]]]]X.番頭


「たくや、ちゃんとご奉仕しておるか? 淫乱なお前にはうってつけの仕事じゃろうて」  梅さんはざっと室内の様子を見ると、二人の男に犯されているのも気にとめず、いつものように両手を曲がっ た腰の後ろに回して静かにあたしの方に歩いてくる。 「なんで…梅さんが……」  あたしは自分の目を疑った。この場に現れるはずが無い梅さんの登場に驚きや疑問を感じる前にあたしは動き を止めてそちらを見つめてしまう……何が嬉しいのか、人当たりの良さそうな笑顔をしわだらけの顔に浮かべて いるけど…なぜかそれがとても残酷な物にしか見えなかった。  見られているだけで身体がガクガクと震えそうなあの目……ヤバい、何かものすごく危ない気がする……  背筋にゾクゾク来るほど感じるイヤな予感に身体を起こしたあたしは無意識に夏目の精液でベトベトになった おっぱいに腕を回して身を守りながら、少しでも離れようとお尻で後退さった。 「さっきも言ったじゃろう? お前の様子を見に来たんじゃ。なにせまだまだ仕事に慣れておらんからの」 「仕事って……こんなのが仕事だって言うんですか!?」 「そうじゃ、お前は宿泊客に抱かれるのが仕事じゃ。その様子じゃとさぞ可愛がられたようじゃの、くっくっく」  な…なに言ってるのよ、梅さん……満足されたって…いったい何がどうなってるのよ!?  あたしや遼子さんがこいつらに抱かれているのを見ても顔色を変えずに平然と室内に入ってきた梅さん。この 異様に性欲にまみれた室内の中でごくごく普通の口調でそう言われ、何がなにやらわからなくて動く事もできな い内に、梅さんは真上から半裸のあたしを見下ろす位置にまで近づいていた。 「どうじゃ、旅館の仕事には慣れたかの? どうせ横になってされるがままになっておって、自分から奉仕なん ぞまったくせなんだじゃろうがの」 「いや、それで十分だったぜ。思っていた以上にマ○コの具合もよくて、あっという間に出しちまった」 「ほうほう、それではご満足頂けましたか?」 「ああ、十分過ぎるほどにな」  梅さんと入れ替わりにあたしから離れた夏目がテーブルに近づき、テーブルの上に残っていたビールで喉を潤 していた。  ちょっとは身体を隠してよ……  夏目の声がするたびに何かひどい事をされるんじゃないかと頭の中にすり込まれてしまったあたしは、反射的 に身体を固く、小さくしながらそちらを見ると、全裸の上に立ったまま、しかも腰に手を当ててビールを飲んで いるからイヤでも腰のおチ○チンが丸出しに……しかも五・六回は出しているはずなのに、電灯の灯りで濡れ光 っているのがビーンと反りかえってるから…… 「うっ……」  男の時に見慣れているはずの男性器…でも女になっている今のあたしの状態だと、自分の愛液であんなに濡れ ているモノを直視するだけで恥ずかしさが込み上げてきて、思わず顔を背けてしまう……それに夏目にはこの後 どれだけ犯されるかを思うと…あんな物は見たくも無い…… 「何を顔を背けておるんじゃ。お客様のモノは自分から見るんじゃ、ほれ!」 「んっ!?」  あたしが反対側に顔を背けると、梅さんは床に膝を突いてあたしの顎を鷲掴み、顎の骨に鋭い痛みが走るほど 指に力を入れて、顔を無理やり夏目の方に向けさせた。 「んっ!…くぅ…!」 「やはりまだまだしつけが足りんようじゃな。夏目様、すみませんの。こんな色気だけで頭の回らん従業員で」 「構わんさ。どうせ一休みしようと思っていたところだ」 「課長、だったら俺が次にやっても構いませんよね? へへへ、帰ってきたばかりだってのに、ついてるなぁ♪」  歯をへし折られそうな梅さんの握力に涙をこぼしながら耐えていると、それまで口出しせずに浴衣を脱いで遼 子さんの身体が空くのを待っていた小林があたしの方に近づいてきた。  くぅ…あんなヤツに次抱かれるの? それになんで梅さんがこんな事するのよ!? 「小林、少し待て。面白いことを思いついた」  全裸でにじり寄る小林の姿に、こいつが二日前にあたしをレイプした…その事を思い出して鳥肌を立てるほど おぞましさを感じていたけれど、たどり着くより前に肩から浴衣を羽織りなおした夏目が口を開いた。 「じいさん、よかったら今から躾てみたらどうだ? そいつが自分から俺たちの前で足を開くようにな」 「んっ!?」  だ、誰があんたなんかの前で足開くもんですか!! なに言ってるのよ、この変態!! さっきだって無理や りエッチしたくせに!! 「ほほぅ…それは面白そうですな」  あたしが心の中で思いっきり大きな声を出していやがっているのに、梅さんは逆ににやりと不気味な笑みを浮 かべる……  まさか……まさか…梅さん…本当になに考えてるのよ!?  その笑い顔に一気に恐怖心が芽生えてきたあたしは咄嗟に胸を覆っていた両手で梅さんの手を振り払おうとす るけど、それよりも早く梅さんの手はあたしから離れ、素通りした腕を掴んで背中の方にねじ上げた! 「ああっ!」  手首と肩に焼けるような激痛が走る。それを感じると同時に口から高い叫び声が迸ってしまった。 「これ、余り声を上げるでない。もし二階の人間に聞かれでもしたら……それでもよいのか?」 「うっ!……に、二階って……」  あたしに声を出されると困るようで、手首にかかる力は少し緩められたけど、少しでも痛みを和らげようと膝 を立てて反りかえった背中の後ろから梅さんが気になることを口にする。 「二階に宿泊しているのは確か教師だったのではなかったか? あれほどの美貌で何故教師をしているのかわか らんが…気付かれては仕方ない。ここに連れてきて一緒に楽しむかの…くくくくく……」 「ま、松永先生に何する気よ! いたっ!!」  あたしが声を出したと同時に手首を内側に捻られ、それ以上喋らせないとでも言っているかのような鋭い痛み が再び襲ってくる。一瞬だけだったけど、まるで腕をもがれたような衝撃にあたしは大きな胸を突き出すように 身体を反りかえらせる。 「さっきから大声を出すなと言っておろうが。まぁ、お主が寂しいと言うのなら話しは別じゃがのう……さて、 どうするかの?」  妙に自信タップリの梅さんの声……もうあたしがどうするか分かっているとでも言うように、そこで言葉を切 り、ジッとあたしの答えを待っている……  松永先生がいくら強いと言っても…五人の男に勝てるわけ無いし……こんな事に先生を巻き込むわけには…… …………あたしが……あたしが我慢さえすれば……  痛みが引いた後に沸きあがってくる無力感……もうあたしに逃げ場が無い以上、出来るならこんな目に会うの は少ない方がいい……そう自分の心に納得させたあたしは―― 「………わかり…ました……おとなしくします」  ゆっくりと…服従の言葉を口にした…… 「そうそう、それでいいんじゃ。夏目様たちの言う事も素直に聞いて、自分から身体を差し出して抱かれるんじ ゃ、よいな?」 「そ、そんな……」  いくらあたしがうなずいたからって、なんであたしがそんな事まで…… 「ふむ…どうやら一度しっかりと身体に教え込む必要がありそうじゃの。夏目様、少々お時間を頂きますがよろ しいか?」  あたしがいやそうな顔をしたのが気に入らないのか、梅さんは手首を捻ってあたしに立つように促しながら、 自分もその場に立ちあがった。手首を離してもらえない以上、なるべく痛くないように身体を動かしていたあた しも、破かれたメイド服というあられもない姿を隠す事もできずに後を追って立ち上がる。 「待てよ爺さん。その女は二・三発殴れば黙って言う事を聞くんだぜ。早く俺に変われよ、躾なんか俺がたっぷ りしてやるからよ」 「小林、お前は黙ってろ」 「そ、そんな……」  そのままゆっくりと部屋の奥に移動しようとするあたしたちの前に小林が立ちふさがって、背中を反りかえら せているせいでいつも以上に前に突き出て、呼吸するたびに柔らかそうにプルプル震える乳房の膨らみに手を出 そうとするが、それより早く夏目の声が飛ぶ。 「俺がいいと言ったんだからお前らは黙って従え。それよりも、当然そいつの躾は俺たちにも見せてもらえるん だろうな?」 「ええ、それはもう。お客様には当旅館の従業員がいかに教育されているかを見ていただかねばいけませんから の」  そう言いながら、梅さんはさらにあたしの背中を押す。  夏目に静止され、怨みがましそうな目であたしの肌を見る小林の横を通りすぎ――  腰紐を巻かず、自信たっぷりに自分のモノをさらけ出したまま窓際のソファーに座った夏目の前を通りすぎ――  う…うそ……もしかして…このままだと………  あたしの目の前にはさっき入り口を見た時と同じような暗い世界が広がっていた。山奥の夜……ガラス一枚を 隔ててそこにある闇に向かってあたしは歩かされる…… 「さて、お客様の前であまりはしたない姿を見せるわけにはいかんからの。それ、早く外に出んか」 「い、いやあああぁぁぁ〜〜〜!!」  叫んでもどうなる物でも無く……  目の前で開いた窓ガラスの向こう側――山の暗くて冷たい夜の闇に、あたしは半裸のままで放り出されてしまった……


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