格安の代償2


美香は暗がりに一人残されている。十分ほど経ったか、それでも静寂は続いていた。一点に立ち通しなのでさすがに疲れてきた。ちょっと身体を傾けるとゴロッと音がした。
(あれ?…動ける…)
見上げると手枷を吊っている金具はレールの中にあった。レールはちょっとしたあみだくじのように天井を張り巡っている。部屋半分ほどには大抵行けたが、ベンチのある方へは届かなかった。
ちょこちょこと狭い歩幅で歩き回ってみた。部屋の隅っこにシャワーセットが設置されているのを除けば、あと目新しいものはない。
以前友人に付き合って、ペットの美容室(トリマーというのだそうだ)に入ったときのことを思い出した。
(なるほど…)
シャワー、室内全面が水周りの良いタイル張り、待合のベンチ、確かに似たような装丁である。違うところは、ベッドではないおかしな形の椅子のようなものだ。
ここから見ると左右対称になっているのがわかる。両側が盛り上がっている小さな滑り台のようにも見えるし、小さなスキージャンプ台のようでもある。角張っているところがなくすべてが曲面で出来ていて、あちこちに窪みがある。ジャンプ台のこちらに飛び上がるところは中心が緩やかな逆V字型に山を描き、小人が競技するには真ん中にコースをとらないと飛距離は伸びそうにない。オブジェの側面にはかすがい状の取っ手がところどころに付いている。山のふもとである足元にはアタッシュケースについてるようなバックルがところどころに付いていた。
オブジェの両脇にはなぜか階段がついている。壁に向かってどん詰まりの三段ほどで、それぞれの段に滑らないようゴムが敷かれているからには実際に足で上り下りする階段だと思った。壁にはここにもいくつもの取っ手があちこちに打ち付けられ、どんな身長の者でも背泳ぎのスタートが出来そうに思える。なぜか天井から続いたレールが壁にも上から縦に這い降りていた。

どう考えてもこれだけはわからない物体だった。観賞用にも見えるし、回りの部品や部屋の大きさからしてもなにか使用目的があるような気がする。
おそらくそのうち明らかになるだろう。もしかしたらここは一時的なだけの場所で全然関係ない物なのかもしれない。
(…まさか…)
美香はさきほどのペット用の部屋を考えてみた。もしかしたら・・
(…猫や子犬がうじゃうじゃと…)
足元に群がる一面の犬や猫、粗相をしてもかまう事のないこの部屋はうってつけである。服に何匹も這い上がってきたらどうしよう。爪でボロボロにされてしまうに違いない。旅行客の衣服を破損させるなどばかげたことだ。美香は微笑して首を振った。
(…疲れたな…)
いつまでこうしておく気だろう。美香は足元にある階段というかお立ち台に上がった。これで腕が少しは下げられる。そしてまた丁度腰のところにオブジェがあったので寄りかかった。
(座ってもいいのかなこれ…)
膝を伸ばして少し後ろに腰を乗せた。体重から足が開放されて楽になった。
ずるっ…
「おっ!おおっ!」
腰がジャンプ台の窪みに落ちた。T字路をこちらに分かれた天井のレールを金具が伝った。
「うわっうひゃーー…」
ジャンプ台が山になっているので足が両側に開いてしまう。脇から必殺カニバサミをする羽目になった。
「あ、だめだだめだぁ」
座るものではなかったのだ。丁度横にある窪みに足が着いたので美香は腹筋を駆使して跨ったまま起き上がった。
「でも…いいかげん戻ってきてくれないと…」
半ばではあるが尿意が迫ってきていた。

かちゃ…
そのときドアが開いた。予想に反して入ってきたのは初老の男性だった。娘だろうか、美香と同じぐらいの女性も一緒だった。入ってくるなり老人は「は?」という顔つきで、女性は怯えたような驚き顔で美香を見た。
「…こんに…ちは…」
「こんっこんっ…こんにちはっ」
慌てるのも無理はない。背もたれを抱えて椅子に座っているようなはしたない姿勢なのだ。
美香は窪みを頼りに立ち上がると下へ降りた。拘束された手は再び頭上へ伸ばされた。
「あっあのっ…なんかへんなことになっちゃって…ここ…なんか…使うみたいですよ…」
「ああ、知っとるよ…ええと…」
杖をついた老人はドアを開けて外側を見た。
「そうそう、美香ちゃん…」
「え?ああ…そうですか…それよりこれはずしていただけませんか…もう疲れて…」
「おお、そんなに待たされたかね。すまんのう、時間の連絡が少しずれてたようじゃな。」
「あの…外しては…これどういう…」
美香の言葉を無視して二人はベンチの奥のほうへ座った。うつむいて顔を赤らめている女性に、まだ我慢しなさい、とかぼそぼそと囁いていた。
人影が見えた。ドアが開くと五人の若い男性達が入ってきた。
「あ、あの…」
「あれ、良彦はまだかい?」
「困るなあ、後の人たちのことも考えてもらわないと。」
冗談交じりの一言だったと見え、一同が笑った。
「やっぱり来てたかじいさん。」
「段取りは俺達だって大体わかってるさ。」
「念のためじゃよ。」
「またまた。」
「またまた。」
再び和気あいあいとして一同は笑いあった。そして五人の男達も座った。これで大体ベンチは満席になった。なんのことかわからないが、雰囲気に任せて一緒に微笑んでいた美香もさすがに緊張した。七人の人々がじっとこちらを見ていたからである。
もしかして邪魔なのかと、美香は中央から部屋の奥のほうへ移動しようとした。それを見て二人の男が立ち上がり、美香の両側に離れて立ちふさがった。ベンチに残った男が言った。
「美香はそこにいていいんだ。もうすぐ来るからそのままで。」
さすがに不安になった。空気が一瞬にして異様になった気がする。両側の二人を見返しながら美香は言った。
「…ど…ドッキリですか?…」
「ぷーーーっ…」
「かかか…」
こらえきれずに一同が吹き出した。
「そんなこと言ったのは美香が初めてだよ。」
「まだ気づかないのか?」
もしかしたら、という危機感が大きくなった。女性が一人在席してることがせめてもの救いといえた。

そしてまた数人が侵入してきた。
「たったすけ…」
「遅くなりましてどうも。」
言葉を飲み込んだ。入ってきたのは昨日道端ですれ違った三人のうちの二人だった。少年と父親らしき二人である。
「おう来たか良明…くん。」
「はは、呼び捨てでいいよ。じゃあな良明。」
「え、見ていかないの?」
「親父が一緒じゃやりにくいだろ、みんなよろしく教えてやってくれな。」
そう言うと父親は美香をじぃっとしばらく見つめたあと、場を去って行った。取り残された良明と呼ばれた少年は居心地悪そうにもじもじしていた。
「これでまずは勢ぞろいだ…」
一同が一斉に美香を見つめた。息が詰まる。嫌な予感が強くなった。

「さて…始めようか…」
真正面に座る男が言った。膝に肘をつけて屈み、考え事をする姿勢でこちらを見つめている。ベンチに座る6人の男女、両脇の2人の男がじっと美香を見ていた。
「美香、これからなにが始まると思う?」
「え…なにって…」
「この部屋で思うように動けないのは美香だけだ。そうだな?」
「え…だって…」
「俺達は美香をどうにでもできるってわけさ。」
さーっと血の気が引いた。違う。女子供に老人までいる。そんなわけがない。そんなわけが・・
「美香は普段いつもそんな格好なのかい?大胆だねぇどうも。」
「な…なんでですか…」
逃げ場はない。両脇の男達を見上げながらおどおどするだけだ。
「ここからでもはっきりとわかるんだよ…乳首が…」
「…えっ…えっやっ!…やだっ!…」
いままで忘れていたのが不思議なくらいだ。ふくらみを覆う赤いシャツの上に突起が二つ、男の言うとおりはっきりと見えていた。
「お願いっ!もう外してくださいっ…これはじゃちょっとっ!…」
「みんな考えてるよ。ノーブラのシャツ一枚で隠そうともしないなんて、ちょっとおかしいんじゃないかって。なあ。」
「ちっ違うんですっ…これは…」
「もしかして美香、そういうのが好きなの?見られるのが好きな…ヘンタイ?」
「ああっ!…いやっ!ちがいますっ!…」
横の二人が囁くように言う。
「…はっきりみえるぞ…」
「ああ、乳首がツンとたってる…見られて感じてるんじゃないのか…」
「はうっ!」
堪らずに身をよじる。話題にされたその部分に意識が集中して、布に擦れていることをことさらに強調して感じた。
横の男が少し離れてまた戻ってきた。戸棚から取り出した鋏を手にしている。
「ひっ!」
身の危険を感じ逃れようとしたが、反対側の男が身を寄せてきた。鋏の男も寄ってきて美香はぴたりと定位置に挟まれた。
二丁の鋏を持っていた。男は鋏を分け与えるとそっと美香の胸を触った。
「やっ!やめてくださいぃ…」
しかし男達は胸ではなく、覆っているシャツを摘み上げた。
…しゃきっ…
同時に布を切り裂かれ、同時に手も離れた。布穴は美香の乳首だけを露出させた。
「いっ!…いやあっ!いやぁっ!」
男達は元の位置に下がって他の皆と美香を観察した。前の手を組んだ男が言った。
「やっぱり乳首立ててたな、美香。」
「なにするんですかっ!…いやぁっ!みないでぇっ!…あっ!」
横の男がスカートに手を掛けた。ホックを外すと同時にストンと下へ落ちて行った。下半身を覆うのは下着だけである。
「いやですっ!もうやめてっ!許してくださいっ!…」
「可愛いパンツでよかったな、美香。そりゃそうだ、見られるんだからな。でも海水浴のシーズンじゃないから陰毛の手入れがまだのようだ。少しはみ出てる。美香は毛深いほうなのかな。」
「そっそんな…ところまで見ないでいいですぅ…」
身をよじらせ限界まで腰を引いてかがむのが精一杯だ。横から見ると尻を突き出してる恥ずかしい格好なのにも気づいていない。
「ほら、あんなに乳首がふくらんでる。みんな見てごらん、おっぱいが出るわけじゃないのに吸ってもらいたくて仕方がないんだ。」
「ちっ…ちがっ……ァッ…」
腰を引いた美香の顔がゆがんだ。悔しそうな泣きそうな表情で止まっている。部屋に沈黙が走り、小刻みな美香の腰の他に動くものはなかった。皆が美香の目を見開いた顔を見逃すまいと凝視した。
…じゅっ…じゅっ…
美香にだけこの音が聞こえる。人が見ているこんな状況で美香は下着の中に愛液を排出していた。
「…みな…いで…」

戸惑う表情を楽しんで男は言った。
「濡らしたのか?美香…それともトイレ我慢してるとか?」
まさか正直に言えるわけもない。しかし実際朝の用を済ましていないため、さっきから膀胱が膨らんでいるのは事実だった。言わないほうがいいのはわかっているのだが、なぜか答えなければいけない脅迫感があった。
「ト…トイレで…す…」
「…そりゃ好都合…」
男は両脇の男達に目配せをした。鋏がシャツに切込みを入れた。
「なっ…なっ…やめてっ…やめてくだっ…」
じょきじょきと衣服が切断されていく。異常な状況下で身体がぶるぶると震える。刃物の危険さに思うように暴れる事も出来なかった。そしていくつかの赤い布切れが地面に舞い降りていく。その瞬間から美香の全身を覆うものはパンツと靴下のみになった。
「いっいやあっ!…やめてぇっ!…こんな…いやあぁっ!…」
冗談などの可能性はもうない。実際ほとんど全裸にされてしまった。窓はあるしドアも普通のものだ。助けを求めて大声で美香は叫び続ける。ツアー企画の合間を利用して悪戯をしようとしているこの連中から関原が助け出してくれるのを待ち望んだ。関原でなくてもいい。誰かこの声を聞きつけてくれる者がいてほしかった。

叫び続ける美香を脇の二人が背中と膝を支えに持ち上げた。
「なっなにをっ!…」
軽々と身体が宙に浮く。高々と持ち上げられ少し後方に移動した美香はオブジェの上に着地した。
「きゃあっ!」
先ほど最初の訪問者を迎え入れたときの姿勢になった。しかし腕はさらに上方に引っ張られた。男達が手枷の先を引っ張っているのだ。ごろごろとつなぎ目が天井のレールを移動し、美香の目上を通り過ぎていく。
「く…くっ…」
限界まで背を伸ばされたと思った瞬間、ガラッと音がして両手が後頭部に落ちて身体が沈んだ。つなぎ目が壁を垂直に落ちたのだ。すかさず金具を嵌める音と共に、もう肘が顔より前に出て行くことはなくなった。
「ゆ…ゆるして…」
台の上は全くの水平ではない。丁度リクライニングシートを寝せたぐらいの角度である。足の間にそびえ立つシールドが美香の股間を隠してくれている。その上でベンチに座る人々の顔が獲物を射るような目でこちらを見ていた。
横の男が戸棚から大きな黒いものを二つ取り出して、反対側の男に一つ分けた。
小さなコルセットだった。シールドを抱えている美香の足を引き剥がすと男達は両腿の膝近くにコルセットをしっかりと巻きつけた。
「やっ!…ゆるしてっ…ゆるしてっ…」
じたばたしても無駄だった。迫る尿意で暴れられなくもあった。行き場のない足の抵抗する場は限られている。足を上げても返って巻きつける手助けになってしまった。枷にはリングが一つ付いていた。男達はそれにロープを繋ぐと一方を壁にある端のほうの取っ手一つ一つにくぐした。そして掛け声と共に男達はロープを引っ張った。
「いっいやあっ!いやあっ!」
両膝が胸に近づいてきた。閉じ続ける力などそうはない。股は開かれ、ロープの引き絞りはそこで止まった。
「やめてぇ…やめてぇ…」
涙が頬を幾筋も伝っていた。他人、しかも初めて会った大勢の前でこんな格好をしている事が信じられない。しかしなによりもさっきから身体の奥でめらめらと炎が噴き出しそうになっていることにもっと戸惑いを覚えていた。股間の前に立ちふさがっている板があるのがせめてもの救いだった。
次に男達はそのシールドの陰に隠れた。バチンバチンと音がする。バックルを外している音だ。
(…まさか…)
ごとっとそれが揺れた。最後の砦が遠ざかって行った。シールドを含むオブジェの後ろ三分の一ほどが丸ごと外されたのである。新たに部屋の全貌が見渡せた。目をぎらぎらさせたベンチの面々が身を乗り出していた。
「いっ!イヤーーーッ!!こないでぇっ!」
全員が立ち上がった。大きく開いたその部分目指して進んでくる。すぐに美香は取り囲まれた。全員の視線が上を向かされた下着に注がれたままで。
「濡れてるな。」
「ああ、濡れてる。」
「いやっ!いやですっ!みないでっ!みないでっ!」
「すごいな。透けて外からでも形がわかるぞ。見てみろ良明。」
「見られただけでこれだ。よっぽどのヘンタイ女だよ。」
「アアッ!ヤッ!」
「おっ、ぷくっと盛り上がった。ションベンじゃないよなこれ。」
「ああ、うれしくて美香はみんなの前で大量のマン汁垂れ流してるんだ。」
「ぎいぃっ!」
「おっおおっ、すごっ。」
「次々に溢れてくるぞ…」
止まらない。止まらないのだ。誰も身体に触れる者はないのに愛液が止まらない。そしてもう一つの方も限界だった。
「…おトイレ…いかせてぇ…」
「なんだ、マン汁だけじゃ不満なのか?ウンコかションベンかどっちだ?」
「…お…といれぇ…」
言えるわけがない。哀願して首を振った。
「どっちなんだ、美香ちゃん?」
言わなければ行かせてくれないような雰囲気に飲み込まれた。
「…お…おしっ…こ…」
「ちゃんと言わなけりゃだめだよ。美香はオシッコしたいんですって。」
「…お…おしっ…美香…は…オシッ…コ…したいん…です…」
「…させてくださいって…みんなにお願いしないと。」
「み…美香に…オシッコ…させてくだ…さい…」
「よし、じゃあしなさい。」
「へ…へっ?…」
「このままするんだよ。みんなの見てる前でオシッコしてごらん…」
「い…い…や…」
目の前が真っ暗になった。
「いや…ほどいて…トイレに…行かせて…」
「だめだ。ここでするんだ。出すまで待つ。」
絶望感が重くのしかかった。ほどいてくれない以上ここでするしかないのだ。下着をはいたままで。捧げるように股を大きく開いて。こんなに大勢の視線の中で。
「そんな…そん…やめて…やめて…」
「すごいな。どんどん出てくるぞ。」
「みんなの前でオモラシさせられるって聞いた途端にマン汁の固まり飛び出てきたな。」
皆が視線を集中させながら好き勝手な事を次々に言う。恥ずかしい理由はそれだけではない。見えるのだ。上を向いた股間の様子が美香自身にも見えているのだ。男達の言う事は虚偽ではない。痙攣するたびに下着の上に水分が浮き上がっては消えていた。布に染み込みきれない液が尻の溝を伝っているのを美香だけは知っている。
そして時間と共に限界が迫ってきた。
「も…もう…だ…め…おね…がい…でちゃ…う…」
「なにをするのかちゃんと言うんだよ…」
一斉が水を打ったように沈黙した。前にいる内二人がしゃがみ、よく見えるようにと顔を尻たぶに近づけた。
「…や…だめ…みないで…」
「…言うんだ…」
「…はっはっ…美香に…オシッコ…させてくだ…さい…」
宣言する理由がないのを考えられなかった。ただ、なぜか言わなければならないことは確かだった。いきなり耳元で囁く声が大きく響いた。
「…見てください、だ…」
「…みっ…みて…くださ…い…」
途端に愛液がゴボゴボと湧き出た。一同はそれを見て息を呑んだ。
「…はっ…あ…ひ…」
その中から噴き上がる様に黄色の液体が盛り上がった。
…ジューー…
「…は…あ…や…」
美香は下着の中に排尿している。下着が浮き上がり、マグマのような噴水が中を濡らしながら尻からぽとぽととこぼれて行った。あたりは瞬く間に尿の匂いで埋まっていった。
「ほら、見てくださいって…」
「…みてぇ…みてくださいぃ…」
そのとき下着の両側の紐にはさみが入った。シャキッという音が同時にした。内側の水圧に押されて覆っている布がずりさがっていく。
「あっ!…アアァッ!…だ…だ…」
しかしずり落ちるなどほんの少しの間だった。奔流が布を持ち上げたのが一瞬見えた。ぺろんと下着はめくれ落ちた。水流が一本の線を描き、脇に避けた見物客の向こうへ放出して行った。
「ヤッ!ヤーーーッ!みないでぇっ!」
美香を含む全員が、放物線を射出する秘唇に釘付けだった。
「良明、これが女のオシッコの穴だ。意外と小さいだろう?。美香がいままで濡らしてたのはこの下の穴から出してたんだ。つまりこれがオマンコだ。どうだ、あんまりいやらしい形なんでびっくりしたか?」
「そんな…だめぇっ!…み…みない…でっ…」
このような形で性器を露わにした事などかつて一度もない。多人数に見物された事もない。ましてや、放尿している姿など無論だ。恥ずかしさに気が狂いそうだった。
しかも止まらない。よほど溜め込んでいたのか放尿は止まらなかった。
「勢いよく飛ばすなあ。ここぞとばかりにタレてんじゃないのか?」
「どれ、感度を確かめてみるか。おい、」
男が一人づつ美香の乳首を両側からつまんだ。
「ああっ!…はんんっ!…」
身体に触れるのはその指だけである。肩や胸ではなくいきなり乳首だけをつままれ、美香の身体はびくんと震えた。指はスイッチを操作するようにこりこりとツマミをこねくり回す。放物線の波が何度か揺れた。
「固くなってるよ…」
「すごいな、ションベンしながら感じてんのか、美香。」
「…あ…」
言われるとおりだった。直接の愛撫を受けたのをきっかけに、美香は自分が快感を得ていることに気づかされていた。弄くられる乳首も、上を向いて排尿中の性器も、取り囲む人々も美香自身の視界にすべて入っている。衆人環視で排尿しながらの異常な状況下で感じ悶えているのだ。
「…あ…あ…」
美香の声が上ずった。細い管を通る快感が、スピードをつけてみるみるうちに上昇してくるのがわかった。
「…あ…あ…あ…ぐっ…」
美香の背中がぐっとのけぞって弱まりかけていた水流がちゅるっと勢いを増した。しかしその瞬間、ぱっと男の手は乳首を離れた。
「…ぐっ…う?…うう…ううぅ…」
「全部出したか?」
「…くぅ…うぁ…」
ぶるっと身体を震わせ、最後の飛沫を射出した。達っしようとしたところに寸止めを食らった身体が熱くなる。奥底にある炎が不完全燃焼してくすぶっていた。
ちょろちょろと小さな流れを最後に排尿が終わった。尻たぶのところに顔を陣取り、特等席で一部始終を見届けた二つの顔が、待ってましたとばかりに中心に動いた。
「…スンスン…スン…」
「…スンスンスン…」
「あっ!あっ!…ああっ!…」
男が鼻を近づけて匂っている。触ってない。身体には誰も手を触れてない。激しい鼻息だけをその部分に感じる。それだけではない。鼻息はその下からも感じた。美香は性器と肛門両方の匂いを嗅がれているのだ。
「いっ!イヤッ!」
「…スンスン…小便に混じって…スン…すごくいやらしい匂いが…スン…」
「…スン…くさい…ションベンだけじゃないぞ…美香は…スンスン…すごくくさい…」
「らっ!らえっ!…」
「…スーーーーッ…」
「…スンスン…スーーーーッ…」
「ぐぐぐっ!…ぐっぐっ!…」
ゴポッゴポッゴポッ…
「ハアガッ!…アッガガッ!…」
二人が息を深く吸い込んだとき、尿とは違う液体が泉のようにコンコンと湧き出るのが自分でもわかった。見ているものがヒュゥと声を上げたので、それが全員に視認されているのもわかった。もう恥ずかしさに呂律が回っていない。口の横から唾液がこぼれてしまっていた。
「さ、美香は準備OKだよ。良明、仕度をしなさい。」
「…は…ひ…?…」
すぐ横に良明と呼ばれる少年がきていた。赤い顔をしてこちらを見ている。不安そうな良明のTシャツを後ろから女が脱がせた。肩幅の成長さえまだの幼さが残る華奢な上半身だ。女がベルトに手を掛けながら一人の男が美香に言った。
「良明はすごくオクテでな、まだオンナを知らないんだ。それに…」
少年にぼそぼそと男が囁いた。無言で良明はこくんと頷いた。
「ホントか?…なんと"せいつう"もまだらしい。」
「…?…」
美香が目を細めたのを見て、男は言った。
「精通だよ。まだ生まれてこのかた、射精した事がないんだ良明は。」
そのときにパンツが降ろされた。ぷるんと細いペニスが上に跳ねた。隠そうとする手を後ろの女が制止した。
(…犯される…んだ…)
少年といえど全裸の男性が目の前にいるのである。自分の格好を見れば当然成り行きはそうなる。
「…い…や…アハァッ!…」
いっそう荒い鼻息を股間に感じた。選手交代したようで、終わった二人が立ち上がってとろんとした目で美香を見ていた。さっきの男が良明後ろの女性に警告する。
「さわるなよ、いつ射精してもおかしくないんだ。おまえが握ったらあっという間だぞ。」
ペニスは見たことのない奇妙な形をしていた。頭部分が半分ほどしか出ていない。これが"包茎"というものなのだろうかとおぼろげに思った。
「ほら、美香によく見せてあげなさい。」
男に引っ張られ、少年が近づいてきた。階段を一段上がってそのモノが目の前にかざされた。まだ少しも黒ずんでなく、腹や腿と同じぐらいのきれいな肌色だ。性器というよりも体から出ている"突起"と言ったほうがいいかもしれない。こちらも荒くなっている美香の息がかからないように気をつけている。
しかしそれでも幼い少年には女性の顔にペニスを近づけただけでも感じたようだ。少年の息を呑む音と共に、目の前の包皮はぺろんと剥けていった。自分に向けられた欲望に思わず美香は声を上げる。
「はっ…あっ…あはっ…」
きれいなピンク色の亀頭が剥き出しになった。先がてかてかと光って針でつつくと破裂しそうな風船のようだ。小さな切れ目からぷくっと透明な液が盛り上がっている。しかしこれまでに目にしたモノと違うことは他にもあった。いま剥けたところ全部が"白い"のである。正確には黄色がかったその白いもので亀頭のほとんどが覆われていた。つんざくような異臭が鼻腔を覆い、むせ返りそうになった。
「おお、剥けたか。剥けるんだな良明。剥け始めのときは敏感で痛いぐらいなんだよな。剥けたのはいいが、かえってそれこそ一触即発になっちまったなぁ。」
女に肩を掴まれ少年はあとずさって行った。

二人がかりで匂いを嗅がれ、美香はさっきから愛液をどろどろと放出しっぱなしだった。相変わらず直接身体に触れるものはない。鼻息と視線だけで美香の身体は燃え盛っていた。
「…はあぁっ…はぁんっ…」
(…このままじゃ…このままじゃあたし…)


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