二時限目
二時間目:人物設定・前編 「子供たちは世界へと旅立っていく」
ふぅ……やっと戻ってこれたか……金属製だから飛ぶのも疲れる。
「ヒロインは当然あ・た・し☆それでね、周りはぜ〜んぶかわいい男の子♪きゃ♪」
……なにやってるんだ?
「あ、おかえりなさ〜〜い♪鶴のいない間に登場人物全部決めちゃった♪これで超巨編を書くんだから♪」
♪マークばっかりだな……どれどれ、見せてみな。
ヒロイン:スケットちゃん♪
男の子:10歳以下で身長145cm以下の可愛い男の子100人♪
設定:あたしがかわいい男の子たちに囲まれて楽しく暮らすの♪
……没。
「え〜〜、なんでよ〜〜。横暴〜〜!!かわいい女の子のささやかな夢を砕くなんてこのドワルダー〜〜!!」
やかましい!!こんなもんで超巨編なんか書けるか!!短編一話しか書けんわ!!小説なめとんのか!!
「だってだって〜〜、かわいい男の子が100人もいるのよ。これで巨編にならなくてどうするの!?」
名前も何も無いやつは十把一からげじゃ!!通行人その一と同じヤツが百人もいてどうする!?
「そ…そこまで言わなくても……グス……鶴の役に立とうって思って…一生懸命考えたのに……グスン……」
あ……いや……そんな泣かなくても……鶴もちょっと言いすぎたから……悪かった。だから泣き止んで、なっ。
「……………じゃあ、これで巨編書いて」
やだ。
「ふざけるなぁ〜〜!!」
嘘泣きじゃないかぁぁぁ〜〜〜………!!
STEP2−1 最初はこんなの
物語にキャラクターは必要ですけど名前だけなんてのは……
細々とした設定は後にして最初は「テーマ」を決めてイメージしてみましょう。
主役は当然物語の中心です。どんな物語か決まっていれば、それに沿った主人公は想像しやすいでしょう。
でも、すぐに決まったキャラではシンプル過ぎることも……
いいか。今から鶴のキャラ・メイキング(登場人物作り)を見せてやる。
特に主人公とか中心となるキャラさえ作っとけば周りのキャラも自然とできてくるから。
「は〜い……」
……鶴のを参考にしてもっといいキャラを作れば良いじゃないか。じゃあ、いくぞ。
「は〜い」
名前:鶴翼斬魔 性格:強暴
鶴目:鳥目 鶴口:嘴
鶴手:手羽 鶴足:千鳥足
鶴必殺技:鶴ビーム!
「ほう……これを参考に……ねぇ……」
ちょ…待て、これはほんの冗談だ。落ちついて。な。
おい…なんだ、その手に持った金属バットは?お…落ちついて……話せば分かる…話せ……
「問答無用!」
ぎゃぁぁぁ!!
STEP2−2−0 人物設定・基本編 長いぞ
ひどい目にあった。それじゃあちゃんとしたキャラ・メイキングをしましょうか。
短編なんかでは即興で人物を作ってもあんまり問題はありません。四時間目まで寝てましょう。
作家さんの数だけ人物の作り方はあるでしょうが、鶴のやり方で行かさせていただきます。
「ちゃんと分かりやすいように説明しなさいよ。あたしも参考にするんだから」
………誠心誠意がんばります。
STEP2−2−1 物語と主人公
人物を作る前に考えて欲しいのが物語の中でその人物がどのような位置にいるかということです。
推理小説を例に挙げれば、同じ事件でもホームズように少ない証拠と一瞬の閃きで犯人を推理する探偵と、
コロンボ警部のようにどんな小さな証拠も見落とさず、それを積み重ねることで犯人を捕まえるの刑事と、
どちらも同じ犯人を捕まえたとしても、主人公が違うだけで話の内容はまったく異なります。
逆に主人公さえ決まっていれば、切っ掛けを与えると勝手に主人公が想像の中で動き出す、ということも。
日常を舞台としていても個性的な主人公の登場で奇想天外、奇々怪々な物語が生まれる事もあります。
主人公はある意味、物語の中で作者の意見を述べる代行者と言っても良いかもしれません。
いきなりそこまで作り込めとはいいません。最初は性格とかイメージから想像してみましょう。
STEP2−2−2 性格と外見
例:スケット
性格:明るい。周りの人間とも仲がよくて人気者。ただし鶴には我侭砲台で暴力的。
外見:ショートカットがよく似合う。出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでる。とってもかわいい。
持ち物(装備):刀
備考:作者の気まぐれで設定を変えられてしまう
人物の設定を全部書くと長くなりすぎます。普通は想像でいいです。想像した方が動かしやすいような……
長く同じキャラを使う場合、途中で設定が変わらない様に人物設定を作ってるほうが良いかもしれません。
絵があったら想像も楽なんですけどね。
設定も上に書いた形式でなくてもかまいません。
年齢、髪型、スリーサイズ、服装、友人関係、など設定を作ろうと思えばいくらでも作ることができます。
その一部は「裏設定」として三時間目に説明します。
設定を作るのが難しかったらドラマの登場人物なんかをモデルにすると分かりやすいかもしれません。
もっとわかりやすいのは身近の人間をモデルにすることです。例えば友人、例えば家族、例えば自分……
基本アイデアを出して他の人にもアイデアを出してもらうと、設定に深みのあるキャラができる事も。
小説には絵はありませんから、多少長めの小説なら人物紹介を書く場合があります。
その時に読む人に分かりやすい説明をしなければなりません。
面倒くさいです。けど、お決まりの文を一つ作っておくと後々楽です。
「るんるん♪」
おっ、機嫌がよくなったな。
「だって〜〜♪あたしってナイスボディーなんでしょ?それにかわいいって……やだぁ♪」
なるほど。それで機嫌がよくなったのか。
「なんだかんだ言って、あたしの事そういう風に思ってくれてたんだ♪」
………どうしよう………
「ん?なになに?まだあたしの設定書いてくれるの?」
………実はな、外見に書くことがあるんだけど………服の事……
「ほんと♪どんな服着せてくれるの?楽しみだな〜〜♪」
「服装:」を書いてない以上、今のおまえは素っ裸。
「………え?」
だから、すっぽんぽん、丸だし、モロ見え、自主規制、バインボイン!!
「うそぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!!」
いまさら隠したってもう遅い。今までおまえは全裸で鶴の前を行ったり来たりしていたのだ。
ハイキックの時にはアレまでばっちり!死んでもただでは生き返らん!
「いやぁぁぁ〜〜〜!!!!」
………今度は本気で泣き出した。ちょっとかわいそうだな……仕方ない、「服装:チャイナ服」っと。
ちょっと趣味入ってるけど、全裸よりはいいだろう。
「………ふふふ」
あれ?どうしました、スケットさん。
「あちょ〜〜〜!!」
ぐはぁ!!み…見事な……回し蹴り……
「中国四千年の歴史付きの恨み、味わったあるか?」
……はい(下着の設定してなかった)……ガクッ。
注意!!キャラの服装も考えてあげましょう!!
STEP2−2−3 外見効果 上級者向け
おまけです。ちょっと特殊かもしれませんね。
でも利用と、外見を説明するとキャラの性格に対して一定の先入観を与える事ができるかもしれません。
では試しに想像してください。
ポニーテール
さぁ、貴方はどんな想像をしました?
一概にそうとは言えませんけど、ポニーテールには活発な印象を相手に与えます。
動くたびに揺れる髪がそう感じさせるのかもしれません。
逆にポニーテールで落ちついてたり、気弱な感じのキャラなら違和感を感じさせるでしょう。
鶴の知ってる例は―――
長い黒髪:清楚、眼鏡:知性、中国娘:「〜あるよ」、妹:萌え、等など。
この他にも服装でその日の気分を表す事はよく知られています。その年の流行等にも影響を与えています。
髪型、体型、服装、色、これらは絵によく利用されますが、文章化する事で小説にも多少は利用できます。
先に述べたように外見効果はキャラの性格を決めつけるものではありません。
眼鏡っ娘でも時速300kmで走ったり、山を吹き飛ばしたりするキャラもいます。
あくまで先入観である事に注意してください。
それに外見効果を重視しすぎるとありきたりなキャラばかりになる可能性があります。
先入観を裏切るようなキャラを作るのも面白いかもしれません。
「どう、似合う?」
お団子頭か。チャイナ服とよく合ってるな。で……
「下着はつけたわよ。残念でした」
……ちっ。にしても服を変えた途端元気になったな。
「ふっ。外見効果でパワーアップ!3000年の歴史は美容にもいいのよ♪もう向かう所敵無しって感じ♪」
そうか。だったら設定変えてやる。
「え!?」
ほんの一行で服装なんて思いのまま。文章の醍醐味はここにある!
「ちょっと、やめなさい!」
まずは「服装:ナース服」。
「はい。お口をあ〜んして♪痛いところは無いですか〜〜?」
おおっ!性格まで変わってる!次「服装:スチュワーデス」!
「お客様、もうすぐ離陸いたしますのでシートベルトをお締め下さい」
これは?「服装:セーラー服」。
「先輩……私……ずっと…すっと先輩の事が……」
鶴ってスケットの先輩だったの?恥らう表情がいいな。お次は「服装:婦警さん」!!
「………ふっふっふっ」
あれ?なんだかさっきまでと雰囲気が違うな。じゃあ次は……
「そんな事させると思う?」
カチャ
お…おいおい、一般市民に銃口向けちゃ行けないんだぞ。危ないだろ……マジ?
「マジ♪」
笑顔で撃鉄起こすな!
「うるさい!」
ズギューーン!ズギューーン!
「この変態!女の敵!○○○!!逮捕して刑務所に叩きこんでやる!!」
ズギューーン!ズギューーン!
助けてくれ〜〜!!
注意!!途中で性格などの変更できない設定を無闇に変更するのは止めましょう!!
読み手に混乱や変な違和感を与えたりします。
状況による心理的不安など、できるだけ設定範囲内での変更にしましょう。
ただし二重人格は別です。
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