第十章「水賊」24


 舞子ちゃんに嫌われる一番最初に思いついた方法は、直球ストレートにあたしが“男”である事を告白する事だった。
 幸いにしてあたしにはフジエーダの街で手に入れた双頭バイブがある。脈打つ肉茎の質感も本物と何一つ変わらないし、モード切替で男性の快感を感じる事はおろか射精さえ出来てしまう優れものだ。
 さすがに膣へ挿入しているところを見られれば偽物だとばれるけれど、ズボンのチャックから出せば問題はないし、舞子ちゃんに股間を見られたことはない。後は演技力次第で擬似ペ○スを本物だと思い込ませ、「いや〜!」と泣き叫んで逃げてくれれば、それでおしまい。仮に舞子ちゃんが逃げずに男のあたしに抱かれる覚悟を決めてしまった場合には、望まないながらも少々乱暴に犯そうとすればきっと舞子ちゃんだって逃げ出すはずだ。
 シュミレーションは完璧だった。男性が苦手な舞子ちゃんのありとあらゆる行動を予測し、美里さんに教えられた「初めての女の子にやっちゃいけなこと」で理論武装まで舌あたしは、確実に舞子ちゃんに嫌われるはずだったのだ。


 ―――それがこんな事になるなんて……


 ヒクッヒクッとしゃくり上げているペ○スのすぐ先には、ベッドにうつ伏せになった舞子ちゃんの顔があった。
 その表情には緊張の色がある。―――が、視線はあたしの股間を覗きこむ事をやめることも中断することもない。部屋の角に置かれたベッドの上で壁に背中を預けているあたしの膝は今すぐにでも閉じて舞子ちゃんの瞳から股間を隠してしまいたかったけれど、
「……………」
 ―――あうぅ〜……こんなに真剣な顔をして見つめられてたら、隠すに隠せないよぉ〜!
 いったいなんで、どうしてこんな状況になったのやら……それを説明するには、数分ほど時間を遡らなければならない。
 あの時……そう、舞子ちゃんを扉に押し付けておチ○チンを握らせたあたしは、猛烈に興奮してしまっていた。静香さんと初体験した時とも、綾乃ちゃんと娼館でハメ合った時とも異なる心の昂ぶりだった。
 一つ間違えれば舞子ちゃんをレイプしなければならない……むしろ、心のどこかではそうなる事を望み、目の前にいる年下の女の子を組み伏せる状況を思い描いては、開け李狂った股間から早くも白い樹液を噴き出しそうになってしまっていた。
 ―――舞子ちゃんの指があたしのおチ○チンを握ってる……どうせ嫌われるんだもん。このまま射精しちゃっても……!
 冷たさを帯びた細い指に握られた肉茎は明らかに一回り大きくなってしまっている。興奮が魔力を高ぶらせ、マジックアイテムである擬似ペ○スに流れ込んだのかもしれないけれど、むしろ好都合。舞子ちゃんの手に自分の手を重ねて張り詰めた肉棒を扱かせながら、薄いネグリジェに包まれた舞子ちゃんの体に自分の身体を密着させてしまう。
「お、お姉様、あの、ちょっと待ってぇ〜…!」
 待つ必要なんて何処にもない。舞子ちゃんが逃げてくれないならあたしは何処までも突き進むだけ……たった一枚のショーツをズリ下ろされ、手指ごとあたしのペ○スを尻たぶに押し付けられても悲鳴を上げない舞子ちゃんの首筋に唇を滑らせると、びくん……と腰を震わせてしまう。
「んんんぅ〜………!…お…姉さぁ……あぁぁ……あの…これ、本当に、本物のおチ○チンのお姉様なんですかぁ〜?」
 混乱して言葉をいい間違えているけれど、言いたい事は分かる。―――けど、あたしは答えずに、おいしそうな形をしている舞子ちゃんの耳たぶを軽く噛み噛みしながら、舞子ちゃんの手の中から引き抜いた肉棒をお尻の谷間へと押し当てる。
 ………先っぽが舞子ちゃんのアナルに当たってる。どうしよう……「初めてでアナル責めは禁物」って教わったけど、けど……こ、このまま、入れちゃっても……!
「お願い……舞子、男の人は初めてだから……」
 と、涙で潤んだ自棄に色っぽい目で訴えられては、いくら暴走していても乱暴な事はそれ以上出来ず、舞子ちゃんに促されるままにベッドへと場所を変え………あたしは舞子ちゃんに“観察”される羽目になってしまっていた。
 ………なんで? どーしてあたしの方が逆にこんなに恥ずかしい目に会わなくちゃいけないのよぉ……
 もう舞子ちゃんに嫌われると言う当初の予定は完全に瓦解していた。ペ○スを触らせて逃げ出させる事にも、勢いに任せてレイプしちゃうと言う手段にも失敗し、主導権も舞子ちゃんに握られてしまっている。
 心を非常にして凌辱しようとしていた相手に興奮の火照りを帯びた男根をマジマジと観察され、まるで責め苦のような恥じらいに身を震わせられている。恥ずかしすぎて今度はあたしの方が泣きそうになっているのに、まだ男だった時のものより一回り以上大きくなっている股間に至近距離から視線を浴びていると、お尻の奥からペ○スに向けて重くしびれるような疼きが込み上げてきてしまい、むしろ……視姦されているこの状況を喜んでいるようにも感じられてきてしまう。
 ……だけど心の中では、舞子ちゃんにひどい事をせずにすんだ安堵して……なんであたしは……!
 今にも熱い涙が零れ落ちそうな瞳をキツく閉じあわせ、耐え難い沈黙に身を震わせながら膝を開き続ける。衣服は身につけたままなのに、一言も発さない沈黙の中でチャックから猛々しいほどにいきり立っている股間を見つめられ、吐息に先端の粘膜をくすぐられると、胸を締め付けるような不安に責め苛まれてしまう。舞子ちゃんが何を思っているのか……そんな事を考えている内に、服の下では両の乳首が痺れを伴って屹立し、すぐにそれは痛みを伴う快感に変わって、あたしのふくよかな胸を打ち震わせた。
「ぅ……ぅん………」
 わずかな身動ぎに、見られれば見られるほど硬く、大きく、太くなっていたペ○スが反応する。肥大化している勃起は大きさとは相反して初々しい色をしている肉茎をブルッ…と身をよじるように痙攣させ、先端から透明な液体をトロッと溢れさせた。視線を感じ取るほど敏感になっていた亀頭の先端の筋に沿って、先走った汁は完全に剥け切った包皮と繋がっている裏筋へと伝い、舞子ちゃんの目の前でペ○スの根元へと雫になってまっすぐ伝い落ちてしまう。
「ぁ………」
 そこでようやく、舞子ちゃんの唇から声が漏れた。まるで感動したかのような驚きの一声に羞恥心を刺激されて身をすくめると、さらにもう一滴、舞子ちゃんの顔へと向いた男根の先端から先走りが滴り落ちた。
「あ……ご、ごめんなさい……初めて男の人のを見たから、つい夢中になって……だから………」
 よほどあたしが恥ずかしい顔をしていたのだろう、慌てて舞子ちゃんが顔を上げる。だけど、口を開いたらこらえている恥じらいの涙が一気に溢れ出してしまいそうで喋る事もままならず、あたしは唇を引き結んだまま潤んだ瞳で舞子ちゃんを見つめ返す事しか出来なかった。
「あの………」
 気まずい沈黙……お互いに涙を流して相手を気遣っているせいで、恥ずかしい姿で相手の前にいるのに次の行動にすぐに動き出せない。ただ、あたしの方が時間を置いたおかげでわずかに襲おうとした罪悪感が薄れており、舞子ちゃんが顔を上げたのを機に膝を閉じようと脚に力を込める。
「んうぅ!」
 だけど、それを舞子ちゃんの手が許してくれなかった。あたしが語気出してとっさに伸ばした手が、チャックから突き出たペ○スを握り締め、親指で透明な蜜を滴らせる射精口を擦り上げる。考えてしたわけではない偶発的なタッチに敏感な場所を刺激されたあたしが歯を食いしばって嗚咽を漏らすと、舞子ちゃんが困惑した表情を浮かべ、気まずそうに視線を逸らした。
「お…男の人って………ここを触られたら気持ちがいいんですよね……だ、だから舞子、お詫びにお姉さまに御奉仕させていただきますぅ……」
「いいから……そんな事しなくていい。そこ…き、汚いから…手を、離して……!」
「大丈夫ですぅ……他の人のならヤだけど、お姉さまのなら……お姉様のだけなら、舞子…全然平気だから……」
 恥ずかしいのを我慢して小さな声を搾り出した舞子ちゃんは、あたしの制止も聞かずに擬似ペ○スを握り締めた手を上下に動かして肉茎の表面を擦り始める。
「ダメって…い…言ってるのに…ィ……!」
 思いもかけない舞子ちゃんの大胆な行為に、議事ペ○スからヴァギナを開始、快感が一気に脳髄にまで駆け上がってくる。けして巧みとは言えない手淫だけれど、吐息を敏感な先端に吹きかけられながらのもどかしいほどくすぐったい摩擦に腰の震えが収まらず、ズボンの中では擬似男根と繋がっている陰唇からあふれ出していた。
「男の人も気持ちいいと濡れちゃうんだぁ……でも、スゴく変な形ぃ……舞子のアソコとは全然形が違うし、それに……なんかビクビクしてるぅ………」
 もう片方の手もペ○スへと添えられ、初めて間近で見て触れる男性の性器の形を確かめようと十本の指が表面の隅々にまで這い回る。二本の親指が亀頭の弾力を確かめようと赤く腫れ上がった先端の指先を押し込むように摩擦と圧迫を繰り返し、カリ首をめくり上げようと爪の硬い先端が円周をなぞる。
「あっ……そこは……んゥゥ………!」
 何度ダメと言ってもあたしの股間に集中している舞子ちゃんの耳には届かない。次第にリズミカルな動きへと変わっていく手指の動きに声を上ずらせていると、いきなり射精口を広げられて指先をグリグリと押し込まれ、男のプライドを粉微塵に打ち砕かれながら情けない声を唇からこぼしてしまう。
「指が入らない……お姉様、男の人ってこんな小さい穴に何を入れるんですかぁ……?」
「ちがッ……そこ、入るようにできて…なッ……ああッ、んぁあああああっ!!!」
 男の一番の急所とも言える場所を親指の腹で割り開かれた衝撃に、必死にこらえていた涙が頬を伝い落ちる。……だけどどんな涙でも相手に見えなければ伝わらない。尿道内側の粘膜を刺激されて溢れさせた先走りからチュクチュクといやらしく音を響かせる一方で、舞子ちゃんのような美少女に股間を弄ばれる恥辱に上ずる声を抑えられないでいた。
 ―――このままじゃ……舞子ちゃんの手の中で、だ……出しちゃうぅ……舞子ちゃんにイかされちゃうぅ………!
 先走りを塗り広げられてぬめりを帯びた亀頭にますます激しく指が絡みつき、先ほどよりも強烈になった快感が校門から脳天にまで突き抜けていく。
「なんか……お姉様のおチ○チンから変な匂いがするぅ……………でも…変……エッチな感じがしてぇ……」
 それほどまでに男性器への興味が強いのか、今まで一度として男性のものになんて触れた事のない指でいつ暴発してもおかしくない勃起をもてあそんでいた舞子ちゃんが、さらに顔を近づけてくる。ゴクッと小さく喉を鳴らし、指で作った輪っかでカリ首を上下に擦っているその場所へと鼻先が触れそうなほどに寄せてきて、股間から立ち上るフェロモン臭を吸い込んで表情をうっとりと蕩かせる。
 ―――そんな顔されたら……その顔に、舞子ちゃんの顔に、ああ、射精、射精しちゃう、顔に出しちゃうぅぅぅ〜〜〜!!!
 奉仕と言うより知的好奇心を満たす無遠慮ゆえの激しい指使いに、あたしは堪えていた射精への衝動をついに解き放ってしまう。
 ビクビクと痙攣するヴァギナの中で愛液を吸い込んだ擬似男根の中で溜め込まれた熱く煮えたぎる精液が細くなった射精感を押し広げながら込み上げてくる。もう何年も射精をしていなかったかのような久しぶりに味わう圧迫感に噛み締めた歯の隙間からうめき声を漏らすと、あたしは―――
「舞子ちゃん、ごめん!」
 その穢れを知らないような綺麗な顔や髪の毛にドロドロの精液をぶちまけようとする罪悪感に耐えられず、ブチュッと音を立てて精液が射精口からあふれ出た瞬間、舞子ちゃんの肩を掴んでネグリジェに包まれた体を強引に引き起こした。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 直後に襲いくる絶頂に、あたしは思わず目を閉じてしまう。舞子ちゃんの手指の中で反り返る肉棒から重たい快感を伴う射精が連続して行われ、あたしのヴァギナの奥から引き抜かれるように濃厚な雄汁を次々と迸らせてしまう。そんな暴れまわる肉棒は舞子ちゃんの手にしっかりと握り締められ、男の時では味わう事もできなかった延々と続く大量射精にむせび泣きながらも、方向を定めた射精口からは間違いなく舞子ちゃんの体に目掛けてたっぷりと熱い欲望をぶちまけている……そう想像して、まだ射精の収まっていない肉棒をさらに力強く脈打たせてしまう。
「お姉様……」
 そう舞子ちゃんの声が聞こえた瞬間、あたしは気の遠くなるような長い射精からようやく我へと帰る。女性の体の長く続くオルガズムと違い、本当ならすぐに終わるはずの射精が一分以上続いたのだ。喉を逸らせて喘いでいたあたしの頭の中は真っ白になって何も考えられなくなっていて、何もかも吐き出した下腹部にはポッカリと穴が開いたような虚脱感が広がっていた。肩を震わせて大きな呼吸を繰り返してもボンヤリと濁ったかのような意識はすぐには鮮明にならず、いまだ小さく噴き上がる射精の甘い放出感にうっとりと腰の奥を震わせていた。―――それを目にするまでは。
「あっ………」
 涙でにじむ瞳が舞子ちゃんの姿を捉えると、あたしの胸は鷲掴みにされたように締め上げられてしまう。とっさに顔を上げさせたのに体を肘で支えていたせいで高さが足らず、あたしの股間から放たれた精液は舞子ちゃんの顔や胸元に向けてたっぷりと放たれてしまっていた。ほとんどゼリー状の塊になっている精液は下側から何度も舞子ちゃんの顔に叩きつけられていて、受け止めた顔の左側の目蓋の上にまで覆いかぶさっている。
 そして異常なほどの量の精液を主に受け止めたのは胸元……ネグリジェの上からだけではなく、マシュマロのように柔らかい膨らみから喉元へと続く肌がむき出しになっている場所へドロドロに濁った精液が大量に張り付いていて、重い精液は起き上がった上半身の傾斜と重力とに従い、体を隠す役割を果たしていないスケスケのネグリジェの内側にまで胸の谷間を通って垂れ入っていく。
「これ……なんですかぁ…? おチ○チンが跳ねて、スゴくいっぱい出て……それにお味が変………もしかしてこれがぁ………」
 男の生理現象についてなんて何にも知らない舞子ちゃんでも、体に撒き散らされたのがあたしの昇りつめた証である事は察しがついたのだろう。顔に突いた精液を指で拭い、指先に絡みつく白濁ゼリーを興味深そうに見つめ、それから胸元にへばりついた精液を塗り広げるように五本の指を滑らせ、肌の表面に円を描く。
「舞子……お姉さまを気持ちよくして差し上げられたんですね………♪」
「ダメよ。全然なってない」
「ふえ………?」
 嬉しそうに微笑んでいた舞子ちゃんの表情が一気に落胆に変わる。―――自分でもなんでダメ出しの言葉を口にしたのか分からないけれど、先ほどから収まらない衝動がこのまま舞子ちゃんを満足させちゃいけないと訴えかけてきていた。
 ―――舞子ちゃん、なんかずるい……!
「さっき、言ったよね。「ご奉仕する」って。それなのに自分勝手にあたしのおチ○チンを弄んでただけじゃない。あんなの、全然御奉仕って言えないわよ」
「で、でも……お姉様、気持ちよかったんじゃ……」
「ふぅん、親切に教えてあげてるのに口答えするんだ……じゃあ、舞子ちゃんには身体で教えてあげる……!」
 そう言うと今度は舞子ちゃんの肩を引き寄せてあたしの股間へ顔をうずめさせる。言葉の意味がわからなくて困惑している舞子ちゃんの顔に押し付けられた擬似ペ○スに急速に熱い血液と魔力とが流れ込んで行くのを感じながら、あたしはお尻の谷間に手を伸ばして、そのままショーツの中へと指を滑りこませると、ネットリとした淫蜜を溢れさせている割れ目を素通りし、辛うじて届いた淫核を人差し指と中指に挟んで摘み上げた。
「お、お姉様、そこはぁ………!」
「気持ちいいでしょ? 舞子ちゃんがあたしにしてくれた“御奉仕”と同じ事を、そっくりそのまましてあげる……!」
「あっ、あん……! だ、ダメェ…おっお姉様ぁ……そんな、ダメぇえぇぇぇ!!!」
 クリトリスを捕らえた二本の指は、包皮を剥きあげた突起を丹念に捻り、扱き、肉の内側に向けて押し込んでしまう。ザーメンまみれの顔とザーメンまみれのペ○スを擦り合わせているのも忘れて、あたしの股間で悲鳴に近いうめき声を迸らせる。だけどあたしはそれを無視し、痙攣し始めたクリトリスをより淫らでより激しい指使いで責め続ける。
「ほぉら、気持ちいいでしょう? 大切なところを乱暴にいじられて、舞子ちゃんの割れ目から大量にエッチなお汁があふれてきてるもん……ほらほら、イきなさい。クリトリスを乱暴にいじられて、あたしとおんなじようにイっちゃいなさいよ……♪」
「やぁあああっ! お、お姉様、許して、そんな乱暴にされたら、舞子のそこォ、と…取れちゃう、ちぎれちゃうぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
「十分反省した?」
「しましたぁ〜!!! だから、だから、ふあッ、ひィ、あ……ああッ、こんなの、こんなのォォォ〜〜〜〜〜〜!!!」
 激しく吐き出される湿った吐息と、開いた口から覗く硬い歯がペ○スに触れる。心地よい弾力の唇が何度と無く肉茎の表皮に押し付けられ、十分すぎるほどに擬似男根に魔力と精液が充填されたのを確かめたあたしは、ヒップを高く浮かせ、ショーツからあふれ出るほど愛液をお漏らししている舞子ちゃんの股間から割れ目やアナルをなぞりながら指を引き抜いた。
「ふああァ………!」
 最後の“ひとなぞり”で乱暴にアクメへと押し上げられようとしていた舞子ちゃんの体に大きな震えが駆け巡る。興奮と快感とが絶妙な加減で混ざり合い、完全に発情状態にある事を感じさせる淫らな反応にあたしは口元に笑みを浮かべると、まだ喘ぐような呼吸が収まっていない舞子ちゃんの顔を上げさせ、可憐な唇に舞子ちゃん自身の蜜を纏わり付かせた指先をあてがった。
「はァ……んぅ………」
 やめてと自分で口にしていながらも、絶頂の寸前で愛撫を止められた舞子ちゃんの表情には背筋が震え上がりそうなほどの色気があった。少女のような雰囲気のある舞子ちゃんの新しく見せた艶っぽい一面に、今度こそはその顔に精液を一面に撒き散らしたい衝動が込み上げてくるのを感じながら指先を唇の中へと押し込んでいくと、舞子ちゃんの舌はほとんど無意識に指にネットリと絡み付いてくる。
「舌づかい、上手だね……じゃあ、今度は舞子ちゃんが乱暴に扱ったこれを舐めてね」
 どこか焦点の合っていない瞳で一心不乱に指を舐めしゃぶっていた指を引き抜くと、舐め足りないとばかりに泡立った唾液を纏わりつかせた舌先を突き出す舞子ちゃんの口元へ、今度は何度も舞子ちゃんの頬と擦れあってザーメンを塗りこまれたペ○スをあてがった。
「ぁ………」
 オスの臭いを立ち上らせるペ○スを眼前にして、舞子ちゃんはわずかに嫌悪感を覗かせる。だえどあたしに熱のこもった瞳を一度だけ向けると、大きく唇を開いて充血しきっている亀頭を口へ含み、特に念入りにほじられた射精口へ唾液を塗りつけるように舌先を這わせてくる。
「んっ……ふむぅ…んぐうぅっ………!」
 あたしが腰を突き出すと、ぎこちないながらも舞子ちゃんは大量の唾液にまみれた口内へ太い擬似肉棒を埋没させていく。本人は気付いていないだろうけれど、膝立ちで後ろへと突き出している腰をわずかにくねらせ、鼻から乱れた呼気を艶かましく漏らしながら、魔力と興奮のみなぎった肉棒を飲み込み、尿管に残った精液の残滓をすするように吸い上げてくる。
「んふぅ……んんっ……んっ……んうぅ………」
 初めてのフェラチオにしては上手い……テクよりも乱暴に扱ってしまったペ○スへのいたわりのように、腫れ上がった場所へ生暖かい舌の感触が絡みつき、時にはむせながらも喉のより深いところまで咥え込もうとする。
「舞子……ちゃん、いいよ、それ……きもち…いいよ………」
 大量射精の直後なだけにまだ余裕はあるけれど、舞子ちゃんの献身的な口淫奉仕に着実に新たな精液がこみ上げてくる。舞子ちゃんの長い髪に指を絡ませ、ベッドの軋みを利用して浅く腰を上下に揺さぶりペ○スを唇から出し入れすると、その動きに合わせて舞子ちゃんも頭を降り始める。指で作った輪で咥えきれない擬似ペ○スの根元を扱きながら涎を滴らせる唇を先端から根元へと往復させ、緩やかな刺激にあたしも堪えきれずに舞子ちゃんのイヤらしい唇を見つめながら腰を震わせてしまう。
「あぁ…あぁぁ……舞子、ちゃん……!」
 出したいと、素直にそう思う。
 このまま二人で何もかも忘れて蕩けあうような肉欲に溺れ、舞子ちゃんの欲するままに口内へ煮えたぎった欲望を撒き散らしてしまいたい衝動に駆られそうになる………そう、あたしが舞子ちゃんにしなければいけないことまでも忘れてしまって。
 ただそんなあたしの意識が現実に返ってきたのは、ほんの偶然によるものだった。舞子ちゃんに嫌われるために枕の下へ隠して用意していた道具が喘いだ拍子に指先に触れ、それを切っ掛けにして舞子ちゃんのフェラチオの快感から意識を手繰り寄せたのだ。
「………舞子ちゃん、そのままあたしに顔を向けて」
「ふぇ………?」
 あたしの言葉に素直に従って舞子ちゃんがペ○スを咥えたまま顔を少しだけ上げる。唇は肉茎を圧迫し、舌はペ○スの隅々にまで這いまわってくれる。あまりに熱心な口奉仕に胸が震えるものがあるけれど、あたしはキュッと顔を引き締めると、枕の下の“モノ”を取り出した。
「きゃ…! お、お姉様、これ………!」
 悲鳴を上げるのにもかまわず、あたしは手にした“黒い皮製の目隠し”を手早く舞子ちゃんの顔に巻きつける。それは巻き付けた途端、舞子ちゃんの顔に合わせてあつらえたかのように隙間無く瞳を覆い、止め具を止めてしまえば黒い皮の色が純情そうな舞子ちゃんの顔との対比もあってかなり危険な雰囲気を漂わせる。
「あの、これ、なんなんですかぁ……? こんなのつけてたら、お姉様の顔が……え、お姉様? お姉様、どこぉ……?」
 発動……最後の仕上げに、目隠しの止め具から魔力をわずかに流し込んだ途端、舞子ちゃんはすぐ目の前にいるあたしの気配すら感じ取れずに右に左に顔をめぐらせる。肌が触れていても、体臭を感じていても、吐息のこぼれる音が聞こえていても、舞子ちゃんはあたしのいる場所が分からないでいた。
 ―――出来れば使いたくなかったんだけどな、、この目隠し……
 舞子ちゃんに取り付けた目隠しはれっきとしたマジックアイテムで、視覚だけじゃなく聴覚や嗅覚、触覚に味覚と、装着させられた人の五感を遮断する事が出来る目隠しなのだ。あたしが娼館で初めて“仕事”をさせられた時に使われ、大勢の男の人たちがいる事に気付かずに痴態を演じて一晩中犯されてしまったと言う、それはそれは思い出したくもない嫌な思い出もあったりする。
 その際にミッちゃんから半ば強引に譲り受けさせられ、使う事も絶対にないからと背負い袋の一番奥に押し込んで存在を忘れていたんだけれど、「嫌われるならSMよね。拘束して、束縛して、蹂躙すれば……」との美里さんからのアドバイスで引っ張り出しておいたのだけれど……まさか本当に使ってしまうとは思わなかった。
「やだ、これ、取れない、お姉様、どこ、こんなのヤダぁ〜!」
 ―――と、感慨にふけっている間に、感覚すべてを遮断された舞子ちゃんが不安に駆られて叫び声を上げる。あたしも五感遮断を試してみたけれど、何も見えず何も聞こえない暗闇に数分と持たずに目隠しをはずしてしまうほどの恐怖を覚えていた。だけどあの目隠しはつけた人の魔力でしかはずす事が出来ず、舞子ちゃんがどれだけ止め具をはずそうとしてもはずせないようになっている。
「………ゴメンね、舞子ちゃん」
 あたしは立ち上がると、目隠しに苦しむ舞子ちゃんのすぐ傍で衣服を全て脱ぎ去り、股間に双頭ディルドーを挿入した姿をさらけ出す。そしてベッドの上を手探りで這いまわる舞子ちゃんの背後へと回りこむと、来ている福の感触すらわかっていない舞子ちゃんのお尻からショーツをズリ降ろして十分濡れそぼっている秘所に指をあてがい、視覚と聴覚を除いた残り三つの感覚を開放させる。
「ぁ……アァ―――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 体の感覚が戻る……特に全身の触覚が一気に元に戻ったとき、何も感じていなかった脳は突然体中から流れ込んでくる刺激に対し、過敏と言う言葉すら甘いぐらいの反応を示す。もしその時……敏感な場所を弄ばれていると、どうなるか?―――その答えが目の前の舞子ちゃんの姿だ。
「ひあ、あッ、くぁああああぁぁぁあああッッッ!!! ひィ、はァ、あッ、はァああああッ!!! これ、やッ…こ、これェえええ、ダメ、んあ、んぁあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 左右に指で割り開いた濡れそぼった粘膜を舌先でなぞり、クリトリスをついばみながら膣口に処女を傷つけない程度に指先を押し込む。そして魅惑的なヒップには開いているもう片方の手を這わせ、キツくキツく窄まっているアナルへグイグイと膣口同様に指先を押し込んでいる。
 まだどちらの穴も経験のない舞子ちゃんにとって、最も恥ずかしくて最も刺激の強すぎる二穴同時責め……あたしでも泣き悶える愛撫を受けながら触覚が戻った瞬間、舞子ちゃんの全身に火が灯ったように赤みが差し、膝立ちでお尻を突き出す恥ずかしい姿勢のまま、長い悲鳴と共にヴァギナを狂おしいほどに打ち振るわせた。
 ―――ビュクッ
「んぁあああああああァあああああッ! 舞子の、舞子のおマ○コが、あ、あああ、クァアアアアアアアアアアッ!!!」
 まるで媚薬を使ったような昇りつめようだった。尿道口がプクッと膨れ上がったかと思うと、とっさに避けたあたしの顔のすぐ傍を通って熱い液体が迸り始め、それでも飽き足らずにまだ未開通の秘所から濃厚な愛液を太く噴出してしまう。
「おねッ…さまァッ!!! ヒグッ、ま、舞子、壊れちゃう、こんなに、こんな、おマ○コ、おマ○コぉ〜〜〜〜〜〜!!! あヒッ、ヒィ、ヒアアッ、許してぇ、お姉様、もう…許してぇ〜〜〜〜〜〜!!!」
 許してと言われても、もうあたしは愛撫の手を止めている。ベッドの上で雷に打たれたように痙攣を繰り返す舞子ちゃんから距離を置き、ランプの灯かりに照らされたヒップから臭いたつ二種類の体液が迸る様を固唾を呑んで観察し……コクッと、興奮してカラカラに渇いていたノドに唾液を流し込んだ。
「舞子ちゃん……」
 シーツに大きな染みを作った“お漏らし”が終わり、舞子ちゃんの唇からは今にも事切れそうな荒い吐息が吐き出される。全身には強制的に開く目を迎えさせられた余韻が筋肉の強張りとして残り、今なお立てられたままの膝に支えられたヒップはあたしへと濡れたぎった秘所と秘蕾を向けており、グッショリ濡らした内股と射精の残滓を雫にして噴きながら痙攣するヴァギナの様子が何一つへだてる事無く観察する事が出来てしまう。
 ―――だけどこれで終わりではない。
 このまま性欲に流されて舞子ちゃんを犯さないようにとの自戒を込めて、あたしは股間で脈打つ擬似男根の根元を強く握り締める。そして湿ったシーツに膝を乗せて腰を突き出すと、ベッドに顔をうずめてガクガク身体を震わせている舞子ちゃんの腰に手を掛ける。
 そしてゆっくりと……せめて今この時だけは舞子ちゃんを心の底から愛しながら、あたしは舞子ちゃんの唾液をたっぷりと吸った亀頭をヒクついている秘所へと押し込んでいった―――


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