第22話「ほどける水着の紐」


 結愛子の乳首が水着の間からチラチラ見え始めた。  男子社員たちは乳首見たさに、一斉に結愛子の両脇に群がり、押し合い へし合いしながら、場所の取り合いを始めた。  一方、結愛子は何もすることが出来ず、じっと立ち尽くすだけだった。 (何で紐が外れたの?ちゃんと固く結んだはずよ。あんなに時間かけたは ずなのに..)  確かに、結愛子は水着の紐を固く結んでいた。結び目を緩くするなんて 破廉恥なことが出来ない性分だからだ。他の女性が羨むスタイルを持つ結 愛子であったが、肌を多く露出することを凄く嫌っていた。  さらに、いやらしいことに直面すると吐き気を催す時があり、今までも 恥ずかしい目に遭った後は必ずといって洗面台に駆け込んで吐いていたの であった。  今日も水着姿で受付をすると思っただけで少し気持ち悪くなっていた。  当然ながら、そんな結愛子に水着の紐を緩めろなんて無理な注文であり、 時間をかけて見た目とは全く異なる固い結び方をしたのだ。  そして、解けないことを確認して更衣室を出ると奈緒の取り巻き2人が イライラしながら声を掛けてきた。 「桜野さんっ!水着着るのに何十分かけてんのよっ!あんた何様よ」 「す・すいません。いろいろ準備していて..」 「どーせ、結び方に細工でもしてたんでしょ?図星でしょ!まあ、緩い風 に見えてれば私たちは構わないけどさ」 「・・・」 「ともかく、あんた受付なんだから早く行きな。遅れるわけにはいかない んだからね」 「すいません。今からすぐに行きます」 「!いや、ちょっと待って。桜野さん、あなた顔が真っ青よ。そんな顔で 受付されちゃ、私たちが奈緒様に怒られるわ。特設会場近くの中庭で少し 新鮮な空気でも吸ってきなよ」 「い・いいんですか?時間の方は」 「・・・それぐらいの時間はあるわよ。この時間、中庭には誰も居ないか ら水着姿でも問題ないわ。ほら、さっさと行きな」 「あ・ありがとうございます」 「言っとくけど、中庭には吐かないでね。吐くんなら中庭の端にある洗面 台に行きなさい」 「は・はい」  取り巻きの計らいにより、急いで社内の中庭に向かう結愛子。  さすがに結愛子の吐くとこなんか見たくない取り巻き2人はそのまま、 奈緒のとこへ向かった。  社内の中庭に行くと、結愛子は急いで端っこにある洗面台に顔を近づけ て苦痛の呻き声を出した。 「うぐぅっ..ぅぅぇ..ぅぇっ」  吐きはしなかったが、気を失いそうなぐらい青ざめているのは分かった。  全身からは脂汗が流れており、洗面台の大きな鏡で確認すると顔面蒼白 となっていた。 「深呼吸をして..落ち着かなくちゃ..ふぅぅ..すぅぅーはぁぁー、 すぅぅーはぁぁー」  深呼吸を何度か繰り返すと気分が落ち着いてきた。  嘔吐感から一気に開放されたせいか、結愛子はただぼーと鏡に映る自分 の姿を見ていた。  そして、この後で不可解な行動を結愛子が取り始めた。今まで必死に時 間をかけていた水着の紐を解いてきた。固い結び方と言っても、解き方を 知ってる本人なら、あっさりと解けるだろう。  小さな音を立てて水着が床に落ちた。そして社内の中庭には素っ裸とな った結愛子の姿が映っていた。  裸であるにも関わらず結愛子は銅像のように立ち尽くしている。  Dカップのおっぱいも、盛り上がった恥丘も一切隠すことなく、無表情 で立つ結愛子。  口元では深呼吸をいまだに続けており、どうやら一時的に思考回路がシ ョートしたようだ。  しかし、これは凄い姿である。社内ミスコンで優勝した女性が、恥部を 丸出しにして素っ裸で立ち尽くしている。それも誰でも目の視界に入れる ことが出来る社内の中庭で。  この中庭は社内に設けられた場所なので、中庭に面する部分は全てガラ ス面となって、通路に囲まれている。  その上、遮へいするものがほとんど無く、結愛子の裸体はどの通路から も丸見えであった。  もし、誰かがこの通路を通り、中庭を見たら、素っ裸で立っている結愛 子をすぐに見つけてしまうだろう。  いや、不運なことに女子社員3名が何も知らずに中庭を囲う通路を歩い てきた。  ただ、彼女たちは雑談に夢中だったらしく、結愛子の近くを通り過ぎて も一切騒ぐことなく先へ進んでいった。  会話が楽しくて結愛子の全裸姿に気づかなかったのだろうか?まあ、気 づいていたら何かしらの反応を見せていただろう。  その会話も相当おかしかったのか、通り過ぎた彼女たちが通路に接して あるエレベータの前に着くと突然3人が腹を抱え、涙を流して大笑いして いた。  彼女たちが通り過ぎたあとは、運がいいことに誰も通路を歩いてなかっ た。それに裸となった結愛子もすぐに床に落ちた水着を拾って着け始めた ので、時間としてもわずか5分の出来事だった。  ただ、水着を脱いだのも、拾って着けたのも無意識でした行動らしく意 識を取り戻した結愛子は結び直したことを全く覚えていなかった。 「はっ..こんなとこでぼーとしてる場合じゃないわ。顔色も良くなった から早く受付に戻らないと」  この後、すぐに受付に向かったので本人はずっと固い結び方と信じたま まとなった。一方、取り巻きも結愛子が結び直したことなど知らないので、 解けかかるまで気づかなかった。  こうして、今回の危機を迎えてしまった結愛子だが、まだ水着の紐が解 けないと信じていた。 (背中の紐は結びにくかったから、ほどけたのよ..他は大丈夫よ。それ に首のとこの紐が残ってるし、胸だって周りが騒ぐほど露出はしてない。 ほらっ..ちゃんと隠れているじゃない..乳首なんて見えてないわ。彼 らが何かの影と勘違いしてるだけなんだから..)  そう必死で言い繕う結愛子だが、男子社員たちが覗き込む状況に耐え切 れなくなってくる。そんな恥ずかしさからか、ブラの下で視線に反応する ある感触に気づいた。それは乳首が固く立ってきたのだ。男子社員たちが 見てる中でぶっくらと綺麗な桜色をした乳首が勃起してきたのだ。 (えっ..何でこんなときに乳首が..)  この結愛子の乳首勃起に、横で見ていた男子社員たちが小声で騒ぎ始め た。  ぼそぼそ「うおぉっ、桜野さんの乳首、勃ってきてねーか?」  ぼそぼそ「すげぇっ!真っピンクだ。期待以上のもの見せてきたぜ」  ぼそぼそ「くそぉ〜、時々しか見てねーのが悔しいなっ」  ぼそぼそ「な〜に、もうすぐ首の紐もほどけて、おっぱい丸出しになるさ」  ぼそぼそ「しかし、案外立派なビーチクじゃね?ポッチも綺麗に出てるぞ」  どうやら、まだ完全には結愛子の乳首が露出したわけではない。  けれど、それも時間の問題であり、このまま何もしなければ結愛子の水 着は数分も経たない内に落ちるだろう。  すでに無駄な動きも出来なくなった結愛子。身体をじっとさせて水着が ずれない様にしなければいけなかった。  その間にも結愛子の乳首は固くなってきており、どこまで悪化したのか を結愛子は怖くて直視できなくなった。 (やだぁぁ..ブラを押し上げてる..そ・そんなに立ってるなんて嘘っ)  すでにピンクの乳輪の方は乳首が勃起したことによって、見えやすくな っており、ブラの方も乳首の位置が分かるほど、くっきり布の上にポッチ が浮き上がってきた。 (ぁぁっ..お願いだから、元の形に収まって..思い切り立った乳首な んて見られたくない..)  必死に乳首の興奮が治まるように願う結愛子だが、そんな悠長なことを してる場合じゃない。  もはや水着の紐が解けるまで、2分もかからないだろう。こんなにひど く悪化しても何もしない結愛子に、奈緒が地団駄を踏みだした。 「きぃぃぃ〜!あの子、この期に及んで、まだ気づかないの!?全くぅ〜、 胃がキリキリするわぁぁ〜。取り巻きのバカッ、さっさと動きなさいっ! 周りのクズ男どもも鼻の下ばっか伸ばさないで、注意しなさいよっ!私の 作戦がこんな形で水の泡だなんてぇぇー。最悪だわぁぁぁ〜」  さすがの奈緒もどうすることも出来ずに諦めてしまう中、水着の紐の方 は無情に解けていく。  スルスルッ.. (結愛子)(あぁ..これ以上ほどけたらぁ..)ドキドキッ (奈緒)(きぃぃぃぃっ!私の作戦がぁぁ!) (男子社員たち)(ひゃっほぉぉぉぉぉーーー、マッパ確定ぃぃぃっ!)  パラッ!  首の所の紐とボトムの片方の紐が完全にほどけた。これで水着が全て落 ちて結愛子のおっぱいとおま●こが丸出しになるだろう。 (結愛子)「ああぁっ..」 (奈緒)「!!えっ..」 (男子社員たち)「まっぱぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜〜」「まっぱぁぁぁー」  男子社員たちの割れんばかりのマッパコールと熱気に包まれる中、最初 に結愛子のブラが落ちていく。  ぶるぶるんと大きな揺れを見せながら、結愛子のDカップの美乳が飛び 出した。  この揺れが収まったときに結愛子のおっぱい全てが丸見えとなるわけだ が、ここで意外な助け舟が入ったのであった。 「結愛子!何やってんだ?ブラがほどけたぞ。あと下の紐も片方解けてい たぞ!早く直した方がいい」 「!!は・隼人っ」  結愛子の後ろに、頭を掻きながら現れた川阪が注意してきた。  それも、とっさに結愛子のブラの紐を掴んで、そのまま上に引っ張って 首のところで仮留めしてくれた。と同時にボトムの片方の紐も素早く掴ん で仮留めしていた。  言うまでもないが、この直後に男子社員たちが一斉にため息をついた。  もうすぐで結愛子のおっぱい、いいやマッパとなったのに、それを川阪 が阻止したからだ。  どうやら奈緒が川阪を招待したらしいのだが、社長令嬢の誕生会だと言 うのに、いつもと同じだらしない格好で参加するのが彼らしい。  無精ひげを生やし、ネクタイも思い切り緩めてるグータラ社員の川阪。  が、料理にかけては天才であり、食への知識も相当なものを持っている。  ただ料理以外にはあまり興味ないことや結愛子の恋人でもあるので、他 の男子社員のように鼻の下を伸ばすことなく結愛子に堂々と注意出来たの だろう。 「ほらっ、早く結び直した方がいい。また水着が取れるぞ」 「あ・ありがと..」  川阪に言われてボトムの両サイドの紐を結び直した結愛子だが、この時 になってようやくあることに気づいた。 「ぁぁぁ..」(う・うそっ!)  そう、ようやく結愛子は自分の水着の紐が解けかかったことを知った。  結愛子の全身が一気に真っ赤に染まる。あと数秒遅かったら、完全に水 着が取れてマッパになるとこだった。 (何で緩くなってたの?固く結んだはずなのに..私の馬鹿ぁぁ〜)  一度外れてしまったブラと、恥丘ギリギリまで下がったボトムを見て、 結愛子は恥ずかしさで倒れそうになった。  まして今回は奈緒の罠ではなく、自滅であったので尚更恥ずかしい。  急いで水着の紐を結び直して、川阪にお礼を言う結愛子。  それを見ていた取り巻きや奈緒もホッとした。  そして、川阪は結愛子に注意だけすると、すぐにその場から立ち去った。 どうやら、周りの殺気立った男子社員の視線に気づいたからだろう。  まあ、あと一歩のとこでマッパシーンを阻止されてしまったのだから、 殺気が立つのも分かる気がする。  こうして再び、何事も無かったかのように誕生会の続きとなった。  結愛子は自分のした失敗に納得いかない様子だったが、もっと納得でき ないこともあった。 (私ったら、何でまた緩く結んじゃったのよぉ〜。固く結べるチャンスだ ったのに..どうして)  慌てていたのか、気が動転してたのか、また水着の紐を解きやすく結ん でしまったのだ。それも今度は蝶々結びではなく、より解け易い片結びと なっていた。 (早く隙を見て、結び直さなくちゃ..結ばないと..)ドキドキッ..  結愛子の心臓の鼓動が早くなる。奈緒や取り巻きの隙を見て結び直そう とするが、なかなかチャンスがこない。 (ああっ、またさっきみたいに解けちゃう。早くしないと..)ドキドキッ..  必死になって、結び直そうとする結愛子だが、時間が悪戯に過ぎること になった。 (ブラも浮いてきてるし..下も下がってきてるわ..このままじゃ水着 が取れちゃう。もうすぐ、私が担当するイベントがあるのに..)  結局、結愛子はおろおろとうろたえることしか出来ず、紐を結び直す機 会は訪れなかった。  そして、結愛子が担当するイベントの時間となった。 「桜野さん、そろそろ奈緒様のケーキのロウソク点火をお願いします」 「は・はい」(ぁぁっ..結局、結べなかったわ..)  紐の結び目が今でも解けそうな状態のままで、奈緒の取り巻きに声をか けられ、そのまま結愛子は会場内のステージまで連れて行かれた。  ステージには直径3m、高さ2mの巨大なケーキが用意されていた。  結愛子は、そのケーキ上のロウソクにキャンドルトーチで着火するイベ ントを任されており、巨大ケーキの前に設置してある円形のステージに乗 り、ケーキの高さまでせり上がってから点火するようだ。 「桜野さん、キャンドルトーチなんですが..万が一にもこれで火傷する と私たちが奈緒様に怒られますので手袋をつけていいですか?」 「はい。お願いします」(紐を解かれないようにしっかり水着を見なくちゃ)  取り巻きの怪しい動きを監視する結愛子だったが、特に何もせず普通に 結愛子に手袋をつけるだけだった。 「桜野さん、時間がないのですぐにキャンドルトーチを持ってくださいね。 結構、重いので両手でしっかりと握ってくださいね」 「わ・わかりました」  取り巻きに言われるがままに、しっかりと両手でキャンドルトーチを持 った結愛子だが、この時に恥辱の罠を仕掛けられたのを気づくことが出来 なかった。  実はこのキャンドルトーチ、特性の手袋で掴むと離す事が出来なくなる 仕掛けがしてあったらしい。  つまりは、この瞬間から結愛子は両手の自由を奪われたことになり、危 機的状況の中で円形のステージに案内されることになった。


(最終更新:2011年3月23日)
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