第14話「結愛子の誕生日」


 初夏の暑さが続く7月上旬、結愛子は翌日来る自分の誕生日を楽しみに していた。  実は結愛子の誕生日は七夕であり、この日は毎年いつも忙しい1日とな っていた。  何故忙しいかは後々、順を追って説明することにしよう。  が、今年は社会人になったせいもあり、前日から仕事で忙しい結愛子だ った。 「年次休暇も通ったし、明日に向けて仕事を片付けないとね」  明日の休みの分も残業ですることになり、何とか終電に間に合うように 仕事を終えて、結愛子は借りているアパートの自宅へ帰宅した。  家に着いて時計を見ると23時30分をさしており、急いでお風呂に入り身 体を軽く洗うことにしたのだが、浴槽につかると強烈な睡魔が襲ってきた。 「眠ったらダメ」と何とか起きようとしても油断すると目蓋が落ちている。  ふと考えてみたら、ここ数日は深夜残業の連続で疲れがかなり溜まって いたことに気づいた。 (このままじゃ..まずいわ..zzz)ブクブクブク.. 「!!」ジャバァッ!  水面に映る光が目の前に見えて、結愛子は慌てて浴槽から出た。 「あ・あぶなかったわ..もうすぐで溺れるとこだったわ」  今日はもうお風呂から出て寝たほうがいい。そう思った結愛子が風呂場 を出たが身体がフラフラだった。  どうやら、長湯したせいで逆上せてしまったらしく身体を拭くのが精一 杯だ。 「こんなとこで寝たら大変だわ」  ひとまず身体を休めることを優先した結愛子は裸のままで寝床へ向かっ た。普段はこんなはしたないことをしない結愛子だったが、今日は体力も 睡魔も限界となっており、少し横になって休んでから服を着ようと自分に 言い聞かせて布団に倒れこむようにダイブした。  もちろん、途中で起きることはなく、結愛子は掛け布団をかけないで裸 のままで眠りに落ちてしまった。  そして朝6:00、窓から差し込む日差しと家の前を走る車の音で、結愛子 は目を覚ました。  眠気まなこで窓を見ると、朝の日差しがやけに眩しく、外の景色がくっ きと映ることに気づいた。 「ああっ!カーテン閉めるのを忘れてたわ..」  出かける際に思い切り開けたカーテンのことをすっかり忘れて、裸で眠 ってしまった結愛子。  ただ、結愛子が住んでいる部屋はアパートの2階なので、カーテンを開 けて裸で寝たとしても通行人から覗かれることはないだろう。  まあ、真正面にある高層の共同住宅からは丸見えとなるが、こちらも意 図的に見なければ結愛子の裸は見つからないはずだ。(たぶん)  どちらにしろ、覗かれる以前に裸で朝まで眠ったことに結愛子は深く反 省していた。 「19歳になった日に裸で寝るなんて..最悪っ..」  とりあえず、ずっと落ち込むわけにもいかないので、急いで下着や服を 着て、着替えた後は観葉植物に水をあげてから、日課である朝のウォーキ ングに出かけた。  ウォーキングを済ました後は朝ごはんを食べ、歯磨きをした後に軽い支 度をして、近所にある孤児院「仙蝶ハウス」へ向かった。  実はこの孤児院で毎年、七夕を兼ねて結愛子の誕生会を開催しており、 中学の頃から毎年、七夕の日はここで誕生日を祝ってもらっていた。  ちなみに結愛子はここの出身というわけではなく、ボランティアとして 月に2・3回ほど手伝いにいっている関係だ。  どうやら、この孤児院を運営している園長が結愛子の大叔父であったこ とから手伝いにいくようになったらしい。  ここの孤児にとっては結愛子は天使のようなお姉さんの存在となってい た。毎回、結愛子が訪れることを楽しみにしており、今年は朝から結愛子 が来てくれるので、自分たちで作った折り紙の飾りつけや垂れ幕をつけて 結愛子の登場を待っていた。 「みんな〜、お待たせ♪」「結愛子姉ちゃん」「お姉ちゃん〜」  結愛子が現れたと同時に、子供たちが一斉に抱きついてくる。5分ほど、 子供たちに揉みくちゃにされるが、それほど慕われてる証拠でもあろう。  まあ、結愛子の誕生会といっても、最初に始まるのは結愛子の紙芝居か らであり、結愛子手製の七夕の紙芝居にみんなが目を輝かせながら魅入っ ていた。  意外に結愛子の紙芝居は本格的で、拍子木を時々鳴らしながら、途中な ぞなぞを出しながら進めるので子供たちには大好評であった。  紙芝居が終わると、子供たちからの歌のプレゼントが始まり、結愛子に とっては何よりも嬉しい誕生祝いだった。  その後は椅子取りゲームや風船割りゲームなどのレクリェーションをや り、最後に暑い時期恒例の水遊びをすることになった。  庭に大きいビニールプールを設置して、結愛子が子供たちと水のかけあ いっこをし始める。  子供たちは最初からパンツ一丁で、結愛子は服を着たままの水遊びとな るが、10分も経たない内に全身がびしょびしょとなってしまう。  さらに結愛子の服がびしょびしょになると、子供たちが濡れて邪魔だと 言わんばかりに脱がしにかかる。  普段の結愛子だったら、ここで抵抗するとこだが、相手が無邪気な子供 たちということもあって、いつも素直に脱がされることにしていた。  そして、裸にされるとしばらくは子供たちが手を伸ばし、結愛子の身体 を徹底的に弄り始めてくる。これは別にいやらしい気持ちでやってるわけ じゃない。  男の子や女の子にとって、結愛子のおっぱいやお尻は好奇心をくすぐる 対象物となっていたからだ。  ただ、手加減知らずに弄ってくるので、傍目から見たらきっとすごい光 景になってるだろう。  乳首を引っ張ったり、陰唇を摘んできたりと大人ではなかなか出来ない ことをしてくるが、意外にこの過激な行為を結愛子は受け入れている。  子供たちに他意はないのを分かっているので、例えおま●こを弄られた としても何の抵抗もするつもりはないらしい。  それに、ずっと弄ってるわけじゃなく、10分も過ぎれば飽きて水遊びに 戻るので子供たちの好きにさせていた。  ただ弄る時間が少しずつ増えている気がしてならない。  今回は15分弄られることになり、前回より5分ほど弄られる時間が長か った。まあ、単純に子供たちの好奇心が膨らんだのかなと思うだけで、結 愛子は気にすることなく子供たちのと水遊びを裸のままで再開した。  そう、水遊びですっかり童心に返ってるのか、結愛子は最後まで裸のま まで子供たちと遊び、そのままの姿で疲れきった子供たちと一緒にお昼寝 をしてしまう。  別に子供たちも裸なので自然な形なのかも知れないが、シーツをかけに きた園長には目のやり場に困るだろう。 「・・・年頃の娘が裸のままで無防備で寝るとは困ったの〜。しかし..こ の頃は益々、女性らしい身体つきになってるの..いや..女体に一切の 興味を持たなかったわしまで惑わしてくるほどじゃ」  結愛子が起きないのをいいことに、しばらく鑑賞を続ける園長。 「こっほん、このままじゃ身体を冷やして風邪を引いてしまうんじゃない かの〜。うんうん、ここは日当たりのいいとこに移してあげよう」  そう言うと園長は、日の当たらない部屋の奥側で横向きで寝ていた結愛 子をわざわざ日の当たるとこまで運んでいき、仰向けで寝かせた。  それも股を開かせ、お尻の下に枕を敷かせて「ご開帳」までさせるエロ 徹底ぶり。  本当なら、彼はこんな破廉恥な行動を取る人物ではないのだが、結愛子 の裸体には魅かれるものを感じたらしい。  彼、結愛子の大叔父はかって、世界の料理界のトップに君臨した男であ り、一流料理人たちに「食皇」と呼ばれるほどの料理の大天才だった。  きっと、結愛子の食の才能は彼から引き継いでいるのだろう。  これほどの大人物であったが、ある日突然の引退を宣言し、全私財を投 じて孤児院を経営することになった。そうして、今は一介の孤児院の園長 として、日々を暮らしていた。  こんな偉大な功績を残した大人物だから、決して変なことをするはずは ないのだが.. 「う・う・うぅ..この結愛子ちゃんの裸は..たまらなくス・ス・スバ ラシイぞぉぉぉーー!この料理一筋だった老体にムラムラさせるとはぁ〜、 何という裸体じゃぁぁ〜、見よっ!この燃え上がるパワァァ〜、そしてこ の興奮の高さぁぁ〜、どんな七難八苦でも乗り越えて見てみたい裸体っ! 素晴らしい、すばらしいっ、スッバラシイゾォォーー!どんな男でもしゃ ぶりたくなるような、ぷよぷよなおっぱいぃぃっ!むむっ、何とぉっ、見 事なのは、おっぱいだけではないぞ。乳首も乳輪も最高級っ!形、色、全 てがバランスよく取れておるっ!これぞっ、究極の裸体ぃぃっ!元気満タ ンッ!爆発寸前っ!と言うことで、今回も記念に数枚っ」  パシャパシャッ・・・  どうやら、結愛子の裸は1人の偉大な人物を徐々にエロじじい化してる 様だった。  こうして知らない間に、恥辱な目に遭ってしまった結愛子だが、目が覚 めた時にはちゃんと服を着ており、園長が素直に服を着させたことを話し てきた。 「こら、年頃の娘が裸のままで寝るんじゃない。あまりにもはしたないか ら、わしが着替えさせてやったぞ」 「ごめんなさい、おじさん。服着させていただいて、ありがとうございま す」 「コッホン。着替えさせる際にいろいろ触ってしまったが、それは不可抗 力だから怒らないでくれよ」 「いえ、別にそれは気にしてませんから。おじさんが変なことする人じゃ ないのは分かってますから」「そっか、そっかぁ〜」  結愛子は園長のことを少しも疑っておらず、裸を見られたことも触られ たこともほとんど気にしてなかった。  まあ、水遊びの度に裸になってることが多いので、今さら怒ることでも ないからだろう。  この後は結愛子が子供たちのために料理を作ってご馳走し、食べた後は 園内の大風呂で子供たちと一緒に背中の流しっこをした。  ただ、お風呂から出た子供たちは暑かったせいか、服を着ることを嫌が って一斉に逃げ回り始めたので、結愛子は子供たちを追いかける羽目にな った。 「こらぁぁ〜、大人しく服を着なさいぃ〜」「やだよぉ〜」 「ここまでおいで〜」「まったく〜、みんな待ちなさいっ」  しばらく追いかけっこが続いたのだが、よく見ると追いかけてる結愛子 も素っ裸のままだった。  結局、追いかけっこしてる内に目的を忘れてしまい、そのまま子供たち も結愛子も疲れはてて裸で寝ることになった。  ちなみに園長はすでに就寝していたので、裸の結愛子に服を着替えさせ ることもなく、結愛子は昨日に続いて朝まで全裸で寝てしまった。  こうして1日を終えたのだが、考えてみると結愛子の記念すべき19歳の 日は裸で始まり裸で終わった感じだ。  まるでそれは、これからの恥辱を暗示しているかも知れない。    翌朝、目が覚めた結愛子は孤児院から直接、会社に向かった。  起きたとき素っ裸だったことに再び反省しながら会社に着くと、何とあ の奈緒が入口で待っていた。  また変なことをさせられるかなと結愛子が不安な気持ちで挨拶すると意 外な返事が返ってきた。 「桜野さん、19歳の誕生日おめでとう。1日経ったけど、これは私からの 誕生日プレゼントよ♪変なものじゃないから、受け取ってちょうだい」 「あ・ありがとうございます」 (中身はいったい何だろう..本当に変なものじゃないよね?) 「桜野さん。良かったら、中身を確認してみてちょうだい」 「は・はい..」  奈緒に言われて、慎重に包装紙を剥がすとすごい誕生日プレゼントが現 れた。 「えっ?これって、高級デジタルカメラ..」 「桜野さんが欲しがってるという話を耳にして買ったけど、どうかしら?」 「!あ・ありがとうございます。こんな高いのをプレゼントだなんて、本 当に頂いていいんですか?」 「桜野さんには、いろいろと嫌な思いをさせたから、お詫びも含んでるの よ。私にはこんなことでしか、謝れないから」 「いえ、奈緒さんの気持ちも分かりますので、今までのことは気にしない でください。次の料理勝負でも絶対、勝ちますから」 「それは心強いわね。これからも父の会社のために頑張ってね。今度こそ、 貴女に変なことをしないようにするから」 「はい。これからも頑張ります。奈緒さん、誕生日プレゼントありがとう ございます」  これで奈緒との関係も修復されたと喜ぶ結愛子だが、奈緒が建前での仲 直りをしてきたことに気づかなかった。  それに、プレゼントした高級デジタルカメラも奈緒の深い思惑からした 行為であり、後々の恥辱に繋がるように考えて選んだらしい。  そんなことも知らずに、奈緒からのプレゼントに嬉しい結愛子はさっそ く高級デジタルカメラを使って、しばらくいろんなものを撮って楽しんで いた。  結愛子自身は気づいてないが、自分が被写体になってる割合が日々増え ていってるようだ。  だからと言って、変な写真を撮ってるわけではなく、自分が映った風景 写真を増やしていただけだ。  あとは普段着る機会がない派手な服を部屋で着て撮ってみたりと女性な ら誰でも良くやることを続けていた。 「やっぱ、こんな服は着られないわね。写真で撮ったことだし、今度の資 源ゴミ回収の日に捨てよう。そうだわ、他にも捨てられるものあるかしら」  この際、着ないものは捨てようと衣類を整理すると1度も着けたことが なかった水着が数点出てきた。 「あっ..まだ取っておいてたのね。確か、高校の頃に友達から強引に勧 められて買ったものだわ」  高校生のとき、何回か女友達と一緒に水着を買いに行ったときに「もっ と派手なの着なよ」と買わされた水着が出てきたらしく、今でもとても着 けることが出来ない派手な水着ばかりだった。 「・・・とりあえず、これも写真に撮ってから捨てた方がいいよね」  この時はただ、1度も着ないで捨てるのが勿体無い気持ちから写真に残 した結愛子であったが、これが恥辱の道を踏み出す第一歩となっていたと は結愛子本人は気づいていないのであろう。


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