第十三話
「それではお待ちかね。直接お触りタ〜イム!」
(あ……くる……)
やけに明るい声を出す陽だが、もはや真由はその事に嫌悪感を感じない。逆に期待を募
らせるだけであり、その事実を否定する事すらできなくなっていた。
しかし次の瞬間、彼女の期待は裏切られる事になった。
ぴとっ……
「きゃあぁあ!!そ、そこ!?」
「あぁ、こっちも物欲しそうにしとったから。今度はこっちをいぢめてあげようかと」
「い、いやぁ!そんな所触らないで!あぁ、見るのもダメェ!!」
陽が触れた場所は、愛液を滴らせ続けている秘唇ではなく、同じくひくひくとうごめき
続けているピンク色の窄まり――肛門であった。
このまま普通に秘唇を責めてイかせても面白くないと思った陽は、こちらを責めてみる
事にしたのだ。
だが真由にしたら、この責めは完全に予想外のものである。
彼女は肛門をこのような事に用いる知識など全く持っておらず、陽の行動は異常なもの
としか受け取れない。しかも今までは考えていなかったが、この体勢ではさっきからお尻
の穴は丸見えだったという事に今気付いたのだ。
大人しく下げていた頭を再び振り乱し、瞳に涙すら浮かべている。そんな真由の反応を
半分予想していた陽は、苦笑しながら彼女の耳元に口を近づけ小声でささやく。
「大丈夫。とりあえず落ち着こな、真由ちゃん」
「う……うぅ……」
今までとは違う優しげな声で囁いてくる陽に、真由はとりあえず頭の動きを止める。
少なくとも話を聞いてくれる状態ではある。その事を確認した陽は、彼女の肛門に指を当
てたまま囁き続ける。
「真由ちゃん約束したやろ。抵抗せぇへんって。そんなに暴れられたら俺が触りにくいや
ろ」
「そ、それは……」
「それに確かにお尻の穴いうのは、男女問わず気持ちよくなれるところやけど、初めて触
られて感じる娘ぉなんかそうおらへん。せやから、君にとって有利になるやろ」
「……」
(そうよ、今は賭けの最中なんだから。気持ちいい所を触ってほしいなんて思っちゃダメ
……)
陽の言葉により賭けの存在を思い出した真由は、溺れかけていた快楽から何とか抜け出
す。呼吸を整え開きっぱなしであった口を強く結び、そして蕩けかけていた瞳には、しっ
かりとした意思が戻った。
「さて、ほんだら真由ちゃん。君のお尻の穴触ってもいい?」
「……えぇ、いいわよ」
(大丈夫……こんな所触られて感じるわけ無い……)
陽の問いに、真由はしっかりとした口調で答える。その心の中では、自分が肛門なんか
で感じるわけが無いという思いがある。もちろん自分の身体の中で最も汚い穴を触られる
事には、性器を弄られる事以上の羞恥と嫌悪を感じる。
しかし、あのまま股間を触られ続けあっけなくイってしまう事に比べれば、まだ耐えら
れると判断した。陽の言葉により、真由は自分がこの賭けに友人の為にも勝たなければい
けない事を思い出したのだ。
だが、陽も何の勝算も無しにアナルを責めようと思ったのでは無い。彼はしっかりと覚
えていた。二階でのイタズラの中、カンチョウされた彼女が漏らした甘い声を。
「よっしゃ。ほなお許しがもらえた所で、たっぷりと弄らせてもらうで」
(くるっ……)
開始を告げる陽の言葉に、真由は身体を緊張させ、ぎゅっと目をつぶりながら肛門への
刺激を待ち構える。だが彼女は、そうする事でお尻に全神経が集中してしまっている事に
気付けなかった。
ふに……
「んぅ!」
指の腹で優しくアナルを押された瞬間、彼女の下半身を甘い痺れが襲う。それは秘唇を
触られた時とは違うものの、確かに快感と呼べるものだった。
ふにふに……
「あっ、やん!」
(な、何これ、気持ちいいの……?触られてるの、お尻の穴なのに……)
排泄孔をくすぐる様に擦られるたび、真由の下半身ははしたなく揺れ、口からは小さい
ながらも嬌声が漏れる。とはいえまだ指の動きが小さい事もあり、先ほどまで感じていた
快楽に比べれば我慢できないものではない。
だがその快楽を感じている箇所、それが不浄の穴だという事実が、実際に与えられてい
る快感以上の恥辱を真由に与えた。
(いや、そんな……私、お尻の穴で感じてる……)
一度その事を認めてしまえば、後はもう堕ちるだけである。口は閉じているため声は漏
れないが、明らかに感じていると分かる吐息が零れ、触られていない秘唇は物欲しそうに
ひくつき、愛液をたらし続ける。
真由のそんな反応を見て、陽の指の動きも少しずつ激しくなる。
今までは指の腹で押すだけであったのに、今では時折爪で入り口を擦るような動きも加
えている。細かく揺するような指の動きに、少女ははしたなくお尻を揺らしながら悶えて
しまう。
そして緊張が解け始めたピンク色の窄まりに、指の第一関節が入れられた。
「あくぅ!」
(や……お尻の中に……)
初めて味わう肛門への異物感に、真由は顔をしかめる。だがそれも一瞬。陽が指を細か
く震わせるように動かすと、途端に甘い刺激に襲われる。
「あぁ、ン、くぅう!」
肛門から全身に広がる快感に、真由はのどを仰け反らせ喘いでしまう。もはや肛門を触
られている嫌悪感は消え去り、ただ羞恥と快感だけを感じていた。
「おっと、そろそろ五分過ぎたな」
その声に、真由は壁に掛けられている時計に目をやる。すると、確かに開始時より五分
ほどが過ぎていた。
(あ、後十分……)
その時間に、真由は希望と絶望を同時に抱いた。決して長い時間ではないが、今まで与
えられた快楽の事を考えると、耐えられるかは分からない。それに彼女は今までにイった
事が無いのだから、全く予想がたてられないのだ。
と、突然彼女の肛門から陽の指が引き抜かれた。
「え……どうして……?」
心の中で生じた、もっと触ってほしいという淫らな欲求を抑えきれず、真由は残念そう
に陽に問いかける。彼は真由のお尻を両手で固定しながら、その問いに答えた。
「君のお尻の穴、もうちょいほぐしてあげようかと思って」
そういって彼は顔を真由のお尻に近づけていく。真由は彼の次の行為を理性では否定し
ながらも、本能では予測し、そして期待してしまっていた。
(ウソ……そんなまさか……)
ちゅっ
「ひっ!?」
「ん、ぴちゅ、ちゅ、んぅ」
(そんな……お尻の穴舐められてる!?)
半ば予想していたとはいえ、排泄孔を舐められるという信じがたい行動に、真由はパニ
ックに陥りかける。だが舌が肛門内に侵入して彼女の粘膜を舐めまわすと、激しい快楽が
少女を支配する。舌は先ほどの指よりも深く入り込み、指や爪とはまた違う快感を彼女に
もたらす。
それによりパニックに向かいかけていた彼女の意識は、全てが肛門へと向けられる事と
なった。
「あん、や、あくぅ!そ、そんなお尻の穴舐めないでぇ……熱くなっちゃう!」
肛門粘膜から絶え間なく送られてくる痺れるような感覚に、真由は自分が何を言ってい
るのかも分からず声をあげる。だが、もちろんそれで陽が舌を止めるわけが無い。逆に彼
女の直腸内でより一層激しく舌をかき乱し、彼女の肛門をほぐしていく。
「やぁん、ひぅ!あ、ン、んはぁ!お、お尻ダメェ!」
(やぁ、気持ちいいよぉ……こんあのダメなのに、お尻の穴で感じてちゃいけないのに
ぃ!)
もはや自分が肛門で感じてしまっている事は否定しないが、今だ理性では賭けの事を気
にし、押し寄せる快楽に何とか抵抗しようとする。だが肉体の方は完全にアナルからの刺
激に屈服してしまっており、床に付いていた手は力なく崩れ、陽に支えられている腰だけ
が高く上がった、より卑猥なポーズを取ってしまい、上下の口は共に開きっぱなしで、だ
らしなくヨダレをたらしている。
真由はそんなはしたない自分の姿を認識するほどに熱くなっていく身体を止められず、
ただ与えられる快楽を甘受するしかできなくなってしまっていた。
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