番外編「たくやと留美の魔法学講座」-1


留美 :「よく来たな。私が講師を務める留美=五条だ。平身低頭しながら心して聞くがいい」
たくや:「ちょ、先生、いきなり土下座ですか!? 土下座したまま授業聞かなきゃいけないんですか!?」
留美 :「当然だろう? 魔法学の最高権威、大陸中であまたの魔法を日夜研究し続ける魔法ギルドの頂点に
     立つギルド長たる私のご高説だ。地面へめり込むほどに土下座することを許そう」
たくや:「えっと……あ、そうだ。あたし用事があるからこれで。ありがたーいお話はまた今度ってことで♪」
留美 :「ふふふ、逃がすわけないだろう? 途中で逃走すれば待っているのは……泣いて土下座だ!」
たくや:「どっちにしても土下座させるんですか!?」
留美 :「土下座はいいぞ……魔法一つ欲しいがために床に額を擦り付けて私に足まで舐めようとする輩はご
     まんといたからな。だが汚らわしい輩の舌で舐められるのはイヤだから、眉間に踵をぶち込むが」
たくや:「うわ、ひでェ! 先生、マジ鬼だァ!」
留美 :「安心しろ。私は世界で二番目だ。この世には私などよりもっと世界を玩具にしている奴がいる」
たくや:「あ〜…なんだろう。それが誰か想像がつく気がする……なんであたしの周りの年上キャラって自己
     中ばっかりなんだろ……」
留美 :「既に前世か遺伝子レベルで年上に弄ばれることが運命付けられているんだろうな」
たくや:「ううう……やさしいお姉さまはいずこへ……」
留美 :「さて、たくやの不幸などさておき」
たくや:「さておかれたァ!?」
留美 :「Xchanger-F十二章開始前に、色々と謎のまま放置して進めてきたことを私が解説してやろう。な
     に、アーマキヤ村(漁村の新しい村名)には三ヶ月滞在しているのだから、じっくりとそのあたりの事
     を語って聞かせてやる。もちろんエロはなしだ」
たくや:「あううゥ……誰が読むんですか、そんな話……」



テーマ01:たくやの魔力属性「無」「空」の特性

たくや:「数字が二桁と言う時点で嫌な予感がプンプンするんですけど……」
留美 :「多分大丈夫だろう。一番厄介なお前の魔力の謎を説明するれば、芋づる式に判明する謎が大概だ」
たくや:「でも、あたしの魔力属性「無」って、魔法にまったく使えない魔力って事ですよね? だから役に立
     たないって意味で「無」って命名されたんだし……激レアなのはいいけど、無能でレアってのが……」
留美 :「「無」と名づけたのは私……じゃなかった。ええとだな、そう、魔法ギルドから派遣された人間が、
     お前の魔力の特異性に気付き、アイハラン村に住む賢者や魔道師たちと協議した上で属性を「無」とし
     たのだ。幼い赤子を殺したり封印指定したりするわけにはいかなかったからな。……と聞いている」
たくや:「殺すって……あ、あたし、生まれた直後から生命の危機だったんですか!?」
留美 :「まあそうだな。最低でも親元から引き離され、研究機関でじっくりと調べられていただろう」
たくや:「………別に子供の頃から両親いなかったし、そんなに変わらなかったかも。あの二人、商品の仕入
     とか言って世界中を旅して回って、年に一度か二度しか村に帰ってこないんだから」
留美 :「ははは、相変わらずだな、あの二人は」
たくや:「あれ? 留美先生、うちの親をご存知なんですか?」
留美 :「………いや、私の知り合いにも大陸中を放浪しているものがいてな、コホン」
たくや:「へ〜、世の中にはそんな奇特な人が他にもいるんですね」
留美 :「ではそろそろ、「無」……私が「空」へと名称を変えたお前の魔力の説明をしようか。これを使ってな」
たくや:「紙と……鉛筆?」
留美 :「では質問だ。この紙、何だと思う?」
たくや:「いくらなんでもそんな簡単な……「空間」ですよ」

 他のところではどうかは知らないけれど、アイハラン村の学校で魔法の授業を行う際、一番最初に紙と鉛筆を用いて魔法と言うものを説明する。
 紙は「空間」、鉛筆は「魔力」、そして書き順が「魔導式」に当てはめられる。
 呪文を紡いで「空間」に「魔導式」を描き、「魔力」を流して「魔法」を発動させる。それは「紙」に「書き順」をイメージして「鉛筆」でなぞり、「文字」を描く行為と共通する点が多いからだ。

留美 :「この考え方では、「魔力属性」は鉛筆の「色」になるな。赤色で書けば「火」と言う字はより火らしく見
     え、熱を感じさせる。逆に「水」や「氷」を青色で書けば涼感を感じる字になると言うわけだな」
たくや:「その程度のことなら、アイハラン村じゃどんな子供だって知ってますよ。でもって、あたしの魔力
     を色に例えれば無色透明……どんな字を書いても誰にも見えないし読めないから魔法が発動しない
     んですよね」
留美 :「そうだ。いわゆる「四大元素」の考え方に従えばそうなる」

 四大元素とは、魔力を「地」・「水」・「火」・「風」の四系統に大別し、それらの上下に「光」と「闇」を配する、魔法学の基本的な考え方だ。
 だいたい「地」・「水」・「火」・「風」の四種に「光」が加味され、人の魔力属性が決まると言われている。遺伝的なものか、その土地土地に満ちる魔力によるものかはっきりとは判明していないけれど、闇属性を人間が持つことは、ほぼ有り得ないとされている。

留美 :「魔力が純粋であればあるほど、四大元素のどれかに近くなり、時にはそれを超えるほどに強力な魔
     力属性が生まれる場合がある。だがたくや、お前の魔力の場合は無色透明と言うほどにどの属性にも
     当てはまらない」
たくや:「ううう……なんか自分の無能さを改めて突きつけられているようで辛い……」
留美 :「だが、その無色透明の魔力にも、ある一つの特性があることに気がつきはしないか?」
たくや:「それって……魔力剣とかの事ですか?」
留美 :「そうだ。圧縮する事で、魔導式無しでも物理的な効果を発する魔力。刃にすればあらゆる魔法障壁
     を切り裂き、壁にすればあらゆる攻撃を跳ね返す。
留美 :「言っておくが、何百、何千、何万人ものの魔力を圧縮したとしても、魔力は魔導式無しでは炎にも
     氷にも風にもなり得ない。さて、では桁外れに膨大な魔力を持つとは言え、一人の人間が持つ魔力が
     刃となるこの特性を、紙と鉛筆を使って説明してできるか?」
たくや:「え…えと……それは………」
留美 :「まったく。魔力が多いだけで、魔道師として必要な思考力などは皆無だな、お前は」
たくや:「しくしくしく……」
留美 :「よく見ておけ。これがお前の魔力の「捉え方」だ」

 そう言うと、留美先生は手に持った紙に鉛筆の先端をスッと滑らせる。
 すると四角い紙はハサミで切ったかのように滑らかに切り分けられる。
 これは、ええと、紙が空間で、鉛筆が魔力。けど鉛筆が線を引かずに紙を切ったって言うことは……

たくや:「空間が切れた……って言うことですか?」
留美 :「そういう事だ。圧縮した魔力だけで空間を切る。つまり「空間に干渉する」、それがお前の魔力の特
     性だ」
留美 :「魔力が空間に影響すると言うことは、呪文詠唱せずともお前の周囲では常に空間が揺らいでいるこ
     とになる。そんな魔力で魔法を使おうとすればどうなるか―――」

 留美先生は二つに分かれた紙の片方に鉛筆で「火」と書く。
 それからおもむろに紙をグシャッと握り締め、広げ直してみせる。

たくや:「うわぁ……字が読めない」
留美 :「呪文詠唱には問題がなくとも、空間に描いた魔導式に魔力を流した時点で魔導式は歪み、正しく魔
     法を発動させることは出来ない。ましてや、魔法を使用しようとして魔力を集中すればするほどに歪
     みは大きくなり、空間の揺らぎに過ぎない魔導式は雲散霧消する。これが魔法を使えない原因だ」
たくや:「そ、それじゃ魔法を使えないからって頑張れば頑張るほどに……?」
留美 :「魔導式は木端微塵になって跡形もなくなり、絶対に魔法は発動しなくなる。つまり無駄な努力」
たくや:「はうゥ……こ、子供時代の努力を今、まとめて否定された……」
留美 :「まったくの無駄と言うことはないだろう。そのころに魔力操作の基礎を固めていたから、魔力剣な
     どの無茶な圧縮も出来たのだろうしな」
たくや:「せめて爪の先ほどでもいいから火とか灯っててくれれば、無能呼ばわりされずにすんだのに……」
留美 :「そんな事はどうでもいいのだが」
たくや:「どうでもよくな―――い! 子供時代のいじめって、本当に加減無しなんですよ……しくしく」
留美 :「この世界で当時女だったら、まず×××されて○○○された挙句に○×△だったろうな。喜べ、男
     に生まれて」
たくや:「いまさら女にされても嬉しくないも――――――ん!!!」
留美 :「そんなわけで、たくやの魔力属性を魔法ギルドのギルド長権限で改名した際には、「空間」から
     一字取り「空」としたわけだ。あくまで「空っぽ」の「空」ではないぞ?」
留美 :「また、私の「時」やたくやの「空」と言った魔力属性は、一概に四大元素のどの属性にと当てはめる事
     は出来ない。流れるものであるから「時」と水系統、天地をつなぐ空間だから「空」を風系統とも捉える
     ことは出来るが、概念上での話だ。このように特殊な魔力に関しては、一般的に走られていないが「特
     異系」と言う系統を当てはめている。我々の魔力属性は、その中でもさらに特異と言えるだろうな」
たくや:「よく解ったような解らないような……とりあえず「無能」の「無」からは開放されたって事ですよね!」



テーマ02:たくやの必殺技を分析しよう

留美 :「では、「空間を歪める」と言う特性を踏まえた上で、たくやの得意技である「魔力剣」などがどのよう
     な現象を引き起こしているかを分析してみようと思う」
たくや:「それはいいんですけど……何か意味あるんですか?」
留美 :「確か魔力噴射とか言って手足から魔力を放出し、一瞬の加速を得る技を使えるそうだが」
たくや:「へ? ええ、まあ。ただあれをやると、手足の血管が裂けて大怪我しちゃうんですけどね」
留美 :「そのうち手足がもげるぞ」
たくや:「………うそ」
留美 :「本当だ。それは手足の末端に魔力を集中放出して小型ながら強めの空間歪曲を発生させ、その歪曲
     が元に戻ろうとする際の反発力で加速しているわけだ。そんなことを繰り返していれば空間歪曲に手
     足が巻き込まれるに決まっているだろう」
留美 :「簡単に言うなら、ミキサーの中に手を突っ込むようなものだ。そんなことをしていながら手足がく
     っついているのは高い魔法防御力のおかげだろうが、奇跡に近いぞ」
たくや、「しません、しません、もう二度とやりません!!!」
留美 :「やるなら、いつ腕が落ちてもいいように優秀な治療術師を仲間にするか、優良だがどこか治療して
     もらえる神殿の近くですることだ」
たくや:「やだ―――! 腕チョンパやだ――――――!!!」
留美 :「どちらかと言えばミンチだ」
たくや:「え〜ん、ハンバーグが食べられなくなるゥ〜〜〜!!!」


2-1:魔力剣・峰打ち、魔力ハンマー

留美 :「ではそろそろ本題、魔力剣の解説に移るが……あの技には二種類あるな」

 留美先生はどこからとも泣く取り出した白い紙をクシャッと握り締める。

留美 :「先ほど、紙を握りつぶしてグシャグシャにする事で書いた文字が読めなくなると言ったが、これが「魔
     力剣・峰打ち」、もしくは「魔力ハンマー」などが放つ衝撃波の正体、「空間振動」だ」
たくや:「それって、さっき言ってた空間の歪みが元に戻ろうとする時の衝撃ってヤツですよね」
留美 :「いいや、まったくの別物だ。このままだと落第だぞ、たくや」
たくや:「うぐゥ……」

 口をつぐんだあたしを楽しそうに笑いながら、留美先生は別の紙にマッチ棒の様な人間と波を表す「((( 」を書き込む。

留美 :「これが普通考える衝撃波だ。圧力の振動を相手に叩きつける攻撃方法としても用いられる」
たくや:「人の声が聞こえるのも似たような原理ですよね」
留美 :「そうだな。まあ防ごうと思えば―――」

 そこで言葉を区切ると、人と波の間に壁を表す四角を書き込む。

留美 :「大抵の攻撃もそうだが、衝撃波は防ごうと思えば防げる。だか空間が振動すればどうなると思う?」
たくや:「またその紙を握り締めるんですよね」
留美 :「ご名答」

 紙がなんかもったいないなーと思いながらも留美先生が紙を握りつぶすところを見ていると、なんとなく言いたいことが伝わってくる。
 つまり衝撃波は防御手段を講じる事で防いだり跳ね返したり出来るけれど、空間振動である峰打ちや魔力ハンマーの場合、そう言った防御などお構い無しに通過する空間を振動させる。
 だからどんな固い岩盤でも強制的に粉砕し、強力な防具で固めた相手も問答無用で打ちのめせる防御不可能技と言うことになる。

たくや:「……でも、留美先生は障壁でその空間振動を跳ね返しましたよね? ほら、海の底で問答無用で襲
     い掛かってきた時」
留美 :「あれはちょっとした反則技なのだが……それは魔力壁の説明の際にしよう」
留美 :「この技の面白いところは、空間を歪めてしまう事で、空間中に描かれた相手の魔導式まで破壊し、
     魔法を一方的に破壊できる点にある。威力もさることながら、「魔法使い殺し」としてはこれほど厄介
     な代物はないだろう」


2-2:魔力剣・真打ち

留美 :「峰打ちと区別するため、魔力を圧縮して刃で切断するほうを「魔力剣・真打ち」とする」
留美 :「さて、この「魔力剣・真打ち」だが、「空間に干渉する」特性を持つ魔力を刃上の一線に集中して圧縮
     するため、空間の歪み以上に面白い特性を持つに至っている」
たくや:「面白い特性?」
留美 :「うむ。実を言うと、常人の魔道師では不可能なほど超が付くほど高等な術式ではあるが、空間歪曲
     や空間振動までぐらいならば再現することは可能だ。空間を歪曲させて狭い室内を広くしたりするの
     は古代魔法文明でも行われ、数例ではあるが復元に成功した話も聞いている。平行空間は知っている
     な? あれが空間加工の最たるものだろう」
留美 :「そもそも魔法自体が呪文詠唱によって空間に魔導式を作成しているあたり、空間加工とは深い関わ
     りを持つと言っても過言ではない」
たくや:「そう言われてみればそうですよね。あたしの魔力って呪文詠唱でみんながやってる事の強化版と言
     えなくもないですし」
留美 :「だが、空間加工技術が確立していた古代魔法文明時代においても、ただ一つ、どうしても出来なか
     ったことがある。それが「空間の切断」だ」

 またも紙を取り出した留美先生だけれど、それを指に挟んであたしへと突き出すと、紙はひとりでにスパッと切れる。

留美 :「この紙の上で私たちがどのような抵抗を試みようとも、空間ごと断ち切られれば一切の抵抗は無力
     となる。効果範囲では峰打ち、総合的な威力では魔力を多く蓄積できるハンマー系の方が上だろうが、
    「絶対切断」とも言える一撃は、この世に存在するあらゆる名剣・聖剣の切れ味を上回る」
たくや:「そ、そんなによく切れるんですか!?」
留美 :「むしろ切れ過ぎるぐらいだな。何しろ切る対象がまったく異なる。紙の上に書いた絵はどうあがい
     てもハサミには抗えないのと同じように、空間内に存在しているありとあらゆる物体・魔法は魔力
     剣・真打ちの切断力には抗えない。加えて、魔法破壊の効果も備えているので、切られても変わらな
     いスライムなど不定形生物をのぞけば無敵の必殺技だろうな」
留美 :「空間の切断は単なる攻撃手段なだけではない。古代魔法文明においても、伸ばしたり縮めたり、さ
     ながら粘土のように加工するのが精一杯だった空間加工技術に「切断」と言う新たな術が加われば、お
     そらく人間は「世界」すら加工できる。ましてや切断面は空間の向こう側にある虚無への扉すら開く可
     能性もあり……おっと、話が脱線するところだったな」
たくや:「あ、あはは……ちょっと理解力が追いつかなくなるところで……ははは……」
留美 :「では次の説明を終えたら一区切りしようか」


2-3:魔力壁

留美 :「では簡単に行こう。私が手にしているこの紙、もし切断すれば落ちている紙まで切れると思うか?」

 床には、先ほど留美先生が切り落とした紙片がある。
 まあここまで話を聞いてきたのだ。あたしの魔力や魔力剣の特性を踏まえ、話の流れを読みきれば答えはおのずと見えてくる。

たくや:「はい、切れます!」
留美 :「無理だ、馬鹿者」
たくや:「あれ? だって、魔力剣でバシューっと斬撃飛ばして……あれ?」
留美 :「私は生徒を見る目がなかったのかな……たくや、お前の理論で言うと、私がこの紙一枚を切るだけ
     で世界中の紙が切れてもおかしくないことになるぞ?」
たくや:「ええ!? 何でそうなるんですか!? しかもあたしのせいにするなんて!」
留美 :「とりあえず話を続けよう。元は一枚とは言え、切り分けられた時点でそれぞれ別の紙……つまり別
     の「空間」になったわけだ。その隔たりは、距離が近くとも絶対に他の紙から他の紙へと物も人も移動
     させることは出来ない。……つまりこれは、魔力剣で切断された直後の空間と言うことだ」
たくや:「それは解りましたけど、それが何で魔力壁の説明になるんですか?」
留美 :「切られた直後、その切断面絶対に超えることは出来ない……それは紙の上でも、我々のいる空間で
     も同じことだ。ただまあ、魔力剣・真打ちでは切断力が鋭すぎるため、空間の修復にはそう時間はか
     からない」
留美 :「だが魔力壁の考え方は、ほぼ同様だ。切断面は維持しづらいが、常に魔力の放出を続け、紙の上に
     シワを付けるように空間歪曲を起こし続ければ……」
たくや:「つまり隔てる寸前の別の空間みたいになってて、行き来しづらくなるってことですね!?」
留美 :「そういう事だ。もっとも、圧縮した魔力を放出し続けることは急速な体力低下を招き、同時に空間
     歪曲に腕を巻き込まれ続ける。防御障壁としては優秀かも試練が、まだまだ改良の余地はあると言う
     ことだ」
たくや:「う〜ん…魔力剣みたいに何か別のものを解して魔力を放出したりって言うのはどうですか?」
留美 :「そのあたりが妥当だろうな。マジックアイテムにも手首に貼り付ければ光の盾になるコインなどが
     ある。そう言ったものを参考にして三ヶ月の間に研鑽を積んでみるといい」






たくや:「ふい〜……や、やっと終わった……」
留美 :「では一日目はこのぐらいにしておくか。二日目は綾乃から聞きだした、これまでの冒険中の不可思
     議な現象について検討を行っていこう」
たくや:「いいっ!? 小難しい話は今日一日で終わりじゃないんですか!?」
留美 :「何を言っているんだ。まともな冒険者の知識もないお前には、教えることは山積みで残っている。
     まあ一週間は勉強漬けになることを覚悟しておけよ」


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