肉欲の罠(修正版) 12
沼 隆 登場人物 細木 種弘 〈随喜学園〉生 〈ひのくに号〉の女 〈タマブクロ〉を聴く男 小野寺郁恵 千葉の女 * * * 菊池 奈津 教育実習生 土屋 亘 奈津のカレシ * * * 茶谷 雅人 種弘の同級生 辻先 ケン 種弘の同級生 (1) 〈ひのくに号〉の女 細木種弘(たねひろ)は、高速バスの乗車案内を待っている。 福岡行きの、〈ひのくに号〉に乗って、天神に行く。 スーパーノンストップ便で、1時間50分。 天神に着くのは、11時。 2人掛けの通路側の席が、ひとつだけ空いていた。 往復3,600円。 家を出るときに、母がくれた5万円から、支払った。 残った金は、きっと使わないだろう。 1泊2日の福岡行き、 母には、代々木台予備校主催の模擬試験と言ってある。 三越福岡店の入り口、ライオン像のところで、 郁恵ねえさんと、待ち合わせをしているのだ。 千葉に住む、30過ぎの女。 昨日の5時間目、世界史の授業中に、メールが届いた。 〈明日、会おうよ〉 〈ヒロくんに、会いたいよ〉 〈ヒロくんと、エッチ、したいよ〉 で、福岡行きを決めたのだった。 窓側の席は、空いていた。 途中の停留所で、誰か乗ってくるのだろうか。 通路をはさんだ、反対側の席には、 20歳くらいの男が座って、窓の外をぼんやり見ながら、 音楽を聴いている。 シャカシャカ、シャカシャカ・・・・・・ ヘッドホンから、もれる音。 〈タマブクロ〉のニューアルバム、《チンポ・マッサージ》かな? 〈自衛隊前〉の停留所で、3人乗り込んできて、 最後に乗った女が、通路を進んでくる。 エロい化粧をして、胸を突きだした、超ミニの女。 種弘と、目があった。 種弘は、ひざを通路側によけた。 女は、種弘の前の席の背もたれに捕まりながら、 種弘に尻を突きだすようにして、窓側の席に座った。 女のパンティが、見えた。 鮮やかな、ピンク地に、黒い水玉模様が並んで、 黒いレースのふちどり。 女は、腰を下ろすと、尻をもぞもぞっと動かした。 種弘が、ちらっと見た視線に、女は、かすかにほほえんだ。 ぽっちゃりした唇が、濡れて輝いている。 女が、もう一度ほほえんだ。 種弘は、目をそらした。 前の座席に座った男の後頭部が、目に入った。 バスは、九州自動車道に乗り、スピードを上げていく。 絶え間なく続くエンジン音、心地よい振動、 種弘は、いつの間にか、うとうとしていた。 左の太ももの付け根に、女の手が触れた。 女は、種弘のほうに上半身を向けて、目を閉じ、 静かに呼吸をしていた。 女の左手が、種弘の鼠径部に触れていた。 〈参ったなあ・・・・・・〉 女の手を、どかせようとしたときだった。 女の手が、はうように種弘の股間にすべっていって、 肉棒をさすった。 種弘は、身体を硬くした。 女の顔をのぞき込む。 目を閉じ、規則正しい呼吸を続けている。 そのときだった。 女の指が、肉棒を、つまんだ。 太さを、長さを、堅さを確かめるかのように。 肉棒は、すぐに素直に反応した。 女は、相変わらず、目を閉じ、規則正しく呼吸を続けている。 女の鼻腔から吐きだされる吐息が、種弘の胸に熱い。 肉棒が、硬さを増していく。 女の指が、ファスナーを引き下ろし、 中にもぐり込む。 先走りが、下着を濡らしている。 女は、指先でそれを確かめる。 女の指は、巧みに動き続ける。 亀頭をなでまわし、肉茎をこすりあげる。 先走りが、ジュンとあふれ出す。 女の指は、とうとう下着の中にもぐり込む。 肉棒をじかにしごかれて、 種弘は、目を閉じた。 「キモチ、いい?」 女が、種弘の胸元で、ささやいた。 「う・・・ウン」 「こんなに、硬くして」 「あ・・・ああ」 種弘は、目を開けて、女を見た。 女は、目を閉じたままだった。 「出したい?」 「・・・・・・」 「うふ」 女の吐息が、そのときだけ強くなった。 「出しても、いいよ」 「こ、こまるよ」 「ふふ、そうだね」 「うん」 「おくちで、してあげたいけど」 「えっ」 「ここ、狭すぎる」 「あ、ああ」 「して、ほしい?」 「い、いえ・・・・・・」 「遠慮しなくて、いいよ」 「でも」 「フェラ、して欲しい?」 「・・・・・・」 「して欲しい?」 「・・・・・・」 「ふふ、正直に、言いなさい」 肉棒は、もう、ぎんぎんになっていた。 どういうワケだか、バスのエンジン音と、振動が、 欲望をかき立ててくれる。 「できるの?」 「やってあげるよ」 「えっ」 「ちゃんと、して欲しいって、正直に言ったらね」 「し・・・・・・」 「ん?」 「し、して、ほしい」 女は、尻を、種弘と反対の、窓側に押しつけるようにずらして、 狭い座席の中で、窮屈そうにからだを曲げながら、 種弘の股間に顔を埋めていく。 種弘のベルトを外す。 女は、種弘の下着を引き下ろす。 肉棒が、勢いよくそそり立つ。 女はそれをくわえた。 種弘は、女の後頭部を抱き寄せるように、両手を添えた。 しゅぶ しゅぶ しゅぶ しゅぶ くわえこんだ肉棒を、女は、しゃぶる。 女のミニスカートのすそがめくれて、 ピンクのパンティがむき出しになっている。 女の頭が、種弘の股間で浮き沈みするたびに、 女の腰が揺れ、尻がウゴメク。 種弘は、女の尻に手を伸ばす。 パンティの上から尻をつかむ。 尻が、ぴくんと震えた。 じゅぷ じゅぷ じゅぷ ずじゅじゅじゅっ 女が、だ液をすする。 上下する女の後頭部をうっすらと開けた目で見ているうちに、 種弘は沸騰点に近づいていく。 女は、それを感じ取っている。 舌の、唇の動きが激しくなっていく。 そして、そのときがやってきた。 種弘は、目を閉じ、ぐっと尻を突きだして、女の口に肉棒を埋め込んだ。 まぶたの裏側が、真っ白になって、 肉棒から、熱い樹液がほとばしる。 女は、それをしっかりと受け止める。 最後のひと吹きを確かめるように待って、 女は、口中にたまった種弘の精液を、ごくんと飲み込んだ。 種弘は、目を閉じて、じっとしていた。 一度の射精では、勃起は萎えそうにない。 女が、肉棒から口を離した。 いきり立った肉棒を握りしめたまま、言った。 「あたしの、触って」 「ああ」 女を抱き起こす。 今度は、種弘が上体を女のほうに向けて、 右手の指先を、女の両腿の間に滑り込ませていく。 しっとりと汗ばんだ女の肌が、ひんやりとしていて、 柔らかく、種弘の指を挟み込む。 指が、パンティのまたぬのに触れる。 じっとりと濡れている。 「うっ」 女がうめき、熱い吐息が、種弘の首筋にかかる。 青臭い精液のにおい。 すべすべしたポリエステル地の股布を、 ずらしながら指を滑り込ませていく。 ぬるっとした感触。 「うっ」 女はうめき、腰をひくりとさせる。 ヌルヌルが、粘膜をねっとりと湿らせていて、 種弘の指にからみついてくる。 種弘は、大胆になっていた。 上半身を女にかぶせるようにする。 指が、動かしやすくなった。 女も、両膝を開く。 「脱がせて」 女は、尻を少し浮かせた。 パンティをひざまで引き下ろす。 女は、自分からパンティを脱いだ。 陰毛が、つやつやと輝いている。 女は、パンティをつかんだまま、目を閉じた。 種弘は、指を女の股間に滑り込ませ、 探りあてた肉穴に、人さし指の先端を埋め込む。 「くぅ」 そこは、わき出した蜜をたっぷりとためていた。 第2間接まで埋め込んだとき、女の肉穴が きゅんきゅんっ と締め付けてきた。 「クリ、さわって」 女が、うめくようにささやいた。 種弘は、蜜で濡れた指で、襞をなぞり、 クリトリスを探りあてる。 ぷっくりとした肉芽が、種弘の指を待ちこがれていたのか、 軽くこすっただけで、 「うっ、うっ、うっ」 女は押し殺した声でうめき、 両膝を、わなわなと震わせるのだった。 「いい・・・いいっ」 粘膜はほてっていて、 その熱で湿り気はまたたく間に乾いていき、 種弘は、指先を肉穴に差し込んで濡らしては、 クリトリスをこすりあげるのだった。 女は、やがて、種弘の指で、絶頂を迎えた。 必死で声を押し殺しながらイッた。 「ね、福岡で、エッチ、しよ、ね」 女が、とろんとした目で、種弘を誘う。 「ね、あたし、こんなんじゃ、いや」 「・・・・・・」 「ね、エッチ、しよ」 種弘も、女の中に、出したかった。 けれど、郁恵ねえさんと、待ち合わせをしている。 郁恵ねえさんと、明日の夕方まで、エッチする予定なのだ。 でも、この初対面の女とも、したかった。 「おれ、今日、だめなんだ」 母についたのと同じウソを、女に言った。 「なんだ、つまんない、あんたって・・・サイテー」 バスは、鳥栖のインターチェンジを通過するところだった。 女の視線が、種弘の背後をじっと見つめている。 種弘が振り返ると、 通路の反対側に座った男が、こっちをじっと見ているのだった。 「ねえ、ちんちん、しまいなよ」 種弘の肉棒が、だらりとむき出しになったままである。 女は、冷め切っていた。 冷ややかな声だった。 「席、かわってくれる?」 「あ、ああ」 窓側に移った種弘の背後で、 女は、通路をはさんで男とおしゃべりを始めるのだった。 「この子、あたしと、つきあう時間、ないんだって。あんた、どお?」 (2) 郁恵ネエさん 「ヒロくん」 天神三越のライオンのそばで、小野寺郁恵が待っていた。 「ごめん、バス、遅れちゃって」 ウソだった。 種弘は、バスを降りるとトイレに行き、 隣の席に乗り合わせた女がしゃぶった肉棒を、 洗ってきたのだった。 精液と、女のだ液が混じり合わさったのが、 乾いてごわごわになっていた。 下着が、少し汚れているのだが、 どうしようもなかった。 肉棒は、洗いたかった。 洗って、さっぱりした。 「待った?」 「あたしも、いま着いたとこだよ」 「そか、よかった」 「ちょっとはやいけど、お昼ご飯、食べようよ」 「うん」 「あたし、おなか、ぺこぺこ」 「おれも」 ふたりが、歩き出そうとしたときだった。 種弘の背後で、女の声がした。 「へぇぇ、あんた、おばさんが、趣味なんだ」 あの女だった。 種弘と目が合うと、女は、あはははははは、と大きな声で笑った。 女のそばに、男が立っていた。 無表情な男は、高速バスの中にいた、あの、隣の席の男だった。 〈タマブクロ〉の《チンポ・マッサージ》を聴いていた男。 キャナルシティが見えるラブホテルのベッドの中で、 種弘は、郁恵にもう一つウソをついた。 「さっきの女、なんなの?」 「バスで、隣の席に座った女なんだけど」 「ふうん」 「誘われたけど、フッたわけさ」 「ははは、ヒロくん、ナンパされたんだ」 「そ」 「で、ヒロくん、あの子をフッて」 「うん」 「腹いせ、ってわけか」 「だね」 「で、別の男、見つけたんだ」 「そうだね」 「あの子、おもしろそうな子みたいだったけど?」 「そかなあ」 「あの子と、やりたかったんじゃない?」 「ん・・・・・・」 「ふふ、あたしを選んだってワケだ・・・・・・うれしいよ」 そういって、郁恵は種弘の肉棒にしゃぶりついた。 (3) 奈津 菊池奈津(きくち・なつ)のワンルームマンションは、 熊本市淫水寺町、住宅街の中にある。 夜遅くなると、真っ暗になって、怖いのだけれど、 バス停は近くだし、 バス停のそばには、コンビニがあるのだった。 そういうわけで、 阿蘇大学教育社会福祉学部に入学してから、 ずっとここに住んでいる。 阿蘇大学、略して阿大というのだけれど、 アダイ、なんて、ダサイけれど、 ソダイ、よりはいくらかましかも、 で、その阿大のキャンパスは、熊本市内にあるのだった。 畜産獣医学部だけは、阿蘇にある。 牛や、馬や、熊の飼育牧場がある。 教育社会福祉学部生の奈津にとっては、 ま、どうでもいいことだが。 日曜日の夕方、土屋 亘(ツチヤ・ワタル)がやってきた。 知り合ったばかりなのだが、 とうとう、泊めてしまった。 月曜日から、教育実習が始まるというのに、 追い返したほうがいいかも、と、 ほんの一瞬だけ思ったのだが、 ワタルとエッチしたら、 不安な気持ちがすっきりするかもしれないと、思った。 教育実習なんか、なんてことないさ、 と、へっちゃらな気分でいたのだけれど、 やはり、明日から、となると、 心配になったのだった。 で、ベッドをぎしぎしいわせて、エッチして、 ワタルが、もう勘弁してよ、と言うので、 一緒に抱き合って寝たがるワタルをベッドから追い出して 気持ちよい眠りについたのだった。 目覚まし時計が鳴った。 ワタルは、フローリングの床の上に、パンツ一枚で、 エビのようにからだを丸めて眠っている。 「起きて」 奈津は、足先でワタルの尻を軽く蹴った。 「なんだよぉ」 「起きてよ」 「もうちょっと、いいだろ?」 「だめだって、教育実習に行くんだから」 「まじかよぉ」 「あたりまえじゃん」 眠そうに、薄ぼんやりと開いた目で、ワタルは奈津を見上げた。 奈津は、いつもの服装とは正反対の、 白いブラウスに、濃紺のタイトスカートという、 超ダサイ服装で、バスに乗った。 いつもは、化粧にたっぷり時間をかける。 きょうは、控えめにするために、時間をかけた。 ブラも、パンティも、白だ。 先週買ったばかり。 自分がリクルートファッションを着ける日が来るなんて、 遠い先の話だと思っていたのに。 《教員として、恥ずかしくない・・・・・・》 《社会人らしい・・・・・・》 《大学の名前に傷を付けない・・・・・・》 教育実習を前に、大学の大教室に集められて、 奈津たちは、くどくどと注意を受けたのだった。 奈津は、思わずあくびをして、 担当職員から、にらみつけられたのだった。 バスは、混み合っていた。 通勤客もいるし、奈津が向かう高校の生徒たちもいた。 奈津と同じ大学、阿蘇大学教育社会福祉学部の学生もいる。 奈津と同じように、リクルートスーツを着ている。 だっさ〜い 顔をしかめそうになって、 自分も、同じような服装なのだと、 気が重くなった。 〈ずいき学園前〉で、バスを降りた。 随喜学園は、阿蘇大学の教育実習提携校なのだ。 実習生の控え室に入っていった。 奈津は、国語専攻なのだが、 国語科の担任は、60過ぎのじいさんで、 老人臭がして、 口がくさくて、 いやらしい目つきで、 意地悪そうな唇をしていた。 そして、なんだか、とてもめんどくさそうなのだった。 教育実習なんて、ホント、迷惑なんだからね、 と、顔に書いてあった。 じいさんの鼻のわきには、イボがあった。 けれど、奈津の胸を、じっと見つめ、 奈津の視線に気がついて、にやっ、とした。 〈スケベじじい〉 奈津は、胸の中で毒づいた。 でも、顔に出てしまったようだ。 国語のじじいは、むっとした顔で、奈津をにらんだ。 底意地の悪い目線だった。 「きみの、やりたいように、やってみなさい」 と言った。 緊張がゆるんで、なんだか、楽しくなったのだが、 「授業、何コマか、見物させてもらうから」 と言われて、奈津はがっかりした。 で、教材は、教科書の中から、 江戸中期の文芸評論、 綾小路公麻呂『ゑ露之心得』 というので、ほっとした。 大学の、植草ゼミで、読んでいたからだ。 植草準教授は、なよっとした感じの男なのだが、 助手の長澤あさみを愛人にしている、 というウワサなのだった。 ウワサというより、実際、そうなので、 いきなり研究室に行ったりすると、 鍵がかかっているのに、 部屋の中に人の気配がして、 あえぎ声がかすかに聞こえたりなんかして、 2,30分後に行ってみると、 研究室にふたりがいて、 植草先生のデスクわきのゴミ箱から、 精液のにおいが立ち上り、 助手の長澤さんは、上気した顔をしていて、 挨拶しても、視線をそらすのだった。 ・・・・・・とんだ脱線をしてしまいました。(^_^;) 細木種弘は、教室の窓から、ぼんやり外を見ている。 夏の青空が、ぎらぎら照りつけている。 老人の英語教師が、教科書を読んで聞かせている。 種弘は、週末を福岡で過ごした。 サイトで知り合った、30過ぎの女と、 1泊2日、ラブホで、エッチした。 女を、郁恵ねえさんと呼んでいる。 この、スケベな女のからだを、 種弘は、思い出していた。 サオをしゃぶるときの表情、 イクときの表情、 ヨガリ声、 ヌルヌルした淫裂の感触、 ひんやりした尻の感触、 むにゅむにゅした乳房の感触、 肉棒に、肉穴の感触がよみがえってきて、 さっきから勃起しているのだ。 ぎんぎんにいきり立って、痛い。 ズボンの上から、肉棒のふくらみが、はっきりと見える。 右隣の席の、榊原ケンが、気づいて、 にやりと笑い、 「なに、チンポ、押っ立ててるんだよ」 と、小声で言った。 種弘は、ケンをにらみ返した。 それから、にやっとした。 「やりたりんかったんか?」 「ばか、いえ」 「すげっ」 「ふん」 「思い出して、チンポ、押っ立ててるんかよぉ」 「まあな」 ケンは、種弘が福岡に行ったこと、 千葉からやってきたおばさんと、エッチしたことを、知っている。 そういえば、2ヶ月ほど前、 おばさんが、種弘と初エッチしたとき、 はいていたTバックを、ケンは種弘から奪い取って、 それをおかずに、学校のトイレでオナったのだ。 昼休み、校庭の隅の楠の木の下で、 種弘は、ケンと雅人に、週末の出来事を話していた。 「で、そいつ、〈自衛隊前〉でバスに乗ってきたんか?」 福岡行きの高速バス、〈ひのくに号〉の中で、 種弘は、隣の席に座った女に、フェラチオをされたのだった。 「あの辺に住んでるんかなあ?」 「なんだよ、雅人、おまえ、やってもらいたいのかよ」 種弘は、あの大胆な女の、 舌と指のテクニックを、思い出していた。 「なに、にやけてるんだよぉ」 「思い出してるんかよぉ」 種弘が、にやっ、とすると、 「ばかやろー!」 とケンが言った。 「おれ、あの女、探すよ」 「おいおいおい」 「探して、ヤルってか?」 「ああ」 5時間目、国語の時間。 教室に入ってきたのは、イボじいではなくて、 教育実習生だった。 教室が、ざわつく。 窓の外をぼんやり見ていた種弘は、 教壇に視線を向けた。 白いブラウスに、濃紺のタイトスカート姿の、 教生が立っていた。 「こんにちは、菊池奈津です」 「なつさ〜ん、おれ、マサト、よろしくぅ」 種弘は、女を見つめていた。 探し出そうと思っている女が、目の前に立っていた。 白いブラジャーが透けている。 〈なんと・・・・・・〉 地味なファッション。 土曜日の奈津さんとは、大違いだ。 パンティは・・・・・・パンティは、ビンクに黒の水玉だろうか・・・・・・ アハ、アハ、アハハハ・・・・・・ 「教科書をあけてください」 「ほあああぁぁぁぁぃ」 雅人の声が、弱くなっていった。 いつの間にか、教室の後ろに、イボじいが立っていた。 こうして、教室は、落ち着きを取り戻した。 菊池奈津は、『ゑ露之心得』の中から、 「交合喜悦極楽(まぐわひのよろこびきわまりて)」 を音読し始めた。 種弘は、奈津の口もとをじっと見つめている。 おととい、福岡行きの高速バスの中で、 おれのチンポをしゃぶった女。 あの唇で、あの舌で。 種弘は、この女の性器をいじった。 その感触を、右手の人さし指と中指が思い出す。 肉棒がふくれあがっていく。 (4) 再会 菊池奈津は、〈ずいき学園前〉のバス停で、 〈自衛隊前〉経由、熊本駅行きのバスに乗った。 バスの後ろを、自転車に乗った随喜学園の男子生徒が3人、 ついてくるのに、気がつくはずもない。 バスを降り、コンビニで夕食にするレトルトのパスタを買って、 ワンルームマンションに戻った。 疲れ切っていた。 着ているものを脱ぎ散らかしたまま、ベッドに倒れ込む。 強い睡魔に襲われて、意識がなくなったとき、 チャイムでたたき起こされた。 「だれ?」 ぼんやりした頭で、声を出した。 チャイムが、鳴る。 「だれ?」 「宅配便です」 宅配って・・・・・・ のろのろと起き上がって、下着姿なのに気がつく。 チャイムが、鳴る。 「菊池さん」 「ま、待って、待ってってば」 眠りかけたのを、たたき起こされて、奈津はいらだっている。 奈津が、チェーンを外してドアを開けかけたとき、 外から強い力で勢いよく開かれて、 「なにっ!」 奈津が悲鳴を上げる隙もなかった。 3人の少年が、奈津を突き飛ばしながら部屋に入り込んできて、 一番後ろにいた少年が、ドアをロックした。 「なによっ、あんたたち」 「こんにちは、せんせい」 一番前にいた少年が、言った。 「あ」 「覚えてる? おれのこと」 「あ、あんた・・・・・・」 「おれ、マサト」 「な、なんなの?」 「せんせいの部屋、見たくて」 奈津は、雅人の後ろに立っている2人の少年の顔も見た。 「あんたたち、5時間目の・・・・・・」 「うん、うん、だよ、せんせい」 「あ」 奈津は、種弘の顔を、見つめた。 「思い出した?せんせい」 「き、きみは・・・・・・」 「そう、思い出してくれたね」 「な、なんなの?」 種弘を、おびえる目で見つめながら、奈津が言った。 「こいつ、続き、やりたいんだって」 ケンが、にやにやしながら、言った。 「フェラだけじゃ、物足りないんだって」 「な、なに、言ってんのよっ」 「へっ、とぼけてやんの、こいつ」 雅人に突き飛ばされて、奈津はベッドに転がった。 「やめさないっ」 バシッ 種弘は、奈津の頬を、激しく平手打ちにした。 「いやっ」 「わめくんじゃねぇよ」 「大声出すよっ!」 「出せよ」 「・・・・・・」 「だしなよ」 「・・・・・・」 「おまえ、おととい、バスの中で、なにした?」 「・・・・・・」 「えらそうに」 「・・・・・・」 種弘は、奈津の着ているものをはぎ取った。 「や、やめてっ」 種弘は、手際よかった。 ブラジャーをはぎ取られるとき、パンティをむしり取られるとき、 奈津は抵抗したが、 肌が、下着にこすられて、 擦り傷を作っただけだった。 「ひどいこと、しないで」 種弘は、ふふっ、と笑った。 ズボンと下着を勢いよく脱ぎ捨てる。 ペニスが、 ふくれあがって、 突きだしている。 「や、やめて」 種弘は、応えなかった。 「お、おねがい、やめて」 「おととい、したかったんだろうが」 種弘が、押し殺した声で言った。 「あ、あんた、あの、おばさんと・・・・・・」 「ああ、おばさんと約束してたからね」 「じゃあ、いいじゃない」 「よくないさ、おまえと、できなかったんだから」 「な、なによっ」 雅人が、イライラしながら、言った。 「はやく、やっちゃえよ、ヒロ」 「ああ」 「いやっ、いやよっ」 種弘は、奈津に覆い被さっていく。 奈津は、体をよじって、逃れようとした。 雅人と、ケンが、奈津の両足をつかんで、押さえ込む。 「い、いやぁぁぁ」 そこは、ヌメノメとしていた。 種弘は、奈津の顔をじっと見下ろしながら、 腰をゆっくりと沈めていく。 しゅぶ 亀頭が、肉穴の入り口にもぐり込む。 「いやぁぁぁ」 ちゅぶ しっかりと埋め込んでいく。 「あうっ」 種弘に、押さえ込まれて、 肉棒を埋め込まれて、 奈津は、抵抗を止めた。 奈津は、ベッドのわきで自分を見下ろしているふたりの少年が、 下半身をむき出しにして、 いきり立った肉竿をしごいているのが見えた。 ふたりにも、やられるのか・・・・・・ 「お、おれ、がまん、できねぇよ」 雅人が、泣きそうな声で言った。 そのときだった。 雅人の肉竿の先端から、白い液体が勢いよく噴き出して、 奈津の顔に降り注いだのだ。 奈津は、顔を背けたが、それはべったりと奈津の頬に張り付いた。 「うぐっ、お、お、おれもっ、もう、もう、もう・・・・・・」 夕日が室内を赤く染めた。 明かりを点けるものは、いない。 薄明かりの中で、4人の行為が続く。 誰も、口をきかなかった。 男たちのあらい息、奈津のうめき声、 ベッドのきしむ音だけが、聞こえる。 3人の精液が、奈津の顔を、胸を、腹を汚し、 髪にもべったりと張り付いた。 肉穴には、種弘の、雅人、そして、ケンの精液が注ぎ込まれた。 「帰って」 奈津の声は、はっきりとしていた。 「帰って」進む