第十一章「賢者」08
「ハァ……ハァ……ハァ……」
暗い室内に、ただ綾乃の苦しげな呼吸音だけが響く。
外へ声を洩らさないように窓が締め切られた室内には、数え切れないほどイかされた綾乃の肌からにじみ出た熱気がこもっていた。衣服を全て剥ぎ取られて生まれたままの姿にされた身体はベッドに仰向けに寝かされ、肌には無数の汗の雫が浮かび、股間からは年上の美女の舌に蠢くたびにピチャピチャと粘膜を舐め上げる音が立ち上る。
「ああ……あ…ァあ……あああああ…ァ………!」
年上の女性の愛撫に、唇は開かれたまま同じ一言をアクセントを変えて繰り返し、小ぶりの乳房を小刻みに震わせながら天井に向けて開脚した股間を突き上げる。
恥骨が震え、おびただしい量の愛液が陰唇から零れ落ち、根元まで挿入された指によって掻き出される。たくやに負けず劣らず敏感な身体をしているにしても、ベッドはおろか床にまで飛び散った淫液の量を目にしてしまうと、あんなに清純そうな女の子が……と驚きを覚えてしまう。
「ここが……気持ちいいのね?」
「あ……クァアアアアアアアアアッ!!!」
快感を引きずり出しているのは、床に跪いて股間に顔を寄せている留美だ。
最初は抵抗していた綾乃も、口移しで酒を飲まされ、何度も女性器を擦りたてられ、次第に抗う力を削ぎ落とされていった。最初は椅子の上でまさぐられていただけだったのに、身体中を駆け巡る快感の前に屈してしまった綾乃は留美の衣服にしがみついて荒い呼吸を繰り返すと、誘われるままにベッドへと場所を移し、おぼろげな光を瞳に浮かべて自ら衣服に手をかけたのだ。
―――まさか、監視していてこんないいものを見せてもらえるなんて……
男がいるのは、宿の部屋と部屋の間にある監視部屋だった。余所者が宿泊する時に怪しい行動をしないか見張るために、二つの部屋の間に設けられた“存在しない”はずの狭い空間で、椅子に腰をかけていられる程度の幅しかない。
元々、漁村は閉鎖的だった。街に行くには馬車もまともに通れないような名ばかりの街道しかなく、他所との交流などほとんどない。国も王も貴族も、国土の端っこに有る小さな村など気にとめることもなく、税金などを搾取されることもないが、代わりに何の援助もなく、地図上に名前を書き込まれることさえない漁村は自給自足の生活を過ごさざるを得なかった。
だが村が裕福になるには外との交流を行うしかない……一年前、今の村長は代替わりした時に村の者にそう説明をし、少しずつ村民が出し合った金でようやく街道工事が始められた。
その直後に、冒険者たちが村にやってきた。
やつらは金に意地汚い連中だ……それは村の誰もが知っている事だ。自らの力で街道工事を依頼できるほど金があると知れれば、すぐさまハイエナのように集まってくる。
―――誰が信用するものかよ!
その監視部屋からは、綾乃の部屋だけでなく後ろのたくやが泊まる部屋も覗き見ることが出来る。そちらの女は温泉に向かったまま帰ってこないけれども、
―――変な動きをしたって、こっちはすぐに人質を取れるんだ……!
冒険者は利用するだけ利用して、後で追い出せばいい……村が悩まされるマーマンの襲撃を解決させれば用はない。特に、金の臭いに引き寄せられて呼んでもいないのに勝手にやってきた女冒険者には好きにさせはしない。むしろ、
―――冒険者のような流れ者のゴロツキ、どうなろうと……行方不明になったって誰も気にも留めやしないさ。
想像しただけで、握り締めている股間が大きく脈を打つ。
今頃、温泉にまで尾行していった他の男どもに良い体つきをしたあの女冒険者が犯されているのかもしれないと思うと、狭い部屋に押し込められている自分が外れクジを引かされた気分になるが、あの女には村中の男の子供を産ませてやろうと話し合って決めている。もちろん、覗き穴の向こうでレズに興じている二人も同じ運命だ。
乾いた唇を嘗め回し、男は小さな小さな覗き穴に顔を寄せる。
監視者は天井裏にもう一人いる。……こちらは男が二人。部屋にいるのは女が二人。人数的に申し分なく、村の警護にこき使っている男二人の冒険者さえいなければ今すぐにでも強姦したいぐらいだ。
足元には、射精を受け止めた後に丸められた紙が三つ転がっている。
性欲に任せて襲うわけにはいかなかった。そうすれば村に迷惑がかかってしまうかもしれないから……だからその時まではと、男は興奮の火照りを帯びた息を吐き出し、覗き穴へ食い入るように目を近づけていた。
「あいッ!……ああ、ああ…ッア―――………!」
―――誰かが覗いてるのに……覗かれてるのに……す、スゴい、わたし、また…あ、ダメ、留美先生、もう……んッアアアアアアアアアアッ! イく、イク、イクゥウゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
留美がしなやかな指先で膣内を掻き回し、小さくも包皮が向けるほど勃起したクリトリスについばむ様なキスを繰り返す。
たくやとのお互いの性感帯を貪るような愛撫とは違う。留美は綾乃の反応を確かめながらクリトリスを嘗め回し、膣の中をまさぐってくる。その的確な愛撫は綾乃が痛みを感じない限界を見極め、白く濁った粘液さえ洩らしてしまうほど蕩けきった秘唇を擦りたて、押し広げる。
「いッ……! くアぁ! い……いアァああああああっ!!!」
右手で指を抽送しながら、左手でクリトリスを摘み……そして舌先が尿道口をいじり、責め立てる。
「ほら……噴き出したくてたまらないのだろう? 出しても構わないのだから……それとも噴き出させて欲しいのか?」
「あ………」
言葉にして改めて訊かれると、返事に窮してしまう。……が、その一瞬の後には、留美の指は綾乃の膣の天井を擦りたて始める。目を見開いて未成熟なボディーを痙攣させた綾乃は両足の爪先でベッドを強く強く蹴り押すと、なにか尖ったものに内側からツンツンされているみたいに盛り上がってくる尿道口を留美から逃がすように腰をベッドから浮き上がらせた。
けれどそれは留美にとって都合のいい体勢だった。綾乃の右脚を下から腕を回して逃げられないように抱え込むと、小柄な少女の身体を横向きにねじらせる。そして唇を最も恥ずかしい場所へと押し付けると、右手で性器を責め立てながら脚を抱えた左手を伸ばしてクリトリスを捕らえ、今一番綾乃が触れられたくない場所を舌先で容赦なく圧迫する。
「んァああああああああッ! ダメェ、ダメェ、そこはァ! ハァ、ヒィ、や……も……出ちゃ……あ、あ、あ…あッ―――――――――………!!!」
ベッドのシーツを握り締めながら、綾乃が頭を跳ね上げて一際鮮烈な悲鳴を迸らせる。その次の瞬間には、内側からの圧力でプックリ膨れ上がった尿道口から床にめがけて大量の噴水が撒き散らされ始める。
「ああッ……あ……ァ………あァ………!!!」
噴尿の直前に顔を離し、ベッドに上がって綾乃を背後から身体を密着させた留美は、ものすごい勢いで尿が駆け抜けている尿管の裏を膣側から押し上げる。そのたびに小さな肉穴から迸る尿の勢いが綾乃の意思に関係なく強まり、弱まり、そして押しとどめられた分だけまた強まる。そして法如を終えてもまだ留美の指が綾乃の蜜壷をグチャグチャと音を鳴らしてかき回し、存在に気付いていない覗き穴に向けて尿の残滓と白く濁った絶頂汁を開脚させられた下半身の中心から何度も飛沫かせてしまう。
「ふ…ぁ……あ………」
―――おしっこだけでも恥ずかしいのに……わ…わたし……恥ずかしいのに…こんなに……イ…イって………
子宮口にさえ届くほど長い留美の指に、たくやへの背徳感を覚えながらも綾乃は達さずにはいられなかった。そしてタップリとヴァギナをいたぶり抜いた指が緊縮しすぎて痙攣が治まらなくなっている股間から引き抜かれると、綾乃はベッドにうつ伏せになり、誰かに見られているのに恥ずかしさを感じる余裕すらなく、ただただぐったりと身を横たえてしまった。手足にはもう力が入らず、ドロドロになるほど火照りきった花芯は気持ち悪いぐらいに濡れそぼってしまっている。
誰の目にも子供っぽく見える綾乃が発したとは思えないような濃厚な発情臭が室内には充満し、少し潮の香りのするベッドシーツに顔をうずめて細身の体を震わせる姿はとても扇情的だ。そんな綾乃の背中を隣に座って見下ろしていた留美は自分の衣服にも手をかけると、上下ともに黒の下着だけを身につけた姿になる。
(さあ……それでは授業を始めるとしようか)
「ぇ……な…………んゥ!?」
背中に覆いかぶさりながら耳元へ唇を寄せてきた留美の囁きに、まだ絶頂の余韻から抜け出せていない綾乃はもう一度聞き返す……が、その時には既に留美の指は熱気と湿り気が充満している綾乃の脚の間へと滑り込み、愛液をだらしなく垂れっ放しにしている陰部にズリュッと指先を押し込んでいた。
「く…ゥ……ん………も……やめェ………」
(そうはいかないな。ここでやめれば、また私の魔力を飲ませ、全身に行き渡る頃合を見計らって足腰立たなくなるほど脱力させなければならないからな)
自分の中に魔力がどのように流れているのかを把握するには、自分以外の人間の魔力を流し込まれるのが一番だ。他人へ魔力を供給する魔法もあるが、それだと流入している部位のみでしか感じることが出来ない。
(だから時間を置いて、私の魔力が隅々にまで行き渡るのを待っていたんだ。それに性感と魔力はつながりが深い。身体が高ぶればおのずと魔力も―――)
「ふあァん!!!」
まだ意識もおぼろげな綾乃に説明しながら、留美の日本の指がドリルのようにヴァギナをかき回し、ビクビク痙攣しながらも締め付けてくる肉ヒダを押し広げる。真っ赤に腫れあがった粘膜の中心から濃厚な愛液を溢れ出させて悶えていると、静まりかけていた快感の火照りが再び昂ぶりだすが、
―――……な、なんですかこれェ……さっきまでと…何かが……ち、違ァ………!
蠢く肉ヒダと絡み合うような留美の指に綾乃が顔を上げて荒い呼吸を繰り返すけれど、指が抜き差しされるたびに、愛液を攪拌される音が全身に鳴り響くみたいに身体が震え始める。
(房虫術を知っているか? 男女がSEXすることで魔力や生命力を受け渡しする術なのだが……それは女性が主に受け取る側でな。言い換えれば、女性の膣内は外皮よりも魔力を吸収しやすいということだ)
説明は続く。けれどその言葉は何一つとして綾乃の耳には入っていない。指と粘膜が擦れあい、タップリと流し込まれていた留美の唾液が愛液と共に刷り込まれると、体中の血液が燃え上がっているかのような昂ぶりに言葉さえ失い、小柄な身体を小刻みに震わせながら次々と押し寄せる絶頂感の前に意識をどこかに飛ばしてしまっていた。
「あ……あッ……あ…ッ………!」
(可愛らしい顔をしていて、ずいぶんとイき慣れている。よほど可愛がってもらっているらしいな。―――もっとも、“火”の属性ではそうも言っていられないか)
今、綾乃の魔力と交じり合わないように濃縮された留美の魔力が、膣内から注ぎ込まれる魔力に反応していっせいに燃え上がっている。ただし、それは綾乃の中にある二つの魔力の流れのうち火属性“陽”の魔力を生み出す部分だけだ。経験上、魔力同士の共鳴で火属性の女性が反応しやすいことを知っていた留美はヒクヒクとひくつくヴァギナを挿入した指先で押し広げると、サディスティックな興奮に胸を震わせ、そのまま膣奥に向けて指先を押し込んでしまう。
「い、いやぁ! ああ、あああああっ!!!」
(ふふふ……忘れているんじゃないか? 私たちは誰かに監視されているんだぞ? 何人とも、何十人とも知れない男たちの前で見せ付けるつもりか、お前がどれほど淫らな女なのかを……)
「―――――――――!?」
留美のイタズラ心で囁かれた一言が、何処までも快感に溺れそうになっていた綾乃の理性を呼び起こす―――けれど、それで状況がどうなるものでもない。股間に突き入れられた指先に魔力を流し込まれながら子宮口とその周囲のスポットを丹念に突きほぐされると、脳髄にまで一気に駆け上がってくる直撃の刺激にビュクッビュクッと淫水を噴きだしてしまう。
………こ、こんなところを、誰かに、お、男の人に……! いや……もう…ああっ、い…イヤァ……!!!
さらに責めをエスカレートさせるべく、留美は再び綾乃の脚を抱えて身体を半開きにさせる。存在しているのかいないのかはっきりしない視線を意識している綾乃には開脚して恥部を晒す恥ずかしさが数倍にもなって感じられ、それなのに手首を唇に押し付けて羞恥心を必死に押さえ込むと、
―――せ、先輩だって恥ずかしい思いをしながら頑張ってくれているのに……!
理性と共に思い出したのは留美と肌を重ねる目的。腰を震わせ、幼げな秘唇からどれだけ涎を滴らせても、所管でも冒険者ギルドからの依頼でもたくやに任せてばかりいることへの罪悪感を思えば恥ずかしさには耐えられる。顔を赤く染め、苦しげに鼻を鳴らしてまでも、視姦される恥じらいを必死に頭の中から追い出し、留美の手による恥辱も、それが魔法を使えるようにためならばと子宮を痙攣させてまで受け止めていた。
「………いじらしいな。いっそ一時でも理性をなくしてしまえれば楽なものを」
「そ、んな……ダメェ………私は…ちゃ…ちゃんと……ちゃんとォ……!」
「わかっているとも………きちんと最後まで、責任を持って感じさせてみせるさ。安心して身を委ねるといい」
「ち、違います! 私は、本当に、は…恥ずかしいの、が…まん……あっ、そ、そこは……ああ、ああ、こ、こんな…姿で……クァあああああっ! んハァアアアアアアアッ!!!」
沸騰したお湯がすぐさま冷めることがないように、留美の舌と指で丹念に絶頂を味合わされた綾乃の瑞々しい肉体が官能を押さえ込めるはずもなかった。たくやと同様に街道工事の一週間の警護で少なからず溜め込んでいた性欲が、ピンピンに尖ったクリトリスを指先ではじかれることで爆発寸前にまで膨張し、背後から乳房を揉みしだかれて快感が魔力のうねりと共に押し寄せてはガチガチと歯を打ち鳴らして昇りつめるのを堪えなければならない。普段は清楚な童顔にも淫欲に溺れまいと苦悩する艶のある表情が浮かび、たくやではなく別の女性の手で膣を穿られて身体の芯に官能を刻み込まれる至福に屈してしまいそうになりながらも、それでも綾乃は血がにじむほど唇に歯を突きたて、これ以上はと懸命に操を立て続けていた。
「けなげなものだ。では……そろそろもう一つの方を」
アクメを拒む綾乃にむしろ嗜虐心を刺激されてしまった留美は、年下の未成熟な少女を仰向けに返すと、身体の上下を入れ替えて自分の身体を重ね合わせる。むき出しの綾乃の秘所が留美の目の前に、そして黒い下着に包まれた留美の秘所が綾乃の目の前に来る体勢だ。
………す、スゴい下着を履いてるんですね、留美先生って……
鼻先の突き出された留美の下着は、綾乃の愛用している白無地の木綿のショーツなどとはまったく異なっている。細かく刺繍が施されたショーツは、たくやが“仕事”用として数枚持っている「隠された場所を彩る」下着と同類のものだ。
………私が履いても全然似合わないんだろうな。
留美やたくやのように魅力的な女性が履くからこそ似合う下着だ……などと考えていると、いきなり綾乃の鼻先に留美の下着の股間部が押し付けられる。それと同時に左右の花弁に指を添えられた秘所がぱっくりと割り開かれ、本人の意思とは無関係に発情させられた蜜壷の中に留美の唾液をたっぷりと纏わりつかせた指が押し込まれていく。
―――なんだか…群れてる。スゴく留美先生の匂いが……んんッ!
決して匂いフェチではないのだが、綾乃を弄んでいるうちに潤んでしまった留美の恥丘に鼻と口とを塞がれれば、発情した大人のメスの匂いを吸い込まざるを得ない。
「んぅ…ちゅ……んムゥ………」
たくやでも達していない女盛りの留美の股間は黒のショーツと言う淫靡なベールに包まれているけれど、顔に押し付けられる弾力はまさに最上級の女肉だ。窒息させられないように必死になって喘げば、下着の内側からムワッと立ち上る留美の濃厚なフェロモン臭を吸い込むことになり、女同士で性器を舐めあう行為に覚える恥ずかしさも加味しながら綾乃の身体の内側で更なる疼きが沸き起こり始める。
「もっと激しく吸ってもいいんだぞ? もっとも、そうするだけの余裕があればだがな」
「んウゥ! ん、ん…んゥ〜……!」
クリトリスを舌で突付かれれば、快感の揺り返しが来てしまって綾乃の花弁がプルプルと震える。いやいやと腰を棍選らせる綾乃に構わず、留美は何度も弄ばれて真っ赤に腫れあがったクリトリスに優しく吸い付き、舌の上で雨を舐めるようにコロコロと舐め転がす。
「んイぃぃぃ! ら…メェ! ああぁ…んイいいぃ……そ…強……んウゥ! ヒあ、あッ、ヤあァ、そっ、そっ、それェ〜〜〜!!!」
これ以上は決して……そう思っていた綾乃だけれど、熱い“火”の魔力に身体の内側から焦らされながら、むき出しの淫核と痙攣の治まらない膣粘膜を留美に巧みに責められると、決意など容易く吹き飛んでしまう。両脚をしっかりと抱え込まれ、淫液の溢れる縦筋を激しく上下に舐め擦られればオルガズムを堪える事もままならず、電気ショックを受けたかのようにうら若き女体をビクビクと跳ね上げてしまう。
「さあ……お待ちかねの時間だ。快感のあまりにこれ以上お漏らししないようにな」
留美の成熟した理想的とも言えるボディーの下で背中が浮き上がるほど全身を引き絞っている綾乃に、指を挿入する前の言葉など届くはずもない。ワインのアルコールも手伝って感度が極限にまで昂ぶっている綾乃の状態に留美は満足そうにほくそ笑むと、口ビルと下でクリトリスを嬲り倒しながら、緊縮している膣口にズリュッ…と魔力を集中させた中指を押し込んでいく。
「んィ〜〜〜…………!!!」
「今はただ感じればいい……どうせすぐに何も考えられなくなるしな」
「ああ、ああ、ああああああ―――――――――!!!」
綾乃の唇から迸った絶叫が室内の調度品をビリビリと震わせる。留美が防音の結界を室内に張っていなければ、どれだけの声が部屋の外に漏れていたことか……けれどその事に気付かぬまま、膣天井のとある一点をまさぐられた綾乃は涎が溢れるほど大きく口を開き、汗と淫液にまみれた全身を狂ったように戦慄かせてしまう。
「いや、やめ、だめ、あっ、あッ、そ…それ以上は……それ以上されたら……ダメ、で、出ちゃうゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「お漏らしはいけないと言っておいたはずだがな? だがまあ、どうしてもと言うのなら……」
「あああっ! ああああああッ!!! やめてェえええェェェ―――――――――――!!!」
勃起しきったクリトリスを舐め吸われながら膣内でプックリと盛り上がった性感帯……俗に言うGスポットを圧迫されて揉みしだかれ、そして膣内でただ一点、綾乃の中を流れる闇属性の魔力に繋がるその場所から留美の魔力を流し込まれ、留美の体を押しのけるほどに両足の爪先と後頭部の三点でブリッジするように腰を跳ね上げてしまう。
淫蜜がブシャッブシャッと噴出し、自分が潮を噴かされていることなど分からぬままに、綾乃は涙の混じったイき声を迸らせた。
まるで皮膚の下全てが性器に変わり、何百何千何万と言う触手の群れに凌辱されているような闇の魔力の共鳴。火の属性の部分だけではあちらこちらに開いていた隙間をおぞましい触手の群れに埋め尽くされ、濃厚な白濁粘液を迸らせ続け、それでもなお落ち着くことの許されない官能の激流にヴァギナをうねらせ、恥丘をガクガクと振りたくっていた。
だが―――
「んムゥ!?……ケホッ、な、何だこれは……!?」
クリトリスを舐めたてていた留美が、異物にノドの奥を突き上げられ、咳き込みながら慌てて顔を上げる。すると目の前には、
「男性器……? 今までこんなもの存在しなかったのに……」
留美は知らなかった……月に一度、綾乃が股間に男性器が生えてしまう体質であることを。
綾乃のペ○スはクリトリスのすぐ上、陰唇と下腹との境目から突き出してきた。突然の“異変”に驚きを隠せなかった留美だが、次第に隆々と聳(そび)え立つ肉棒に好奇心が沸き起こってくると、綾乃自身が放った淫蜜を纏わりつかせた手で、綾乃の昂ぶりきった肉竿を握り締めていた。
「うんゥ……! 留美…センセェ………!」
「確かに本物の男性器のようだな。血液も流れているし熱も帯びている……感覚もあるのか? それに……ここにだけは闇の魔力が集中しているな……」
「ダメ……さ、触っちゃ……んあ、あああああァ!!!」
「―――!?」
綾乃がひと鳴きすると、留美の手の中で肉棒がさらに膨張する。それは一ヶ月に一度だけ生える男性器のいつもの大きさをはるかに上回っている。留美の魔力を受け入れてしまったがために、いつもの倍以上の魔力を溜め込んでしまったペ○スは長さが二十センチにまで達するほどの巨根にまで“成長”してしまっていた。
長さだけでなく、太さももかなりの物だ。はち切れんばかりに膨らんだペ○スは未だ様子見と思って恐る恐る触っていた留美の手指をはじき、包皮にカリ首を包まれた亀頭をブルンと震わせる。
包茎ゆえに幼そうにも見える外見とは裏腹に、触れれば火傷しそうなほどの熱を帯びた性器は肉の凶器そのものだ。うっすらとピンク色をしているのに興奮した血液がみなぎった血管がミミズのように肉茎を這い回っており、まるでオーガかトロールのペ○スと見間違えてしまいそうな異様を誇っている。
「これはじっくりと調べてみる価値がありそうだな……」
だが、その前に―――
―――な、なんだよあれ!? あの小娘、ば、化け物か!?
部屋と部屋の間に設けられた監視部屋の中で、目にした光景の衝撃に、男は思わず椅子から腰を浮かせていた。
換気口はついているものの、それだけでは換気し切れないほどに狭い監視部屋の中にはザーメンの臭いが充満していた。淫靡すぎる美女と美少女の痴態に鼻息を荒くして自慰にふけってしまったからなのだが、その興奮も綾乃にペ○スが生えたことで一気に吹き飛んだ。
―――ちくしょう、変なもの見せやがって……!
男性のものと女性のものが両方ついているなど、狭い漁村の中での常識しか持っていない男には受け入れられなかった。吐き気がする……それまで性欲の対象としてみていただけに反動が大きく、覗き穴から顔を離した男は口元を手で押さえ、いざという時のために用意していた剣へと手を伸ばし―――そこで初めて、監視部屋の中にもう一人、誰かがいることに気がついた。
「な…なん……――――――!?」
光が外に漏れてはマズいので、監視部屋の中には覆いをかぶせて光を絞った蝋燭しか明かりがない。足元を照らすだけの小さな炎の発する光は、すぐ傍にいたのにいる事の気付けないでいた“誰か”の顔を照らし出せはしなかったが、
―――目……目が、目の色が!?
金色の瞳……足元からの光に微かに反射する瞳の色は、闇の中でも浮かび上がるほどに鮮明に輝いていた。
いや、正しくは瞳自体が輝いている。充填された魔力が発する黄金の輝きを湛えた“左目”は、怯え、反射的に後ろへ逃げようとする男を見据えると、スッ…と細くなる。
「“お前は今夜、何も見なかった”」
女性の声だ……そう思った瞬間には、男はそのことを忘れていた。
「“お前は今夜、何も聞かなかった”“綾乃は静かに眠っていた”“怪しいところは何もなかった”」
闇の中で女性が言葉を紡ぐほどに、金色の左目に魅了されていくかのように男の意識は薄れ、表情から力が抜け落ちていく。
剣に伸ばしかけていた手は身体の横にだらしなく垂れ落ちる。
腰はストンと椅子に落ち、背もたれに身体を預けて腰をだらしなく前へと滑りずらす。
口を天井に向けてだらしなく開き、焦点を失った瞳からは、目の前にいるのが誰なのかを確かめようとする意思は完全に失われていた。
「“交代は誰か来るのか?”」
「いい…え……」
「“ならば朝までそのまま起きていろ”“その間に見聞きしたことは全て忘れろ”」
「は…い……」
答えると、男は何も考えられなくなっていた。
目の前に誰かいるのに、実際に目で見ているのに、そこに誰かいるのかが分からない。―――その呆けた様子に満足げに微笑むと、留美と綾乃が肌を重ねている隣室に一度目を向けてから、女性は音もなく姿を消していた。
それはまるで闇に融けたかのように―――
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