第三話
「ふむ。小さいが形はいいな」
「あん、や、止めてください……ン」
「ふふ、そう言う割には、ここは嬉しそうだな。見ろ、乳首もまるで見て欲しいと言って
いるように、自己主張しているぞ」
「そんな……はぅ……ひぅん!」
彼は先ほど宣言したとおり、むき出しとなった私の胸を遠慮なく眺め始めました。
顔を近づけ、息がかかるくらいの距離から私の胸を観察します。彼の言うように、これ
以上ないというほど勃起してしまっている乳首にも吐息が当たり、その度にもどかしい快
感が襲ってきます。しかも彼は、私の胸にあるかもしれないという印を探すという名目で
この視姦をしているため、様々に角度を変えてくるのです。
正面から、横から、上から、下から。
まるで私の胸の形を脳内に保管するように、ありとあらゆる方向から覗き込んできます。
そんな彼の動きにあわせ、私の胸の上を彼の息が這っていき、私の興奮を冷まさない程度
の緩やかな愛撫を続けてきます。
また彼は時折からかうように、口で息を吹きかけてきます。ケーキのロウソクを消すよ
うなその息は、敏感になりすぎている乳首にとっては強烈な刺激で、背中を仰け反らして
喘いでしまいます。
ですが、それも所詮は息。徹底的に焦らされ続けている私を満足させてくれる事はあり
ません。逆に、余計に疼きを大きくしてしまうだけです。
それでもようやく味わえた微弱な快感に、私は全身を朱に染めてしまいます。
そんな生殺しのような時間がどれほど続いたのでしょう。気付くと彼は私の胸から顔を
離し、発情しきった私の身体を眺めながら怪しい笑みを浮かべました。
「どうやら胸には印は無いようだな。では、次は背中か」
「せ、背中……」
そう言うと彼は私の肩を両手で押さえ、私の頭の脇から顔を出し、視線を背中へと移し
ました。
この時私の心の中では、胸への焦らしが終わったという安堵と、わずかながらも得られ
ていた快感が消え失せる事への落胆とが入り混じっていました。
いくら敏感になってしまっている今でも、背中で焦らされてしまうほどいやらしくはな
っていない。そう考えたのです。
ですがこの考えは、すぐに裏切られる事となりました。
「ハァ、ハァ……んぅ、え? そ、そんなぁ……ふぅん!」
「どうした、悩ましい声を出して。まさか背中を見られているだけでも感じるほど、お前
はいやらしいのか?」
「んくぅ! ち、ちが……あぅう!」
私は、決して背中を見られてはしたない喘ぎ声を出しているわけではありません。この
ようにいやらしく啼いてしまう原因、それは真っ赤に充血してしまっている乳首への刺激
です。
彼が首を回してきた時には快感に酔っていたため気付かなかったのですが、この時の彼
の体勢は、私に抱きつくようなものでした。そのため彼の胸と私の胸が接近し、彼の服が
大きく腫れ上がった乳首を擦ってくるのです。
しかも彼が上手く自分の位置を調節しているのか、それはまるで羽根でくすぐられてい
るかのような柔い刺激なのです。
彼が背中を覗き込むため身体を動かすごとに、私の乳首の先端をチクチクとした刺激が
襲ってきます。触れるか触れないかのぎりぎりのタッチで送られてくる彼からの刺激は微
弱なモノですが、かと言って無視する事もできません。
徹底的なまでの乳首への焦らし。自分でも恥ずかしくなるくらいにいやらしくなってし
まった乳首をもてあそばれ、私は完全に翻弄されてしまいました。
「あっ、くぅ、うぅん! う、うぅ……も、もうこんなのイヤァ!!」
止む事のない執拗な責めに、私は限界に達しようとしていました。
もうこれ以上焦らされたら、本気でおかしくなってしまう。
そう思ってしまうほど追い込まれた私は、胸を突き出して彼の胸板に擦りつけようとし
ますが、両肩を抑えられているためそれもできません。頭を振ろうにも彼の頭がすぐ横に
あるためそれもかなわず、結局身体を硬直させるようにしてむせび啼く事しかできません
でした。
そんな惨めな叫びをあげた直後、彼は私から身体を離し、静かに見つめてきました。
「……」
「うっ……ひっく……」
すすり泣く様な声をあげながらも、抑えきれない疼きに耐えかねて淫猥に身体を揺らす
私を、彼は無表情に見続けます。
ですがそれもすぐに終わり、彼は今までと同じ笑みを浮かべ、私の下半身を見つめてき
ます。
「……胸にも背中にも印は見つけられなかった。ならば、まだ調べていないのは一箇所だ
けか」
「……ぁ」
彼が視線を向けているのは、淫らな想いを隠すかのように下半身を包み込む純白のショ
ーツ。ですが、今までの焦らすような責めで快楽を蓄積していた私のアソコは、清純の証
とも言える白い下着をグショグショに濡らすほど愛液をこぼし、下着をはいていないより
もいやらしい状態となってしまっています。
「どこまで淫乱なんだ、お前は。ヒクヒクとうごめいている秘唇が、透けて丸見えだぞ」
彼の言っている事は、一片の偽りもない真実でしょう。
私自身、アソコが物欲しそうにヒクついてしまっている事、それが愛液で濡れたショー
ツ越しに彼に見られてしまっている事は、痛いほどに分かってしまっています。
ですが、その事を恥ずかしく思う以上に、彼にもっと恥ずかしい姿を見てもらいたいと
いう想いの方が強く、より脚を開いていってしまいます。
これ以上脚を開いたら、股関節が痛みを訴えてくるという位まで開脚した姿。
そんな自分の姿を想像しただけで、より全身が敏感になってきてしまい、余計に下着を
濡らしてしまいます。
それでも脚を閉じず、恥ずかしい部分を隠そうともしない私を見て、彼が行動を起こし
てきます。
「さて、このままでも充分確認できそうだが、せめてもの慈悲だ。最後の一枚も脱がして
やろう」
「あ、くぅ……」
彼は私のヒザの裏に手を当てると、そのまま仰向けの体勢に倒してしまいます。俗に言
う、まんぐり返しの体勢にされた私のショーツに手をかけ、彼は一気にヒザまで引き上げ
ました。脱がされた下着と発情しているアソコの間にかけられた愛液の橋が目に映り、一
層興奮を誘います。
「いい格好だな、前後の恥ずかしい穴が丸見えだ。くく、まさか尻の穴までヒクつかせて
いるとはな」
「は、ぁ……そんな事言わないで……」
私にはお尻の穴は見えませんが、彼の言う事は紛れもない事実だという事は感じていま
す。
女としてではなく、人間として見せてはならない不浄の穴をさらしているのに、私のソ
コはまるで見られている事を悦んでいるかのようにぴくぴくと動いてしまっています。い
え、実際悦んでいるのでしょう。彼の視線に突き刺される事で私のお尻は熱を帯び、彼を
誘うように振ってしまいます。そしてその度に、お尻の穴にすらはしたない疼きを生じさ
せるのです。
後はもうその繰り返し。彼に見られる羞恥でお尻の穴を欲情させ、彼はそれを楽しむよ
うにお尻の穴を覗き込みます。私はその恥辱の循環を断ち切れず、ただ一刻も早くこの疼
きを何とかしてほしいという欲求が、際限なく湧いてくるだけです
「ふむ、見える範囲には印は無いか。なら次は中を調べなくてはな」
「あふぅ……ダメ、開かないで……」
「ほう、まだ未婚なのに、既に男を知っているか。くく、どんどんと蜜が溢れてくるぞ」
「やぁ……」
彼は私のアソコに指を伸ばし大きく開いて、女の子にとって一番恥ずかしい部分を覗き
込んできました。
にちゃあ……という粘着音を鳴らしながら開かれたアソコは、彼に見られているだけで
感じてしまい、とどまる事無く愛液を分泌していきます。
それは今まで散々焦らされ続け、我慢も限界に達していた私の気持ちを代弁しているか
のようです。事実、私は口にこそ出さないものの、今すぐにでも彼にアソコをぐちゃぐち
ゃにかき回してほしいと願っていました。
そのはしたない願いは表情にも表れてしまっており、私は自分でも分かるほど熱を帯び
た瞳で彼を見続けます。彼は動きを止める事の無い私のアソコと、淫らな願いが溢れ出て
いる表情を交互に眺めながら、面白そうに口を開きました。
「さて、見たところ印は見つからんが、もしかするとまだ奥の部分にあるのかもしれん。
見て分からんのなら、とりあえずは俺のペニスでも入れて調べてみるべきだが……」
「あ……」
彼の言葉に、思わず顔がほころんでしまいます。何せそれは、私を満足させてくれると
いう意味なのですから。
また焦らすような動きをされるかもしれませんが、それでもこのまま放置されるよりか
はよっぽどましです。今の私のアソコの疼きからすると、挿入されただけでもイけると確
信できたからです。
そんな女の子として恥ずかしすぎる確信すら悦びに変え、私は脚をより開いてしまいま
す。
ですが彼はそんな私の期待を読み取っているかのように冷たい笑みを浮かべました。
「……止めておくか」
「え?」
「お前は魔女ではないのだろう? ならば、そこまでして調べるのもなんだしな。まぁ淫
乱な魔女ならば、最後の望みとして犯してやってもいいがな」
「そ、そんな……」
彼の言いたい事は、イヤというほど分かってしまいます。彼は私に、自分が淫乱な魔女
だと言わせたいのでしょう。
普段なら、考えるまでもなく口には出せない言葉。ですが欲情を止められなくなってい
る私には、彼の提案はこれ以上ないほど甘美なものに聞こえてしまいました。
「……さい」
「ん? 何か言ったか?」
「っ、わ、私、淫乱な魔女です……あなたに調べられて、恥ずかしい位に身体を疼かせて
しまっています……だから、だからお願いです! 私を気持ちよくしてください!」
恥辱に満ちた敗北の叫び。なのに淫欲に支配された私の頭は、こんな被虐的な言葉すら
快楽に変えてしまいます。
顔を蕩けさせ腰を動かす私を彼は無表情で見つめ、直後哄笑を始めました。
「ははははは! ようやく素直になれたか。ならばいいだろう、最高の悦楽を与えてや
る!」
そこには侮蔑は一切なく、はしたないおねだりをさせた事への喜びだけが感じられまし
た。私もそんな彼の笑顔を見て、ようやく快楽を与えられる事への悦びに満足げな笑顔を
浮かべ、静かにその時を待ちました。
第四話へ