第2話「料理勝負」
社長令嬢の奈緒が結愛子を堕とし計画を始めてから1週間後。
この日はライバル食品会社との料理勝負であり、奈緒はこの勝負に向けて
いろいろな準備を影で進めていた。
そう、結愛子を堕としいれるために様々な罠を用意しており、成功すれば
結愛子は奈緒と同じ淫女になるであろう。
そんなとんでもないことが進められていることを結愛子は知るはずも無く、
今日の料理勝負のためにパートナーの川阪と一緒に、ここ1ヶ月は料理
準備に翻弄していたのだ。
「桜野さん、1ヶ月の成果、あいつらに見せてやろうぜ」
「はい。1ヶ月休みなしで頑張ったんだから、きっと勝てるわ」
午後2時、結愛子と川阪は自分の食品会社の社長と役員数名、あと開発部
の部長・課長と一緒にある料亭に行った。
そこがライバル会社”木佐下食品会社”との月1回の料理勝負の場であり、
これから料理勝負が始まろうとしていた。
毎月料理勝負をする崎長と木佐下の両会社は共に大手の食品会社で争って
いるせいか、ものすごく仲が悪かったのであった。
その2大食品会社が月1回、いろいろなテーマに沿って料理勝負を行い、
勝負に負けると相手の新製品を少しストップかけることが出来るのであった。
当然、両社は本気で毎回勝負しており、その料理の担当になってしまった
結愛子と川阪は社運をかけて必死に戦っていた。
今回のテーマは鍋物であり互いの鍋物が招待客・両社の出席者に並べられ、
それをみんなで審査して勝敗を決めるのであった。
今回は川阪のアイデアが勝り、崎長食品会社の勝ちが殆ど決まったので
あったが・・・
「ふっ。アイデアはいいがこのダシがなってないな・・・」
「な・何だと!!陸永洋蔵!!負け惜しみか!!」
川阪はすごい勢いで相手側の会社の料理担当者、陸永に向かって怒鳴った
のであった。
陸永洋蔵(りくなが ようぞう)..本来ならこんな社どおしの対決には
出るはずがない大物の美食家であり、陶芸家としても有名な天才料理人で
もあった。
そう、この大物が木佐下との料理勝負に参加してからだんだんとすごい
勝負になってしまったのであった。
「・・・隼人。わしが今回使わなかったこのダシを味わってみろ!!」
「・・・・・!!こ・これは?」
「どうだ?隼人。お主のダシがどんだけ失敗したかわかったか」
「陸永洋蔵ぉぉーーー!!」
「川阪さん。やめましょう。勝負は私たちが勝ったんだから」
「・・・・・・・・・」
そう、実はこの川阪は陸永洋蔵の実の息子であり、中学の頃に家を飛び
出して以来、絶縁状態になっている間柄だった。
「隼人よ。こんな事だからいつまで経ってもくだらん物しか作れんのだ」
「ーーーーーぐぬっっーー」
「川阪くん。もうやめたまえ。陸永さんも刺激しないで下さいよ」
崎長社長が2人を止め、ようやく川阪も落ち着きを取り戻した。
そんな時、相手側の木佐下がちょっかいを出し、またお互いに火をつける
様な発言をしてきた。
「あのー崎長社長。次の勝負はどうします?次はたしかお互い50周年
ですよね」
「ええ、そうですが。それがどうかしましたか?」
「せっかくの50周年です。ここは珍しい料理勝負で行きませんか?」
「珍しい?それはどんなものなんですか?」
「そこまで私は考えてませんよ。そちらでも何か考えてくださいよ」
「まあ、うちは構いませんが。どうだい?川阪くん?桜野くん?」
「ああ、いいとも」「私もいいですが」
「じゃあ、決まりだな。あとは負けた時のペナルティだが・・・
どうだ、この際50周年だから向こう半年間は相手と類似する新製品を
全て止めるという事は?」
「な・なんだとー!?」
「ふふ、こわいのか?崎長?まあうちは陸永先生がいますしね。ひひっ」
「ぐぬー。わかった!その勝負うけて立とうじゃないか!!」
「さすが、崎長。じゃあ後は料理を何にするかだ?そちらの2人は何か
ないかね?」
「・・・珍しいもの?じゃあ例えば今では食べられない料理とか?」
「なるほど。俺もそれを考えてた所だ」
「ふむ。今では食べられないものか。まさに珍品だの。さすがだな。桜野
くん、川阪くん」
崎長社長は私たちの案にえらく気に入って木佐下社長にその案を掲示した。
「ほー。それはいいですね。じゃあ陸永先生もそれでいいですか?」
木佐下社長もその案に納得し、それで決まろうとした瞬間に意外な人物が
口を出してきたのであった。
「あのーそれじゃあまりにも平凡すぎませんか?」
「課長?」
普段ほとんど会話に参加しない結愛子のところの課長が珍しく意見を言って
きた。
「珍品なんて、何かぱっとしないんですがね」
「課長!ぱっとしないってどういう事ですか?」
「そうだよ。2人のアイデアはいいと思うのだが」
「そうですか?でも今では食べられないものの復古料理などあちこちでやって
ますよ」
「でも課長?何かいい案でもあるんですか?」
「ははっ。私は料理の専門家じゃないんでそこまではわかりませんよ〜」
「課長?そんないい加減な..」
「まあまあ、あちらも恐らく私と同じ意見かも知れないですよ」
課長が目線を送った先にいた陸永洋蔵は不敵な笑みを浮かべてきた。
「・・・ふふふっはははははははー隼人よ。そっちの課長は正しいな」
陸永は川阪に向けて大きく高笑いをしてきた。
「!!何がおかしい。洋蔵!!!」
「隼人よ。復古料理などは所詮は素人の考えるものだな...情けないぞ」
「それなら洋蔵!!あんたは何かあるんかよ!!」
「わしに答えを求めるとは情けないぞ!隼人よ」
「なんだとぉぉぉぉっ!」「川阪くん、落ち着いて」
「そうだぞ、川阪。せっかくだから私たちで考えてみようじゃないか」
またしても、結愛子のところの課長がおかしな横車を出してきた。
実はこの課長こそが奈緒の手先であり、何かを引き出そうとしている感じで
あった。
「さあ、川阪に桜野くん。奴をぎゃふんとさせるアイデアを出してやろう」
「課長、そんな安請け合いしないでください」
「そうだ。何かいいのがあるのかよ!課長が先に出してみろよ」
「そんな2人とも〜。私は素人だよ。こんな私が出せるのは下衆なものばかり
だよ。下品でいいなら、いくらでも出せちゃうんだがなぁ〜あはは」
「課長ったら..」「駄目だな..これは」
川阪と結愛子は課長の言葉に呆れたのだが、何故か陸永洋蔵がその言葉に反応
したのであった。
「ふふっ。下衆とは面白いのぉ〜。そうじゃな、下衆なものをどれだけ至高の
一品に変えて見せるのも一興かも知れんな」
「下衆なものを至高にですか..でも、下衆と言っても何か出ますか?」
「木佐下さん。そういえば先ほど、あちらの課長に3日前に食した低俗料亭の
下衆な話をしてましたな」
「!!!せ・先生。ちょ・ちょっとこんな所であの話は?」
「課長?いったい何を話してたんですか?」「どーせ、くだらん事だろ」
「ちょっと3日前にある低俗料亭で会ってしまってね〜。ついでだからと一緒
に食べただけだよ」
「ライバル会社の社長とですか..」「呆れた課長だぜ..」
「あの時は会社の話は一切なしで食事をしただけなんだよ〜」
相変わらず、少し能天気な課長にみんなが呆れてしまう中、木佐下だけは真っ
青になりながら、陸永や課長を何とか口止めしようとしていた。
「ちょっと、この話は駄目だからぁぁー!あれはプライベートなんだから」
「木佐下?何そんなにあわててる?」
「うるさい!!崎長!!先生ーーこんな時に悪ふざけはやめて下さいよー」
「わしはふざけて話を出したわけじゃない。その下衆を題材にするのはどう
だと言ってるだけだが..」
「せ・せ・先生っ!私の会社をつぶす気ですかぁぁ。いい加減にしてくだ
さいよぉぉ〜」
「木佐下さん、わしは真剣だ。だが隼人にはあの題材は無理かも知れんな」
「な・何だとー洋蔵!!何だかしらないが受けてやる!!」
「ふふ、いいだろう。なら言おう!今度の勝負は”女体盛り”でどうだ!!」
「な?」「え?」「何だ?」
そこにいる全員は陸永の言葉に固まってしまった。
まさかこんなすごい美食家が言う言葉ではなかったのであった。
「はっははは、洋蔵!あんたも地に落ちたな。何が女体盛りだ?ばかか?」
「先生ーーー何ばかな事を。ほらぁぁ、私まで恥をかかれてしまってますよ」
「木佐下さん。わしは決して下衆な考えで言ったわけではない。珍しい料理と
言うことで述べただけですよ」
「ははははー何がテーマだ。洋蔵、あんたを見損なったよ」
「ふっ。隼人よ。それはわしのセリフだ。お前がイメージするのはただの芸者
遊びで見られる下衆なイメージじゃないか?」
「な!?それ以外どうイメージするんだ?所詮は女体盛りだろ?」
「はははは。だから始めから無理だと言ったのだ!そんな低俗な事しか浮か
ばないお前にはこのテーマの奥がわかるまい!!」
「!!!なんだとーじゃあ洋蔵。きさまは違うと言うのか?」
「もちろん。お前ごときではせいぜい裸の女性をただ受け皿にするぐらいしか、
考えられないだろうな?」
「!!わかった!その勝負、受けてやる!1ヵ月後勝負だ!!!」
「ちょ・ちょっと川阪くん」
「ふふ、お前の料理楽しみにしよう。わしをがっくりさせる様なものは出して
もらいたくないもんだ。がっははははっはー」
こうして50周年記念の料理勝負に場違いな女体盛りが決まってしまい、とん
でもない争いになってしまった。
陸永洋蔵や木佐下が帰ったあと、後片付けで残っていた結愛子と川阪に課長が
とんでもないことを持ちかけてきた。
「今回は私のせいでとんでもないことになってしまってすまんな〜」
「謝ってすむ問題じゃないですよ」「まったく、女体盛りとはな..」
「そうだ。どうだい、この後、実際に女体盛りかをどんなのかを見に行かん
かい?」
「えっ?女体盛りをですか?」
「同じ女性の君にとっては恥ずかしいか、実際のものを見ないと上手く作れ
ないんじゃないかね」
課長は正論じみたことを言ってきて、結愛子と川阪を強引に女体盛りを出す
料亭に連れて行った。
とある座敷に通されるとそこにはかなり大きな船盛りが置いてある。
そう、そこに裸の女性が乗せられており、身体の上には様々な刺身が肌の上
に直に盛られていたのだった。
「さあ、川阪も桜野くんも食べたまえ」
課長はニタニタしながら箸を持って女体盛りの刺身を食べ始める。
正直、この女体盛りを楽しんでいる課長を見て結愛子は吐き気がした。
盛り付けてる女性の乳首や大事なとこをわざと箸で突付いて下品な笑顔で
食べる課長が気持ち悪く見えたからだ。
(こんな卑猥な料理が本当に次回のテーマなの..)
愕然とする結愛子は、ふと同行していた川阪の方へ視線を向ける。
(川阪くんも..まさか食べるのかしら?)
だが、川阪は料理に手を付けずに必死に料理全体を観察している。
本気で女体盛りを研究しており、目の前で女性のおっぱいやあそこが出ている
のに関わらず真剣に料理のことだけを考えていた。
(はぁぁ・・料理のことになると他のことに気が回らないのね..)
結局、結愛子と川阪は最後まで料理に手を付けなかった。
正直、よく見ると刺身自体は誰が見てもわかるほどの安物を使っており、それ
を人肌の上に乗せていると思うと、いかにも不味そうで食べる気がおきなかった。
(こんなの料理じゃないわ..第一、こんな姿恥ずかしくないのかしら)
ただ結愛子は料理よりも女体盛りにされてる女性が気になり、失礼ながらも
身体の隅々を観察していたようであった。
いやらしい事に女体盛りの女性の乳首が硬く勃っており、あそこの方もかなり
愛液が溢れている感じで、卑猥そのものの姿だった。
そんな彼女の表情を見ていた結愛子は思わずドキッとしてしまう。
恍惚な表情、まるでとろけるような夢心地を見ている感じの彼女に何か魅かれ
るものを感じてしまった。
(・・・あんな事されて気持ちいいのかしら..女体盛りか..)
少しだけ、自分が女体盛りにされてる姿を想像してしまった結愛子。
けど、別に女体盛りをしたいわけではない。
実際にそういう機会になったとしても、やるつもりはないだろう。
しかし、結愛子の身体はすっかり火照っており、結愛子自身はこれを暑さの
せいにしていた。
(この部屋って、変に暑かったから、下着が汗で濡れたじゃない..)
ずっと座ってたせいか、特に結愛子のショーツがひどく汗で濡れてしまって
いる。
ブラの方もフロントホックだったせいか、途中で無意識に外していたことに
気づき、慌ててホックを付け直し、ボタンまでも2つ外れていたので、急い
で元に戻した。
(私ったら、何でブラとボタンを?それにショーツがすごく濡れてる..
きっと..これは汗..汗で間違いないわ。ブラやボタンもきっと暑さで
外したんだわ)
結愛子は必死に感じてないことを自分自身に言い聞かせていた。
そう、あんな女体盛りをして感じる女性ではない。絶対にこれは汗であると、
この時の結愛子はそう信じるしかなかった。
それに、仮に感じて濡れていたとしても女体盛りなど興味がない。
そう結愛子は心に強く思っていたが、まさかそんな結愛子に女体盛りの機会が
くるとは、思いもしなかったであろう..
こうして女体盛りを見た後、結愛子と川阪はとりあえず社内に戻り、一度この
テーマについて恥ずかしながらも検討する事にした。
そんな検討の途中、川阪が突然土下座をしてとんでもないお願いをしてきた
のであった。
「桜野さん。一生のお願いだ。女体盛りの受け皿になってくれ!!」
「ちょっと・・なんで私が?」
「この勝負は捨てられないんだ。決していやらしい考えで言ってるんじゃない」
「で・でも女体盛りってさっきみたいに裸になるんでしょ?」
「もちろんだが、お願いだ!!あの洋蔵には負けたくないんだ!!」
「でも・・・裸になんて・・・・」
「お願いだ。是非この通りだ」
結愛子はものすごく迷った。でも、料理になると突っ走る川阪の性格もわかって
いた。
「・・・わかったわ。そんなに真剣なら・・・」
「あ・ありがとう。桜野さん」
結愛子は川阪のあまりの真剣さに承諾をしてしまった。これが、ただのパートナ
だったらそんな事はしないのだが実はそれなりの関係にいっていたからであった。
でも、関係と言ってもまだ互いの裸を見せた所までで肝心な1線は結愛子が逃げて
しまった為、越える事が出来なかったのであった。
でも近い将来、裸を見せる以上の仲になるのはわかっていたからこそ、承諾したの
であり、そうでなけではこんな馬鹿げた事、やるつもりはなかった。
でも、この承諾が後の羞恥につながるとはこの場では思わなかった結愛子であった。
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