第八話「カルヴァナの真意」


 カルヴァナは、その"芸"の支度をしているみたいだった。どこからかお皿、というよりもボ ウルみたいな物を借りてきて私の2メートルほど先に置く。 「ところで嬢ちゃん。さっき水ん中入ってたんやし、そろそろしとうなってきたんやないか?」 「したいって何を?」  間抜けにも敵に尋ねてしまう私。 「決まっとるやないか。小便や、しょうべん」  カルヴァナの言葉に私は顔を真っ赤にする。そんなこと大きな声で言わなくても。 「そんなこと、ない・・・」  私は小さな声で答える。確かに全然したくないわけでもないけど、そんなに切羽詰まってい きたいというわけでもない。 「ほんまか? 無理せんでもええで」  私の頭の中に、カルヴァナの鈴の音が響いてくる。 「ほら、我慢せんと。してまえばすっきりするで」  そんな風に言われると、なんだかしたくなってきてしまう。 「どや? したくなってきたんやないか?」  カルヴァナの言葉を聞くうちに、本当にしたくなってきてしまった。 「私、ちょっと・・・」 「せやろ? しとうなってきたやろ?」  私はかすかにうなずく。さっきまで全然感じなかったのに、今はしないと気持ち悪い気がす る。 「こういうんは、精神的なもんも大きいさかいな。したい思ったら、しとうなるもんや」  カルヴァナは涼しい顔で言葉を続ける。 「さてと。嬢ちゃんがその気になってくれたところで、芸の説明するで。ちゅうても大仰なこ とは全然あらへん。嬢ちゃんがそっから小便飛ばして前の皿に入れるちゅうだけや」 「!」  おしっこを飛ばすって、そんなこと。こんな大勢の前で。 「見事命中したら、うちから特別ボーナスを出したるわ。せやけど、外したらちょっとキツイ 目に遭ってもろうで?」  カルヴァナの目は笑ってはいない。私をそのキツイ目に遭わせたいんだろう。でも、上手く 命中させれば、それはないってことだ。恥ずかしさを堪えてでも、やるしかないんだろう。  私の体の腰から上が自由になる。でも、開いた両足が棒みたいになってるから、そこから動 くことは出来なかった。 「ほら、体反らせんと前に飛ばんで」 「そこ指で広げたら、遠くに飛ぶで」  カルヴァナが様々な野次を飛ばしてくる。私は言われた通りに体を後ろに反らす。そして、 あそこのひだを震える指で摘むと、自分の意志でそこをゆっくりと開いていった。 「・・・」  腰を突き出し、自分の指であそこを広げた私のそのポーズは、まさにそこを見てくださいと 言っているようなものだった。どう見ても、そこを見せ付けているようにしか見えない。もち ろん、みんなそこを見ている。私のあそこから、おしっこが出るのを待っているんだ。 「ほら、単なるゲームなんやから、もっと気楽にな」  こんなことが、気楽に出来るわけないよ。 「みんなお待ちかねやで。あんたが、小便すんのをな」  カルヴァナは、言わなくてもわかる事をわざわざ言葉にする。私の尿意は、遠くに行ってし まっていた。こんなにたくさんの人に見られてたら、したいものもしたくなくなってしまう。 「まったく、早よ出さんかい。ほんなら、時間制限付けるわ。あと20数える間にせんてと失 格やからな」  カルヴァナがカウントダウンを始める。私は必死になっておしっこを搾り出した。 「やれば出来るやないか」  耳を塞ぎたくなるような音と共に、私のそこから黄色い液体が噴出された。それは、シャワ ーのようになって前方に飛んで行く。その光景を遮るものは何もなかった。女の子のおしっこ がどこから出るのかという事も、私はみんなに示していた。やがて、その勢いが弱まって止ま る。ほんの少しの時間だったのだろうけど、私にはとても長い時間に感じられた。 「ええもん見せてもろたわ。でも、残念やったな」  そう、私のおしっこはお皿まで届いていなかった。元々そんなにしたいわけでもなかったん で、思ったより勢いがつかなかった。こんなに恥をかいたのに、ダメだったんだ。 「ほんなら約束通り、と言いたいとこやけどな」  カルヴァナは笑みを浮かべる。また何かを考えているみたいだった。 「うちも鬼やないさかい、嬢ちゃんにチャンスをあげるわ」  カルヴァナは思いがけない言葉を言った。 「チャンス?」 「うちと勝負するんや。嬢ちゃんが勝ったら、さっきの失敗はチャラにしたる。負けても、さ っきの約束通りにするやけでペナルティはなんもあらへん。いわば、ボーナスゲームみたいな もんや。えやろ?」  元々私に選択権なんかない。同意するしかなかった。 「ほんで、その方法やけど。嬢ちゃん、綱引きって知っとるか?」  私はうなずく。いくらなんでも、知らないはずなんてない。でも、こっちの世界でその言葉 を聞くとは思わなかった。 「なら説明は簡単やな。勝負の方法は、嬢ちゃんとうちとの綱引きや。これなら勝ち負けわか り易うてええやろ?」  大人との綱引き。ちょっと分が悪いけど、もしかしたら勝てるかも知れない。でも、私は考 えが甘かった。カルヴァナがただの綱引きをするわけがなかったんだ。 「せやけど、残念なことにここには綱がのうてな。代わりにうちが持っとるこの糸を使うで」  カルヴァナは、白くて細い糸を取り出す。それを見た私は、嫌な予感がした。 「見た目はこんなやけど、結構丈夫やさかい気にせんでもええで。この糸を体の好きな所に結 び付けて引っ張りあうちゅうわけや。うちはこの指に結ぼ思うとるけど、嬢ちゃんはどこにす るんや?」  私の指は、股間の敏感な突起を指差す。 「ほお、そないな所でええんか。意外と大胆やな。ほな、そこに結ぶで」  それは、もちろん私の意思じゃなかった。カルヴァナの意思が私の指を動かしたんだ。カル ヴァナは最初からこうするつもりだったんだろう。カルヴァナは、濡れてる私のあそこを布で 拭くと、糸を結び始めた。 「うっ、痛い!」 「我慢せい。すぐ終わるさかい」  カルヴァナは私のクリトリスに糸を結び付けた。敏感な所に糸が食い込み、締め付けている。 それだけで、私には苦痛だった。でも、これから更にそれを引っ張られる・・・。  カルヴァナは悠々と綱引きの準備を続ける。私の立っている所の少し先に線を引き、自分の 右手の人差し指に糸のもう片方の端を結わえると、線を挟んで向かい側にしゃがみ込んだ。 「この線越えた方が負けや、ええな」  その線は私の3歩先くらいにある。もちろん、カルヴァナとの距離もそのくらいだ。そんな 距離をこの糸で引っ張るなんて私には出来ないだろう。 「そや、せっかくやから嬢ちゃんが勝った時には更に特典を付けたるわ。この場は放棄して、 嬢ちゃん方全員を見逃したる。どや、なかなか良え話やろ? うちって太っ腹やなぁ」  全然太っ腹なんかじゃない。こんな条件で私が勝てるわけがないんだから。 「ほな、そろそろ始めよか。足は自由に動くようにしたるさかい、精一杯がんばりや」  カルヴァナの合図と共に足が動くようになった。でも、せっかく自由になっても糸が結ばれ ているから遠くに行く事は出来ない。それに、腕は背中にまわされたままピクリともしないか ら。 「ほら、どないしたんや? 早よう引っ張り。せないと勝てへんで」  カルヴァナは糸を動かさない。私の方から引っ張らせるつもりだった。でも、自分から糸を 引くなんて事は出来ない。私が躊躇してると、しびれを切らしたカルヴァナが糸を強く引いた。 「ひゃっ!」  そこの痛みに耐えられず、わたしは数歩前に出てしまう。もう、中央線は目の前だった。 「嬢ちゃん弱いな。もっとがんばらへんか? せないと、お友達もかわいそうやで?」  私の視線の先には、倒れている水ちゃんと空ちゃんがいる。そうだ。2人が起き上がれるま で時間を稼がないと。勝てなくても、せめてできるだけ長く戦っていれば。 「まだ、負けたわけじゃない!」 「そや、その意気や。もっと楽しまへんとな」  私は恐る恐る引っ張る。あそこに走る痛み。でも、私は力を緩めなかった。 「なかなかやりよるな」  カルヴァナの体は全然動かない。糸の繋がれた部分をいたわりながらの力では、これが限界 だった。 「ほらほら、がんばりや」  カルヴァナは、ピンと張った糸を小刻みに引く。私はそれに耐えられず、その度に体を前に 進めてしまっていた。 「もう、後が無いで」  私の足はすでに線に掛かっている。次にひと引きされたら終わりだった。 「それ!」  カルヴァナが強く糸を引く。私はそれに耐えようと踏ん張る。でも、そのせいであそこに強 い痛みがかかって、私は倒れ込んでしまった。 「嬢ちゃん随分とがんばったわ。せやけど、うちの勝ちやな」  私の足は、線を大きく越えていた。カルヴァナは私の目の前まで歩み寄って来ている。その おかげか、私の女の子の突起は怪我をしていなかった。 「さて、約束やからな。頼むで、嬢ちゃん」  カルヴァナは冷たく、そう言い放った。  私は、脚を大きく広げた格好で立たされた。両腕は背中の後ろで組まされていて、体の前を 守る物は何もない。さんざん恥ずかしい事をしてきたけど、そんな無防備な姿で立っているの はやっぱり恥ずかしかった。 「身動き出来へん嬢ちゃんの体を、皆で好きにするちゅう寸法や。さぁ、みんな好き勝手やり なはれ!」  カルヴァナは村の人たちに向かって叫ぶ。村人たちは、戸惑っていたけれどカルヴァナが叱 責すると興味深そうな男の人たちが数人近寄ってきた。私の裸の目と鼻の先に男の人がいる。 そして、私は指一つ動かせないから、大事な所を守る事も出来ない・・・。 「さあ、早よう!」  男の人たちは最初ためらいながらも、私の体に触れ始めた。たくさんの手が私の腕や腹を撫 で始める。そして、それは次第に胸の先っぽや脚の付け根に移動してきた。ある指は私の胸の 固い所をつまみ出し、他の指は私の股の割れ目をなぞる。柔らかいお尻を撫で回されもした。 「あっ、ああ・・・」  敏感な所をいっぺんに触られて、私は声を抑えられなかった。さらに指は、私の体のもっと 敏感な部分にも入り込んでくる。お尻を撫でていた手がその間に入ってきて、お尻の穴にまで 触れ始める。割れ目を這ってた指がその中にまで入ってきて、女の子の突起を摘み上げた。 「だめ! そこは・・・」  そこを摘んだのは、小さい男の子みたいだった。私の声なんか気にせず、さっきの綱引きで 過敏になっているそこをいじりまわす。粘土みたいにこねまわされ、さらには指で弾かれたり もされた。もちろん、いたずらされているのはそこだけじゃない。胸を口で吸われたり、びら びらを引っ張られたりもされた。そして、遂に女の子の穴に指が入れられる。すでにぬるぬる になっていた私のそこに、指はするっと侵入してきた。 「うっ・・・、あ」  指は、窮屈な私の中をゆっくりと動き回り始めた。指が壁を撫でていくのが感じ取れる。壁 に押し付けられた指の形さえもわかりそうだった。 「そ、そこ違う!」  なんと、お尻の穴にも指が入ってきた。そこは、何かを入れるための穴じゃないんだから。 でも、構わず指は後ろの穴もいじりまわす。薄い壁を通して、前に入っている指と触れ合って いるのが感じられた。2つの穴を、それぞれの指がかき回す。最初は苦しかったけど、だんだ んそれが気にならなくなってきた。私の頭に、なんか甘いものが広がってくる。それがなんな のか、私はわかっていた。オナニーの時、いつも感じていたものだったから。このままだと、 私・・・。 「はあ、はあ・・・」  私はもう言葉も出せず、ただ息を吐くだけで精一杯だった。意識が飛んでいきそうになるの を、必死に繋ぎ止める。そう、まだ倒れるわけにはいかないんだ。水ちゃん、空ちゃんが目を 覚ますまでがんばらないと・・・。今は、私の意思とは関係なく体を支えてくれている両足が ありがたかった。自分の力で支えていたんだったら、とっくに倒れてしまってただろうから。 でも、体中をいたぶるいくつもの手は、私を容赦なく追い込んでいく。 頭の中が、もやのようなもので包まれていく。だめ、もう・・・。  その時、水ちゃんが起き上がる姿が私の目に映った。水ちゃんはすぐに今の状況を理解した みたいだった。小さい声で魔法を詠唱し始める。周囲の人も、気遣ってくれたのか静かにして いてくれた。カルヴァナは水ちゃんに全く気付いていない。今だったら、確実に魔法を当てら れる。そして、水ちゃんの魔法が完成した。 「水の流!」  突然の攻撃に、身動きが出来ないカルヴァナ。水ちゃんの魔法はそんなカルヴァナの体を直 撃した、んだけど・・・。 「そんな。なんで?」  水ちゃんが驚くのも無理はなかった。水ちゃんの放った水流は、カルヴァナの体をすり抜け てしまったんだ。そして、カルヴァナの体は揺らいで消えてしまう。 「幻・・・、ですか?」  少し遅れて目を覚ました空ちゃんが震えた声を上げた。 「そや。うちが幻惑士ゆうんを忘れたんかいな。嬢ちゃん方の浅知恵なんお見通しや」  少し離れた所に現れた本物のカルヴァナが自慢げに話す。そんな、読まれてたなんて。相手 の方がやっぱり上手だった。 「そ、束縛の・・・」 「遅い!」  空ちゃんの魔法よりもカルヴァナの動きの方が早かった。カルヴァナの手の動きと共に、水 ちゃんと空ちゃんの体を再び見えない鎖が縛ってしまった。 「もうちょい楽しも思うたけど、こんなおいたするんやったら、そろそろ終わりしましょうか」  カルヴァナの右手に3本のナイフが現れる。そして、そのナイフが私たちの喉元に向けられた。 「終わりや。往生するんやな」  まだ、こんな所で終われない。何か、何とか・・・。 「お待ち下さい」  空ちゃんの言葉で、カルヴァナの動きが止まる。 「なんや? 命乞いなら聞かへんで」 「あの、あなたがこれほどまでにわたくしたちを憎む理由を教えて欲しいのですが?」  そういえばそうだった。この人は、いつもトゲを含んだような言葉使いをしてた。なんか、 私たちをすごく憎んでいるみたいに。 「うちの大事な弟分の仇討ちや」 「弟分?」 「途中であんたらと戦った召喚士の子供や。忘れたとは言わせへんで!」  召喚士の子供って、アソコットだ。 「アソコットのことね」  水ちゃんが私の思ったことを口にする。 「アソコットはうちの弟も同然やったんや。確かに最初に攻撃したんはこっちやったかも知れ へんけど、なにもあんな子供の命までとらんでもええんやないか?」  命までって、そんな・・・、 「そんなことしてないよ」 「そうですわ。水さんがひどい仕打ちをいたしましたが、命に別状はないはずですわ」  水ちゃんは"一言多いのよ"って言いたそうな顔をしてるけど場面が場面だけに言葉を抑えて いる。でも、あの後アソコットになんかあったんじゃ・・・。 「そんな言い訳、うちが信じると思うたんかいな」 「言い訳じゃなくて事実よ」 「そう。私たちが別れた時には元気だったんだ・・・」  その時、聞いた事のある声が聞こえた。 「カルヴァナ、待って!」 この声、アソコット! そして、私たちの視界の中に入ってきた。間違いない、アソコットだ。 ちゃんとピンピンしてる。よかった、元気だったみたい。 「今も聞こえるで、アソコットの声が。よっぽど無念やったんやな・・・」 「もう、空みたいな大ボケかまさないでよ! 本物よ、ホ・ン・モ・ノ」  水ちゃんツッコミが板についてきたなぁ、ってそうじゃなくて。カルヴァナもアソコットに 気付いたみたいだった。後ろを振り返って確認をする。 「アソコット、ほんまにアソコットかいな?」 「うん、僕だよ。カルヴァナ、ごめん、心配かけて」 「ええんや、そないなこと。無事でいてくれたんやったら・・・」 「感動の再会はいいんだけど、ちょっと事情を説明してくれないかしら?」  そうだ。私たち、あらぬ疑いをかけられてたんだから。 「アソコットは羞恥騎士にやられた。マラードはんにそう言われたんや」  そうか、マラードがカルヴァナに私たちを襲わせるために。 「ごめん。僕がすぐに戻らなかったから」 「別にアソコットのせいやあらへん。うちがまんまと担がれたちゅうことや。そないしても、 あの生真面目なマラードはんがこないな嘘つくなんて思わなかったわ」 「これで、一件落着ってことかしら?」 「そやな。嬢ちゃん方、すまんかった」  カルヴァナが指をパチンとならすと私たちの自由が戻った。自分の体を自由にできる久しぶ りの感覚。当たり前の事なのに感動してしまう。 「アソコット、ちょっと向こう行っててくれへんか」  なぜかカルヴァナがアソコットを追い払う。アソコットは不思議そうな顔をしながらもそれ に従った。アソコットの姿が消えると、なんとカルヴァナはいきなり服を脱ぎだした。 元々裸に近い格好だったので、すぐに全裸になってしまう。カルヴァナはツンと突き出した胸 や、脚の間の赤い毛も隠さずに堂々と立ち尽くしていた。 「えっ? な、なんで」  私は恥ずかしながらも、その体に視線を這わしてしまう。 「うちなりの落とし前や。嬢ちゃん方にえらいことしてもうたからな。今度はうちを好きした らええで」  カルヴァナは両手を広げてその全てを晒す。 「そんなこと、できない」  私は咄嗟に答える。 「はあ? あんた、自分がされたこと忘れたんか? うちはあんたを散々晒し者にしたんやで。 遠慮せんと気いすむようにしたらええや。別に良い子ぶる必要はないんやで?」 「そんなこと言われても」  確かにひどいこと色々されたけど、どうにかなったとかいうわけでもないし。それに、私そ んなに・・・。 「わたくしたち和解したのですから、もう敵同士ではありませんし」 「それに、そんな風に開き直られると、なんか逆にやりにくいのよね」  水ちゃんと空ちゃんも同じ考えみたいだった。 「私たちはもうそんなこと気にしてないから。服を着てよ、カルヴァナ」 「ほんま、そう思うとるんか?」  私たちは同時に頷く。すると、カルヴァナは肩を揺らして大笑いをした。 「ほんま、変わった嬢ちゃん方や。なるほど、アソコットが気いかけるのも納得できるわ」  変わってる? そうなのかな。 「残念やったな。うちの陵辱ショウは中止や」  声をかけられた村人達は困ったような顔をしている。 「代わりに、うちのナイスバディを披露するさかい堪忍してや」  そう言うとカルヴァナは、村人達の前でヌードモデルみたいなポーズをとり始めた。 「別に、そんなことしなくても・・・」 「意外と義理堅い方ですわね」 「いいんじゃない? あれであの人の気が晴れるんだったら」  水ちゃんの言う通りかも知れない。私たちは、カルヴァナをそのままにしてアソコットの所 へと向かった。  アソコットは笑顔で私たちを迎えてくれる。良かった。あんなことをしたから嫌われている かと思った。 「久しぶり、ってほどでもないわね」  水ちゃんがアソコットに微笑みかける。 「僕、どうしてもお姉ちゃん達に会いたかったんだ。言わなきゃいけない事があって」  アソコット、随分と思いつめているみたい。 「あの、僕、お姉ちゃん達にあんな事して、だから、その、ごめ・・・」  水ちゃんがアソコットの唇に指を当ててその言葉を遮る。 「ほら、わたしたちだってあなたに色々したでしょ? もし、あなたが謝るんだったらわたし だってそうしなきゃいけなくなるわ。だから・・・、ね?」  アソコットが頷くのを確認して、水ちゃんはその指を離す。アソコットの頬が、少し赤くな ってた。 「そうだ。お友達の、えっとエリザベスは大丈夫? 私、燃やしちゃって・・・」 「平気だよ。あのくらいだったらすぐ再生するから」  良かった。気にしてたんだよね。  しばらくの間、私たちは談話する。前の時はほとんど話せなかったけど、ちゃんと話すとと ても良い子だった。しばらくして、カルヴァナが戻ってくる。 「そういえば、この先の海岸になんか特別な場所があるゆう話、聞いた事あるで」 水ちゃんの剣の光が指している所を聞いたカルヴァナが教えてくれる。 「そこに乙女が眠っているのですね」 「もうすぐ、なんだね」 「というよりも、やっとって感じね」  目的地が近い事を知って、私たちの気持ちが高まる。 「けど、気い付けや。うちとアソコットちゅう手駒を失うたマラードが、何仕掛けてくるかわ からへんから」 「うん、ありがとう」 2人共もうマラードの手助けはしないらしい。私たちは、新しい友達に見送られながら乙女が 眠っているその海岸へと向かった。


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