stage1「フジエーダ攻防戦」44
「待っていてください。今、ヒーリングを掛けますから」
「ててて、早いとこ頼むぜ」
全身がキメラゴブリンに襲われた怪我に覆われているユーイチさんの傍らにめぐみちゃんがひざまずく。その手に握った水の神を現す聖印(ホーリーシンボル)を構える。
「慈愛深き水の女神アリシア、今ここに、癒しの奇跡を……」
神へ祈る言葉を口にすると、淡い光が患部を包み、完治とはいかないまでも、牙や爪で引き裂かれた傷口が塞がっていく。
めぐみちゃんがここにいてくれたのは幸運だった。少ししか話せていないけれど、なかなか帰ってこないあたしを心配して追ってきてくれたらしい。癒し手としてはまだ未熟なのかもしれないけれど、広場に倒れていた人のうち五人を既に治療してくれている。ユーイチさんやユージさんを始め、広場に先に到着していた人たちは実力のある人ばかりだ。一人でも多く回復してくれればこちらの戦力を少しでも上げる事が出来る。
「ふぅ……」
「大丈夫かい? 少し休んだ方が……」
「いえ、大丈夫です。私、こんな事でしかお役に立てませんから、皆さんのためにちょっとでも頑張りたいんです」
心配して声を掛けてくれた人にそう笑顔で返しているけれど、めぐみちゃんの疲労は目に見えて蓄積されていく。大きなダメージを負っている人の回復をこれだけ連続して行うにはめぐみちゃんの僧侶としてのレベルが低すぎる。それに無人街に残って大勢の人たちの治療にも当たっていたし、ほとんど徹夜で動き続けている。体力も精神力もかなり疲弊していた。
治療の魔法の合間に体が傾がせてしまっている。もういつ倒れてもおかしくないはずだった。――けどもめぐみちゃんは、そのたびに頭を振って意識をはっきりさせると、怪我した人たちの治療に取り当たっていた。
「衛兵長、神殿内に残っていたオークの掃討が完了しました!」
「よし。では次はバリケードの製作じゃ。あの奇怪なモンスターどもはかなり手ごわい。机でも何でもいい。手ごろな門を通路に積み上げて壁にするんじゃ。足止めし、その間に別の策を講じる」
「はい、わかりました!」
怪我人の治療はめぐみちゃんに任せている一方、衛兵長は神殿中から届けられる報告を矢継ぎ早に受けていた。
戦士としての実力ならユーイチさんやユージさんなどの方が上かもしれないけれど、これだけの人数をまとめる指導力を持っているのは今は衛兵長しかいない。神殿に逃げ込んだとは言え、結果的に追い詰められた形になり、自然と衛兵長の意見に従ってみんなが動いている。
神殿に篭城する事を決めたのも、衛兵長による事前の判断だ。
全軍を無人街を攻めるのに投入していたと踏んでいた事、そしてあたしやあの時広場で佐野の前に屈していた人たちを助けて逃げ込めるとなれば、とりでとは行かないまでも堅牢な造りをしたこの水の神殿しかありえなかった。
実際に神殿の中を守っていたのは少数のオークやゴブリンだけで、最も広い聖堂を拠点にし、建物内の通路や階段に陣地を作るのにも、さして被害も出なかったし時間も掛かっていない。この街に暮らす衛兵長にとっては何度も訪れた場所でもあり、役職柄、一般の人よりも内部に詳しいのだろう。判断や指示は計画されていたかのようにスムーズに部下の人たちに伝わり、佐野を迎え撃つ準備は着々と進んでいた。
今いる聖堂に並べられていた信者用の長椅子もベッド代わりに使われているものを残して運び出されている。奪回した部屋からもほとんどの家具が運び出されて通路の要所要所に集められバリケードが作成されていく。他にも、剣による攻撃がほとんど効かないキメラゴブリンやミストスパイダー対策として油を詰めたビンに布で栓をしただけの火炎瓶が何本も用意された。
これだけの準備が整えば、そう簡単に負けることはないと思う……けど、肝心の神官長はまだ気を失ったままだった。
「アア……もう食べられないアル、フカヒレマン、餃子マン、シュウマイマン、どれもおいしいアルヨ〜……」
………ほ、本当に気を失ってるのか、ちょっと自信ない……
四人で手足を一本ずつ持って何とかここまで運んできた神官長は、当然ベッドなどと気のきいたものがあるわけもなく、固い床にそのまま転がされている。さっきからものすごく幸せそうな夢を見ているらしく、何度揺さぶっても目を覚ます気配を見せず、涎を垂らして美味しいものの名前を寝言で繰り返して、どれだけ声を掛けても揺さぶっても目を覚ます気配をまったく見せてくれなかった。
一刻も早く魔蟲の毒でおかしくなった人たちを見てもらわなきゃいけないのに……ジャスミンさんや静香さんがどうなったのかは心配だけれど、言い換えれば神殿に閉じ込められたも同然の今、自分のみを第一に考えなければいけない……のは分かってるんだけど、どうしても向こうの状況がどうなったのか気になってしまう。めぐみちゃんの話では、静香さんと綾乃ちゃんを助け出したジャスミンさんは何処かへ向かったらしいんだけど……
「ええいこのデブ! さっさと目ぇ覚ましやがれ。女の子一人働かせてんじゃねえぞ!」
ユーイチさんの怒鳴る声を聞いて思考に陥っていたあたしは我に帰る。ユージさんともども、戦える状態にまで復活したのはいいけれど、すぐさま飛び出したい気持ちを抑えてなければならない。篭城といっても、何日もここに立てこもる訳じゃない。佐野の従えているモンスターたちをこちらの有利な場所に引き込み、そして別働隊が今度こそ佐野を倒す……と言うのが衛兵長が簡単に説明した作戦だ。それが上手く行くかどうかは別にしても、もし今だれか一人でも勝手な行動をどうなるか……戦術戦略に詳しくないあたしではよく分からないけれど、あれだ、団体行動できないと周りが迷惑する、と。
「ンゴ〜…スピ〜……ム〜、サイキン寝てないアルよ〜…グゥグゥ……」
そんなわけで今すぐ飛び出せずに鬱憤の溜まっていくユーイチさんの目の前で神官長は高いびき。集団行動とか言う点では神官長の方が始末に終えない。ついにはユーイチさんの怒りが頂点に達し、
「いい加減にしやがれ、この豚饅頭!」
その場でジャンプし、臨月かと思うほど大きく突き出した神官長のお腹へ落下の勢いのついた肘を落とした。
角度、スピード、共に申し分ない一撃。だけど―――
ボヨン。
神官長のお腹の方が弾力性に富み、逆にユーイチさんを弾き飛ばした。
「んのわぁ!? こ…このデブぅ……な、なんつー腹してんだ、この、このっ!」
「ユーイチ、無駄だって。この人がそんなことで起きるわけないだろ?」
防がれたり躱されたりするのならともかく、寝ている人間のお腹に負けたのがよほど悔しいのだろう、相棒のユージさんの静止も聞かずにユーイチさんは神官長のお腹を殴り続ける。それでも神官長は何が詰まっているのか不思議に思えてしまうお腹を波打たせるだけで、しまいには鼻ちょうちんまで膨らませ、気持ちよさそーに眠り続けていた。
「やれやれ、緊張感の欠片もないのう。下手を打てばここにいる全員の命どころか、魔王が呼び出されてこの世の終わりかもしれんと言うのに、のう?」
一通り迎撃の用意が整い、一息入れる時間が出来たのだろう、さっきまで息をつく暇もないほど指示を出し続けていた衛兵長が腰を叩きながらあたしの傍へと寄ってくる。
誰もが自分の出来る事をしている最中、あたしはずっと広間の片隅で膝を抱えていた。
左右には魔力を使えないために魔封玉へ戻して上げられない黒装束のリビングメイルとオークが心配そうに控えている。今からモンスターと戦おうと言う時にモンスターを連れているし、神殿の中では佐野に操られていた別のオークが何匹も倒されている。そんな理由もあって、あたしへ近づいてくる人なんてほとんどおらず、今はただ、何もしないでいることしか出来ないでいた。それに―――
「あの……そんなところに座り込まれているよりも、早く治療を受けた方がいいですよ」
うずくまって動かないあたしのところへ、まだ若い――と言ってもあたしより少し年上の――衛兵がやってくる。
「あっ……」
男の人が近づいてくると、それに併せるようにあたしの体が緊張する。
顔は……そんなに嫌いと言うわけじゃ、ない。鎧を着てはいるけれど、どこか優しそうだし、もしこの街が佐野に襲われなかったら普通に生活して幸せに暮らしていそうな人だ。
でもあたしの目線の高さにある男の人の股間へ目を向けると……隠そうとしているのだろうけれど、大きくなるのが丸分かりだ。それどころか、あたしとの距離が詰まるたびにズボンの布地はますます張り詰め、手を伸ばせば触れるだけじゃなく抱きつく事だって出来そうなところにまで近づいてくると、窮屈そうに押し込められたペ○スが布地の下で脈を打っているのまで伝わってきそうなほどの勃起具合だった。
―――は…ぁ……におい……ものすごくしてる……頭…くらくらしちゃう……
ここへ連れてこられるまでの間にも感じたけれど、衛兵詰め所に捕らえられていた衛兵の人たちは、ものすごく体臭がキツい。すぐ隣に立つオークも股間の辺りからプンプンと性臭を漂わせているけれど、あたしの体は男の人の臭いに反応してしまう。
汗……汚れ……捕まってから二日も三日もお風呂どころか小用だって満足にさせてもらっていない。ズボンにさえも染み込んだ強烈なあたしの鼻腔の奥にまで突き刺さり、口の中におチ○チンの熱さや固さ、それ以上に濃厚な味と香りを舌の上へ鮮明に蘇らせる。舌の記憶に過ぎない感触だというのに、逞しいものが前後にスライドして口内を行き来しているような気分になり、溜まった唾液を恥ずかしげもなく喉を鳴らして飲み込んでしまう。
「ある意味、俺達よりたくやさんの方が重症なんだから。その……あのことは他の人には言いませんし、気にしない方がいいですよ」
―――ウソ。気にしてないなら……どうしてこんなに股間…おっきくしてるのよ……
平静を装っている様でも声がところどころ上ずっている。あたしが顔を上げて潤んだ瞳で見上げれば、男の視線はボタンが弾け飛んで白い肌が覗いているブラウスの胸元へとそそがれていて、視線が合うや否や、赤くなった顔でそっぽを向いてしまう。
―――あの姿を見られた……この人にも、めぐみちゃんにも……
佐野のペ○スの前に屈服し、いきり立つペ○スに何度も貫かれたのを……一体どこまで見られたんだろう。見られていたと考えると、股間ではクチュ…クチュ…と佐野が膣の奥深くに注ぎこんだ精液が音を鳴らすほどヴァギナが緊縮してしまう。
恥ずかしくて……それなのに胸が脈を打つたびに体が熱くなる……全部…媚薬が悪くて……あたしは、こんな恥ずかしい目にあって……ああぁ……もう…我慢がぁ………!
「………ねえ」
茶のあると息を漏らしそうになるのを必死で堪え、あたしが右手を差し出すと、気付いた男の人が慌てて引っ張り上げてくれて……立ち上がった勢いでその胸へ倒れこんでしまう。
「ん……」
―――なに…してるのよ……立つ必要なんてないし、男の人の…胸に…なんて……
固い鎧に触れるだけでも痛いぐらいに張り詰め敏感になっているたわわな胸を押し付ける。ブラもつけていない膨らみは男の人に直接触れるわけではないけれど、乳首が押しつぶされて丸い形がひしゃげるほど体を摺り寄せると、見るからに相手の赤い顔に動揺が広がっていく。
「あの……立って…られないから……支えて…欲しいの……」
「は、はい…わかりました………けど、あの染みは……」
「………………」
心臓が跳ね上がる。ドクンと、驚いた感じではなく、熱く煮えたぎった血液が心臓から体中へと押し出され、必死に押さえ込んでいた興奮が次々と花開いていく。
男の人が何を言っているのかは後ろを振り返らないでも分かる。あたしが座っていた場所には魔蟲の媚薬に侵され、火傷しそうなほどの熱と疼きに狂おしいほど感じていた証拠が広がっている。
石の床に染み込んだ愛液……動けないわけじゃない。動けなかった……あんなのを見られたら…み…見られたら……
恥ずかしさが込み上げるほどに、あたしは男の人に体を預けて、女の子の部分が勝手にヒクつき熱いお汁を溢れさせてしまう。そしてそれがさらなる快感を呼び、腰を震わせながら顔を上げたあたしは、
「い…いじわるぅ……」
軽く開いた唇から湿った吐息をこぼしながら、大きく膨らんだペ○スをズボンの上から撫でさすった。
(た、たくやさん!? 何をしてるんですか、一体!?)
驚き、慌ててあたしの耳元に囁く衛兵さんの股間を包み込むように握ると、上下に二・三度擦る。その逞しさと温もりを確かめると手の動きを止められなくなってしまい、射精へ導く妖しい指使いで布地越しに刺激しながらメイド服に包まれた豊満な体をビクビクと震わせてしまう。
「あ…ふぅ………あたしの手の中で…おチ○チン、おっきくなってる……どうして? 気にしないんじゃ…なかったの……?」
顔を上げて男の人がどんな表情をしているか見てみたい……けどホテル顔を上げる勇気がなくて、上目遣いで相手の表情をうかがうと、鎧を身にまとった男はあたしから逃げるように体を伸び上がらせ、その代わりとでも言うように、衣服の下で無理やり下を向かされていたモノが大きく脈打ち、あたしを求めるようにその先端で力強く窮屈なズボンを押し上げる。
「マズいですって……もうすぐ、た、戦わなきゃ、いけないのに……」
「ここを…こんなにしたままで…?」
布を挟んでくびれたカリや脈打つ肉茎をさすっていた指をもっと下へ伸ばしたあたしは、タップリ精液を溜め込んだ玉袋をキュッと握り締め、驚きと苦悶、そしてそれ以上に感じた刺激で顔を歪ませた衛兵さんへ微笑みかける。
「気にして無いって…ウソなんでしょ? ずっと…あたしのこと見て……おチ○チン…こんなに…おっきく……ああぁ……」
自分が口にしている言葉の恥ずかしさに耐え切れなくなったあたしは、男の人が身につけた胸鎧に額を押し付け、それでも手と指先は包み込んだ陰嚢をリズミカルに揉みしだき、二つの睾丸をコロコロと転がして弄んでしまう。
「……………っ!!!」
欲しい、おチ○チンが今すぐ欲しい……血液が流れるのと同じように何もしていなくても全身を巡る魔力に徐々に理性を蝕まれていく。視界が歪んで、手の中にある確かなものへ顔を寄せて頬張ってしまいたい……それでも、あたしは揺らぐ意識が本の刹那の間だけ正常な考え方が出来るようになった瞬間、両手で目の前の胸を押し、快楽に飲み込まれる前に後ろへよろめいて体を引き剥がした。
「ご、ごめんなさい……あたし、まだ、自分でもわかんなくて……やっぱりダメだよねこんなの、本当にゴメンなさ――」
背中に壁が触れる。視界の左側に剣を手にしたオークが、右側に背の低い黒装束のリビングメイルが見える。そしてその間をあたしへと詰め寄ってきた衛兵の男性は、両肩を意外なほど強く握り締めてくる。
「俺……お、俺……」
「っ……謝るから……だから…ん…んッ………!」
体を揺さぶられるたびに、弾力のある胸元が大きく弾む。唇を噛み締めても豊乳の奥から込み上げるジィンとした疼きを抑えることが出来ず、壁へ押し付けられたあたしは唇を開いて迫ってくる男の人の顔を見つめてしまう。
―――これって…ものすごく危ない状況なのかもしれないけど……どうしよう……あたし、拒めない……!
もし体を求められたら、このまま告白されたら、あたしは自分が男である事も忘れて受け入れてしまうかもしれない。それに唇……佐野のペ○スをしゃぶらされたり精液を飲ませられたりしてるから、せめてキスだけは防ぎたい……のに…でも……本物の「恥らう乙女」のように体を震わせたあたしは開いたブラウスの胸元を隠すように両手を組み、媚薬の熱でホテルヴァギナを期待と不安でググッと収縮させてしまう。
―――抱かれても…いいよね……このまま…されたって……
子宮の奥から沸き起こる衝動が抑えられない。まだ何もされていないのに床へポタポタと愛液の雫が滴り落ち、こうしているだけで絶頂に達してしまいそうなぐらいに興奮が昂ぶる。
「あ、あた…し……」
「俺、あんまり上手くないけど……それでもよかったら―――」
―――あっ……く、くるぅ……!
肩を掴んでいる男の手に力がこもる。回りに大勢人がいるのも忘れて抱き寄せられようとしているけれど、抵抗できるほど気力も体力も無いあたしはそのまま引き寄せられて……幅広の剣に押し留められてしまう。
「ブヒブヒブヒブヒブヒッ(おいこらニィちゃん、うちの姐さんになにさらしとんねん、お? それ以上近づいたら指つめるで、指ぃ)」
あたしと男の人の唇の間をさえぎるようにオークが剣を突き出している。壁へ頭を預けていたあたしはともかく、ググッと顔を前へ出していた男の人は鉄の剣にキスさせられる羽目になり、慌てて体を引いてもさっきのこもったオークの眼差しに睨みつけられて言葉を失ってしまう。
なんかガラの悪い思考が流れ込んでくるけれど……まあ、オークだし。
「え〜、あ〜、その〜……ちょ、ちょっと先走っちゃったみたいだね。は、あはははは〜」
………逃げてった。
いい雰囲気のところをモンスターに脅かされたら仕方ないんだろうけれど……あ、あっちでさっきの人が他の人に袋叩きにあっている。……先走った報い?
「あたしが…誘惑しちゃったから……」
体の震えはまだ収まらない。突然の出来事の緊張から開放されて喘ぐようにアゴを上げ、そのまま再び床に座り込んでしまう。
………抱いて欲しかった。
全身に肌にねっとりとした汗を掻き、ムワッとした熱気とフェロモン臭に包まれた肢体は電流を流されたかのように時折ビクッと震えてしまう。暑くなりすぎた体温は室温よりもはるかに高く、寒いからか、それともビンビンに固くなったクリトリスが下着の裏地に擦れたからか、太股をキツく閉じ合わせて絞るように体を緊縮させてしまう。
「ふゥ……んッ……もう…気が…狂うぅ……!」
心臓の大きな脈動にあわせてズクッズクッと疼きが駆け巡る。胸や股間と言った敏感な場所に触れなくても、肌が感じる空気の流れや服の触感全てが愛撫のように体へ纏わりつき、頭の中に思い描く「抱かれている自分の姿」を今のあたしに重ね合わせ、もう立てることも出来ずに投げ出した足の付け根へそっと指を滑らせてしまう。
「ううぅ…ん……」
指を動かすと長いスカートが本のわずかにめくれ上がり、ストッキングに包まれた足首が露わになる。どこかいつもは感じられない色艶のある足先に驚きを覚えていると、トットットッと規則正しいリズムを刻む足音があたしの方へと近づいてくる。
「たくやさん、あの、終わりました。他の人の治療、みんな終わりました!」
よほど疲れているのだろう、そう遠くもない距離を急いでかけてきためぐみちゃんが大きな声を出し、身を屈めてスカートの上からクリトリスをくすぐるように刺激していたあたしの右手を握り締める。
「ま、待って。あたし…今は……」
「あとはたくやさんだけなんです。もう他の人の事を気にしなくてもいいんです。だから早く、私に解毒の魔法を試させてください!」
―――今、ちょっとだけ慰め始めたところなのに……
オナニーしていた事がめぐみちゃんにばれそうになったのが恥ずかしくて一瞬掴まれた手を引き戻そうとしたけれど、しっかりと両手で包み込まれた手は離れようとしてくれない。むしろ汗でベトベトの手をめぐみちゃんに握ってもらえている心地の良ささえ快感に変わっているようで、ヴァギナが震えて蜜音を胎内へ響かせる。それを耳にして頭の先まで熱くなるぐらい羞恥心を感じていると言うのに、そんなこちらの変化に気づいた様子も無く、めぐみちゃんはあたしを立たせようと手を引っ張り続ける。
「あの……だから……」
まずい。今のめぐみちゃんを説得できる言葉を思いつかない。
周囲では着々と戦いの準備が整いつつある。そんな中で衛兵長もユージさんもユーイチさんも、寝こけている神官長を除いて誰も彼もがあたしの方を見つめていて……断ることも拒む事も出来ず、あたしはただ唇を噛み締めて気づかれず吐淫する事しかできなかった―――
stage1「フジエーダ攻防戦」45