわえちゃおうカナー?」
「や、いやだあああ! やめっ! やめぇっっ!」
私はなりふり構わず、叫びます。
「あらあら? かわいーわね、タナカさん、それもすべて撮ってるからねー?」
「や、やめぇっ!」
「だいじょーぶよ、すぐに済むから♪」
私の腰がガクガクっとふるえます。
私の前に、女性の一人が、中指を構えました。
「あ…あぅっ…。やめ…。やめ…」
ばちぃっっっっ!
「!!!!!!!!」
私のむき出しの亀頭に、直撃した指。
私はその瞬間、意識が飛びました。
「キャー! 飛び跳ねたー!」
「もう一発、いっとくー?」
「はーい! 今度、私やりたーい!」
「いいよ! やってみそ?」
「うんっ!」
「あー! ケイコ、ツメのばしてるから、より強烈っぽいよねぇ」
「えへへぇー。いきますよ? タナカさん? 私、前、階段上っていたときに、
タナカさんが下から少しだけ見ていて、ちょっとムカついてたんです」
「え、マジー? 最低ー!」
確かに、そういうことが、ありました。
その瞬間、妻が「信じられない…」という顔で私のことを見つめました。
「でも、その仕返し、やっとできるんですね!」
「あはっ! まさか、パンツ見ようとしたくらいで、全裸にひんむかれて、皮
までむかれて、指パッチンされるとは思っていなかったと思うけどね」
「私の下着、それだけの価値があるんです………よっ!」
ばちいいいいっ!
「あぎゃああああああああああああああああっ!」
私がその瞬間、何て声を出したかも覚えていません。
「…あらぁ…?」
私はそのまま倒れ、岩から湯船の中に沈みました。
「…じゃ、罰ゲーム、決定じゃない?」
(つづく)
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