第一話その5
………しょっぱい。
遼子さんの唇を奪って、それが最初の感想だった。
「んんんっ!! ふぅ、んむううっ!!」
お風呂に入ったわけでもないのにしっとりと湿っている黒髪に指を差し入れ、遼子さんの頭が暴れないように
しっかりと抱え込んだあたしは、涙で濡れた唇を自分の唇でそっと拭っていく。
情熱的――とは言えないキスだった。同情とその場の勢いで唇を重ねはしたけれど、今まで乱暴にその身を汚
されてきた遼子さんにそれ以上強引な行動を起こす事が出来ず、ただ唇を密着させるだけ……だけど優しく、壊
れ物を扱うかのように唾液で湿らせたあたしの唇を押し付け、ゆっくりと鼻で呼吸しながら首を右に左にと傾け
る。
「……んんっ!」
最初は目を見開いて必死に逃れようともがいていた遼子さんも、あたしがキス以上の事をはじめないのに一応
安心したのか、体を緊張させたままだけど一応暴れるのをやめてくれる。
夜の庭はとても静かだった……都会よりも幾分か早く秋に差しかかり、少し肌寒く感じるこの場所に、どう言
う事か虫の音が響いてこない。あたしと遼子さんだけの静寂の空間……身を寄せていくあたしの呼吸と、それさ
えも必死に抑えこもうとしている遼子さんの呼吸、そして耳にではなく唇に伝わってくるキスの音だけがその場
の全てだった……
………これからどうしよう……あたし…とんでもない事をしちゃった………
一分か二分か、それともまだほんの数秒しかたっていないのかもしれない。時間の進む速度さえあいまいにな
りそうな接吻を交わしながら、その実、あたしの内心はかなり焦りまくっている。
女になってからどうしても違和感を感じるようになった男言葉を使い、驚く遼子さんとキスしたまではよかっ
たけれど、この後いったい何をどうしてなにすればいいのやら、女になってそれほど長い期間を過ごしたわけで
もなく、その上にエッチはそのほとんどが受身だったあたしにはさっぱり見当もつかない。松永先生の様に女性
同士で慰める……と言う展開を思いつかないでもないけれど、もしそんな事をしてしまったら……
遼子さんを傷つけないように……もう酷い目にあわせたくないから……
目の前には瞳を伏せ、必死にあたしを受け入れようとしてくれている遼子さんの顔がある。あたしたちの胸に
挟まれる位置で手を組み、涙で濡れた綺麗な顔を見ると……もう唇を触れさせつづけることも、あたしには出来
なかった……
「――あ…」
チュパッ…と、ほんのわずかに唾液がはぜる音を響かせて顔をそっと離すと、同時に小さな溜息が漏れ聞こえ
る。それは遼子さんの、開放されたばかりの唇から響いたものだったけれど…あたしにはキスを中断されて残念
がっているように聞こえてしまった……
あたしのエッチ……そんな事…あるはずないのに……
顔に続いて体の間にも隙間を開け、遼子さんを手すりに押しつけていた体を起こすとあたしは橋の上に座り込
んでしまった。
「あ、あの…遼子さん、これは…その……」
はうう……遼子さんの顔がまともに見れない……視線が上げられないよぉ……
さすがに女性の唇を奪ってしまったことに罪悪感を感じてしまったあたしは俯き、膝をたてて座っている遼子
さんのスカートから伸びる太股の白さや股間を覆うパンティーを見つめ……追い討ちの罪悪感に気恥ずかしさも
感じてしまって、顎が胸元につくぐらいに顔を真下を向けてしまう。
「………ごめんなさい」
パンティーを見ちゃったからじゃなくて――それもあるけど…――、心に思う通りの言葉が、一番単純な形で
唇をついた。
「謝らなくて…いいです……」
「でもっ!」
――前髪を跳ね上げ、遼子さんの言葉に反論しようとするけれど、あたしには咄嗟の一言しか思いつきはしな
い。
どう慰めていいか分からない。
どう謝っていいのかも分からない。
けどあたしの目には、こっちを向いて微笑んでいる遼子さんの姿だけがはっきりと映っている。
「はぁ…なんだか無く気もしなくなっちゃった。ほら、いつまでもこんなところで座っていないで立ちましょう」
「えっ……えっと…その……………はい」
涙を手の甲で拭い、あたしより先に立ちあがった遼子さんの差し出してくれた右手に指先に自分の手に、ほぼ
反射的に自分の手を重ね、あたしはどうして遼子さんが泣き止んだのかと考えながら腰を上げる。そしてそんな
あたしの首を捻る様子がおかしかったのか、軽く握った左手を唇を隠すように顎に沿えて遼子さんはクスッと楽
しそうに笑みを浮かべた。
「………そんなに変な顔をしてました?」
「ええ。暗くたってよく分かるぐらいに」
あう……そんなに笑わなくたって……くすん……
でも遼子さんのこんなに楽しそうな笑みははじめて見たような気がする。いつも暗く、思い詰めた表情をして
いたから、くすくすと笑うその仕草は結構新鮮な驚きだった。
「処でたくやさん、さっきの言葉は本当ですか?」
「へっ? 言葉って……」
えっと…あたし何か言ったっけ……「はい」とか「ほえ?」とかしか口にしてない気がするんだけど……
「キスする前に…私の事が好きだって言いましたよね?」
「……………えっ…ええええええっ!?」
あたしが驚きの声を上げる前で、遼子さんは背後の手すりにお尻を預け、下ろさなかった左手の人差し指を何
か思い出すかのような仕草で顎の先に押し当てながら視線を上に向けている。
「私は同性愛者じゃないんですけど、あんな風に告白されたら考えちゃいますよ。だって恋人もいないし、あん
な事があっったばかりで男の人を好きになるなんて出来ないもの」
「え、えっと、その、あの…その、あれは…その…んとんと…え〜っと……」
「それにたくやさんって…男の人なんですよね? だったらちゃんと責任は取ってもらわないと」
そう言うと、指先を顎から唇へ、まるでさっきのキスの責任だと言わんばかりに悪戯っぽい視線と一緒にあた
しに見せつける。その表情は……なんだか松永先生に似てるぅぅぅ!!
「違う、違うんですぅぅぅ〜〜〜!! 先のあれは遼子さんを慰めるためで、いや決して同情だけでキスしたん
じゃないんですけど、あたしには明日香がいるし、遼子さんは綺麗でそりゃラッキーとか思う心もこれっぽっち
も無かったって言う訳じゃないんですけど責任まで取っちゃったらあたしは明日香に半殺しに、いやマッハキッ
クで全殺しにぃぃぃ〜〜〜!!」
考えもまとめも何も無いまま、「責任」と言うキーワードに対して思ったままの事が唇から一気に溢れ出してく
る。犯されすぎて情緒不安定になっているのか、考えたままの事を速攻で口にしたり行動に移したりするって言
うのはかなり危ない症状じゃないんだろうかと、これも口に出して思考。
そしてノーブレーキで考えつく限りの事を口にしてしまうと、開いたままの唇からは泣き声かわめき声しか出
てこなくなってしまった。
「え〜んえ〜ん、遼子さん、ごめんなさい、ごめんなさ〜〜〜い!! もうしないから許してぇぇぇ〜〜〜!!」
「………ぷっ…もう…冗談ですよ。そこまで本気にしないで下さい」
「へっ……本当ですか? 後になって「やっぱり女同士の方が気持ちいいのよ…」とか言って襲いかかって来たり、
男子十人以上集めて二人で犯されまくったり……なんて言う事は…」
「なっ、そ、そんな事しません! たくやさんは私をどう言う風に見ているんですか!! そんな淫乱な女だと
思っていたんですか!」
「いえ……だって…すぐ近くにいるんだもん、そういう人が……じゃなかったらあたしだって…あたしだって…
…」
なんだか段々と鬱になってきた……あたしも男関係では(言い方があれだけど…)かなり酷い目にあってきてる
からなぁ……とほほほほ……
痴漢バスでの凌辱や保健室での乱交、さらには学園教師からのレイプなど色々と思い出して落ちこんでいくあ
たし……その一方で、遼子さんはさっきまで泣きじゃくっていたのが嘘のように明るい表情を見せている。
まぁ…あたしが不幸になっても遼子さんが元気になったんだからそれでいいか…はう……
「ふふふ…ごめんなさい、笑ったりして。でも、たくやさんと話しているとつい…ふふふ」
「いいんですいいんです。あたしは一応ヒロインですけどエッチされまくる運命にあるんですから。これで男だ
ったら結構嬉しいのになぁ……はぁ……」
「そんなに気を落とさないで。ほらほら、背筋を伸ばして顔を上げて」
「はぁ………えっ?」
あたしが顔を上げると、目の前には近づいていた遼子さんのニコッと微笑む顔。そして次の瞬間には、甘い香
りを漂わせながら柔らかい感触が一瞬だけ唇に触れる。
受け入れる事も、拒否する事もさせてくれずにあたしの唇を奪い去った遼子さんは、顔を離すとその場できび
すを返して少し早足で橋を降り、旅館への入り口に向かう道すがら、もう一度あたしのほうへ振りかえる。
「さっきのお返しよ。ふふふ♪」
なんだか本当に楽しそうな、嬉しそうなその一言をあたしに向けて残し、夜の暗さよりもずっと深く輝く黒髪
を空に舞いなびかせながら遼子さんは背を向けてしまう。
や…やられた。これが年の功……じゃなくて、遼子さん…いつの間にか元気になってたみたい……あたしだけ
が張りきって、丸っきりバカみたいよね…はぁぁ……
いつもの――いや、あたしが知っている遼子さんよりも明るくなり、本当の意味で少しでも遼子さんの自分ら
しさを取り戻せたのがあたしのおかげだったとは露も思わず、その背中をいつまでも見つめている……と、遼子
さんが旅館に入る直前、入れ違うように中庭への出入り口から姿をあらわしたのは――
「相原君、こんなところにいたのね。いつまでたっても戻ってこないから心配したわよ」
「ま、松永先生!?」
ヤバい、完全に忘れてた。あたしは松永先生から逃げてるんだった! このままじゃ…このままじゃあたしは
エッチし過ぎて腹上死!? そんな死に方絶対にイヤァ!!
ニコニコと――旅館からの逆光で影になった先生の表情はよく見えないけど、なんとなく分かってしまう……
顔にはまるで女神のような優しい笑みを浮かべながらも、その目にはあたしに逃げられた分だけ濃厚・濃密に蓄
積された性欲の炎が真っ赤に燃え盛っているのを……
「え…えっと…………先生、さよなら!!」
そんな先生に体を洗われて、一晩中エッチされる事よりも、いっそ森の中で迷子になるほうを咄嗟に選択した
あたしは、遼子さんが降りたほうとは逆側に抜けて森に向かって駆け出そうとその場で方向転換をして――
「おねーちゃん、つっかまえた〜〜〜♪」
――タイミングよくあたしの背後から駆け寄ってきていた遙君に抱きつかれてしまう…………もしかして、こ
れって……
「もう……スゴく心配したのよ。あんな暗い森に入っていくんだもの。服だってこんなに汚れて……」
浴衣の裾を揺らさないほど静々と歩いていたはずの松永先生の声がすぐは以後から耳に拭きかけられる吐息と
一緒に耳をくすぐるように撫で上げる。
「それはその……んんっ! やっ…どこを…ひゃあん!!」
浴衣に包まれた――松永先生だったらはだけているのかもしれない――乳房をあたしの背中に押し付けた先生
にうなじへ舌を這わされ、両手で二つの乳首をグリグリされ、ガクンと首を仰け反らせたあたしは静かな夜の闇
に溜まらず大きな悲鳴を放ってしまった。
それと同時に、腰に抱き着いていた遙君の小さな手がスカートの中に忍びこんできて、自分がひざまずくのに
合わせて腰紐を引き下ろし、冷たい夜風に吹かれてピクッと震える股間の割れ目に温かい下の腹がピトッと全体
に押し当てられ、下から上へ、余す事無く秘所全体を舐め上げられてしまう。
「あああっ!!」
若いからだの数ヶ所から同時に送りこまれた強烈な快感は、疲れていても敏感に反応してしまうあたしの体の
中でお互いに響きあい、より大きな快感の波となって襲いかかって来る。
「ハァ…ハァ…んんっ…くうっ!!」
ムチムチの太股の間に顔をうずめた遙君に先端を硬くした舌先と細い指先に入念にほじられ、いつの間にか露
わにされた乳房を松永先生に鷲掴みにされ、数分とたたずに目尻に涙が浮かぶほどにあたしの体は熱く火照って
しまう。
「やぁぁ…そんな……や…だぁ…やめてぇ…う、うああああああっ…!」
苦悶の表情を浮かべ、震える唇から言葉を放っても全部喘ぎ声になってしまう。二人掛りの愛撫に意識は今に
も飛んでしまいそうで、上を向けて開いた口からは涎まで垂れてしまう。
「もういいようね。じゃあ最初は君に譲ってあげるから、外でもこんなに感じちゃう淫乱な相原君のお腹の中に
たっぷり注ぎ込んであげてね」
「ほんと!? やったぁ♪ お姉ちゃん、お姉ちゃん、僕、ずっと我慢したんだよ。ほら見て、えへへ♪」
やっ…あんなに大きかったっけ……先っぽがヌルヌル光ってて…ものすごく深くて…あんなの…あんなのに犯
されたら……気が狂っちゃうかも……
いつの間に仲直りしたのか、松永先生に促された遙君は喜びながらあたしの股間から顔を上げると、クンニし
ながら露出していたんだろう、子供とは思えないほど巨大な勃起ペ○スを手に立ち上がり、とても咥え切れなさ
そうな亀頭の膨らみをあたしのスカートの中へ…涎と膣の奥から溢れ出してきた愛液でとっくにヌルヌルに濡れ
ていたヴァギナの入り口に押し当てた。
「んっ……」
アレが入る……グチュリと卑猥な音を立てながら30cm砲の先端を押し当てられると、あたしの全身に恐怖
心からビクッと小さな震えが走る。
「ゆ、許して…そんなの入らない……入りっこ無いのに……」
「ダメ……相原君が逃げたから私たちも我慢できなくなってるの。さぁ、お風呂にいく前に一回ずつイかせても
らうわよ、ふふふ…♪」
「だってそれは……んあああっ!! や…は…入る………く…ぁあああああっ!!」
張り詰めた乳房は松永先生に揉み解されながら、十分濡れていたにもかかわらず、おマ○コをグリグリと肉の
凶器に強引に割り開かれ、強大な圧迫感と強烈な刺激とが肉の濡れ穴に少しずつ、だけど確実に最奥の子宮口に
向かって入り込んで来ている。
「あ…ああ………くぅ……」
「ほら、遠慮なんかいいのよ。遙君もガンガン腰を振って。相原君もイきまくりなさい」
「お…お願……や…もう……」
汗で、涙で、涎で、濡れ汚れた顔を脈打つだけでも引き裂かれそうなほど感じてしまう苦しみから逃れるため
に必死の思いで後ろに向けたのに、だらしなく開いた唇は濃密なフェロモンを纏った松永先生の唇に塞がれ、唾
液を弾ませながら舌を絡ませられてしまう。
「お姉ちゃん、いくよ。そぉれ♪」
そして今まで押しこむだけだった遙君が小刻みに腰を振り、牝蜜をかき混ぜながらおマ○コの中で幼い巨根を
縦横無尽に暴れさせ始める!
「んぐぅぅぅううううううううううぅぅぅ!!!」
「はああっ! やっぱりお姉ちゃんのおマ○コが気持ちいいの! 僕のチ○チン、すっごくヌルヌルで、あはぁ
♪ あ…ああぁぁん♪」
「相原君、いい顔をしてるわよ。ふふふ…今日の夜は長くなりそうね……」
「あっ、いやぁん、はぁ、いっ…ぐぅ! スゴっ、あ…はうっ、はぁ、はぁ、はぁ、あぁぁ!! ああぁ!!
ああああああああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「わぁ…ものすごい事に……なんだか…私の入る隙間は無いみたいね」
おそらくは旅館にいる全員に聞こえている事だろう……股間からきらきらと輝きながら舞いしぶく愛液を噴き
出しながらイかされ続けているのを見つめながら、遼子さんが溜息をつくようにそう呟いた事にも気付かず……
あたしは一晩中、松永先生と遙君にエッチされつづけたのであった………
「イくぅ! また、またイくぅぅぅ! ひっ!! そ、そこスゴいぃ!! ひぐぅ、うあぁん!! も、もう…
んあぁ、はあぁ、ふぁ、あ…んっ、はああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
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