第十二話


 スタートの声と共に、陽は真由のスカートを大きくめくりあげる。  真由はショーツに包まれたお尻や太股が曝け出された事に一瞬身体を震わせるが、声を あげるような事はしない。もっとも、その身体は見るだけで分かるほど硬直してしまって いるが。  それも無理は無い。いくら自分の物ではなく、はいたばかりだといっても、男に下着を 至近距離から見られているのだ。しかもこれから、自分でもほとんど触れた事がない場所 を触られてしまう。少女の身体が拒否してしまうのも当然だろう 「くく、緊張してんねんな……って、当たり前か。まぁ、せいぜい感じてくれや」 「何を……くぅん!」  陽はそんな彼女の緊張をほぐすかのように、太股を軽く撫であげる。途端、真由は身体 を強張らせ、口からは嬌声が漏れる。 (な、何……今の感覚。あれが、感じるって事なの?)  撫でられた太股から走る、電流のようなに、真由は戸惑ってしまう。  先ほど暗闇の中、肛門を触られた時にも感じてはいたが、あの時は性的な事とは無縁の 状況であったため、それが快感だとは分からなかった。  しかし今、この状況ではそれが性的な快感だとはっきりと分かってしまう。  ただ太股を撫でられただけでそれを認識してしまう。その事に真由は驚き、動揺してし まうが、陽は彼女の身体を触り続ける。 「はは、まだ太股撫でただけやのに、えぇ声出してくれんなぁ」 「う、うるさ、ひゃあ!?」  からかうような声の陽に反論しようとするが、太股を触られるとそこから痺れるような 感覚が流れ、別の声が出てしまう。その事に戸惑う真由を見ながら、陽は太股から手を離 し、彼女の股間へと指を当てた。 「あ、やぁ!そこは……」 「うん、オマ○コやね。俺は君をイかすんやから、当然ここも触らせてもらうよ」  思わず振り向いてしまう真由に微笑を返しながら、陽は下着越しに彼女の股間を擦り始 める。まだ湿り気こそ無いものの、指先からは確かな熱さが伝わってくる。 「や、やぁ!やめて……あ、くぅん!」 (や、アソコが熱い……まだ始まったばかりなのに)  初めて与えられる性器からの刺激に、真由は頭を振って拒絶する。しかし当然ながら陽 は指の動きを止めず、一定の速さとリズムを持って、真由の股間を責め続ける。 「なんや下着が湿り始めたなぁ。そんなに気持ちえぇんか、真由ちゃん」 「し、知らないわよ、そんなの!」  自分の身体が陽の指に反応してしまっている事実を告げられ、真由は顔を真っ赤にしな がら大声を出す。しかし実際には、他ならぬ彼女自身がその事実を認めてしまっていた。 (なんで、こんなに感じるの……?他の皆も、アソコを触られたらこうなるの?)  憎しみさえ覚えた男に股間を触られ、はしたない反応を示してしまう。その認めがたい 事実を認識した真由は、もはや自分が感じている事を心の中で受け入れてしまった。  口からは嬌声が漏れ、腰はわずかだが動いてしまっている。性的な知識のほとんど無い 真由には、その自分の反応が普通の物であるのかすら判断がつかない。ただ身体に力をい れ、そういった反応を止めようとするだけだ。  そんな無駄な抵抗を試みる真由を見ながら、陽は安心したような笑みを漏らす。 (ふぅ。この様子やったら、ちゃんと効いてたみたいやな)  今真由を襲っている強烈な快感。これは単に彼女の身体がいやらしいためだけではない。 彼女が陽の脅迫を断ったときや、着替えていたときに陽がテーブルを叩いて出していた音。 それが原因の一つである。  これは一定のリズムで音を鳴らすことで、相手を軽い催眠状態にするというもので、実 家で習得した技術の一つである。これにより彼女の身体の敏感性をあげてから、この賭け を持ち出したのだ。  もっともその効果は強くはなく、実際にどれほどの効果が出るのかは陽自身分かっては いなかった。だが、現在の彼女の反応を見る限り、充分に効果が出ていると判断していい だろう。 (まぁちょっとばっかし卑怯な手ぇやけど、堪忍したってな。そのかわり、いろんな快楽 を教えたるさかい)  心の中でわずかに謝りながらも、指を動かすスピードをあげる。もはや下着には染みが できるほどに愛液が染み出ており、粘着音が響き始めている。 「まだ五分も経ってへんで。こら、賭けは俺の楽勝かな」 「ハァ、ハァ。そ、そんなのまだ分からないわよ!……え?」  陽の言葉に反論した真由だが、次の瞬間驚きの声をあげて振り返る。理由は簡単、陽が 指の動きを止めたのだ。 「なんや、物ほしそうな目ぇして。そないに気持ちよかったんか?」 「っ、そんなわけないでしょ!!」  反射的にそう叫ぶが、実際には陽の言葉は的を外していない。陽の指は動きを止めただ けで、彼女の股間に当てられたままであるため、じんわりとしたもどかしい刺激が常に与 えられている。今にも腰を振って、陽の指に股間を擦り付けたくなる衝動を必死に抑えな ければならない状況だ。 (そんな……私こんなにいやらしかったの……?)  陽のほどこした催眠のことなど知る由も無い真由は、自分のいやらしい反応にショック を受ける。強気そうだった瞳は不安から儚げに揺れ、顔は羞恥と快感から上気している。 そんな男の興奮を誘う表情を浮かべる真由を見つめながら、陽は静かに口を開いた。 「このまんま触ってイかせてもえぇねんけど、どうせやったらトコトン感じてほしいから な。せやから……とりあえず下着脱がすで」 「え……あっ!?」  真由が何を言われたのか理解できないうちに、陽は素早く彼女のショーツを下ろしてし まう。  一瞬愛液が下着との間に橋を作るが、すぐに切れる。そして下着をヒザの辺りまで下ろ すと、陽は下から覗き込むように、剥き出しとなった彼女の股間を眺めた。 「きれいなオマ○コやね。せやけど、濡れててエッチな感じやなぁ。毛ぇは、と。ふん、 薄いけどちゃんと生えてんねんな」 「いやぁ!そんなに見ないでぇ!!」  生まれて初めて至近距離から自分の性器をまじまじと観察され、燃えるような羞恥を感 じた真由は、大きく頭を振って懇願する。特に今の彼女の秘部の状態は、陽の言った通り "いやらしい"と言える状態だと真由自身が分かっていた為、感じる恥ずかしさもひとし おである。  にも関わらず、彼女は太股を閉じて秘唇を隠そうともしない。それどころか、彼女の秘 唇はひくひくと動き、まるで触られているかのような快感を生み出し、愛液を滴らせる。 視姦など知らない少女は、自分のそのはしたない疼きに戸惑いを隠せない。 (どうして?アソコを見られてるだけなのに、どんどん熱くなっていく……)  彼女の秘唇からは耐える事無く愛液が滴り落ち、倒錯的な快楽に満たされていく。そう して三十秒ほどそのまま放置された真由は、熱っぽい吐息を漏らし、腰をはしたなく揺ら すほどに焦らされていた。 「はは、よっぽど触ってほしいみたいやな。まぁトコトン感じさしたるって言うたさかい な。約束通り、しっかりといぢめたるわ」 (ぁ……直接触られる……)  そう言って陽は指を伸ばし、彼女への責めを再開しようと動かしてくる。  真由はそれが分かりながらも、否定の声をあげたりはしない。逆に半分無意識の内に腰 を若干上げ、陽が触りやすいような姿勢を取る。もちろん股間もより見えてしまうが、今 の彼女にとってはその認識すら快楽を生んでしまう。 (あぁ、ダメ、こんな格好。触られたいみたいじゃない……でも、下着の上からでもあん なに気持ちよかったのに、直接だったら……)  既に真由の身体と精神は、生まれて初めて堪能する快楽の前に屈服し始めていた。経験 が全く無い分、抵抗の仕様が無いのだ。  ただ最後のプライドとして、期待に満ちているであろう自分の表情を見られないよう顔 を俯かせたまま、陽の指が触れる時を待ち続けた。


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