]U.忘想
肩越しに降りかえると、そこには旅館の浴衣を着た啓子さんが立っていた。
温泉に入っていたのだろう。身体に湯気をまとわりつかせ、昨日の夕食時もそうだったように髪を頭の上に結い
上げている。
いつもの露出の多い服もいいけど、風呂上りの浴衣姿の啓子さんは女性の艶を俺にこれでもかと言わんばかりに
見せつけていた。
あぁ……白いうなじが……首元から覗く胸の谷間がぁ……時折チラッと見える太股がぁ〜〜……!!
ごくっ……
さっきまでの俺の妄想が何処かに飛んでいってしまいそうなほどの大人の色気に、無意識の内に喉を鳴らして大量
の唾を飲みこんでいた。
「お…お風呂ですか?」
見りゃ分かるって。何を言ってるんだ……
「ええ、用事の前にちょっと身だしなみを整えておこうかと思って。それよりもこんな所でうずくまってどうか
なさったんですか?何処かお加減でも……」
そういって啓子さんは俺のことを心配してか、身体が触れるぐらい近くに俺に近寄ってくる。
あ……シャンプーと石鹸の香りが………
湿った髪と肌から漂ってくるどことなく甘い香りが俺の鼻をくすぐる。それだけで……
グイッ!!
「あ……ううう………」
ズボンの中で愚息の角度が一気に跳ねあがる。
落ちつけ〜〜、落ちつくんだ〜〜、なんでこんなに敏感なんだよ〜〜!こんな…こんな所見せられるわけないだろ……
頼むから収まってくれ〜〜!!
「大丈夫ですか?そんなに苦しまれるなんて、本当にどうなさったんですか?」
啓子さんの色気にすっかりギンギン状態の息子はズボンの中ですっかり立ちあがり、それに合わせてドンドン前かがみ
になる俺の身体を、啓子さんが下から手を指し入れて支えてくれる。
ぷにょん♪
こ……この肘に当たる感触わああぁぁぁ!!
首に力を入れて固定すると、ばれないように目だけをそっと横に向ける。
そこには胸の谷間が間近に迫っていた。そしてボリュームではあゆみに匹敵する柔らかそうな膨らみがしっかりと
俺の腕をめり込ませていた。
「さぁ、私が手を貸しますからどこか休める場所まで」
俺の身体を引き起こそうと力を入れるたびに、腕に押し付けられた胸がぷにゅんぷにゅんって動き、布地越しでも
しっかりと感じられる乳首がコロコロッてぇ……
な…生殺しだぁぁ〜〜!!こんなの見せられて、こんな事されて、俺は、俺はもう!!
「ほら、しっかりと立ってください」
さわ……
「はうっ!!」
不意に動いた啓子さんの手が、ズボン越しに俺の息子にそっと触れる。
「まぁ、こんなに大きくなって。何があったかは知りませんが、とても苦しかったんでしょうね……」
そしてその手はゆっくりとチャックを引き下ろすと、開いた社会の窓からパンツの中にまで侵入して、いきり立ち
まくってる俺のチ○ポを手際よく外に引き出した。
「け…啓子さん……」
「本当に大きい……形も良くって、すっごく固い……美味しそうよ、山野さん」
啓子さんは赤い舌で唇を一舐めすると、細く、滑らかな指を、露わにされた俺のチ○ポにまるで形を確かめるように
這いまわらせる。
上手い……こ…これは……うっ!……き…きもちいい……ほぅ!!
「この暴れん坊で一体何人の女性客を食べたのかしらね?今度は……私が食べちゃおうかしら。ふふふふふ……」
あぁ……耳に暖かい息が………むおっ!!ヤ…ヤバい……!!
股の下からせり上がってくる快感に歯を食いしばって耐えていると、剛直の先端から先走りがドンドン溢れてくる。
啓子さんはその透明な液体を指ですくうと、敏感な先端に塗りつけて揉む様に擦りつけてくる。
「苦しそうね。出してあげましょうか?こんな場所で良ければ……ふふふ」
そ…そんなにされたら……くぅ……が…我慢が……
ぷっつん
我慢なんてできるか〜〜〜!!
「啓子さん!!」
あまりの快感に頭の中で何かが切れてしまった俺は、ここが廊下とかそんな事もすっかり忘れて、啓子さんの方に
手をやってそのまま押し倒……
びたん!!
「いって〜〜……あ…あれ?なんで俺だけ?」
確かに啓子さんの肩を掴んだ筈の手には何も握っておらず、俺はたった一人で廊下へと寝転んでしまった。
ぶつけた鼻を押さえながら身体を起こすと、面白そうに微笑んでいる啓子さんが横に立っていた。
「ごめんなさいね。私はこれから少し用事があるものですから、あなたのお相手をして上げる事ができないんです」
「そんな!!ここまでしといて、それはないでしょ!?」
さっきまで啓子さんに擦られていた息子はビクンビクンと痙攣を繰り返し、今にもイっちゃいそうだって言うのに、
こんないいところで終わるなんて……ひどい!!ひどすぎる!!
「手でだったら最後までして上げてもよかったんですけど、生でするのは遠慮しておきますわ。
知ってますか?カウパー線液の中にも精子はあるんですよ。そんなに先走ってるおチ○チンを入れたら、外で出しても
当然妊娠する危険性はあります。
それとも……子供ができてしまったら、山野さんは奥さんと別れて私と結婚してくださるんですか?」
「う……」
し…知らなかった……外で出せば妊娠しないと思ってたけど……
今までエッチした女性の顔が急に思い出される。
舞さん……有紀さん……奈々美ちゃんに夏樹に久美ちゃんに希代香さんに美里さんに恵子さんにそれからそれから……
ヤバい……俺、何人子供がいるんだ!?中に出した娘もいっぱいいるぞ!?
「ひどい!こんなにたくさんの人と浮気して、子供まで作ってたなんて!!隆ちゃんなんて知らない!!大っ嫌い!!
私、子供も堕ろして他の人と結婚する!!ううん、隆ちゃんみたいに旅館にきた男の人とエッチするの!!もう
どうなったっていいの!!」
「タカ坊!!お前って言うヤツは……見そこなったぞ!!お前は去勢だ!!そんなにスケベな金玉は切り落として豚の
餌にしてやる!!いや、剥製にして玄関に飾ってやるぜ!!」
「隆幸さん……あたしが元は男だって言っても、あんなにいっぱい中で出されちゃったら妊娠してもおかしくないん
ですよ。産んで…いいですよね?認知してくれなんて言いませんけど……せめて……この子にお父さんって呼ばせて
あげてください……」
「あ…あぁぁ……ああ……!!」
違う……違うんだ……俺はただ……女の子とエッチがしたくて…じゃなくて……その場の雰囲気で……違う…違う…
許してくれ!!違うんだぁぁ!!!
「ご主人、奥さんを悲しませたくないのなら、もう少し考えてSEXをした方がいいですよ。それでは」
啓子さんが軽く頭を下ろして挨拶するとその場を去っていくが、それにも気付かず、ただただ自分の恐ろしい妄想に
背筋を震わせていた。
「うう……これからどうしよう……」
俺はたっぷり廊下で悩みまくった挙句、絶望に打ちひしがれてとぼとぼと従業員室までやってきた。
いままで、妊娠した、とか、子供を認知して、とか言われに来た事は無いけど、やっぱり不安だ……ひょっとしたら
シングルマザーになって俺の子を一人で育てている人だって……
「……やめよう。切りがないや」
こう言う時は従業員室でテレビでも見て、のんびり昼寝するに限る。そしたら少しは気分も楽になってるさ、はは……
がちゃ
「ん?」
ドアノブをひねって部屋に入ろうとしたが、押しても引いても横にやっても、従業員室の扉は開かなかった。
「鍵がかかってるのか?また梅さんだな……しょうがないなぁ」
以前もサボってると梅さんが鍵をかけちゃったよな。
何故鍵がかかってるかは知らないけど、どうせ今回も梅さんが勝手に締めたに違いない。しかし、俺にはそんなもの
関係ないのだ!
俺はポケットから自分用にとこっそり作った従業員室の合い鍵を取り出すと、鍵穴に指しこみ何の苦労もなく鍵を
開けてしまう。
「さて、早速一眠り……」
「うぅん……」
………ん?なんだ、この声は?
俺が従業員室に入ると同時に聞こえてきた声。その声の主は俺が寝ようと思っていたソファーの上であっさりと
見つける事ができた。
「むにゃむにゃ……」
「た…たくやちゃん!?」
]V.事前へ