stage2「聖天の主」-01
『天使は完全な存在であるため、性別は雌雄同体と言われている。その体構造を研究するのは、たくやにとっても決して悪い話ではないと思うのだが?』
―――うううぅ……身体のことを持ち出されたら断れないじゃない……こんな雲を掴むような依頼、どうすれば良いって言うのよ……
まさか御伽噺に登場する天使を見つけてこいと言われるなんて思っても見なかったあたしは、カダの街について早々に街中に繰り出し、肩を落としてとぼとぼ歩きながら重たい溜息を何度も繰り返してしまっていた。
手がかりがまったくないわけではない。以前、実際にこの街に逗留して天使の捜索を行ったことのある留美先生によると、この街の領主をしているタッカー家が天使の伝承に詳しく、一般には広まっていない話も聞かせてもらったらしい。
けれどそれも150年前の話。今では代替わりしていて、タッカー家の当主とは留美先生も面識がないそうだ。そんなわけでまずは話を聞いてこいと言われ、最初の手がかりを得るべくあたしは予定していた目的地を変更し、人に道を聞きながら領主邸に向かっていた。
―――て言うか、留美先生が聞いた話の内容を教えてくれればよかったんじゃないの?
気付いた時にはもう遅い。それに、領主に話を聞いてこいと言い出したのは留美先生なのだから、何か考えあってのことかもしれない。……あれこれ深く考えずに、そう思うようにしておこう。
―――けど、街の人も天使の事はまったく信じてないみたいね。なんだか雰囲気も暗いし……
途中で露天で軽く買い食いをしながら街中を散策してみたものの、北にそびえる山脈の雄大な光景とは裏腹に、通りには活気と言うものがあまり感じ取れなかった。何年か前までは中央域と南部域を行き来する人で賑わっていたであろう中央通りも、今は人影はまばらで、格子戸を降ろして閉店してしまっている店舗の数も少なくはない。より安全な遠回りの街道が出来てしまったことで、それほどまでに人の流れが代わってしまったのだろう。地元の人を相手にしている雑貨屋さんならともかく、旅人を相手に商売をしていたお店にとっては大ダメージだったのだろう。
―――あ、道具屋みっけ。帰りに寄ろっと♪
本当なら、いの一番に道具屋さんに駆け込みたかった。アーマキヤで手に入れたものをあれこれ換金し、綾乃ちゃんの元気が出るようなものを買いたかったのだけれど……今日の内に天使について何らかの情報を手に入れておかないと、留美先生にどんな攻撃魔法でお仕置きされるかわかったものじゃない。
―――まあ、今日の内に領主様からお話聞ければ上出来よね。後は冒険者ギルドや酒場に寄ってみるぐらいかな?
そう言えば……カダに到着してから綾乃ちゃんや留美先生との待ち合わせ場所にと決めた宿の一階は酒場だったのだけれど、大通りの寂れ方とは裏腹に昼間から人がそれなりに入っていたように思う。これまで通ってきった街の酒場の賑わいと比べればお酒を飲んでいる人の数は少なかったけれど、それでも街中の様子を知るまではあの光景に違和感を感じることはなかった。
―――ん〜…観光客の集団さんがやってきてるって感じじゃなかったよね。どっちかって言うと柄の悪そうなのが……
街が寂れたせいでゴロツキみたいな人が増えているんだろうか。けど、天使捜索の事で頭がいっぱいになっていて、そんな場所に綾乃ちゃんを置いてきてしまったことに今さら後悔の念が沸き起こる……けどまあ、留美先生がいればごろつきの百人千人ぐらい、どってことないだろう。
調子を崩している綾乃ちゃんを気遣っているのは、留美先生だって同様だ。一人残してどこかに行くとも考えにくい。
じゃああたしは情報収集に専念して―――
「お姉さん、うちの店に何か御用ですか?」
そう声を掛けられて、あたしは自分が足を止めて考えに耽ってしまっていたことに気付く。
顔を上げると、場所は先ほど見つけたお店の前。そして目の前では、背の低い少年が愛らしい笑顔であたしのことを見上げていた。
「良ければ寄っていかれませんか? 当店はカダの街で一番の品揃えを誇ってます。良心価格で商売していますし、お姉さんの欲しいものも必ず格安で見つかりますよ♪」
「あ、いや、道具屋さんには買取のほうで用があって……」
「そちらもおまかせください。うちの店主は街一番の目利きですので、確かな品なら他店より高く、それなりの品ならばきっちりそれなりで買い取らせていただきますから♪」
「そういうんじゃないのよ。今はその…べ、別に用事があって……」
こう通りが少なくては、もしかしたらお客が来るのも久しぶりのことなのかもしれない。接客スマイルの予想外の押しの強さに『絶対逃がしませんからね♪』と言うプレッシャーを感じ、一歩後退さると、エプロンのよく似合う男の子はその以上の距離を詰め寄ってくる。
―――ふえ〜ん、なんか嬉しいような困るようなぁぁぁ!
この男の子、結構あたしの好みっぽくて……本当はあたしだって男なのに、二歩三歩と下がる間に四歩五歩と詰め寄られて両手をギュッと握り締められると、困惑する気持ちとは別に胸の奥にくすぐったい気持ちが沸き起こり、男の子に懇願されるままにお店の中へ足を踏み入れてしまいそうになる。
―――それにこんな小さな子が相手なのに、あたしってばエッチなこと考えちゃってるよ〜〜〜!
つい最近まで娼館にいたのだ。立場上は娼館長ではあったものの、毎日毎晩訪れてくださったお客様たちに挨拶するとき以外は、身体の疼きの納まる暇がないほどの肉欲の日々。
男の人に進んで抱かれることに抵抗がなくなったわけじゃないけれど、不慣れなマーメイドたちだけに任せておくわけにもいかず、相手を前にすれば無理やりにでも女としての部分にスイッチを挿れ……結果として、あたしの身体は男性を前にすると無意識に欲情スイッチが入るようになってしまっていた。
その内に収まるとは思うんだけど、なにせ毎日の内容が濃厚すぎた。留美先生がターゲットにした貴族や資産家などの富裕層の客は高級娼館での遊び方も心得ていて、無茶な要求をするどころか女性を喜ばせることに長けている人も多かった。そんな人たちと毎晩のように身体を重ねてきたのだ、身体に異変も出ていて……と言うか、ただでさえ敏感だった以前よりも身体の感度とかがさら良くなっていて、手を握られただけなのに、そこから伝わってくる温もりだけで身体の芯が興奮と条件反射とでズクンズクンと疼きだしてしまう。
「ご、ごめんね。あたし、ホント急がなきゃいけないから。後で寄るから、だから手を……」
「いいじゃないですか、そんな用事なんか後回しにしたって……」
「そういうわけには……んっ、え…やっ……んんッ……!?」
男の子から少しでも離れようと後退さりを繰り返していたあたしは、気つけば横回りに移動していた男の子に誘導されて背中を建物の壁に押し付けてしまっていた。
するとほんのり顔を赤く染めた男の子はにっこりと微笑みながら、あたしの胸の膨らみに顔を埋め、ショートソードを吊るしたこちらの腰に小さな手を回してくる。
―――こんな街中で……こんな展開ってちょっといきなり過ぎない!?
でも……これから探さなければいけない“天使”と言う言葉を連想してしまうほどに愛らしい少年の微笑を前にして、あたしの胸は高鳴りを抑えられなくなっている。
それにもう、客引きをする店員とお客じゃない。明らかにあたしのことをひとりのオンナとして見ている眼差しで見つめられてしまうと、アソコの奥がキュンッとうねり、ジワッと熱いものを滲ませ始めてしまう。
「やめてってば……だ、だめ……そんな…ぁぁぁ………」
娼館で働いていたって、街中の大通りで犯されるなんてことなかったのに……男の子は誰か来るかもしれない危険などお構い無しに、脚の間へ腰を割り込ませ、熱を帯びていくあたしの股間に自分の固く張り詰めた股間を擦り付けてくる。
「うちの店にきてくれるなら……ボク、うんとサービスしちゃいますよ?」
「ふっ……んうッ……んんっ、むぅ……んふ…ん、んぅぅぅ……」
誰か来ちゃう……こんな…こんな場所で……そう思って何とか男の子を押しのけようとしても、唇を奪われ、舌を絡めあわされると、腰の下に一気に火が灯るのと同時に身体から力が抜け落ちていく。
こんなことなら、せめて長いズボンを履いておけばよかったと後悔してももう遅い。鎧を装備していても、それは肩や膝だけ。それ以外はジャケットにショートパンツと言ういでたちのあたしは、少年の手に太ももを触れられるのを拒めず、ピクッと小さく鋭く震えることしか出来ない。正午過ぎのいつ誰が来るかも判らない大通りだと言うのに、女の触り方を心得た少年の手に徐々に理性を蕩かされ、遂には、
「ああ……っ!」
たまらず男の子の頭を自分の胸に抱きしめながら、恥丘をズボン越しに熱く脈打つおチ○チンへと押し付けてしまう。
―――こんな…大通りで声だしたら……み…見られちゃう…恥ずかしい姿、見られちゃうのにィ……!!!
頭では拒まなければいけないと判っているのに、男の子の指先がショートパンツの裾からお尻の谷間へと滑り込んでくると、あたしは腰をいっそうくね捩らせる。そしてもう片方の手が背中を這い、男の子の指先に捉えられたブラのホックがパチンと音を立てると、屋外で辱められる羞恥と興奮で張り詰めていた乳房がブラを押しのけ、
「く、うゥんんんッ……!」
シャツにくっきり浮かびあがるほどに硬く尖った乳首をキュッと摘まみあげられる。
―――ああッ、そこ、乳首は、弱いのぉぉぉ!!!
股間に男の子の熱く滾る性欲を押し付けられながら、アナルの窄まりを揉み解されてすっかり昂ぶりきったところに、乳首責めは強烈過ぎる。服の下にはネットリとした汗がにじみ、年下の少年に弄ばれる興奮に炙(あぶ)られて燃え上がった身体は子宮を何度も収縮させ、すぐそこに男の子の硬くなっているおチ○チンの存在を感じているヴァギナが狂ったようにうねってしまっていた。
「街中でこんなに乳首尖らせて……もしかしてお姉さんって露出狂の変態さん?」
「ち…違う……もん……勝手なこと…いわ…な…ァあああ……あっ、んふゥ……!」
「嘘ばっかり。身体中からこんなにメスの匂いをプンプン撒き散らしといて。ボク、近寄っただけで分かっちゃったよ、お姉さんがおチ○チンが欲しくて欲しくて仕方のないどスケベだって」
「違う、あたし、そんなんじゃ……そんなんじゃ…ぁ……ァァァ……!」
でも……男の子に乳房を揉みしだかれると、鼻から甘い息が抜ける。男の子のテクニックが上手いだけじゃない。あたしが……あたしの身体が自分の思っている以上に女の快感に馴染んでしまっていて、身体の奥底から抱かれることを待ち望んでしまっているから……
「ねえ……そこの路地裏で」
男の子がチラッと向けた視線の先には、お店とお店の間から裏へと抜ける細い隙間があった。
言葉は途中で途切れたけれど、何が言いたいのかは判る。身体を離した男の子は、
「ほら、こういうことしてあげる!」
それはいきなり不意打ちで……悪戯っぽい笑みが男の子の顔に浮かんだ直後に、あたしのズボンがいきなり引っ張り上げられ、あたしの恥丘を強烈に圧迫した。
「んんんんんんんんんんゥゥゥ!!!」
とっさに口を押さえていなければ、絶対に誰かが飛んできそうなほどに大きな声で喘いでいた。
淫唇を、淫核を、既に昂ぶりきっていた秘所への乱暴なまでの一撃に、ずっと堪え続けていた悦びが堰を切ったように溢れ出す。壁に背中を押し付けたまま白い喉をググッ…と仰け反らせ、そのまま一気にオルガズムが極まってしまうと、愛液を吸って秘所にぴたっと張り付いたショーツの内側にドピュッと濃厚な愛液を放ってしまう。
「あんなのでイっちゃったの? ふふふ……なんだかボクより年下の子を弄んでるみたい♪」
「ん……ふッ……んんゥ………」
口を抑えたままポロポロ涙を流していると、男の子はつま先を伸ばし、ぺろっとあたしの涙を舌先で掬い取る。
「……おいで。ボクがうんっと可愛がってあげるから♪」
「だ……だ…め……やだ……あた…し………」
手を引かれると、もう逆らえない……男の子に導かれるまま路地裏に連れ込まれたあたしは、薄汚れた壁に身体を預けさせられると、ズボンを脱がされ、そして……
『こらァ! いつまで掃除に時間掛けてるんだ、店の中の掃除も残ってるんだぞ!!!』
「―――――――――ッ!!?」
「あ、いっけない。店長が怒ってる。ごめんね、お姉さん。帰りに寄ってくれた時に、この続きをたっぷりとサービスしてあげるからね。ぜったい寄ってよね♪」
―――え? ちょ、ちょっと待って……ここまでしといて、あたし置いてきぼり? そんな……そんなの酷いよぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
ズボンまで脱がされてすっかり準備が整ってたのに……あたし好みの可愛い子だったのに……男の子は呼ばれるなりあっと言う間に姿を消し、残されたあたしはただ一人、火照った身体を持て余して、どうしようかと途方にくれてしまい……
「んう……ッ! あッ……あッ……んぅ、イッ、クぅ、クッ―――――――――………ッ!!!」
我慢できず、その場でたわわな胸を揉みしだきながら、ヒクつく膣口に指を捻じ込んで慰め始めてしまっていた。
―――できれば、どこかに濡れた下着の代わりを買えるお店があれば良いんだけどな。ここ以外で……
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