■第ニ話
(これって服とか脱がされてそのままここで・・・)
嫌な想像が頭を過る。
「鞄と財布と携帯を出せ」
抑揚の無い声で男が言う。ビクビクしながらそれに従う。
(なんとか隙を見て逃げなきゃ・・・大声で叫べば助けが来るかも)
「この辺は昼も夜も滅多に人が通らない。助けを呼んでも無駄だぞ」
見透かしたように男が言いい、鞄をごそごそと漁る。
「これはお前のじゃないな」
取り出したのは茶色い財布。一昨日の戦利品を入れっぱなしにしていた。
「やっぱり常習犯か。この社会のゴミめ」
そして男は懐からナイフを取り出して突きつけてきた。
「ひっ・・・ごめんなさい。もうしませんから許して・・・」
「どうするかな。お前みたいな人間をほうっておくのもなあ?」
(こんな事をするあなただって、まともな人間じゃないでしょ・・・)
と思いつつも、泣きながら謝る。
男はそのまましゃがんで言った。
「スカートをめくれ」
「・・・・・・・」
男の子と付き合ったこともない私にはあんまりな要求だった。
でも下手に騒いだり抵抗したりすれば何をされるかわからない。
「酷いことはしないで・・・」
「そうだなぁ、傷つけたり傷物にしたりはやめておこう。大人しく従えばな」
傷物にしない・・・ということは最後まで犯されるということは無いということ?
しかしその言葉を信用していいのかはわからない。
「どうした? さっさとめくらないと・・・」
「は、はいっ」
考える余裕も無くスカートをめくる。飾り気の無い白いパンツが丸見えになった。
「ふーん・・・」
じろじろと舐め回すように見られ、恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
と、おもむろに男がナイフを太ももにあててきた。
「ひっ!」
「傷はつけないって言ったろ。暴れると危ないぞ」
そう言ってナイフの腹でふとももを撫でる。ひんやりした感触がとても怖くて思わず目を閉じる。
ピリッ
変な音がしたと同時にパンツが少し緩くなった。
ピリッ
「え・・・?」
もう一度音がしてようやく気付いた。男がナイフでパンツの横を切ったんだ。
両側を切られたパンツがはらりと下に落ちる。
「きゃああぁぁ!!」
思わず叫んでスカートで前を抑える。
「おいおい誰が隠していいって言ったよ」
「うぅ・・・」
あんまりだ。悪い事をしたのが原因なのは理解していてもこの状況を呪わずにはいられない。
再び、ゆっくりとスカートをめくり、大事な部分をさらけ出す。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
うすく毛が生え、ぴったりと閉じた部分を男は数分間、無言で見つめていた。
ピロリロリン
何の音かと思ったら男が私の携帯で、私のアソコを撮っていた。
「いやぁ・・・」
しかし逆らうこともできずに、ただじっと耐えるしかなかった。
さらに顔の写真や全身の写真も撮られてしまう。恥ずかしさと悔しさで涙が出てきた。
そして
「もういいぞ」
その一言にほっとしてスカートを下ろす。
カチカチと携帯を操作していたが、どうやら自分の携帯にも今の写真を移しているようだった。
それが終わると男はニンマリと不気味に笑った。
いやな予感がしたが、今度はふっと優しい顔になり、
「ホレ、返す。学校行きな」
と、鞄とサイフを返された。
「え? ・・・あ、はい」
なにもされないのか・・・。
安心して胸を撫で下ろした私に男が続ける。
「これは没収な」
一昨日スった財布と、私の財布に入っていた現金。そして・・・切られたパンツ。
「あ・・・はい」
お金くらいは仕方ない。片方は元々スったお金だし、自分のお金もそれほど入ってない。
パンツもどのみちアレでは穿くことはできない。持っていかれるのは恥ずかしいけど諦めよう。
「こっちは預かっておく」
そう言って見せたのは私の生徒手帳と携帯電話だった。
「そんな! 困ります!」
「あとで返してやるよ。学校終わるの何時だ」
「3時くらい・・・」
「じゃあ4時に一人でここに来い。遅れるか誰かにこの事を言ったらさっきの写真をばら撒くぞ」
そういって私の携帯を見せ付ける。
「・・・・はい」
力なく答えると男は満足そうに頷いて出て行った。
「・・・とりあえず学校に行こう」
トイレから出て駅へ向かう途中、やけに涼しく感じて思い出した。
私は今ノーパンなんだ。
思い出したら落ち着かなくなってきた。
コンビニで買おうかと思ったがお金は全部持っていかれた。定期はあるので電車には乗れるが買い物はできない。
「ううう・・・こんなことならカードの電子マネーでも持っておけば良かった・・・」
携帯があれば買い物もできるけど、それも取られた。
結局、私はその日一日をノーパンで過ごすことになってしまった。
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