ルート4−4
「はぁ……やっと楽になった」
部屋に独りになり、目の前で着物掛けに掛けられている赤い着物を見ながら、あたしは胸の奥にたまった重たい空気を吐き出した。
着せられたときは義母さんと夏美の二人がかりで着付けされたので、一人ではどう脱いでいいかも分からなかった。綾乃ちゃん家に泊まる事になり、綾乃ちゃんのお母さんに手伝ってもらわなければ適当に帯をほどいてクシャクシャペッと脱ぎ散らかしていた事だろう。……実際にそうしようとしたら、「着物はアフターケアが大切なんですよ」と怒られてしまった。
女の子の家にお泊りするのに「実はあたし、男なんですよ」と説明するわけにもいかず、「せっかくだから着物の手入れの仕方を――」と親切に教えてくれるのも無下には出来ず、ただ服を脱ぐだけの作業にかなり時間を費やす羽目になったのだ。
「う〜む…サザ○さん家のお母さんはよく毎日着物を着てられるなァ……」
捲り上げるのさえ一苦労なこんなのを着ていたらトイレにもまともに行けやしない。昔の人はどうやって用を足していたんだろうと、つい今しがた自分が体験したばかりの苦労に思いを馳せてしまう。
「けど明日になったらまた着なきゃいけないんだよねぇ……とほほ……」
「だったら私が服貸してあげる。ちなみにブラのカップは?」
「最近また大きくなってきたからGがいいかな……って、だ、誰ぇ!?」
明日香にさえ黙っている秘密をうっかり口にしてしまい、慌てて後ろを振り返ると、なんかショックを受けて固まっている涼乃ちゃんが部屋に入ってきていた。
「G……大きいな〜とは思ってたけど、まさか、そんな、お、男の人に負けてるなんて……
「……涼乃ちゃん?」
こちらの声が聞こえてない。――ともあれ今のうちだ。離れとこう。
「私だって87センチなのに……バレー部の中で一番大きいのに……」
ほほう、涼乃ちゃんはバレー部か。……うん、まあ、バレー部っぽい胸の膨らみ。姉の綾乃ちゃんと違って、かなり大きいと思ってたけど……87か。明日香にもあれぐらい欲しいな。
……なんて不謹慎な事をいろいろと考えていたからだろうか。
「―――相原さん」
「は…はい、なんでしょうか」
顔を上げた涼乃ちゃんは、思わず返事をして逃げ出すタイミングを失ったあたしへ詰め寄ってくる。そして、
「確かめさせて」
いきなり両手を伸ばしてきて、襦袢の上からあたしの胸を鷲掴みにしてきた。
「ちょ……涼乃ちゃん!?」
「黙ってて。下手に騒いだらお母さんとか来るんだから」
うわ、声が不必要なぐらい真剣だぁ……どうしよう、こんなところを誰かに見られたら……
確かめると言っているんだから、まあ……あたしの胸の大きさを確かめているのだろう。このまま無抵抗でいれば、そう時間もかからず終わってくれるのかもしれないし……しょうがない。黙ってようか。
胸の話題に敏感なのは明日香で体験済みだ。出来るだけ大きさ自慢をしたくはなかったんだけど……
「うわぁ……なにこのやわらかさと弾力。本当に男の人なんだよ……ねぇ?」
「そうだけど……んッ…へ、変なとこは触らないでよね……」
触り方は愛撫するような感じでは無いけれど、大きく広げられた十本の指が着物の締め付けから開放されたばかりの膨らみに食い込むたびに痺れるような疼きを覚えてしまう。
涼乃ちゃんにその気はなくても、不要なほどに立派な乳房をリズミカルにこね回されれば、体の方は否応無しに反応を示してしまい、次第に真剣さと激しさを増して行く涼乃ちゃんに抗う事も出来ないまま、昂ぶっていく快感に身を震わせてしまう。
「………もうちょっとだけ、もうちょっとだけでいいからさ……でも、何でこんなに大きいのが……普通なら、どんなに格好いい人でも女になったらヒゲの跡があったり胸が小さいとか、どこかに変な場所があるはずなのに……」
「そんなの……し…知らない……ぁふ……んゥ………!」
下唇をキュッと噛み締めて声を押し殺す。そんなあたしの様子は涼乃ちゃんにはまだ気付かれていないけれど、頬は火照りを帯び、襦袢の下では乳房の先端が硬く勃起し始めている。後輩の妹の涼乃ちゃんに胸を触れられている緊張した状態では自分の体の反応にも敏感になってしまい、襦袢を押し上げていく乳首の動きまでもが鮮明に脳裏に描き出され、あたしの中で興奮が加速度的に昂ぶり出していく。
「涼乃ちゃん……もういいでしょ? こんなところを誰かに見られたら誤解されちゃうから……」
「あ、それもそっか。お姉ちゃんに見られたらショックで失神しちゃうかも」
―――よかった…これでもう……
涼乃ちゃんの手が胸から離れると、あたしは感じていた事を隠すように体の前を隠して体を回転させる。ばれてない……そうである事を必死に願いながら、深呼吸を繰り返して高鳴る心臓を必死になって押さえ込む。
「あはははは、ごめんなさい。あたしってほら、夢中になるとそれしか見えなくなるから」
「……………」
「そんなに怒んなくてもいいじゃない。後はお風呂場でやるからさぁ♪」
………お風呂場? やる? 涼乃ちゃん、まだ何かやるつもりなの!?
背筋に冷たいものが走り抜け、火照った体が一気に凍りつくような嫌な悪寒が全身を支配する。
「せっかくの機会なんだし、体の隅々まで見せてくださいよね。もうすぐ男に戻っちゃうなら、もう二度とこんな機会は無いわけだから」
「す、隅々ィ!? な、ななな、なぁぁぁ!?」
「あ、一途来ますけど私はレズっ気はありませんよ。純粋に好奇心から観察したいわけでして。……別に負けっぱなしは性に合わないとか、そんなこと全然、これっぽっちも考えてませんから♪」
負けっ放しって何がぁぁぁ!? 涼乃ちゃんを負かしたのは明日香だし、胸は………し、仕方ないじゃないかぁぁぁ〜〜〜!!! 今回女になった時から涼乃ちゃん以上あったんだからぁぁぁ!!!
回を追うごとに大きく膨らんで行く自分の胸は全然悪くない。……と思う。合うブラを探すのも大変だし、痴漢には狙われるし、先っぽをいじられるだけで電気が走って……もしお風呂場で涼乃ちゃんにもう一度……いや、さっき揉まれた以上の事をされたらと思うと、恥ずかしさと同時に……何かを期待するような感情が心の片隅に芽生えてしまう。
「あはははは、そんなに怒らないでよ。こんなの女子校じゃスキンシップみたいなものなんだから」
不意に、背後から涼乃ちゃんがあたしへ抱きつき、脇の下から手を回してあたしの乳房を揉みあげてきた。そしてたまらず、
「んぁあああっ!!!」
あたしは絶対に聴かせてはいけない、淫らな声を喉から迸らせてしまっていた。
「あ………いやぁ! 涼乃ちゃん、もうダメェ!」
「………へ?」
我に帰るとすぐさま涼乃ちゃんの手を振り払い、胸を抱えてその場に座り込む。
―――だけど、これを聞かれちゃった……どうしよう……
明らかにこの状況は色々マズい。後輩の家であられもない声を上げるなんて、変態の烙印を押されたって文句を言えやしない。それに涼乃ちゃんにしてみれば、こんなのは単なる気軽なスキンシップで……
『涼乃ちゃ〜ん、お風呂あいたよ〜』
頭の中は混乱し、どうしていいかまだ困惑したままなのに、部屋の外から綾乃ちゃんの声が聞こえてくる。まだ離れてはいるけれど、足音は次第にこの部屋へ近づいて来ている。……となると、綾乃ちゃんと一緒にお風呂へ入った明日香も……
「―――こっち!」
明日香と綾乃ちゃんが近づいて来ているのに逃げる事すらできずにいたあたしの肩を涼乃ちゃんが抱え込む。そしてそのまま有無を言わさず着物の裏――着物掛けに広げて掛けられていたあたしの着物の裏側へと連れ込まれてしまう。
「涼乃ちゃ――」
「しッ!」
あたしたちが壁と着物の間にもつれ合うように飛び込むと、一秒も経たずに襖が開く音が聞こえてきた。
「………あれ、ここにいると思ったのに……先輩、どこに行ったんだろう」
部屋に着物があるのにあたしがいないのが不思議なのだろう。赤い着物越しに綾乃ちゃんの疑問の声が聞こえ、室内をうかがう様子が伝わってくる。
(………なんで隠れちゃうの?)
(それは……いいじゃない、ちょっとした勢いよ)
隠れてたら何かやましいことしてた証明になっちゃうような……と冷静になった頭で思わないでも無いけれど、こうも強引に出られたらどうにも反論しづらい。
―――涼乃ちゃんにしてみれば、あたしの胸を揉んでたって知られるのがイヤなんだろうな……
ここは姉想いの涼乃ちゃんの気持ちを汲んで付き合うしか無い。いまさらのこのこ出て行けば、それこそ疑惑を後押しするようなものだ。どうせ綾乃ちゃんが部屋を出るまでの辛抱だから……と諦め気分で視界を開いた途端、あたしは頭の先にまで突き抜ける衝撃を受けていた。
目の前には涼乃ちゃんの顔がある。
着物に照明の灯かりをさえぎられた着物の裏。
薄暗い中でお互いの吐息の温もりが肌に触れる距離。
普段ではありえないほどの間近で見詰め合う涼乃ちゃんの表情には緊張の表情が浮かんでいて、明日香と張り合っていた昼間には一度も見る事の出来なかった「女の子」らしい感情がそこに色濃く感じられた。
(涼乃ちゃん、大丈夫?)
緊張を和らげようと小声で耳元に囁きかけ、そっと背中を撫で上げる。……悪戯のつもりじゃなく、見つかっても怒られるわけじゃないんだから安心させようと思って、そうしただけだったんだけ。それなのに涼乃ちゃんは性感帯を撫でられたかのように頭を勢いよく仰け反らせ、引き結んでいた唇が開いてしまいそうになってしまう。
「………?」
一度は部屋を出ようとした綾乃ちゃんが、涼乃ちゃんの過敏すぎる反応の気配を感じてか足を止める。その気配に体を硬くしながら口元を抑え、潤んだ瞳でにらみつけてくる涼乃ちゃんの迫力に押され……いや、可愛らしさにドキドキしながら、あたしは時と場合と場所をわきまえずに喉を鳴らして唾を飲み込んでいた。
(な…なにするのよ!)
(ごめん……わざとじゃなかったんだけど、涼乃ちゃんが……)
(私は悪く無いわよ。相原さんが悪いんだからね……)
あたしが悪いのは分かってるけど……出来る事なら、絡み合った体のほうにも何か言及して欲しかった。
乱れた襦袢がめくれ上がって露わになったあたしの両脚の間に涼乃ちゃんが体を割り込ませ、お互いの両腕は相手の体へと巻きついている。見方によってはあたしが涼乃ちゃんに壁へ押し付けられ、ふしだらな事をされてるようにも見える格好だ。お互いに自分の胸の膨らみで相手の膨らみを押しつぶし、包み込まれているような錯覚を覚えながら密着してしまっている。涼乃ちゃんの微細な体の震えが襦袢越しに硬くなりかけていた胸の先端へと伝わってきてしまい、腕の中に感じる女の子のやわらかさと暖かさと一体になって「押し倒せ〜!」と求めてきているような感じさえしてきてしまう。
(涼乃ちゃんて……綾乃ちゃんや明日香よりもスタイルはいいんだよね……)
バスとのボリュームとは裏腹に、全体的に鍛えられた体は余分な贅肉を感じさせないのに抱き心地がいい。滑らかな腕さわりにドキドキしながら少しだけ抱く力を強くしてしまうと、想像以上に量感のある乳房をグイッと押し付けられてしまう。
(………相原さんのおっぱいって…スゴく柔らかいんですね……)
何でこんな時にそんな事を……涼乃ちゃんのおっぱいだって、物凄く弾力があるのに………
目を開くと、暗闇の中でも分かるほど赤くなった涼乃ちゃんの顔があった。ここに飛び込んですぐの時よりも緊張を増し、唇を引き結んだ表情は抱かれる前の女の子をあたしに連想させる。
―――考えちゃダメだって。涼乃ちゃんは綾乃ちゃんの妹なのに……
けれど意識すればするほど涼乃ちゃんから目が離せなくなってしまう。目を瞑っても、顔を背けてもいい。見ようと思わなければ、着物の向こう側にいる綾乃ちゃんにばれない動きで十分涼乃ちゃんの姿を視界から消せる。それなのにあたしも、そして涼乃ちゃんも、お互いに視線を絡ませあったまま身動ぎ一つ出来ず、そしてついに―――
(――――――ッ!!!)
それは涼乃ちゃんからだった。足の間に押し込まれている膝がグリッと、秘所を申し訳程度にしか覆っていない紐パンの上からあたしの股間の膨らみを圧迫してきた。
あたしはとっさに涼乃ちゃんを強く抱きしめ、声を押し殺す。お尻の穴をキュッと締め、太股で股間を押し上げてくる膝を挟み込んでそれ以上の「進行」を止めはするものの、微細な動きだけで十分過ぎるほどの快感があたしの全身へと駆け巡る。背筋に鳥肌と共に緊張化での鋭い痺れが一気に駆け上がってゆき、すぐさま理性の奥にあるスイッチをオンにされると、ズクンズクンと大きく疼く割れ目から生暖かいものがあふれ出してしまいそうになる。
―――こっちが必死に我慢してるのに……だったらあたしだって………!
単に体の位置をずらしただけかもしれないけれど、涼乃ちゃんに先手を取られたあたしは指を動かし始めていた。あたしの反応に戸惑い涼乃ちゃんの腰へ腕を回すと、するりとシャツの下へもぐりこませた指先でわき腹を這うようにくすぐりあげた。
すぐに涼乃ちゃんの表情が変わる。ハッとあたしの顔を見るけれど、戸惑うだけで止めようとしてこない。だからあたしも自分からやめようとせずに涼乃ちゃんの背中をむき出しにしながらわき腹や背中を撫で回し続け、張りのある肌の感触を味わって行く。
(クッ…ぅウん……え…エッチ……)
(この程度はスキンシップでしょ?)
(そんなわけ…な、いッ……んッ、ャウん!!!)
明日香では味わえない久しぶりの新鮮な反応に、あたしの指も次第に巧みに、そして妖しく蠢く。涼乃ちゃんの肋骨をなぞるように指を滑らせ、震える背筋をツツッ…と撫で下ろす。
(―――、―――――ッ!!!)
シャツの前裾が胸の膨らみに引っかかり、あたしから見える涼乃ちゃんの肌はごくわずか。けれど激しい運動の名残だろうか、シャツの襟から覗いて見える胸の谷間から体の火照りにあぶられて立ち上るほのかな汗の香が鼻の奥に流れ込んでくると、涼乃ちゃんの膝を押し当てられている股間に一際熱い血液が流れ込んでいってしまう。
(やッ、ああァ……相原さん、やっ、あ…あああ……!)
今にも感極まった声を迸らせそうな顔をしている涼乃ちゃんの口元から涎が滴り落ちる。よほど切ないのか、壁と畳とに手を付いて、あたしが指を滑らせるたびに肩を上下させて身悶えている。そんな様子をうかがいながら感度のよさを実感し、もうそろそろ…と涼乃ちゃんの下半身へ手を伸ばすと、
(―――ひゃん!)
不意に、涼乃ちゃんがあたしのうなじへ唇を押し付けてきた。唾液に濡れた唇が首筋へ吸い付いてきてチュッと小さな音を響かせるたびに、ゾクッと背筋が震えてしまう。
(もう…ヤダァ……お姉ちゃんに…声…聞かれちゃうよぉ………)
口を塞ぐ為にあたしのうなじへキスの雨を降らせる涼乃ちゃんの頭を優しく抱きしめる。………声を出されないよう、そして逃がさないよう、キスに夢中になっている涼乃ちゃんと体を密着させると、あたしは指先をお尻のほうから涼乃ちゃんのズボンの中へと滑り込ませていった。
(ぁ………、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)
肩に歯の当たる鋭い痛みを感じながら、あたしは卵のような涼乃ちゃんのお尻を撫で回し、ヒクヒクと収縮を繰り返している小さな窄まりにトトトトトンッと小刻みに連続して指先を擦り付けてみる。
(ヒッ……そんなとこまで…んぁ……ァ……――――――ッ!!!)
涼乃ちゃんの痙攣を全身で受け止めながら指を先へ進め、秘所の下端に触れると、スポーツ少女の健康的な体がいきなり弓のように反り返る。顔をあたしへ押し付けたまま、お尻を突き上げてお腹を突き出して息を喘がせる。
(そこ触られたら……き…気持ちよくなっちゃう……もう、ここまで……こっから先は……あああッ……!!!)
さすがに狭くて、濡れていてもそう簡単には指は入らない。けれど指先の丸みで円を描くように膣口を揉み解すと、次第に硬さがほぐれて一本ぐらいなら差し入れれそうになってくる。
(ほら……綾乃ちゃんのすぐ傍でイかせてあげようか?)
うなじを舐められているなら、相手のうなじだってすぐ目の前にある……あたしの一言でおびえる様に体を震わせた涼乃ちゃんの首筋に吸いついたあたしは、最後に陰唇を割り開くように指を往復させ……
(はい、ここまで)
そう耳元でささやき、あっさりと涼乃ちゃんのズボンから指を引き抜いてしまった。
―――さすがにイかせたらバレるし……
名残惜しいけれど、そろそろタイムリミットだ。声を押し殺したまま体をまさぐりあうのはドキドキしてちょっと楽しかったけれど、これ以上長引かせたら不審がられてしまう。それに……涼乃ちゃん、絶対に声出しながらイくタイプっぽい。続けようものなら最後に絶対痛いしっぺ返しを食らうに決まっているのだ。
「あ〜……そういえば綾乃ちゃん、いなくなってるね。んじゃあたしお風呂をいただいてきますので」
「………行っちゃ、ヤダ」
逃走失敗……涼乃ちゃんの体の下から動こうとした途端、襦袢のタップリとした袖を掴まれてしまう。
「え、ええっと、綾乃ちゃんがお風呂空いたって言ってたし、早く入った方がいいんじゃない? じゃないと、あたしも一緒に入っちゃうぞ〜…なんちゃって♪」
体がいくら女でも元に戻ればれっきとした男であるあたしと、さすがにお風呂までは一緒できないだろう。いくら負けず嫌いでだからと言って、エッチでまで勝つまでやめないなんて事は―――
「だったら一緒にお風呂に入る。こうなったらもう、最後まで、私が勝つまでやめないんだから!」
―――どうやって勝敗つけるんだ!?
お互いの吐く息が顔を撫でる、今にもキスしてしまえそうな距離。薄暗い着物の影で涼乃ちゃんに詰め寄られたあたしは、嬉しさ半分混乱半分で笑顔を浮かべると、どうしてもう少し自制できずに手を出してしまったのかと、ただただ後悔してしまっていた―――
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