第七章「不幸」08
「あの、あの、こういう格好は…その…激しく困るんですけど……」
「だけどよく見えるし」
「私はよく見えません! お父さんにもお母さんにもこんな格好……ひどいですぅ〜〜!」
綾乃ちゃんは非難しているけど、まぁ…お母さんなら見た事あるんじゃないかと思う。赤ちゃんがおしめを変えられる格好だし。
全裸になって脚を開いてと言ったのはあたしだけれど、綾乃ちゃんはそれを受け入れ、一糸まとわぬ生まれたままの姿でベッドに仰向けになっている。
もう何もかもがあたしの目の前だ。火が出そうなほど顔を赤らめている綾乃ちゃんの恥らう表情も緩やかな曲線を描く胸も。そして秘密だと言っていた股間に生える男性器そのものの姿も。
「ふぅん…こうなってるんだ」
「や…ぁ……そんなに…見つめないで……」
いやなら手で隠すはずだし……最初に交わした約束どおり、綾乃ちゃんが拒めばそれまでに使用とあたしは決めている。だけど股間を覗き込まれている綾乃ちゃんはクッと眉をしかめるぐらいで、両手はアソコへと伸びないように強くシーツを握り締めている。
「んっ…ふ、あぁ……」
「綾乃ちゃん……声が色っぽくなってるよ。そんなに…興奮してるんだ……」
隠したくても隠さない、そんな綾乃ちゃんの苦悩は分かっているのに、つい言葉でいじめてしまう。そしてその言葉に身を震わせるのにタイミングを合わせて――
「ひ、あ…あっ―――ッ!」
小さくした唇から噴出された空気が緊張している綾乃ちゃんの股間を撫でると、ベッドがきしむほど大きく白い裸体が跳ね上がった。それと同時にぴんっとそそり立っている可愛いペ○スも天井を突き上げ、一際大きな脈動を示す。
「ひ……ひどい…です……」
息を乱して胸を上下させる綾乃ちゃんが涙をためた目であたしを睨むけれど、そうされるとなぜか笑みがこみ上げてくる。
「ねえ、綾乃ちゃん。そろそろ…いじってもいい?」
「え……いじるって…なにを……」
言わなくても分かっているはずだ。――そう思い込み、あたしは綾乃ちゃんへ答える事無く手を伸ばすと、大きく開かれた太股の中心部分へと指を伸ばし、膨らんでいるものへと絡みつかせた。
「ひあ…やあっ……ダメ、ダメです、そこは―――!!」
形は小さくても男の人のと同じ。先端は皮をかぶり、握り締めた途端に先っぽがパクッと開いて赤く腫れあがった亀頭が少しだけ覗いて見える。
「うっ…あああ……だめ…許してくだ…さい……はあ…はあ……んっ!!」
嫌がっているのか、それとも喜んでいるのか、綾乃ちゃんの反応をどう捉えれば良いのか分からないけれど、あたしのすることは決まっている。まるで初めて女性に性器を触れられる少年のように怯えている綾乃ちゃんに本能を刺激されてしまい、もっと声を上げさせたい…もっと感じさせてあげたいという欲求の昂ぶりが抑えられない。
「ねえ…これ、男の人みたいにちゃんと使えるの? おしっこしたり…射精したり」
「うっ…グスッ……お、おしっこはでません……でも…射精は…分かりません………どういう、意味ですか?」
「ふぅん…射精を知らないんだ。じゃあ、今からあたしが教えてあげる。身を任せて、体から力を抜いてリラックスしてね」
「えっ……やっ、私、ちがっ…くぅん! ル…ルーミットさ…んんんっ!!」
あたしの手が綾乃ちゃんの肉棒と呼ぶにはまだまだ幼い物をゆっくりと扱き始める。潤滑液もなく、ただ表面に指を滑らせるだけのものだけれど、手首に捻りを加えて表面全体を満遍なく摩擦するように扱き上げると、綾乃ちゃんはベッドの上で身をよじらせ、先端から小水のように透明な液体があふれ出してくる。
「こんなにお漏らしするなんて……綾乃ちゃん、結構エッチなのかな」
「ちがっ…ちがっ……わた、し…こんなの……あっ…い、いや……んあああっ!!!」
あたしの手が先端に小さく開いた縦筋から先走り液を絡ませながら根元まで這い降りるたびに綾乃ちゃんの体に震えが走る。分厚い皮に包まれているというのによほど敏感なのか、今にも射精しそうな気配を見せながら激しい痙攣を繰り返す屹立からはゴプッゴプッと透明な液が溢れ、綾乃ちゃんの性器を湿らせていく。
「ダメ、それ以上触っちゃ、ダ…メェ……なにかが、なにかが…きちゃう、きちゃいますぅ!!」
量を増して噴出する先走りをグチャグチャと鳴らしながら、夢中になっておチ○チンを扱く。いつしか割れ目の方からも蜜が滴り、アナルまで丸見えになっている下腹を突き出しているけれど、あたしの目は徐々に射精に追い込まれていく綾乃ちゃんのペ○スへと釘付けになっていて、開いた左手でドレスの結び目を解いてシルクのブラに包まれた乳房を露わにすると広げられた下肢の間へと顔を寄せていく。
「綾乃ちゃんのここ……こんなに濡れてるのね……」
あたしの言葉にビクッと震える綾乃ちゃん。その様子に満足がいったあたしはXの字を作った指を左右の陰唇にあてがうと、ぱっくりと割り開いた。
「んっ―――!!」
「わぁ……こんなにお漏らししちゃって。綾乃ちゃんってば本当にいけない子ね」
「はあっ、はあっ…んっ、は…ぁ……ルーミット…さん……」
「こっちもいいよね……こっちも、ちゃんと女の子と変わりないか確かめてあげる」
「は…はい……おねがい、します……ちゃんと…確かめて……」
それを聞くと、あたしは綾乃ちゃんの股間へいきなり口をつけた。
「あ…あ―――――――――ッッッ!!!」
舌がほんの少し口を開いて見せている膣口へと触れると、綾乃ちゃんは大きく右へ腰を捻り、突然のクンニから逃れようとする。―――けれどあたしは右手でペ○スを扱きながら飽いている左腕で綾乃ちゃんの太股をしっかり抱え込むと、性体感を穿りかえすかのように舌を蠢かせ、未開発だった年下の少女を絶頂へと突き上げて行く。
「ああああッ!! ひうっ、うぁああああああっ!!!」
触れるたびに収縮する膣口にチロチロと舌を這わせながら、白い胴体の先端から赤い頭を覗かせているペ○スを扱く。綾乃ちゃんにしてみればまさに快感地獄といったところだろうか。初体験が女性器と男性器を両方一度に責められているのだ。ねっとりと嘗め回されたヴァギナからはとめどなく蜜があふれ出し、激しい手淫で摩擦されたペ○スは火傷しそうなほど熱を帯びている。
「そんな、舐め…るなんて……は、激しすぎます、こんなの…くぅん! ルーミットさん…ダメ…もう私……やだ、やめ………んあっ!!」
「ふふふ……ものすごい事、教えてあげるからね」
すっかり濡れそぼった割れ目を自他の原でぞろりと舐め上げると、舌先をそのままペ○スの根元へ、そしてそこにある小さなクリトリスを優しく唇に挟んで吸い上げた。
「あ―――――――――――」
小柄な男性器の激しい脈動にあわせて震えていたクリトリスが上下の唇に挟まれると、綾乃ちゃんの腰が大きくうねり、抱え込んでいた左足が勢いよく宙を蹴った。
声を失い、綾乃ちゃん自身が放つ汗と愛液の濃密な匂いと感触に包まれた裸身を硬直させる。
「――――ッ、―――ぁ―――ッッ!!!」
数秒間続いた声のない絶叫が収まると、股間から愛液が迸り、あたしの顔や胸元を汚す。それを受け止めながらクリトリスからペ○スへと舌を這わせて裏筋を尖らせた舌先でくすぐりながら皮を引き下ろすと、これ以上ないほどに綾乃ちゃんの体は反り返り、涙を流しながら女性のみではまず味わえない射精の快感を絶叫と共に迸らせた。
「んっ―――あッ、あっ、あ―――――ッ!!! ル…ミット、さんっ! で、出ます、いやあっ、いやああああああっ!!!」
ビュクビュクと噴出しては放物線を描いて綾乃ちゃんの白い肌へと舞い落ちる白濁液。そうなるように手指を露出したばかりのカリ首へと滑らせ、舌を裏筋とクリトリスに往復して這わせると、純白の汚濁液はとめどなく溢れ、淫裂からあふれる愛液とリズムを合わせて自分の体を汚す行為を繰り返した。
「どうだった? 綾乃ちゃんにはちょっとキツすぎたかな〜って思うんだけど………本当に大丈夫?」
男と女、二つ合わせて二人分の精を吐き出した綾乃ちゃんはまだ絶頂が引ききらない体をベッドに仰向けに倒す。―――が、返事が無い。まるで水風船が爆発したかのように秘所とペ○スから精を噴き上げたせいか、体力を使い果たして脱力しきっている。
けど……まだ股間のおチ○チンは大きくなったままだ。あたしは綾乃ちゃんのお腹に飛び散った精液を人差し指ですくい取ると、ヒクついている晴れ上がっている亀頭へと擦りつけた。
「ひゃうっ!」
「あ、やっぱり感じすぎちゃう?」
「…………………」
あう、なんか視線で非難してきてるし……
ともあれ、綾乃ちゃんのアソコがどうなってるのかって言うのは確かめられたし、今日はここまでかな……さすがにこれ以上するのは気が引ける。と言うより、ここまでで既に犯りすぎな気もする。自分の興味本位で年下の女の子に……ううう、自己嫌悪……
「さ、さて、それじゃ今日は終わりにしよっか。言っちゃうのってなんかこー体力使い切っちゃったって感じで何もしたくない気分になるけど、一晩寝れば結構復活するから」
「えっ………終わり…なんですか?」
「そうよ。そうだ、そんなに汚れてちゃ眠れないよね。ちょっと待ってて、今お風呂を入れてくるから」
そう言い残してベッドから床に足を下ろす。すると半分だけ脱いでいるドレスを背後から綾乃ちゃんが握り締めた。
「あの……待って…もらえますか」
「いいけど……どうかしたの?」
「……あの……私………ちゃんとご奉仕…出来ましたか?」
「ぶっ!」
ご、ご奉仕って……
そう意味で考えれば……「した」のは全部あたしだ。綾乃ちゃんは服を脱いで我慢していただけだし、娼婦らしい奉仕をしたとは言えない。……いつものされるがままになってるあたしの事は置いておくとして。
だけどここで「まだまだだね」なんて言おうものなら……
「あの……お願いします。最後まで……最後までやらせてください」
「最後まで……………」
「ど、どういうことかは……知ってます…けど、あの………初めては…ルーミットさんが…いいなって……」
あたしが……いいんです…か………?
「こ……これから、いろんな人と…お仕事をするのなら………最初の人ぐらいは………ダメ…ですか?―――んっ!」
そこまで告白されて……何もせずに黙っていられるほどあたしは人間出来ていません。
ベッドに綾乃ちゃんを押し付けると、体を覆い被せてその唇を奪う。まだ口内には綾乃ちゃんの愛液の味が残っている。それを唾液に乗せて送り込むように舌を絡ませて涎を飲ませると、綾乃ちゃんの発育途上な薄い胸に自分の豊乳を押し付けながら男性器と女性器の境目に手を滑り込ませ、ぐっと力を込めて指を押し当てた。
「んあっ!」
「選ばせてあげる……こっちの初めてを先に奪われる方がいい?」
手の平で射精の残滓が残っているペ○スの先端の丸みを包み込む、円を描いて撫で回す。
「んんっ! やっ…そっちは……やあぁ…触っちゃ……」
射精こそしないものの絶頂直後の敏感なえんんまくを刺激されて身を大きくよじる綾乃ちゃん。それならと、あたしは中指を脈動を繰り返すものの根元へと滑らせ、クリに触れながら収縮を繰り返している膣口を揉み解すように圧迫した。
「あっ……ルーミット、さ……んあっ!」
「綾乃ちゃん、ずいぶん敏感になってきたわね。そんなに待ちきれないの?」
「ハァ……あっ…あうっ……んっ……ッ!」
「我慢しなくても声、いっぱいだしていいんだよ。ここにはあたしたちしかいないんだし…綾乃ちゃんの可愛い声、いっぱい聞きたいから……」
「いあっ! や…胸は……ひあああっ!!」
意表をつくように、あたしは空いていた手を綾乃ちゃんの胸へと滑らせ、手の平に収まりそうな柔らかい膨らみをゆっくりと揉み回す。小さな先端の突起はどんなに綾乃ちゃんが恥らっても隠しようが無いほど尖っていて、それを指の谷間に挟み、揉みながら根元を圧迫して突き出させるとチロッと舌でくすぐるように舐め上げる。
「綾乃ちゃんのおっぱい……柔らかくて…スゴく美味しい……んっ!」
「か、噛んじゃ…ひゃあっ! ダメ、ダメです…それ…ルーミットさん、わ、私……!!」
男だったときのあたしでは考えられない慣れた手つきで難さの残る乳房を揉み解しながら、手を置いていない方の頂を口に頬張り、小さいながらも形よく張り詰めた膨らみをチュパチュパ音を立てて舐めしゃぶる。
下と上、同時に敏感な場所を攻められて耐え切れなくなった綾乃ちゃんの身悶えは激しくなる一方だ。恥じらいを忘れてはいないようだけど、割れ目に沿って指を沈めると指先にはキュッと絞り込まれる淫裂の締め付けが加わり、おチ○チンも元気に跳ね上がる。それほどに感じている状態が続いている内に、悩ましい吐息をつきながらあたしの体の下で何度も体を震わせ、そのたびに表情を蕩かせて何も考えられなくなっていく。
「はぁ…はぁ……ルーミットさん……これが…こんなのが…娼婦の…お仕事なんですか………頭が…ボーっとして……ひぅん!!」
束ねた綾乃ちゃんの髪が跳ね上がる。このままだとすぐにでも二度目の絶頂に登りつめてしまうだろう。……それじゃあ、あたしが綾乃ちゃんと一つになれない。―――と言うわけで、アレの出番かな、そろそろ。
「ちょっと見ててね……あたしも綾乃ちゃんと「同じ」になるから」
体を動かしてマットの下から取り出したのは擬似男根、しかもあたしも挿入間を感じることが出来る上に射精まで出来るマジックアイテムだ。
始めてみる男性の形を模したモノを目にしても綾乃ちゃんの反応は今ひとつだ。会館に浮かされ、熱のこもった目で見つめているものを何かと理解する前に、あたしは唾液を滴らせた手の平で双頭男根をよく湿らせ、たくし上げたスカートの中へと滑り込ませた。
「ひゃうううっ! あ、あたしも…スゴく濡れちゃってる……綾乃ちゃんいじめてて、興奮しちゃった……あぁあああっ!!」
擬似男根の先を下着の上に押し当てて滑らせると、体の中を貫くようにヌチャグチャと愛液がいやらしい音を立ててあふれ出してくる。
綾乃ちゃんに入れる前に…あたしの方がイっちゃいそう……くうぅん! ふ、太い…なんか前に入れたときよりもおっきくなって……ひあぁあああっ!!
下着を脱ぐのももどかしく、恥丘の横へと股布をずらして男根を秘所に押し当てると、張り出したカリ首が綾乃ちゃんを責めながらあたしも…と濡れ蠢いていた粘膜を擦りたてながら子宮口へと突き刺さる。
「くふぅ……んんんっ!!」
目の前にいる綾乃ちゃんの不思議な視線を浴びながら男根を二度三度と膣になじませるように引き抜いてはぱっくり押し広げられた花弁に押し込むたびに、綾乃ちゃんが漏らした以上のいやらしい汁が立膝をついたあたしの太股をスカートの中でびっしょり濡らして行く。それと同時に、握り締めている反対側の男根へ徐々に神経がめぐり始め、自分自身の手の平のぬくもりを感じながら内で作り出されたばかりの透明な液が次から次へと滲み出してしまう。
「はあぁぁぁ……これが…綾乃ちゃんの初めてを奪うの。よく見ておいてね……」
ズンッと重たく響く突き上げを終え、あたしは汗にまみれた微笑みを綾乃ちゃんへ向けながら、両手でスカートを広げ、擬似男根がそそり立った股間を突き出すように見せ付ける。
「………………」
あまりの衝撃で、声も出ないらしい。けれどそれとは対照的に、綾乃ちゃんに昂ぶりきったペ○スを見つめられて羞恥心に襲われたあたしは、唇から湿った息を吐き出しながら抗えない興奮に身を任せて反り返りそうなほど勃起した擬似男根の脈打つ肉茎を綾乃ちゃんのアソコへ突きつけた。
「んっ………ルーミット…さぁん……」
「―――恐い?」
コクッと頷いた綾乃ちゃん。初めて(偽者だけど)ペ○スを迎え入れようとしているだけに、その瞳にはいつまでも迷いの色が見え隠れしている。だけど―――
「あっ……ダメですぅ……う、動かしちゃ……んっ…あふぅぅぅ……」
昂ぶったペ○スを秘唇に押し当て、円を描くように膣口周辺の粘膜を掻き回して上げると、アクメに一度達している肉体はすぐに恐怖よりも快感に支配され始め、次第に全身から力が抜け落ちていった。
「くふぅ……へ、変……体が…信じられない……何かが…奥で……んんっ……ルーミットさん…私…どうにか…なっちゃいそうです……」
「綾乃ちゃんのここ…ものすごくいやらしい音が響いてるよ」
「やぁ……言わないで…言わないでください……!」
涙を流して頭を振っているけれど、綾乃ちゃん自身も自分の体の状態をよく理解していた。あたしが程よい形の乳房を両手で握り、肉丘をペ○スでこね回しながら胸の膨らみを揉みしだくと甘い声を漏らして鼻を鳴らし、無意識に腰を揺すってあたしをねだり始めている。
「あうっ…んっ、うんんっ……!!」
もう十分準備は整った。先端の敏感な突起をつままれるたびに無き喘ぐ綾乃ちゃんの胸から太股へと手を掛けたあたしは、白い内股に力を加えて大きく左右へ開かせる。
眼前にさらけ出された秘所は、透き通るような白さに加え、あふれ出た蜜でぐっしょりと濡れている。ほっそりとしたラインを指先でくすぐるたびに、隠そうとしないのに赤く染まった幼い顔を羞恥で打ち震わせていた。
「綾乃ちゃん……そろそろ……」
軽く腰を引くと、熱い怒張が名残惜しそうに吸い付いてくる綾乃ちゃんの入り口から糸を引きながら離れる。
綾乃ちゃんのそこは十分に濡れそぼっていた。覗いて見える粘膜は赤く染まり、粘度の高い愛液が雫になってゆっくりとアナルへと流れ落ちて行く。
その場所へあたしは指を運んだ。肉は薄いけれど準備の整っている場所に十分湛えられた愛液をすくい取るように指を動かし、まだ男根を受け入れるには窮屈かもしれないその場所を執拗なまでに掻き回し、愛液を何度もピチャピチャと爆ぜさせる。
「はううっ! ルーミットさん、だめ、そんなにされたら…んっ! ま…また………おかしく、なっちゃうぅ!」
「いいのよ、おかしくなって。もっともっと感じてる方が、入れたときに気持ちよくなれるんだから」
「だけど…私……恐い…恐いです……」
「安心して。あたしが一緒にいてあげるから……」
綾乃ちゃんと唇を交わす。軽く触れさせていると、綾乃ちゃんの方からおずおずと舌を差し出してきて、それをからめ取ったあたしは唾液を少しの間交換し合うと、体を起こした。
「………いくよ」
こくんと、小さな頷きが返ってくる。そのまま顔をそむけるかと思えば、何処か非難しているような、だけど何かを期待するような火照った瞳であたしの事をじっと見つめてくる。
それに答えるように、あたしは怒張の先端を再び押し当てる。
ここまで来たら後にも引けない…ただ進み入れるだけだ。
綾乃ちゃんが息を飲んで体を固くする。まだ恐さが残っているのだろう、体がずり上がりそうになっているのを、腰を掴んで引き寄せたあたしは、悩むのをやめて腰を突き出し、湯気立つほど熱く濡れそぼった秘所に膨れ上がったペ○スを突き入れた。
「あっ…アアアァ―――――――ッ!!!」
綾乃ちゃんの喉から鋭い悲鳴が迸る。だけどあたしは綾乃ちゃんの腰を強く掴み、静香さんの時よりもさらに強烈に締め付けてくる膣内を押し進んで、途中で触れた抵抗をも突き破るように一気に根元まで突き入れた。
「いっ…んんんんんっ!!!」
上がりかけた悲鳴を綾乃ちゃんが必死に飲み込んだ。
少々乱暴だったけれど、痛みを長時間長引かせるよりは……だけどキツく閉じられた綾乃ちゃんの瞳を見ていると、どうしようもなく罪悪感を感じてしまう。だけど―――それ以上に、キツく締め付けてくる粘膜の感触が埋め込んだペ○スを否応無しに絶頂へと追い詰めてくる。
「あっ……ルーミット…さ…ん………私……」
「ごめんね……痛かったでしょ?」
ううん、と横へ頭を振り、綾乃ちゃんは涙を流しながら嬉しそうな瞳であたしを見上げてくる。
「大丈夫……です。私……ルーミットさんと…一つになったんですね……」
「う…うん……」
そういう言い方をされると……うわやばい。綾乃ちゃんがますます可愛く見えてきちゃう……
それに合わせてかどうかは知らないけれど、綾乃ちゃんのヴァギナに包まれた肉棒がビクッと痙攣する。先端で子宮口と突き上げた状態での振動は綾乃ちゃんの体まで震わせて、中から、綾乃ちゃんの体内から何かドロッとしたものがあふれ出してきた。
見なくても分かる……綾乃ちゃんの破瓜の血だ。
「うっ…くうぅぅぅ!!」
あたしは知らない内に腰を動かし始めていた。もっと綾乃ちゃんをいたわって…そう思っていたのに、ゆるゆると腰を蠢かせて、誰もふれたことの無い綾乃ちゃんの中を何度も往復して擦り上げて行く。
「んんっ! んんんっ!!」
ペ○スを往復させるたびに綾乃ちゃんの顔が引きつる。処女膜を破られた直後に動かれて傷口が傷んでいるんだ。―――それが分かっていながらあたしは次第に腰を大きく動かし、硬く閉じている子宮口を幾度も突き上げた。
「んっ、はんんッ!!」
長いストロークで突くたびにシーツに赤い花の数が増えて行く。だけどそれ以上に、膣全体を擦るようにペ○スを動かすと綾乃ちゃんの唇からは痛みではなく快感による喘ぎがあふれ出し、股間からジュプッジュプッとリズミカルに音が響き出した頃には表情からも硬さが抜けて、ヒクヒクと肉棒を締め付け出していた。
「私…変です……やっぱり変です……お腹の中が熱くて…これが…これが娼婦のお仕事なんですか?」
それを聞いたあたしは腰の動きを止めないまま、汗のにじんだ顔に笑みを浮かべる。
「違うよ。それはね、綾乃ちゃんが感じてるから。娼婦とか関係なくて、気持ちよくなってるの。感じてるのよ」
「感じて……」
「そう……男と女はそういうものなの。入れて、入れられて、両方が気持ちよくなれるものなんだから。綾乃ちゃんだって……」
綾乃ちゃんの両手を取り、あたしの動きにあわせて楕円を描いている綾乃ちゃんのペ○スを握らせる。
「ひあっ!!」
この場所は処女の痛みとは関係なく、快感を感じられるようだ。あたしの手と綾乃ちゃん自身の手。四つの手に包まれた瞬間、まるで待ちかねていたみたいにブワッと一回り膨張し、手指の隙間から飛び出すほど勢いよく先走りを迸らせる。
「綾乃ちゃん、話しちゃダメよ。せっかく両方付いてるんだから……両方で楽しまなくっちゃ」
上からしっかりと握り締めて綾乃ちゃんに自分のペ○スを握らせると、あたしは腰の動きを再開して子宮口をペ○スの先端でなぞり上げた。
「ひあああああぁ!!!」
綾乃ちゃんの膣内が震えている。あたしの方ももう限界が近く、小刻みに膣底を突き上げるたびに綾乃ちゃんの小柄な体は跳ね上がり、けれどその手は自分自身を握り締めて離さず、一心不乱に露出した亀頭を擦りたてている。
「いやぁあああっ!! 恐い…恐いです……感じすぎちゃう…ルーミットさん、私…ああ、あああっ!!!」
ペ○スを突き入れるたびに、ペ○スを扱き上げるたびに、身をのけぞらせた綾乃ちゃんの髪がベッドへ広がる。緩やかに犯され続けてきた股間は洪水状態だ。ペ○スをいじり始めた途端にそれまで硬さが残っていた膣肉が喜びに打ち震え、あたしの肉棒にもジィンと快感がこみ上げてくる。抜き差しのたびにカリが引っかかり、そのたびに電気を流されるように感じてしまうあたしは、綾乃ちゃんと同じく野太いものを飲み込んでいる花弁からダラダラと濃密な愛液を滴らせながら体を硬直させてしまう。
「あはっ―――!!!」
あたしの唇からも熱い吐息が漏れる。
もうここまで着たら自分の欲望が抑えられない。チュポンと音を立てて膣口の入り口をカリが通り過ぎるまで引き抜くと、キツいその肉の輪を再び貫き、張り詰めた肉棒で膣肉を擦る。すると次第に付きほぐされてきた綾乃ちゃんの壁の一枚一枚が絡み付いてくるように締め付けてきては、二人して暗い室内に喘ぎ声を響かせる。
「あっ…はぁ、んっ……ああっ、あアアッ!! はいる…はいって……私、私、わたしぃ…こんなのはじめてぇ!!!」
「っ―――!! 綾乃ちゃん、激しくするからね!」
「はいっ、きて、きてください。ルーミットさんの……もっと…私の中にぃ!」
その言葉を口移しで飲み込むように、あたしは綾乃ちゃんに覆いかぶさって唇を押し付けた。体の間にペ○スを弄る手をはさみ、体を揺り動かして膣肉を突き上げながら貪るように唇を交わらせ、舌と唾液を絡ませあう。
「―――ぷあっ! だめ、だめぇ、ルーミットさん、わたしもう、だめ、ごめんなさい、ああ、ああああああ――――――ッ!!!」
あたしが飲ませた唾液を唇の端から滴らせ、綾乃ちゃんの体がガクガクと痙攣を繰り返す。あたしはただ夢中になって、ベッドのマットに綾乃ちゃんの体が沈み込むほど腰を叩きつけ、その反動を利用して強烈に膣肉を抉る。
「あうっ、あっ、あッ、あッ、ああッ…あっああぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」
パンッパンッと腰がぶつかるたびに頭を振って泣き悶えていた綾乃ちゃんの体がビンッと伸び、全身を激しい痙攣に襲われる。
「はうッ――――――!!!」
イった―――その最中、あたしは下がってきた子宮口を押しつぶしてしまいそうな勢いでペ○スを突き上げると、膣奥に熱い精を大量に迸らせた。
「っ―――ぅ……!!」
あたしも…イっちゃう……綾乃ちゃんの中で…んっ―――!!!
まさに固まりのような精液がドプドプと綾乃ちゃんの胎内へ流れ込んで行くたびに、射精管を特濃の精子が押し広げて通って行く。………その拡張感のあまりの強烈さにペ○スから固形物を引き抜かれるような錯覚を覚えて震え上がった下半身からブシャッと音を立てて愛液を噴出すると、綾乃ちゃんに体重をかけて崩れ落ちそうになり、一際深く、萎える事を知らない肉棒を押し込んでしまった。
「いあぁあああぁぁぁぁぁ!!! っあ、ぅあああ、ああああああああああああっ!!!」
―――ブシャ
そして最後に…綾乃ちゃんのペ○スが射精した。左右に開いた脚を伸ばしてシーツを蹴り、腰を浮かせながら脈打つ男の子のモノを反射的に強く締め付け、すさまじい勢いで白濁液を天井へ向けて打ち放った。
「やあああっ! とまら、ない、んんあ…わた…し……こんなの…ひぁあああっ!!」
あたしと綾乃ちゃん、二つの裸体の間で上下に暴れまくる先端から粘つく液体がとめどなく噴き上がる。その白い快感に言葉を失った綾乃ちゃんは目を見開いて口を喘がせるけれど、はちきれんばかりのペ○スからは一向に射精が収まる気配は見えず、綾乃ちゃんの形のよい乳房からおへその窪みに至るまで牛乳をぶちまけたみたいに純白の精液パックに包まれてしまうほどすさまじい射精がとめどなく繰り返された。
「いっ……やぁ…あっ………ああああああっ!!!」
………もしかして綾乃ちゃんって、かなりエッチ? 娼婦どころか娼夫でも大丈夫な気がしてきた……
ベッドの上を白濁液の海に半ば変え、それでも噴き出し続ける精液がこみ上げるたびに綾乃ちゃんの腰がヴァンプする。その最中、射精を終えたあたしは空恐ろしいものを感じながら収縮痙攣を繰り返す膣内からペ○スを引き抜くと、男の絶頂に加えて引き抜くときの膣壁の擦り上げが快感を増幅させたらしく、更なる精液が噴水のように噴出された。
「ひあっ――――――!!!」
まるで苦しむように射精を繰り返す綾乃ちゃんから体を離して、膨らんだ亀頭を指で突付くと、これで最後と言わんばかりにドロドロのものが噴出する。
白い肌は綾乃ちゃんが放った精液と、それを薄める大量の汗とにまみれている。最後の残滓まで空中に打ち放つと、その直後に綾乃ちゃんの首がカクッと横を向き、肉棒と淫裂を興奮の余韻で震わせたまま、いきなり意識を失ってしまった。
「ちょ……綾乃ちゃん、大丈夫!?」
「………………………」
「―――大丈夫じゃないよね。…ごめん」
声を掛けても返事が無い。どうやら完全に気を失っちゃったようだけど……激しくしすぎた。
綾乃ちゃんは初めてだったんだから、その辺りの加減はあたしがするべきだった。と言うのに、男の子と女の子の両方責め……さすがにこれ以上の行為は無理と判断して、顔をしかめながら股間から引き抜いた魔法の双頭バイブで体験したあたしだから言うけれど……あれはダメ。普通の人だと頭の線がダース単位で吹き飛ぶような快感だ。
綾乃ちゃんは一ヶ月に一回生えると言っていたけれど、その時は両方弄るのをやめた方がいいって教えておいた方がいいかもしれない。こんなに大量に射精するんなら……
「それにしても……」
まだ体を拭いもしていない綾乃ちゃんは、夢の中でまで何をしているのか、未だ痙攣を繰り返している。こんな状態で起こすのも可哀想だし、今日はこのまま眠らせて、早朝目を覚ましたら家に帰らせればいいだろう。シーツの方は……どうしようもない。拭えるだけ拭って、起きてからお風呂にでも入ってもらうしかない。
後の問題はあたしの寝床だけど……今から別の人と「仕事」をする気も体力もない。別の部屋を貸してとは言いづらいし、床で寝るか……ま、服をちゃんと着て寝れば風邪を引く事も無いだろう。
「とほほ……高くついたエッチよね……」
―――ま、これですべての事が上手くいく。そう自分を納得させながら、あたしは汚れた体を洗うために腰にまとわせていたドレスを脱ぎすてた。
「綾乃ちゃん、おやすみ。いい夢を見てね」
自分の全裸をさらけ出す事に恥ずかしさを覚える程度に興奮の収まったあたしは寝息を立てて眠っている綾乃ちゃんの頬へ一度だけ軽く口づけする。そして涎まみれになったアゴから下を指先で拭うと、
「………やっぱりこのままって言うわけには……」
やれやれ、あたしって力仕事は苦手なのに……でも見ちゃった以上はしょうがない。
綾乃ちゃんの頭と膝とへ腕を回すと、何とか起こさないように持ち上げる。そんな自分の性格で巻き起こした今日の出来事に苦笑しながら、個室についている浴室へと向かった―――
翌日―――綾乃ちゃんはいつの間にかいなくなっていた。
もともと借金苦で娼館に来たわけだし、その心配がなくなったんなら帰った方がいい。
それにもともと神学を学ぶために留学していた彼女には生まれついての呪いを解くと言う目標があるのだ。娼館で働いている暇なんて在るはずがないのだ。
―――そう思うと嬉しい反面、せっかく知り合いになれたのにお別れみたいで…すこし寂しく感じてしまうのも事実だ。娼館の外で会っても、あたしがルーミットだって気づいてくれないはずだし。
まあ……昨日の事は一夜の夢……あたしとエッチしたのは犬に噛まれたんだと思って忘れたほうが綾乃ちゃんのため……な〜んて事を考えながら、遅い朝食兼昼食を食べる場所を探して街中を歩いていると、
「あっ……ルーミットさん、おはようございます♪」
―――なんてな感じに、綾乃ちゃんが嬉しそうに声を掛けてきてくれた。
「……ちょっといい? 一応娼婦ってのは匿名が基本だから外でその名前は……」
「あ……す、すみません。まだ娼婦の入門書を読み終えてなくて……」
そんなに意気消沈しなくても……けどなんで、娼婦の手引きを綾乃ちゃんが持ってるの?
今いる場所は綾乃ちゃんが元々働いていた屋外喫茶だ。借金も返せたし、また働かせてもらっているんだとは思うけれど……ま、ちょうどいい。幸い、昼食時を過ぎている事もあって人が少なく、他の人に娼婦名は聞かれなかったみたいだし、あたしは手近な席へ腰を下ろすと注文を済ませると、綾乃ちゃんと話をする事にした。
「あの……まだあそこに何かが入っている気がして、歩きづらくて……痛いです」
「………ごめん」
激しくしすぎました。今度は優しくしてあげるから……まぁ、綾乃ちゃんとあんな事をする機会なんてもう無いんだけど。
とりあえず最初の話題にしては破壊力抜群だ。けどそれもちょっとの間の我慢だし、あたしが聞きたかったことは別の事だし。
「それで…綾乃ちゃん、何で娼婦になる事にしたの? もうお金は返さなくてもいいんでしょ?」
「でもルーミットさんから……」
「あたしからのは別にいいの。あれは綾乃ちゃんにあげる為に渡したお金なんだし」
よく冷えた水が注がれたコップをちびちび飲みながらそう言うと、控えめに「そんなのダメです」と言う表情を綾乃ちゃんが見せた。
「……それはだめです」
うむ、やっぱり。……当たった事はなんとなく嬉しいけど、何でダメなのやら。
「あんな大金を昨日が初対面の人にいただくだなんて……そんなのやっぱりいけません!」
「そりゃまぁ、ただより高いものはないって言うけどさ、昨日のあれは綾乃ちゃんが……その…あたしと一晩…ゴニョゴニョ…したから、その代金としてであって……」
一晩エッチしただけで一万ゴールド以上と言うのは法外もいいところだけど、体裁さえ取れればそれでいい。それに綾乃ちゃんは初めてだったわけで、あたしもかなり無茶苦茶したんだし……罪悪感は残るものの、それでチャラと考えれば話は全てまとまるはずだ。お金を出したのあたしだし。―――エッチして稼いだお金だけど。
「あの……ですから、お金はきちんと返さなくてはいけないわけで……」
「?」
「えっと……その……ルーミットさんとエッチするのって…ものすごくお高いんですね……」
「ぶっ!」
うわやば、お水吹いちゃった!……とっさに顔を背けたから大惨事は免れたけど。
「知りませんでした。……あの、全部監視の方に見られていたようで…自分から何もしなかったからお仕事したことにはならないって……」
「ブ―――ッ!!」
お、落ち着くために含んだ水まで吹いちゃった……昨日のあれ、全部見られてたって!?―――そう…ミッちゃんの奴、人に一言も無くぅ……!!
「それで私の借金は増えちゃったみたいで……あ、ですけど娼婦見習いにしてもらえたんです。お金を返すまでルーミッ…あ、いえ、先輩の専属になるそうなんです」
「せ、専属……」
待て……それじゃあのメガネ男と実質的にやってることは一緒!? あ、綾乃ちゃんに思いとどまらせなくちゃ!
だけどあたしが口を開くよりも綾乃ちゃんは席を立ってしまう。そしてモジモジと左右の指を絡ませながら赤くなった顔を俯き加減の前髪で隠す。
「あの……まだまだいっぱい勉強しなきゃいけないんですけど…あの、あの……こ、今後ともよろしくお願いします! そ、それでは、あの、すぐにお料理をお持ちしますから!」
綾乃ちゃんは勢いよく頭を下げると、そのまま踵を返し、調理場の建物の方へと走り出す。
先輩…専属……色々と尋ねたい事は山ほどある。それらの事は後で娼館に帰ってからミッちゃんに綾乃ちゃんの待遇改善と一緒に訊くとして―――今は先に言わなければいけないことがある。
「綾乃ちゃん、危ない!」
「えっ……」
前も見ずに走り去ろうとしたものだから、綾乃ちゃんは別の客が地面に置いた荷物に気付かず足を引っ掛け―――勢いよくすっころんだ。
「きゃあああああっ!」
ドンガラガッシャンシャ〜〜〜ン!!
なかなか見事な転がりっぷり……周囲のお客やテーブルをものの見事に巻き込んで大ごけして、地面に倒れ付したその頭にはジュースのコップが逆さまにかぶさっている。
「ふ…ふぇぇぇぇ〜〜〜……」
「はぁ……まったく、見てられないわ……」
ああ、こうなる事が分かってて、あたしの専属だとか言い出したわけか。
つまりは、こういう子を見ると放っておけない性格なのだ――と、今更ながらに思い知らされながら、あたしはハンカチを持って席から立ち上がった。
第八章「襲撃」01へ