第十一章「賢者」05


「うッ! くうぅぅぅ…んっ、んゥ…んむゥうゥゥゥ!!!」
 温泉のお湯と愛液とでふやけてしまうほど濡れそぼったあたしのヴァギナに、大介のペ○スが往復する。天井と海に面した方だけ垣根のない浴場に、手足を突っ張って後ろへ突き出したヒップへ振りたくられる大介の腰が背後から叩きつけられる音がパシンパシンと響くと、そのたびにあたしの身体もピストンの衝撃で前後に揺さぶられ、岩に体重を預けた体の下で押しつぶされた乳房がこねられているかの様に何度もひしゃげさせられてしまう。
「はぁ……んんん……ん……はんぅ……!」
「スゲェ…こんな締まるおマ○コ初めてだよ。オレ、もうイっちゃいそう……」
 ―――だ、ダメぇ……中は……膣内に出されるのは……相手は大介なのに……近くに誰かいるのに……こ、声が、あ……ンッ、漏れちゃう、ヤらしい声が…ああ、あああァ〜〜〜!!!
 歯が皮膚を突き破りそうなほど強く唇を噛み締めて声を押し殺しているけれど、膣奥を突きながら根元までずっぽりと納まってしまう大介のペ○スに、あたしのヴァギナはタップリと愛液を絡みつかせていた。
「んゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 タップリの潤滑液を得て力強い律動をさらに加速させた大介があたしの背に覆いかぶさり、一突きごとにペ○スへ体重をかけ、戦慄く子宮口に亀頭を力強く擦り付けてくる。衝撃が骨盤を突き抜けて堪らず首を仰け反らせてしまうと、絞り上げてしまった膣壁を今度はカリ首のエラで掻き毟られ、愛液が膣外にごっそりと掻き出されてしまう。
「くぅう……うッ…ァ…あ……あ、アぁぁ………!」
「へへ、や〜っと声を上げたな。誰もいないんだし、遠慮せずに声を出してくれよ、そのほうが興奮するんだし」
「ちッ…ちが……き…聞かれ…るゥ……!」
 突いて抜いて、押して引いて……大介のストロークにあたしの身体全体が揺さぶられる。ついに震える声をノドから洩らしだしてしまうと、それが引き金になって膣壁の収縮運動が激しさを増し、ビクビクと痙攣を起こし始めている大介の肉棒を奥へ奥へと引きずり込むような蠕動を繰り返してしまう。
「た、たくやちゃん、オレ、もう我慢が……このまま、出すぜ、おマ○コの中に、出すからなッ!」
「いや……それは、アアッ、だ…大介ェ……あたし…ヤダァ……やめっ、お願い、出さないでェェェ!!!」
 そう叫ぶけれど、膣の一番深い場所を押し上げた大介のペ○スは柔らかくなった子宮口にずっぽりと先端を埋め込むと、はち切れんばかりに膨らんだ肉茎をブルッと震わせ、焼け付くような熱さと濃厚さの白濁液をあたしの胎内へと注ぎ込む。あたしが波打つ海を見つめながら身を強張らせた次の瞬間には、激しい痙攣と共に流れ込んでくる精液が子宮の内側をタップリと満たし、その圧迫感にだらしなく唇を開いたまま達してしまうと、
 ………大介なんかに……イかされちゃった………
 子宮が総毛立つ様な屈辱と汚辱感の前に、あたしの心は折れ砕けていた。大介の肉棒が抜け落ちないように締め上げている膣内に子宮口からあふれ出した精液が染み込んでいくと、アクメの緊張から次第に開放されていく身体には心地よくさえ感じてしまう脱力感が広がってしまう。
 ………でも…これで………
 キュッ…キュッ…と断続的に膣口をすぼめるあたしの下腹には逞しかった大介のペ○スが全てを吐き出して萎えていく感触が伝わっている。
 もう一度……心の奥でそう求める声を強引に押し込めると、腰を蠢かせ、フィニッシュした体制のまま硬直して動けなくなっている大介のペ○スをヴァギナから抜き落とした。
「ハ…アぁ………大介のが……溢れて………」
 子宮の入り口を塞いでいた肉の栓がなくなると、胎内を押し広げていた大量の精液がわななき震えている膣道を次々と下り落ち、ぽっかり穴が開いた感じになっている膣口から垂れてくる。他の人もここの温泉を利用するのだろうけれど、汚いと思ってもアクメを迎えたせいで括約筋を締め付けることが出来ず、あたし自身のおしっこを押しとどめるのにさえ力まなければならない。
 ―――だけどそれもおしまい。息が整ったら……大介のやつ、ぶん殴ってやるん…だからァ……
 この村には自警団はないので犯罪人として突き出すことは出来ないけれど、それでも二発か三発はショートソードでぶん殴らないと気が治まらない。
 琴の音は未だ遠くから聞こえてきている。あたしの声は届かなかったのだろうか……その幸運に少しだけ元気を取り戻すと、唇を引き結び、いざ振り返ろうとして―――
「たくやちゃん……」
「………っ!?」
 あたしが振り向くよりも先に、大介があたしの肩を掴み、強引に身体を回転させる。海を背にし、引き寄せられるままに大介の腕の中に身体を収めてしまうと、すぐ目の前には何故か真剣な表情の大介の顔があった。
 ―――な、なんで、あたし今、ドキッとしたんだろ……
 普段はおちゃらけて、あたしの前でどこか間の抜けた行動しかとっていない大介なのに、表情を引き締めただけなのに物凄く凛々しく見えてしまう。そんな大介を不意打ちで目の当たりにしたせいか、思わず胸が高鳴ってしまい、
「オレ……たくやちゃんにマジ惚れしそう……いや、した。本気で惚れた」
「え―――?」
 その一言で……あたしの中で乙女のスイッチが入ってしまったような気がした。
「あ、や、な、調子に乗ってなに言ってるのよいきなり!?」
 これは当然の反応だったと思う。まだオルガズムの熱は頭の中にも残っているけれど、それでも大介に告白されて首を縦に振るわけ………な、ないと、思うんだけど……
「一回エッチしただけで女が自分の言うことなんでも聞くとでも思ってるの!? あ、あたしはねェ!」
「違うって。俺がたくやちゃんに惚れたんだよ。だから言うこと俺が聞く、何でも聞く。なあ、この村の仕事が終わったら俺と一緒にパーティー組まないか? てかもう、どこかで小さな家を借りてさ―――」
「冗談はいいかげんにして! あ、あんただってあたしが男だって事は知ってるでしょ!?」
 大介の本気の目に見つめられていると、肩に置かれた手を振り払うことも出来ない。何か言わなくちゃ、何とかして逃げなくちゃと思っても、理由すら分からない胸のつまりが明確な拒絶の言葉を言わせてくれず、どう言えばいいのかも分からず、ただ大介があたしを拒まざるを得ない事実をノドから搾り出すしかなかった。
 それなのに、
「構うもんかよ、そんな事。ほら、触ってくれたら解ってくれるだろ?」
「あ………」
 ついに拒みきれないまま、あたしは大介にされるがままに右手を掴まれると、二人の身体の間で反り返っているペ○スを無理やり握らされる。
 ―――お、大きいだけじゃない……別にあたしは…おチ○チンビクビクされたからって…どんなに熱くなってたって…だから何よ。おチ○チンおっきくするって事は、あたしにエッチなことがしたいだけじゃない……
 そう……わかってる。大介が本当に欲しいのはあたしの身体なんだって。それなのにあたしの手は、愛液と精液をまとわりつかせたペ○スを慈しむように撫で回してしまっていた。
 ………バ、バカですか、あたしは……大介が調子に乗る前に早く手を離さなきゃ。それから声を上げて、誰か…人を………大介の言葉にあたしが頷く前に……
 タオルの一枚も身にまとっていない姿で男性に抱きしめられる恥ずかしさに、とても顔を上げて大介と視線を合わせていられるはずもない。やや俯き気味に横へ視線を反らしているけれど、あたしは大介のおチ○チンから手が離せない。最初はおずおずと触っていた右手も、今では熱を帯びた動きで玉袋から先端まで何度も往復し、膣内に射精され、強引にアクメを迎えさせられた割れ目からは怖さや不安よりも甘いと言ってもいい期待感が込み上がってきてしまっている。あたしの肩を掴んでいる大介の手に力が入り、尿管内に残っていた精液の残滓を搾り出すほどに硬く充血していくペ○スの感触を手のひらに感じると、ドロリと白濁液を溢れさせた膣口から飢えに似た疼きが広がり、口内に溢れる生唾をゴクッと飲み下してしまう。
「たくやちゃん……」
 大介にあたしの名前を囁かれると、それだけで全身が震え、火が出そうなほど顔が熱くなってしまう。否定しようとしても、吸い付きあっているみたいに大介のペ○スから手が離せず、気がつくとお互いに唇を吸い合わせ、舌を絡め合わせてしまっていた。
「はあぁ……んゥ…んん………」
 もうあたしの意志でとは関係なく動き始めた舌が大介の口内から興奮しきった熱い吐息を吸い上げ、送り込む。そうしていると大介の片手があたしの股間へと滑り込んでくる。
「ん…ああァ……!」
 秘所にタッチされ、あたしはたまらず唇を離して身体を仰け反らせる。大介の首に腕を回して後ろへ倒れそうになる体を支えるけれど、気持ちが昂ぶりすぎて言葉数が少なくなってきた大介はその分だけ激しく太股の付け根を責め抜いてくる。
「んイッ……ダメ、そんなに……やンゥ……んいィ………!」
 恥裂を割り開かれて粘膜の中心をグリグリと押し込まれると、一度収まったはずのアクメの波が再び沸き起こり、あたしはクイクイと空腰を振り、大介にすがり付いてしまう。夢中になって唇にむしゃぶりつき、膣に
挿入された指先に膣天井を揉み立てられて喘ぐ代わりに本当に好きでもない相手の唾液をすすり上げていると、大介はあたしを抱えて温泉の中に腰を下ろし、
 ―――んッ…! 大介のおチ○チンが……また…入れられちゃうゥ……
 湯船の中で指を引き抜かれたヴァギナに、熱めのお湯が流れ込んでくる。過敏になっている粘膜には刺激が強すぎて表情をしかめた瞬間、逆流を防ぐかのように大介のペ○スが膣口へと押し当てられ、そのまま膣の奥深くにまで一気に肉棒を突き立てられてしまった。
「ああァ、い、入れたばっかでもう……たくやちゃん、たくやちゃん!」
「はんゥ……ああ、ああああああッ! 大介、熱いの、おマ○コが、ああ、あああァ〜〜〜!!!」
 大介に腰を抱きしめられ、あたしは乳房の谷間を大介の顔に擦りつけるように身体を上下に揺さぶられると、嫌悪感も何もかも頭の中から吹き飛び、性器同士が擦れあう快感にただただ溺れてしまう。膣粘膜に肉茎のカリ首がしっかりと食い込み、お湯を跳ねさせながら蜜壷を抉りたてられると大介を抱きしめる腕にも力がこもり、汗がにじんだお互いの上半身を摺り付け合いながら温泉中に響き渡るほどの甲高い喘ぎ声を迸らせる。
「あ、あんンゥ……大介ェ…もっと、もっと速く、もっと強く、つ…突き上げてェェェ!!!」
 快感の歯止めが利かなくなってくると、あたしは自らお尻で円を描くように腰を振り、今まで何人もの男性を虜にしてきてしまったヴァギナを絞り上げながら大介に恥ずかしいおねだりをしてしまう。それに応えるかのように、腰からあたしのヒップへと手を移した大介は、張り詰めたヒップに指先をキツく食い込ませながら膣奥に一際強烈な一突きを叩きつけてきた。
「んはぁああぁあぁぁぁ! す、スゴぃ……! あゥん、ああ、あああああァ、ダメェ――――――!!!」
 支えられる位置が下がり、後ろへ身体を仰け反らせたあたしは湯船の底に両手をつき、突き上げてくるリズムに合わせて豊満な乳房をプルンプルンと重たげに震わせる。その膨らみの頂に飢えた乳飲み子のように大介が吸い付いてくると、上下に跳ねていた乳房の片方が強く引っ張られ、涎の滴る唇から今にも裏返りそうな叫び声を迸らせる。
 ―――ああ、動いてる、ビクビクしてる大介のおチ○チンが……ち、違う、あたしは悦んでなんか……大介に抱かれて悦んでなんか…ァ………!!!
 白い湯気に埋め尽くされた視界のように、頭の中まで真っ白に染まっていく。発情しきった大介のペ○スにやわらかい膣穴を押し開かれてかき回されると、もうこらえられない……お湯の中でお漏らししてしまう禁断の恥ずかしさに身震いしながら、あたしはヴァギナをキツく息ませ、ばれないように、けれど心のどこかではばれてしまうことを望みながら、濃密な絶頂汁を尿道口から噴出してしまう。
「んん、んゥ、ん…ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
「た、たくやちゃん!」
 気付かれた!?―――心臓が一瞬跳ね上がるけれど、幸いにしてそうではなかった。揺れ弾む乳房から口を離した大介は湯船の中で投げ出していたあたしの両脚を抱え込むと、そのまま膝立ちになり、あたしの身体を海側の温泉の縁石へと押し付ける。
 ―――う…あああああああッ! し、子宮が、こじ開けられるゥ!!!
 肩に抱えられてお湯の中からXの字を描くように突き出した両脚。その爪先が湯気の中で楕円を描くほどに、あたしの身体は大介のラストスパートの勢いに揺り動かされる。
 一人だけでは決して味わえない肉欲の快感………岩と大介とに挟まれ、本当はあたしには存在しないはずの場所を力強く連続してノックされると、男に戻る夢がまた一歩遠ざかるのを感じながら、このままイかせて欲しくて、一秒でも早くおマ○コに精液をタップリと注ぎ込んで欲しくて、欲しくもなかったイヤらしいおマ○コをグチュグチュ蠢かせてペ○スを締め付け、浅ましいまでに喘ぎ狂ってしまう。
「グッ、ウッ、ウゥウウウッ! そ、そんなに締め付けて……オレの精液がそんなに欲しいのかよ!?」
「ち…がうゥ……あたし、い…んんゥ! イ…くぅ……! 動かないで……あ、あたしは…こんなの…いやッ、あ、あン、大介、動いちゃ、いや、あたし…あたしィィィ!!!」
 まだ理性の最後の一線で身も心も完全に女の快感に落ちてしまうことを拒んでいる。本心では望んでいる事とは反対を言い、拒み、ペ○スを吸い上げるようにヴァギナを絞り上げていながら大介の“本気”を受け止められないでいた。
 それが……大介の嗜虐心を刺激するとも気付かずに……
「だったら……また膣出ししてたくやちゃんを孕ませてやる。オレの子供を孕ませて、俺だけのモノにしてやるよ!!!」
「んはァああああああああああっ!!!」
 妊娠はイヤだ……そう叫びたかったのに、大介の言葉に反射的に開いた唇から溢れたのは、淫らなまでに蕩けきった蜜壷を疲れ、掻き回され、赤ちゃんを孕んでしまう場所を乱暴にズンズンと突き上げられる快感に込み上げさせてしまった喘ぎ声だった。
 めちゃくちゃに扱われるほどに、あたしの中の“メス”が淫乱な顔を覗かせてしまう。大介の激しい腰使いにお湯の中では白く濁った本気汁がタップリと掻き出されてしまい、もう……これ以上拒むことが出来なかった。
「す……好きぃ………!」
「それってオレのことだよな!? 俺のことが好きなんだよな、たくやちゃんは!?」
「そう……あ、あたしは…大介が……好きィ……! だから…も、許して…またイく……イっ…ちゃう……大介に、犯されて、き…気持ちよくなってるのォ〜〜〜〜〜〜!!!」
 自分で何を言っているのかわからない……もしかしたら、もう男に戻ることを望めなくなる言葉を口にしているかもしれないのに、官能の荒波に呑み込まれた身体は子宮口を抉られるたびに軽いアクメに達して連続絶頂に陥ってしまう。ヴァギナどころか子宮までが蕩けきり、根元まで呑み込んだペ○スにも快感を分け与えるように膣壁が異様なほど脈動し始める。
「イく、また、イくのォォォ!!! ダメ、お願い…だから…もうイかせないでぇええええええッ!」
「だったら……これで終わりだ。オレの子供を孕ませてやるからさ、何人だって!」
 ………い、イヤ……それだけは、やっぱり、イヤァアアアアアアアアッ!!!
 まだ女の悦びに溺れてしまうだけならいい。けれど妊娠することだけは……それだけは受け入れられなかった。貞操観念もあるけれど、それ以上にあたしの心の奥底に自分が男であると言う意識が強く残っているのだろう。もし妊娠したりすれば―――
「ぬ、抜いてぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!」
 大介の男根に子宮口を穿たれながら、必死に叫んだ一言だけれど、もう何もかもが遅かった。あたしの哀願も空しくペ○スを挿入したまま絶頂に達してしまった大介はまたしてもあたしの胎内に大量の精液を注ぎ込んできた。隙間なんてないのではないかと思うほどみっしりとヴァギナとペ○スが絡まりあう蜜壷の奥に、ドクンドクンと大きく脈動しながら大介の子種汁が流れ込み、相反する嫌悪感と幸福感とが混ざり合う複雑な感情に気を狂わせながら、身を引き攣らせて支給の内側を大介の色に染められていく被虐の悦びに打ち震えてしまう。
 ………濃いのが……おなかいっぱいに……大介の子供を……あたしは……あたし…は………
 温泉の水面下での膣内射精は長く長く続いた。やがて、大介に知られぬ内に潮噴きまでしてしまっていた秘唇から白く濁った液体があふれ出し、お湯の中からプカプカと浮き上がってくると、あたしの瞳から涙が零れ落ちてしまう。
「ふうぅぅぅ………たくやちゃん、よかったぜ。こんなに美人で身体の相性だってぴったりなんだしさ、男に戻れなくたってオレが幸せにしてやるから」
「だい…す…けぇ……」
「愛してるぜ、たくやちゃん。どんなにどスケベで淫乱だろうと、このエッチな身体は……」
「あたし……スケベじゃないもん……」
「いいじゃんスケベでも。オレの前だけでそのスケベな顔を見せてくれれば……さ」
 本当に違うのに……けれど大介が歯を見せて笑うと、もうそれ以上何も言えなくなり、オルガズムの余韻がいっそう甘くて幸せな気分に満ちたものになってしまう。きっと大介に何回犯されても、この顔の前でなら何もかも許して受け入れてしまうのだろうな……と、妙な気分になっていると、あたしの脚を抱えたまま大介が顔を寄せてくる。
「たくやちゃん……」
「ん………」
 名前を呼ぶ気恥ずかしさに、ただ頬を染めて口をつぐんでしまう。そんなあたしの唇を奪おうと、大介は決して美男子とは言えない顔を近づけてきて、
 ―――あたしもう……大介に惚れちゃうのかな……
 半ば諦め、半ば喜び、キスしやすいように軽くアゴを突き出してしまう。そして……


『セッンパ〜〜〜イ、僕と一緒にお風呂に入りましょ〜〜〜♪』


 ―――な、こ、弘二!?
 すっかり失念していた。大介のパートナーはあたしに熱を上げすぎて道を少々踏み外している弘二だということを。
 タイミングが悪い……脱衣所から弘二の声が聞こえてきてすぐに大介とあたしはそちらに首を向けたけれど、今までナニをしていたことをごまかすためには、その数秒ですら惜しいほどに時間が足らなさ過ぎる。しかもあたしたちがいるのは男湯で、隠れる場所など何処にもない浴室では、間違いなく全裸のまま二人で温泉に入っていることを大介に知られてしまう。
(ちょ……どうするのよ!? こんなとこ弘二に見られたら逆上して何するか……んんッ!)
 今は何とかして……いっそ海に面した側の岩場にでも飛び出さない限り逃れられない状況なのに、あろうことか、大介はあたしの腰を掴み、精液でドロドロにされた膣穴の奥に肉棒を押し込み始めていた。
(弘二なんか気にするなって。今はたくやちゃんを孕ませることしか考えられないんだから、オレ)
 ―――開き直るなこの馬鹿は―――――――――!!!
『フンフンフ〜ん♪ 先輩とオッフロ、オッフロ、オッフロ、オッフロ〜♪』
(あんな鼻歌歌うヤツには、いっそ見せ付けてやればいいんだよ。弘二に付きまとわれて迷惑してるんだろ? だったら―――)
『先輩のお身体は僕がピカピカにしてあげますからね♪ 前も後ろもピッカピか♪ 張り切っちゃいますよ、僕は!』
 ―――ダメだ、この二人は……もういろんな意味でだめだってばァ!
 開き直った大介は小刻みに抽送を繰り返して、小突くようにあたしのヴァギナを突き上げる。もうすぐ弘二が浴場に入ってくるのに、あたしに出来るのは自分の指を咥えて声を押し殺すことだけ……それなのに大介は腰を左右にくねらせて蜜壷の奥でペ○スの先端を振りたくり、あたしに声を上げさせようと刺激を加えてくる。
 ―――ヤダ……こんなところ人に見られたくない! だれか……助けてぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!
 あたしと大介と、そして脱衣所に弘二がいるだけ。未だ遠くから竪琴の音は聞こえてくるけれど、弾いている人に助けを求めることなんて恥ずかしくて出来るわけがない。
 そして、脱衣所と浴場を区切る引き戸が軋んだ音を立てる……もう、どうなるかなんてわからない。あたしは弘二の入ってくる脱衣所へと目を向けられず、顔を伏せて少しでも現実から逃れようとする事しか、もう出来なかった……


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