Gルートその4


「ふえ〜〜、スゴいなぁ……」  更衣室で少し大きめの白い半袖Tシャツと足首まで覆う黒のトレーニングパンツ、ブラも紐の太いスポーツブ ラへと着替えをすませたあたしは建物内部のジムに入るや否や、たまらず感嘆の声を漏らしてしまった。  建物内部とは思えないほど広い空間。あたしの家が二つか三つはすっぽり入ってしまいそうなほどの部屋は、 南向きに突き出した二面の壁がガラス張りで、木目調のフローリングで統一された室内を明るく照らしている。  その中には筋力を鍛えるためのいろいろなマシンが適度な間隔を置いて設置されている光景は、自然と機械が 調和したような世界を作り出し、ちょっとした壮観である。  熊田さんの説明によると、この施設はスポーツ設備だけじゃなくて、ホテルや温泉なんかも備えているらしく、 最近オープンしたばかりだと言うのに宿泊予約がいっぱいになるほどの盛況ぶりらしい。まだ朝の十時過ぎぐら いだと言うのにたくさんの人が室内の運動に励んでいた。  年齢もまちまちで、あたしぐらいの歳の子はいないけど、それでも楽しそうに会話しながらエアロバイクをこ ぐ数人の若い女性や、ポッコリ出っ張ったお腹を引っ込め様と必至に腹筋をしているオジさん、中には筋肉モリ モリの上半身にタンクトップを身につけ、まるで自慢するかのように器具の間を練り歩いている男の人までいる。  山の中にあるのに結構人がいるのね。やっぱりこう言うところって人気あるんだ。でも…静香さん、遅いなぁ ……  熊田さんに引き止められた静香さんに「すぐに行くから」と言われ、先に着替えて運動する準備を整えたあたし は、案内板にしたがってここまでやってきたんだけど、余りに自分と場違いな雰囲気に、これからどうしたもの かと悩んでしまっていた。  何しろあたしは思いっきり庶民の出。本来なら、お財布をひっくり返して全財産をはたいても、こんな高級そ うなところにくる事なんて到底できやしない。これもひとえに、財閥のお嬢様(すっかり忘れてたけど…)の静香 さんのおかげ。だけど……これからどうしたらいいのかな? 勝手に機械を使ってもいいのかな…… 「お嬢さん、どうかしましたか? もしよろしければ僕が案内してあげましょうか?」 「……ほえ?」  結局勝手に使う勇気が出てこなくて、壁際で無意味に屈伸なんかをやっていたあたしだけど、頭上から突然声 をかけられ、「あれ、上から?」と疑問に思いながら、足を伸ばして顔を上げた。すると、さっき見掛けた筋肉ム キムキの男の人があたしの横に立って、さわやかな笑顔で真っ白い歯をキラーンと輝かせていた。  身長はあたしよりも頭二つ分ぐらい高く、タンクトップから飛び出した腕も男のあたしの太股よりも……さす がにあたしの方が太いかな? 結構肉付きがいいし…… 「いや〜〜、僕は毎週ここに来ていてね、この美しい筋肉を鍛えているんだよ。どうだい? よければ僕がマン ツーマンでコーチしてあげるよ」  ……この男、ひょっとしてナンパ? やだなぁ…ものすごくキャラが濃そう……  男の時だったら高い身長と鍛え上げられた筋肉に嫉妬してしまうかもしれないけど、今ははっきり言って暑苦 しいだけ。汗が浮かんでテカテカした肌から伝わる熱気と妙な湿り気のある空気から逃げるように半歩横にずれ ると、男は追い掛けるように一歩近づいて、あたしとの距離を詰めてくる。しかも、ポーズを取りながら胸や腕 の筋肉をピクピクさせて……ああぁ〜〜ん、こんなヤツの側なんていや〜〜〜!! 「あの…遠慮しておきます。連れもいますし、自分でできますから……」 「そんなぁ、つれないなぁ。僕と君の間で遠慮なんて必要無いよ。君のその美しさを磨き上げるためなら、僕は どんな労力だって惜しまないよぉ」  だから、近づかないでぇぇぇ!! 自分の存在がいやがられてるって、全然気づいてないでしょ、この人は! !  筋肉のプレッシャーに負け、最初は横歩きだったのが徐々に後退さりになり、あたしは両手で無意味な壁を作 りながら男と距離を置こうとする。でも男はあたしが二歩下がった分を一歩でゼロにし、さらに筋肉ヒクヒクピ クピクさせて怪しい圧迫感を撒き散らしながら、あたしに迫り寄ってくる。 「君のお友達の事は気にしなくてもいいよぉ。男だったら一発で気絶させてあげるし、美人だったら一緒に可愛 がってあげるからねぇ。僕は四人までなら同時に愛してあげられるし、あっちの方も絶倫さ。でも、安心してく れてもいいよ。一番愛してあげるのは君だよ。さぁ、ホテルに部屋を取ってあるから、ベッドの上で一日中運動 しようじゃないか。僕の「コレ」なら夢中になること請け負いさぁ」  「コレ」のところで腰を大きくグイッと突き出してくると、当然あたしの視線もそちらに向いてしまう。すると どうだろう、上の袖なしタンクトップ同様、下半身にぴったり貼りついているスパッツの股間部分は大きく膨ら んでいるどころか、勃起して上を向いた肉棒の形が矢印のようにカリの張った先端から丸々と膨らんだ玉袋まで くっきりと浮き上がっている。  ぱ、パンツ履いてないの!? それよりも、こんな場所でこいつは一体何を考えてるのよ!?  巨根と言える男の逸物を見て、自分の身に迫っている危険に震える体を腕でかばいながら、一瞬だけ周囲に視 線を走らせると、マシンルームの広さや数々の機器が仇となり、あたしが追い詰められようとしている部屋の隅 からは他の人の姿がかなり見えにくかった。完全に死角と言うわけじゃないし、出入り口から真っ直ぐ視線が通 ってはいるけど、あたしが入ってきてからは誰も出入りしていないし、大声を出さない限りは誰も気付いてくれ ないだろう。  こ…こう言う時は、素直に逃げる!  いくら見えにくい場所だからって、こんな場所でいきなり押し倒す事も無いだろうし、走ればすぐに人の目に 付く場所に行ける。そう思ったあたしは急に後ろを向いて、駆け出そうとした。けど―― 「そうか。まずはルームランナーで軽く汗を流してからだね」  振り向いた先にはほとんど空間がなく、ほんの2・3m先には壁が迫っていた。咄嗟に横に逃げようとしたけ ど、それよりも一瞬早く背中を押され、足をもつれさせたあたしは壁に当たる――事はなく、変な機械の上に乗 せられてしまった。  腰の左右、握るにはちょうどよさそうな高さに鉄パイプが渡され、正面には何個かのスイッチや摘まみのつい た小さな機械、その先は壁と、どちらの方向にも動けそうにはなかった。そして後ろには―― 「さぁ、レッスンの始まりだ。気持ちの良い汗を掻かせてあげるよ」  興奮した面持ちの筋肉男が待ち構えていた。  男は躊躇なくスパッツをずり降ろし、20cmはありそうな肉棒をブルンッと震わせると、自分も機械の上に 乗ってきて、あたしの背後から抱きついてきた。 「やっ、やぁ、んむぅ!!」  大声を上げようとしても、口が開いた瞬間を見計らって口の中にタオルを詰めこまれ、行き場を失った声はも ごもごと舌と頬を動かす事しかできない。その間にも男の手はあたしのトレパンを後ろから引き降ろし、剥き出 しになったお尻に直接ペ○スを擦りつけながら、あたしの胸をTシャツの上から大胆に揉みまわし始めた。 「んんっ、んんんぅ〜〜〜!! んむぅぅ!!」 「おおっ、スゴい弾力だねぇ。いいよいいよぉ、やっぱり君も体を鍛えてるんだね。この大きさでこんな弾力な んて僕も初めてだよ」 「んふぅ!! んん、んん、んんん〜〜〜〜〜!!」  男はお尻の谷間にペ○スの幹を挟みこんでリズミカルに腰を上下に動かしながら、男物のTシャツをパンパン に膨らませている乳房を思う存分にこね回してきた。両手を広げて、下から上へと重量感ある膨らみを持ち上げ、 あたしの顔に近づけるように根元から絞り上げる。あたしも必死に抵抗したけど、男の思うが侭にされているう ちに、乳房全体が疼き出してしまい、ブラの下でも乳首が少しずつ勃ち始めてしまっていた。  やだ…感じて…きちゃった……こんなヤツに無理矢理されているのに…… 「ふぅん…ふぅ……んんっ!」  指すが四人同時に…とか言っていただけあって、男の揉み方は上手だった。乳房に指を強く食いこませて柔肉 の形が変わるほど揉み続けたかと思うと、次の瞬間にはまるで癒すようにゆっくりとおっぱいの芯までこね回し、 二つの布地の下でジンジンと痺れている乳首をグリグリと摘まみ、コリコリといじられてしまう。  左右のパイプを掴んで押し倒されないように力を込めていたあたしだけど、体を駆け巡る快感に若くて健康な 体は自然と反応してしまい、男を誘うかのように鼻から甘い息を漏れこぼした。 「ふふふ、いい反応だなぁ。それじゃ、君のおマ○コ、早速見せてもらうよ。たっぷりと舐めまわしてあげるか らねぇ……」 「んっ……」  段々とは区域を荒くし始めた男が耳元で囁いた言葉を聞いた瞬間、太股の内側にビリッと電流が流れる。ここ で男に下半身を晒して、舐めまわされたりしたら……そんな事を想像するだけで、体の奥から熱い蜜がとろりと あふれ出てきてしまう……  そ…そんなのイヤッ! やめて、許してぇぇ!! 「んぐぅぅ!! んぐ、ぐむぐむ、んんんっ!!」  下半身に息づく期待感を否定するように、男がお尻を舐めようと屈みこんだのを見計らって、あたしは体を起 こして腕を振りたくった。 「こら、暴れたってダメだよ。じゃないと僕だって乱暴な事しちゃうぞ。それともそっちの方が好みだったのか い?」  好みも何も、あんたの事なんて最初っから大っ嫌いなの!!  と思っても、あたしの力でこんな筋肉男を何回殴ったって効かないことは分かっている。それでもあたしは抵 抗する事を決してやめようとはしなかった。こうしていれば、きっとそのうち助かるような気がして――  カチッ――ヴゥゥゥゥ……  すると、偶然にもあたしの手が正面の機械にあたってしまう。と同時に何かのスイッチが入ってしまったみた いで、あたしと男の立っていた地面がいきなり後ろに向かって動き始めてしまった。 「んんっ!?」 「あ、あれ? なんだぁ!?」  驚きの声を上げるあたし……そしてあたしたちは二人はバランスを崩し、重なり合いながら後ろへと倒れこん でしまった。  い、今よ。早く逃げないと!  上になっていたあたしはこの機を逃さず、急いで体を半回転させると足を踏みしめて出入り口に向かって駆け 出そうとする。その時――  グニュ 「はああううううぅぅぅぅぅ!!!」  ん? 何か踏んだかな? でも、そんな事気にしてる暇なし!!  逃げる事しか考えていなかったあたしは自分の足が何か柔らかい物を踏みつけた事までは覚えているけど、そ れが何なのかを確認せず、大慌てでその場を後にした。


Gルートその5へ