Racing With The Moon/12


   



私よりウンと大人のあなたに近付きたくて
「私の時計の針だけをみんなより早く進めて下さい」って
ロマンスの神様にいつもそうお願いしてた。
もし私があなたと同じ年齢だったら、傍に置いてくれていた?
そんな“もしも”を想像するだけで胸がドキドキしたんだよ。
学生服で駅まで毎朝駆けて行くあなたの背中を見送る度、
二人の距離を切ないぐらいに感じてた。
そんな互いの境界線を寂しく思えていたのは私だけなのかな?
あなたと並んで歩いて「お似合いだね」って言われる事を
夢見ながら毎日を過ごしていたんだよ。
泣きたいぐらい大好きで、伝えたい気持ちが胸に溢れて
何もかもが綺麗に映る輝きをあなたがくれたから……
こんなにも愛しく思い出すのかもしれないね。
いつの日か「大好きです」ってちゃんと言わせて?
その日が来るまで、もう少しだけ夢を抱いて眠っているから。



   


(C)2005, Y.Amagi, All Rights Reserved.