第一話


 ああ、春だ……。
 誰が何と言おうと春だ……。
 蝶は舞い飛び、暖かな日差しが差している。そして満開の桜。まさに春の光景だ。
 そういやぁこの国では、ちとアレな人間の事を「頭が春だ」とか表現するんだっけか。
 最初聞いたときは今一分からなかったが、今この風景を一目見りゃあ、誰でも理解できるんだろうなぁ……。

 こうなった原因は分かっている。
 皆で花見に来たはいいが、あの不良ねーちゃんが持ってきたモンが問題だった。
 C2H5OHが含まれた水に、飲みやすいように甘味や香料を添加した飲み物。
 まぁ有体に言えば、酒ってヤツだ。
もちろんここにいるメンバーの大半は中学生。飲酒はご法度だ。
ぼうずも最初は反対していたが、不良ねーちゃんに一杯飲まされてからはそんな意見もふっ飛んじまったみてぇだ。
 しかし、宮内出雲にルーアン! あんたら保護者なんだから止めろよ!!
「今日は無礼講よ〜♪」だの「花見に酒は付き物です」とか言ってんじゃねぇ!!
 しかも最悪なことに、不良ねーちゃんの持ってきたモンはほとんどが“ちゅうはい”とかいう軽い酒だったんだが、中には“じん”や“あわもり”、“うぉっか”とかいう、凶悪な酒が混じっていた。
 それが結構皆出来上がってきた所に出てきたもんだから、結果は言わなくても分かるだろう。
 おいらは心の底からの溜め息を吐きながら、その悪夢のような光景を見渡した……。



「ハァハァ…ど、どうだ、シャオ!? 気持ち良いか!?」
「ひ…っ…んあ…ふぅあぁああん! き、気持ち良いですぅ、太助様ぁん♡」
 この山で一番太い桜の木にしがみつく月天様と、月天様を後ろから抱き締めているぼうず。
 ……何をしているかは、言わなくても分かるだろうが、まぁ一応言っておくと…セ、セックスってやつだ。しかもバックから。

 最初の一杯を飲んだ後、ぼうずの頭には一気にアルコールが入り込んじまったようだ。
 慣れていないだけなのか、そういう体質なのかは分からないが、とにかく後はひたすら飲むだけ。しかも潰れずに意識があるっつーんだから性質が悪い。
 そして突然立ち上がったかと思えば、いきなり、
「シャオ! 今から俺が愛というものを襲えてやる!!」
 などと、訳の分からんことを絶叫し、いきなり月天様を桜の木に押し付けやがった。
 月天様もかなり飲んでいたんだろう。「いやん♡」などとのたまいながらも、ぼうずに抵抗することなく今に至る。

「くっ…そ、そうか、気持ち良いか……なら、感じるか!? 俺の熱い鼓動を!!」
「くぅん…はぁ、んぁあぁあ! ……は、はい……感じています……太助様の熱いオチン○ンをぉおおおぉお!!」
 ……ますます訳の分からんことをほざくぼうず。
 っていうか、月天様もいちいち答えないでくれよ……。


 しかし2人ともかなりイってはいるものの、それでも盛り上がっているのは分かる。
 ぼうずは酔っているなりにそこそこ理性は残っているらしく、いきなり挿入するなんて無謀な事はしなかった。
まぁ、理性のあるヤツがこんな事するかというツッコミもあるだろうが……。
 とりあえず、月天様を木に押し付けズボンと下着を脱がせた後、ぼうずはまず月天様のアソコを舐め始めた。
 もちろん経験などあるはずもなく、ただ荒々しいだけの愛撫ではあったが、月天様は充分に感じていたようだ。
 今のぼうず風に言うならば、愛の力というヤツだろう。
 最初は戸惑っていた感じだった月天様も、次第に慣れてきたんだろう。
「あ、あぁあん! 太助様ぁ…もっと、舌伸ばしてくださぁいぃ……」
「ン…くひっ…い、良いです…ソコ…ひ…っぇ…? “くりとりす”って言うんですか…?ひ!? んくぅうぅうん!! ぁ、ぁあ…ク、クリトリスゥゥウ!! もっと、もっと潰すように舐めてくださぁああい!!」
 ……などと言うようになっていった。
 結局舌で舐められるだけで、月天様は3回ほどイっちまったようだ。
 ……回数を数えていることには触れないでおいてくれ、頼むから……。

 で、当然月天様のアソコはグショグショになり、ぼうずの顔も月天様の潮でベタベタになっていた。
 そこまで濡れていれば、経験の無い月天様でも挿入はそれほどきつくなかったようだ。
 もちろん、入れられた瞬間は苦痛の声を漏らし、アソコからは純潔を失った証を流した。
 でもそれも一瞬。
 初めての挿入の快楽で我を失ったかのように激しく腰を動かすぼうずの責めにも、月天様は甘い声で応えた。
 その相手を気遣う様子など一点も見えない動きに、「どこが愛なんだ!?」とつっこみたくもなるが、まぁ2人とも悦んでいるみたいだから、コレも1つの愛の形なんだろう。

「はぁう……んくぅ……た、太助様ぁ……もっと突いてくださいぃぃ……私のアソコが壊れるくらぁあぁぁい……」
「シャオ、違うぞ! アソコじゃない、オマ○コだ!!」
「オマ、○コ……? ひぐぅ! くはぁ、ん、んああぁぁぁああ!! オ、オマ○コ……もっと突いてくださいぃい……ひきゃんっ、ああぁん……オ、オマ○コ良いですぅうう♪」
 ……この光景、南極寿星のじーさんが見たら、間違いなく死んじまうだろうな。
 しかしあのじーさんも月天様のお目付け役なんだったら、こんなになるまでに出てきて止めろよ!!


「っく…シャ、シャオ! そろそろ出すぞ!!」
「ん、あ、ふぁ……は、はい、太助様……熱くて濃いの、たくさん私の膣中に出してくださぁい♡」
「ああ、期待していていいぞ、シャオ! ……っう、っく、だ、出すぞシャオ! っぅぅうううおおお!!」
「ひやぁあああん!! 太助様のオチン○ン震えてぇえん! た、たくさん出てますぅううん!! わ、私も……イくぅうぅううう!!」
 また月天様の膣内に出したぼうず。どうやら月天様も達したようだ。
 正直二人が実際にヤリ始めてからは、何度イったのかは分からない。
 それは月天様のアソコから溢れ続けている、ぼうずの精液の量からも分かるだろう。
 まぁ、ぼうずも男だ。あんな生活をしていりゃあ、そりゃ欲求不満にもなるだろう。
 それでもあの絶倫さは異常にも思えるが、それもまた若さってやつだろう。
 こう言っている間にも、また腰降り始めてるし……。
「どうだ、シャオ? 愛というものが少しは分かったか?」
「は、はい……太助様の、熱くて濃くて臭い愛……しっかりと受け取っていますぅうう!!」
「そうだ、コレが愛なんだ、シャオ!! 俺達は今! この山の中心で愛を叫ぶ!!」
「ひ…ンァ…くひゃぁあんん!! コ、コレが愛なんですねぇえぇええ♡」
 ……ぼうず、そのネタは微妙に古いぞ!
 ……月天様、おいら本気で泣いてもいいですか?


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