■第三話


「さて」
「・・・・・」

軽く咳払いをして話を始める。
目の前には全裸のままの望が床に正座している。
散々交わりあった後、二人して気を失い一晩眠っていた。
体の疼きはもう消えている。

「始めに。何か言う事はある?」
「ごめんなさい」
「それは何に対しての謝罪?」
「媚薬を飲ませたことと処女を奪ったこと・・・」
「・・・そうね」

言わせて自分で悲しくなった。アタシの初体験が・・・

「とにかく! もうこんな事は二度としないと約束なさい!」
「はい・・・」
「それから罰として・・・・」

アタシは前から気になっていた物がある。
今なら望だって断れないだろう。

「透明になる薬を頂戴」

また変な薬を飲まされないよう、望に毒見させたら見事に消えた。
悪用するつもりはないけど一度やってみたかった透明人間。アタシはついにその薬を手に入れた。

自分の部屋に戻り、早速飲もうかと思ったが、部屋で消えてもしょうがない。
しかし外で消えるなら服を脱がないと駄目だ。

悩んだ結果、適当に服を身に着けて薬を持って外出した。


あまり遠出するのもちょっと怖いので、近所の公園に行きトイレに入って薬を飲んだ。
しばらくして自分の手が透けてくる。

1分ほどで完全に見えなくなった。
個室から出て洗面所の鏡で確認しても服だけしか写っていない。

「ああ・・・・すごい・・・」

服だけ浮いているのが見られたら騒ぎになるので、服は全て脱いで茂みの中に隠す。
裸になるのは少し抵抗があったが、誰にも気付かれないという開放感が勝っている。
思い切って繁華街の方へ行ってみることにした。

街中を歩いていても誰も自分に気付かない。

雑踏の中で女子高生のスカートをめくってみる。
悪そうなオジサンに足をひっかけて転ばせてみる。
少年がジュースを買おうとしている自販機で熱いお汁粉のボタンを押してみる。

気付かれないのをいい事に馬鹿ないたずらを連発していた。

「映画でもタダ見しようかな〜」

そんな事を考えながら歩いていると、4,50才くらいのオバサンとすれ違いそうになった。
相手はこちらが見えないので油断しているとぶつかってしまう。

「んん?」

オバサンは立ち止まって目を擦っている。

「・・・幽霊?」

幽霊? 何言ってるんだろうこのオバサンは?
ふと自分の足元を見て気付いた。体がうっすらと見え始めている。

しまった! そういえばあの薬ってどれくらいの時間効くの?

考えていても仕方ない。大急ぎで公園に戻る。
しかし体はどんどん色づいて、直ぐに完全に見えるようになってしまった。

「うわ、露出狂だ!」
「おおー、イイモン見たな」
「何考えてるのかしら、最近の若い子は・・・」
「おーい、止まれよ、もっと見せてくれ!」

「見ないでーー!」

泣きそうになりながら素っ裸で街中を走るアタシ。
皆に見られてる・・・そう思うと体が熱くなってくる。

人通りの少ない路地に入って逃げることにした。しかし、

「ねえお姉さん、なに急いでんの? 遊んでかない?」

早く帰りたいのに、チャラチャラした男数人に道を塞がれてしまう。

「どいてよ! この変態!」
「そんな格好した奴に言われてもなあ?」
「好きでこんな格好してるんじゃないわよ!」
「そんなに濡らしてよく言うよ。見られて感じてるんだろ?」

嘘・・・
しかし確かにアタシの秘裂からはダラダラと愛液が滴っていた。
体の火照りも止まらない。

「そんな・・・・違う・・・これは・・・」
「これは何?」
「そんなのいいから通してよぉ・・・」
「良くない良くない」

押し問答している間にもどんどん体が火照って切ない気分になってくる。
両手で隠してはいるものの裸には変わりないので恥ずかしくて死にそうだった。
思わず秘裂を隠している手に力が入ってしまう。

「ひゃうううん!」
「おおっ、オナニー見せてくれんの?」
「ち、違・・・」
「遠慮しなくていいよ、ここ人は滅多に通らないし」

逃げ出したいのに体が疼いて思うように動かせない。
男達は遠慮なくジロジロとアタシを視姦している。

「写メ撮るよ〜」
「イヤッ、止めて!」

カシャ

撮られてしまった。
と同時に軽い快感がが走り、ビクッと体が跳ねた。

「お? イッたの?」
「イ・・・イッてない・・・」
「本当か〜?」

カシャ、カシャ、カシャ・・・

男達は携帯電話を取り出して次々にアタシの体を写真に収めていく。

「あああ・・・・・」

少しでも体を隠そうと強く胸とアソコを抑えた。
そのせいでまた快感が襲ってくる。

「んあああぁっ!」

その快感もすぐに治まり、切なさだけが残る。

「ううう・・・・もう駄目・・・」

ついにアタシは誘惑に負けてしまった。
強く胸を揉み秘裂に指を突っ込む。

「あああんっ!」

男達から歓声が上がった。
立っていられなくなり地面に膝をつき、犬のようなポーズで自慰をした。

「あっ、あっ、あっ、もうイッちゃう〜!」

そのまま全身を弄って、道路の真ん中で絶頂してしまった。

「ふああああああぁーーーーーー!!」

・・・・・

気がつくと周囲には道を塞いだ男達以外に大勢のギャラリーがいた。
四つんばいのままのアタシを後から眺める人、顔を覗き込む人、携帯で写真を撮る人。
どこから持ってきたのか、ビデオカラを回している人までいた。

「イヤーーーーーー!!!」

正気に戻ったアタシは人ごみを掻き分けて一目散にその場から逃げ出した。


公園で服を着てマンションに戻ったアタシは、ショックでしばらく動けなかった。

ピンポーン
部屋のチャイムが鳴る。望だった。

「昨日お姉さまが飲んだ香水・・・媚薬ですが、しばらくするとまた疼いてしまいますので、中和剤をお持ちしました」
「・・・・・・」
「あの、どうかなさいましたか?」
「それを早く言えーーーーー!」


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