第3話その5


 屋外のステージに充満する熱気。  絶えることなく湧き上がる歓声。  声と足踏みの振動で震える地面。  前へ一歩進むたびに全身に伝わる観客の興奮……けれど、あたしは先ほどまでのように怯えることもなく、軽 い高揚感さえ感じながらステージの最前列に向けて歩を進めていた。  背筋をすっと上に伸ばし――ブルマを食い込まされたお尻を気にしているおかげなのか、多少肩に力を入って いるけど膝を擦り合わせるほど足を閉じて歩いている。  地面を踏む軽い振動でフルフルと震えるヒップのふくらみにうっすらと汗がにじんでいるのがわかる。それど ころか太股にも、恥ずかしさで真っ赤に染まった首筋にも、ブラをつけていないせいで体操服といっしょにプル ンプルンと跳ね上がるおっぱいの谷間にも、体中のいたるところからすぐに蒸発してしまうほど熱い汗が流れ落 ちていた  うわぁ…どうしよう…なんだかあたし、ものすごく興奮してる……明日香も美由紀さんも…こんな感覚を感じ てたの?  極度に緊張し、過度に敏感になった肌には突き刺さる視線さえも愛撫と同じようなものだった。  豊満でありながらもバランスのとれた肉体を小さすぎる体操服に締め付けられるだけでも感じてしまうという のに、布地とこすれて硬くなった乳首は白い体操服の上からでもありありと見て取れる。お尻のほうに引っ張ら れ、縦線が浮かび上がるほど股間に食い込んだブルマが少し動くだけでも悩ましい感覚が湧き上がってしまう。 そしてそんなあたしの興奮を、隠すこともできずに大勢の人に見られている……見せるのではなく、見られてい る……あたしの恥ずかしい姿を、見られている…… 「はっ…ぁぁ……」  アソコが濡れてる…こんなの見られたら…あたし…んんっ!  脹脛に届きそうなほど長い白衣を割り開き、自分でもかなり魅力的だと思っている美しいラインの足をゆっく りと踏み出すと、下着の奥からグチュリと粘っこく、いやらしい音が鳴り響く。その音といっしょに背筋を上っ てきたゾクッとする痙攣に、あたしの唇からか細い喘ぎ声がこぼれ出てしまう。  こんなに感じちゃって……あたしのスケベ…触られても無いのに…見られて…それだけでこんなに興奮するな んて!  自分には露出の趣味はないと思っていた。けれどその認識を改める必要があるのかもしれない。  その場にへたり込みそうになる衝動を必死にこらえる。足を止め、顔を少しうつむかせて、下半身に広がって いくもやもやを何とか振り払おうと思っても、見事に食い込んだブルマに阻まれる。愛液をこぼすまいとアソコ に力を入れると呼吸するたびに内側の肉ヒダがビクンビクンとヒクつき、もう人が見ていようが見ていまいが関 係無しに身体の奥からコンコンと湧きあがるいやらしい液体を溢れさせたくなってしまう。  あ…あと少し……もう最前列まで行ったらそのまま戻ろう。松永先生に抱かれたって…ううん、その方がいい。 松永先生でも誰でもいいから……や、やだ…変なことを考えたら……  再び動き出した足は速度こそさっきとほぼ変わらないけれど、脹脛や太股に細かい痙攣が引っ切り無しに走っ ている。  地面に触れるつま先にでさえ絡みつく様な視線を感じる。あたしの本の些細な動きも、全て見つめられている。  あたしの動きも……身体の反応だって……全部…見られてる……  ふと、下を向いていた視界の上方にステージの色とは明らかに違う物が入りこんでくる。そこはステージの端、 みんなに一番近く、一番見られてしまう場所だ。  後ろのほうから由美子の声がスピーカーを通して聞こえてくるけれど、なにを行っているのか理解する事が出 来ない。  頭の中は完全にオーバーヒートで真っ白け。天辺からは湯気が上がってるんじゃないかと思うほどに熱く火照 り、何にも考えられなくなっている。  ……落ちついて、落ちつくのよ。ここまできたんだから後は帰るだけ。顔を上げてにっこり微笑んで後はダッ シュよ。走れば入場口までは五秒もかからないんだから――よしっ!  呼吸だけでは一向に収まる気配を見せない体の震えを右手で左肘を握り左右から締め付ける事で何とか押さえ こむ。この行為がパンパンの体操服の胸元をより一層強調していたって言うのは後で知った事だけど……  ――ゴクッ  飲み込む唾が痛い。カラカラに乾いた喉に幾度と引っかかり、それでようやく胃の中に流れ込むけど、その僅 かな痛覚が何とかあたしの正気を取り戻させてくれた。  明日香も美由紀さんもやったんだ。大丈夫。見られたって恥ずかしいだけでなにかが減るって言うわけでもこ こにいる男子たちに犯されるって言うわけでもないんだもん。今のあたしは女だし、男に戻ったときにはこんな もの関係ないんだから………ええいっ! 見るなら見ればいいでしょう!!  切りきりと眉をしかめ、長い苦悩の末に覚悟を決めたあたしはキッと正面を睨む様に顔を上げると、腕を解き、 二つの乳房を前に突き出す様に背筋を伸ばした。  視界を埋めるのは人人人、それでも人!! 近くにいるなら知り合いの顔の分別がつくほどの間近、しかもロ ーアングルから圧力を伴う大歓声とあたしの恥ずかしい姿を目に焼きつけ湯とする粘着質な視線とにさらされ、 さっきの決心など一瞬で埃の様に吹き飛んでしまう。 「あっ…あッ…あたし…あの……」  ウオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!  あたしが聞いた中では一番大きな歓声だった。  審査員席で後ろから聞こえてくるんじゃなく、その全てがあたしに向けられた声。  それだけみんなが興奮している。あたしの姿を見て…  たわわに実ったスケベなおっぱいを見て……この膨らみに指を食いこませ、ずっしりと重みのある弾力をたっ ぷり味わった後に、まるで吸ってと言わんばかりに大きくなった乳首を唾液にまみれた舌先で弄ぶのを想像しな がら……  くびれてはいるけれど決して細いだけじゃなく、唇を吸いつかせれば適度なふくよかさが構内を満たすウエス トを見て……  みんなの熱すぎる視線にさらされ続け、腰を突き出す時のブルマの食いこみだけで絶頂に達しそうな股間のぷ っくりとした盛り上がりに、自分の男根を突きたててグチャグチャに―― 「く…ぅん……!」  ヴァギナが痛いぐらいに収縮する。まるで体の奥で火花が弾けるような感覚にあたしの体はビクッと反りかえ り、窮屈な服の中に押しこまれた乳房がブルンと跳ね上がってしまう。視線にさらされている全身が甘い痺れに 包まれ、ずっと力を入れっぱなしだったおマ○コから誰にも見られるわけにはいかない汁がジワッと滲み出して くるのが感じ取れてしまう…… 「ふぁ……ぅあ……んくっ……」  会場を見渡すあたしの唇を突くのは、もう今にも蕩けそうなほど甘い溜息だった。 「あっ…ごっ……」  も、もう限界……これで…許してぇ!! これ以上ここにいたらあたし、みんなの前で我慢できなくなっちゃ う!! 「ご――ごめんなさい!!」  あたしの声なんて熱気まみれの歓声にすぐに打ち消されてしまう。けどその間にあたしは身をひるがえすと、 出場口に向かって足を走らせる!――が、  ――テッ、テッ、コケッ  快感に意識まで侵食されようとしていたあたしの体は想像以上に重かった。ほんの三歩、動かない足で後ろに 進んだところで、何も凹凸の無いはずのステージの上で見事に転んでしまう。  オッ……ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!  あたたたた…鼻うった……って、いきなりなに? なんでこんな歓声って…あたしがこけたのがそんなに嬉し いのっ!?  よりにもよってこんな時になんでこけるのか。ただでさえ恥ずかしいと言うのに、まるでお約束かのように― ―お約束?  あたしみたいな美少女(最近そう思う事に抵抗がないなぁ…)がこけた場合のお約束といえば、ぶつかった相手 とかにスカートの中を見られてしまう事。  まさかいくらなんでもそんなはずは……けれど事実を知ることは恐ろしく、あたしは恐る恐る顔を肩越しに後 ろへ振り向かせ――  こけた勢いで腰までまくれてしまった白衣と、  普通なら覆っているはずのブルマは細くよじれて谷間に食い込み、もう惜しげもなくステージ上にさらけ出さ れてしまった真っ白いお尻と、 「えっ…えっ……これは…!」  大急ぎで両手で白衣を地面に押さえつけ、周囲の視界からお尻の膨らみを隠してしまう。  しかし、あたしがこけてから十秒、とても学生とは思えない早熟のヒップを目に焼き付けるには十分過ぎる時 間だ。 「みたか、すげぇ! すっげぇ柔らかそうだぜ!」  ……あっ 「プルンと震えた…こけた時に俺の目の前で……プルンプルンって……」  ……見られた 「あんなにブルマ食い込ませて人前に出てきたのか? 相原って露出狂だったのか!?」  ……違う、あたしはそんなつもり 「それよりもさ…なんだか股間の部分だけ、やけに色が濃くなかったか?」  ……全然無かったのに!! 「んっ!!」  ステージから立ちあがれず、座ったままのあたしの体が一際大きく跳ねあがる。  最前列についた時にあたしの我慢はもう限界だった。じゃあ……今は?  頭のどこかに残った最後の意識が既に手遅れと告げてはいても、お尻を隠した両手を大急ぎで足首を外に向け た女の子座りした太股の間に差し込み、もはや痙攣を押さえきれなくなった地球をブルマの上から押さえつける。 「あっ…あっ……ああっ…!!」  いや、だめ、こんな場所で…い、出る…もう耐えられない…!!!  指先が股間の上に触れると、布地が湿っている感触を返す。  ダメ、愛液の溢れがとまらない! 嘘…このままじゃあたし本当にこんな場所で……  こけた拍子にあそこをグッと締めつけていた力が抜け、体の奥で渦巻いていた愛液がドロドロと流れ出してく る。刻一刻とブルマの中にはネットリとした愛液が溢れかえり、もうあたしの指に絡みつくほど流れ出していた。  そして長い時間火照り続けた体も、もはやあたしに押さえ様がない。愛液を押し留めようとする手の平に、ま るで自分から秘部を擦りつける様に腰を振り、グチャリグチャリと言う卑猥な音を股間から響かせていた。  あふぁぁぁぁ…と、泊まってくれない…気持ちよすぎて…どうにか…なっちゃう……!!  だらしなく開いた唇からはピチピチの体操服に包まれた大きな丸みの上にポタポタと涎が滴り落ちる。それを 気にする事も出来ず、あたしは喘ぎ声を放とうと顎を仰け反らせ――心配と困惑の表情を浮かべる明日香と美由 紀さんを見つけてしまう。  み…見ないで…あたし……あたしを見ないでぇ!!  腹筋と乳房が引きつる様に痙攣を繰り返し、その脈動に合わせて愛液が流れ出す。まるで射精の様に膣内で粘 液まみれになった肉ヒダが収縮するたびにブルマの中に大量の射精液がぶちまけられ、熱く濃密な性臭をあたし の周囲に振りまいていた。 「やっ…見ないで……」  瞳から涙が零れ落ちるけど、おマ○コのヒクつきはさらに激しくなりそれに合わせて恥ずかしさと動揺も大き くなって―― 「もうイヤアアアァァァァァァァァァ!!」  あたしは興奮の坩堝と化したコンテスト会場から逃げ出す様に、涙も股間も拭わずにそのまま走り去ってしま った―― 「―――んっ……あ………あれ…あたし………」 「たくや、目が覚めた?」  やけに重たい目蓋を開くと、そこには白い天井と、明日香の顔がどアップで存在していた。 「………なんだ、夢か……」 「夢ってなにが?」 「うん……さっきまでものすごくイヤな夢見てた気がするの……キツキツの体操服を着せられて無理矢理美少女 コンテストに出されて……気にしないで、夢なんだもん」  目を眠たげに擦りながら布団から身を起こす。幼なじみの明日香があたしを起こしてくれた――はずなのに、 ここはあたしの部屋じゃない。あたしが寝ていたのは保健室のベッドの上だった。 「なんであたし…こんなところで寝てるの? それに明日香…その格好は……」  寝姿だけはいつも通りに全裸だったので、上からかけてあったシーツで胸元を隠す。そして目を明日香に向け ると着ているのは学生服じゃない。可愛らしいウェイトレスさんの服だった。 「ふ〜ん…夢ねぇ……それってもしかして恥ずかしすぎてそのまま逃げ出して、失神したんじゃないでしょうね ?」 「えっ?……えっと…最後の方はよく覚えてないんだけど……たぶんそんな感じ――」  ポカッ 「いたっ! な、なにするのよ!?」 「このぐらいしないと気がすまないわよ……私がどれだけ恥ずかしい思いを我慢して、今日のために頑張ってき たと思うのよ……!」  なにかあったのかな……拳握り締めて肩まで振るわせて…ひょっとしてあたしはあれに殴られるの?  身の危険を感じ、あたしは枕で頭をかばう。けれど明日香は溜息と共に握った拳を解き、後ろを振り返ってな にかを取り上げた。 「まったく…おかげで勝負は水の泡よ。はい、これ」 「へ?……これ何?」 「たくやが夢で見た美少女コンテストの優勝トロフィー」 「………へ?」 「ちなみに、私と渡辺さんは同点で二位。はぁ……まさか自分の彼氏に負けるなんてねぇ……自信なくすわよ、 まったく」  えっと……一体どこまでが夢? あたしにはもう何がなんだかさっぱりわからないんだけど…… 「それよりも早く起きて着替えなさい。学園祭はまだ終わってないんだから、たくやにもしっかり働いてもらう からね」  ………ま、どうでもいっか。明日香が笑ってくれる様になったんだしね。 「次は絶対に勝つからね」 「………はっ?」


第4話その1へ