第67話「パーツの罰で当たりを引け」


 3年4組の男子たちにとって、ゴールデンウィークはただの休暇ではなか った。今までの中で一番充実した期間になった。  ただ、傍から見るとGW中なのに高3の男子たちが図書館に集まって、ひ たすら勉学をし、互いに競い合って知識を深める真面目な集団になってい た。  ここまでさせたのは、応用問題のベリーハードを全て解くと3問しかな いウルトラハードが現れ、それは男子たちが協力して解いていいものだっ た。 「これは絶対に!葉須香ちゃんのオナニー映像に間違いない!」 「ああっ!ベットの中で何かしてる映像が中途で切られてたし!」 「これは意地でも解かないとな!」「もちろんっ!」  ウルトラハードの問題を解こうと図書館で資料を探していると、超名門 校の男子たちと出くわした。彼らは白いシャツにネクタイをしっかり締め、 まるでエリートの象徴のように整った身なりをしている。 「うん?ここには君たちに読めるものはないぞ」「もしかして、この近く の高校の生徒かい?」「GWに勉強するのは感心するが、ここの本は君たち のレベルでは難しいぞ」  明らかに4組の男子たちを格下に見てる超名門校の男子たち。  それは仕方ないことだ。彼らはこの3年間四六時中勉強尽くしの日常を 過ごしており、4組の男子たちが場違いに見えてしまうのだろう。  だが、4組の男子たちは時間が惜しいのか、素直に超名門校の男子たち に協力を求めてきたのだ。 「いや、俺たちはただ、この問題が解きたいだけなんだ」 「ああ、良かったら、この問題を解くヒントをもらえないか?」 「うん?君らの問題なんて、ここの本が無くても簡単だ!どれ、見せてみ ろ」「僕らなら1分も掛からないだろう」 「マジか!」「途中までなら解いたんだが、この続きを頼む」  ウルトラハードの問題を見せると、超名門校の男子たちは目を大きく見 開き、信じられないという表情を浮かべた。 「!!な、何だ..このハイレベルな問題は..途中までの解き方も.. 見事じゃないか!」「こ、こんなのを解いているとは..」 「き、君たち..僕たちをからかってるのか?ここまで解けるなら、これ ぐらい簡単だよな」  超名門校の男子たちが自分たちの問題集を差し出すと、4組の男子たち は軽い感じで「いや、これベリーハードじゃないか?」「そうだな」と、 難解な公式や図形をスラスラと解いていく。  その解いていく姿に超名門校の男子たちは目を点にして見入った。 「どうやら君たちのことを勘違いしていたようだ」 「ああ、僕らの方が学ぶべきなのかも知れない」「僕らも協力させてくれ」  こうしてウルトラハードの問題も無事解くことが出来たが、まさか葉須 香の自慰行為の映像を見る為だとは超名門校の男子たちは思ってもいない だろう。  ちなみにベットの中でしてたので、肝心な部分は見えなかったけど、終 わったあとで葉須香が全裸でシーツのシミを拭いてたシーンが見えたので 充分満足できたのだ。  GWが終わった5月最初の通学日、学校への通学路に目を向けると、他の 生徒たちはまるで空を見上げるように重い足取りで歩いていた。  大きなため息を吐きながら、鼻をすすり、目をこすりながら進む姿が目 に入る。特に花粉症に悩まされている生徒たちは、目の周りを赤く腫らし、 まるでこの時期の恒例行事のようだった。  ほとんどの生徒が憂鬱な気分の中、3年4組の男子たちは違う。  学校へ向かう道は、希望に向かって走る戦士のように感じられていた。  ダッシュだ!ダッシュ!教室に早く着きたくて、ついつい駆け足になっ てしまう。逸る気持ちを抑えきれず、ちんたら歩けるわけないだろう。  葉須香が教室に着く前に3年4組の教室は男子が全員登校していた。  こんなやりとりが葉須香の知らないところであって、許奇の予想とおり にGWが終わっても花粉の飛散量はまだまだ多かった。  5月となっても花粉症が続き、ほとんどの人がくしゃみが止まらず、目 の痒みも治まらない。  まだティッシュは幾らあってもいいぐらいに皆、大量のストックを持っ て行動していた。  葉須香も花粉症が治まらず、ティッシュだけは鞄の中にいっぱい入れて 通学していた。  けれども、肝心の教科書やノートは入っておらず、しばらくティッシュ 以外の忘れ物が多発する日々が続きそうだ。  ただ、枯れ葉の罰が終わったので葉須香は何の細工もしてない普通の制 服姿で教室に入ってきた、 「えーと..今日からは葉須香くんには忘れ物をしても空き教室に行かな いように連絡しました。そうですよね?」「は、はい」  許奇の言葉を聞いた男子たちが「制服のままってどういうことだ?」「 罰はどうしたんだ」「話が違うぞ」と一斉抗議した。  納得がいかず文句を言い続ける中、葉須香は制服を着たままで自分の席 へ向かったが、今回も何か様子が変だった。  これはまた何かあるんじゃないかと、男子たちは文句を言うのをやめて 葉須香の様子を伺った。 「って言うか、やっぱ普通の制服だよな?」 「これから何が起こるっていうんだ?」 「席に行くってことは忘れ物はしてなかったのか?」 「そうなのか?」  男子たちが注目する中、葉須香は自分の席に着くと、鞄を降ろし、着て いた上着を脱いでイスの背もたれに掛ける。ここまでは普通の光景だが、 このあとで席に座らずに葉須香は服を次々と脱ぎ続けた。  周りに制服を着たクラスメイトが居る中で、葉須香は机の上に脱いだブ ラウスとスカートを畳んで乗せていく。  下着姿となった葉須香だが、手は止まることなくブラを外し、ショーツ をスルスルと下ろしていく。 (恥ずかしいけど..忘れものをしたんだから..やっぱ脱ぐなくちゃい けないよね..)  どうやら、今まで空き教室でしていた暗黙の脱衣を教室でやり始めた葉 須香。 (こ、これも..きっと罰のレベルアップだから..)  空き教室だと葉須香の脱ぐシーンは後姿のみでドアの隙間からしか覗け なかったが、今度の罰は自分から脱いで、全ての衣服を机の上に置くよう だった。  けれども、わすれんぼの罰と割り切っても、みんなが制服を着てる教室 で自分から服を脱いで裸になるのは相当恥ずかしいことなのか、顔は真っ 赤だった。  これはもう、今後のわすれんぼの罰のスタンダードは全裸だと言ってる ようなものだ。そもそも葉須香自身は今度の罰が何をするか分からないの に、自分から全裸でスタンバイしてきたのだ。  先月はなかなか制服を脱がなかった葉須香が今月からは自発的に脱ぐよ うになったのはきっと、空き教室の際に、忘れたら脱ぐことが当たり前だ と葉須香の頭に自然と植えつけた許奇の成果であると言えよう。  この成果はかなり大きい。もう今後の罰で何がこようが、まずは葉須香 自身が服を脱ぎ捨てて裸で待機してくれるからだ。  男子たちはここまで葉須香を仕向けたことに、ただただ脱帽するだけで 頭が下がる思いだった。 「えーと..裸になったという事は忘れ物をしたんだね..花粉症がまだ ひどいかも知れないが..罰はしてもらうよ」 「は、はい..えっと、今度の罰は?」 「えーと..今度は枯れ葉の罰をパワーアップさせたパーツの罰にしたよ」 「それじゃ、ここで脱がなかった方が良かったんですか?」 「えーと..もう十分コツは得たたから、ここでも問題ないよ」 「・・・・・・わ、わかりました」  前回の枯れ葉の罰は空き教室でパッチワーク制服を纏ってきたのだが、 今回からは教室で、男子たちが見てる前で行うことになった。  許奇の言葉を聞いて、葉須香は裸のままで教卓の方へ歩いていく。 (ぁぁ..すごく恥ずかしい..罰だとわかっても..私だけ裸なんて.. 恥ずかしい..恥ずかしいよぉぉ)  どうやら裸に慣れたわけでなく、わすれんぼの罰として裸にならなけれ ばいけないと必死に恥ずかしさに堪えているのだ。  こんな辱めを受けるのを承知して忘れ物をした以上、身にしみて懲りな ければいけない。 「もう絶対、みんなの前でこんなことしてたまるものですか〜」と次こそ 忘れ物を無くす決意をする葉須香だった。  葉須香が許奇のところまで行くと目にも留まらぬ速さで、赤や青、黄色、 緑、いろんな色の三角状の折り紙が葉須香の身体に貼られていく。 「おい!まさかこれって!」「5月のアレか!」「きっとそうだ」  三角状の折り紙は上手に重ねるように貼られ、きれいな鱗模様になって いく。 「やっぱり鯉のぼりだ」「葉須香ちゃんがどんどん鯉のぼりになっていく」 「いや、それよりもこれは罰か?」「大体、枯れ葉の罰の数倍、折り紙使 ってねーか」「もう、葉須香ちゃんの面影がないんだが..」  一枚一枚丁寧に折り紙を貼り合わせ、目は黒と白で、脚も尾びれのパー ツにして、大きな鯉のぼりが完成した。  さっきまで全裸で立っていた葉須香が、尾びれで鯉のぼりが立っている 姿となった。ただ、通常の鯉のぼりには無い大きな2つの膨らみを出すと こは許奇らしい憎い演出だろう。 「あの鯉のぼり、完全に牝だよな?」「見事なおっぱいが2つあるしな」 「うん!いやお前ら!よく、あのおっぱいを見てみろ!」「まさか!」  膨らんだ胸の鱗を見てみると、ピンクの円柱がはっきりと見えて、それ はまさしく葉須香の乳首であった。 「うおっ!枯れ葉の罰と違って、乳首が最初から丸出しかよ!」 「いやでも乳首だけ見せてる罰じゃ期待外れだぜ」 「そりゃそうだ」「許奇、ふざけてんのか!」 「ああ、これってパーツの罰というより鯉のぼりの罰じゃないか」 「っていうか何枚折り紙使ったんだ」  文句を言ってくる男子たちに許奇は微笑んで言った。 「えっと、これはパーツの罰<鯉のぼり>だ。前の枯れ葉の罰と違うのは 全部落ちることは絶対ないものだ」 「意味わかんねーよ!」「いや、もうちょっと許奇の話を聞こうぜ」 「そうだな..許奇のことだから、何かあるぞ!」 「うん、静かになったので続きの説明をしよう。今回は鯉のぼりから落ち た折り紙は、拾った人のものになるから、頑張ってみよう」  許奇の説明に教室には沈黙が流れた。男子たちは無言で目を合わせ、そ してやがてポツポツと不満の声が漏れ始めた。 「許奇、折り紙を拾ってどうしろってんだ?」「そうだよ。何の得になる んだ?」  その言葉に、許奇は少し意地悪そうに微笑んでみせた。「まあ、ただの 折り紙じゃないから。拾ってみてのお楽しみ、ってやつだ」  男子たちはなおも不満げに肩をすくめていたが、その中で一人がふと疑 問を口にした。 「鱗を表現してると言ったけど..なんで全部三角形なんだ?」  ごくりっ!「ま、まさか」「そうか..これは開けるのかっ!」  その言葉に全員の視線が再び先生の手元に集まった。鯉のぼりの体から 一枚、ふわりと折り紙が落ちる。それを拾ってみると、どうやら中を開け る仕組みになっているらしい。期待半分、不安半分でその三角の折り紙を 広げてみると、なんと中は肌色一色だった。 「何も書かれてないけど..この肌色は..」 「おい!こっちは、ち、ち、乳首だぞ!この大きさ、等身大か!」 「もしかして..これを組み合わせると!」 「葉須香ちゃんの等身大が出来るのか!」「それはそれで面白いけど..」  ただの葉須香の裸体パズルなのかと、教室中がざわついた。  別の男子も拾ってみたが、肌色の折り紙でどこの部分かは分からない。 「これ飽きるんじゃないか」「ああ」と今回の罰を残念そうに呟いたが、 その表情にはほんのりとした期待がまだ残っている。 「とりあえず、俺も拾ってみよう!」「どんどん落ちてくるぞ!」  折り紙をめぐる男子たちのやり取りは次第に熱を帯び、ただの裸体パズ ルのピースを拾うことに少しずつ興奮を覚え始めていた。 「何かこれつなぎ合わせるの面倒くさくないか..」「俺もそう思う」 「これ、葉須香ちゃんの恥毛部分で嬉しいけど..これ以上拾っても..」  男子たちが拾った折り紙を見せあって、のんびりとなっていく中に男子 の1人が雄叫びをあげた。 「うおおおおおおっ!これ、完全なくぱあじゃないかっ!!これマジでい いのかああああ」「何だって!」「お、俺にも見せろぉぉぉ」  まさに等身大のくぱあ部分を引き当てたことで、その場の空気が固まっ た。何と紙いっぱいに大陰唇が左右へ開いたおま●この画像であり、驚き と喜びで満面の笑顔を浮かべ、誇らしげに特等の折り紙を掲げていた。 「ついに葉須香ちゃんのくぱあを手に入れたぞぉぉぉ!」 「いやいや、こういう感じであっさり晒していいのかぁぁ!」 「うんっ?ちょっと待て!そのおま●こ!ピンクで凄く綺麗だが、処女膜 が無いんじゃないか」「え?まさか、葉須香ちゃんって誰かと経験済みか」 「誰ともそんなことしてないからっ!それ絶対に私のじゃないよぉぉ」  まだ、鯉のぼりの姿を保っていた葉須香が叫んだ。 「それじゃ、これは?」「むむっ!このおま●こ最近見たことあるぞ!」 「どういうことだ?真田」「これは!間違いなく葉須香ちゃんママのくぱ あに間違いないっ!」「そうなのか?許奇」 「正解だよ!この前のGW映像から切り取ったのものだ。もちろん、「こ んなおばさんので良ければ何使ってもいいわよ」と快諾済だ」 「お母さん、そんな簡単に承諾しないでよぉぉ〜。みんなもそんな必死に 拾わなくいいからぁぁ」  おっぱいの部分が丸出しになった鯉のぼりの葉須香が拾うことを嫌がる ような言葉をつい出してしまった。  その瞬間、男子たちの目の色が一変した。「まさか!葉須香ちゃんのも あるんじゃないか!」「あり得るぞ!」と男子が叫び、急に教室中がざわ めき立った。  少し飽きていた男子たちが、急激に真剣な表情に変わり、一人ひとりが 鯉のぼりから落ちてくる折り紙に集中し始めた。幻のくぱあが存在するこ とを知った瞬間から、彼らの競争心に火がついたのだ。 「次こそ俺が葉須香ちゃんのくぱあを引くぞ!」と口々に意気込み、次の 折り紙が舞い落ちるのを待ち構えている。 「しょうがない連中だな。これはサービスだぞ」  許奇が鯉のぼりを揺らすと、また三角の折り紙が数枚ふわりと床に落ち た。男子たちは一斉にその場に飛び込み、誰がどの折り紙を手にするか、 争奪戦が始まった。 「うおっ!さっきのと違うくぱあだぞ!ピンクとは言えないがこれはこれ でエロいぞ!」と叫ぶ声が上がり、またクラス中に驚きと羨望の声が広が る。 「マジか、いや、これ誰のくぱあだ?」「葉須香ちゃんじゃないよな..」 と男子たちが疑問を口にする中、相崎が少し照れくさそうに「要らないな ら返せよ」と話しかけた。 「いやいや、相崎、お前こんなの見せていいのか?」「いや、私のなんて 名歯亀の罰で散々晒されただろ?」「そりゃそうだが」「まあ、これぐら いのサービスはたまにはいいだろ」「お、おうっ」  まあ、本当は親友の葉須香のおま●こを実際に見てる相崎なりの助け舟 みたいなものだった。 (どうやら、これで葉須香ママのおま●こをじっくり見ることはなくなっ たな..実際は母娘ほとんど同じだったし、一児の母のおま●こに絶対見 えない若さだよ。姉妹の方が近いよな..)  ※実際は処女膜があるかないかの違いだけ  結局、身体に十数枚ほど残した形でパーツの罰は終了した。  くぱあ当たりは葉須香ママが1枚、相崎が3枚と拾った男子が得意げに 折り紙を見せびらかしている一方で、肌色ばかりだった男子が不満げに口 を開く。 「なあ、やっぱ葉須香ちゃんのは無かったじゃん」 「せっかく期待したのに、夢中で拾った俺たちがバカ見たよな」  男子たちが一斉に許奇に向けて不満を言い始めると、その声に、許奇が にっこりと微笑んで言った。 「お前たち、最後の最後まで必死に拾うんだったな。ほら、足元にまだ数 枚落ちてるだろ?」「いや、そこまで必死になれるかよ」「ああ」 「そんなことないぞ。じゃあ、この足元に落ちてた折り紙だけ拾って、葉 須香にだけ見せてあげよう」 「!!いやああああああっ!それは絶対に皆に見せないでぇぇ〜」  茹で上がったタコの様に顔が一気に赤くなった葉須香を見て、教室中が ざわついた。 「おいおい!マジで?」「葉須香ちゃん、それってくぱあ写真だったのか!」 「チ、チガウヨ」「ん?葉須香ちゃん?」「チガウヨ、ウン、チガウヨ」  明らかに口調がおかしい葉須香の態度にくぱあの確信を得た男子たちは驚 きと興奮で一瞬だけ無言になった。 「先にそれ言えよ!」「足元に落ちてたなんて!」「なんで誰も拾ってなか ったんだよ!」「あれ、拾えたんだよな..」「ちくしょおおおお」  あちこちから悔しがる声が上がり、男子たちは急にワンチャンありと教室 の隅々を見回したりしている。もしかして見落とした折り紙があるかもしれ ないと思って、教室中が再び騒がしくなった。  許奇がにこにこと男子たちの様子を見渡しながら、「もしかしたら、もう 1枚も落ちたかな。どこかに隠れているかもな」と一言つぶやいた。  けれども、ここで盛り上がりに水を差すような言葉を女子の初堂が眼鏡の フチを指で押し上げながら言った。  クイクイッ「大当たりが単純に落ちるわけないでしょ!1枚だけ変な感じ で遠くまで飛んだのがあったのよ。まあ、それは私が拾ったんだけど」 「それって..まさか」「ええ、正真正銘の葉須香のくぱあね。私は実物見 てるから間違いないわね。これは家宝にさせてもらうわ」キラリンッ 「ソンナノナイヨ..コズエチャン、ソレカエシテ」「ダメよ。これは家宝」  葉須香と初堂の態度を見て、ますます確信した男子たちは「次こそは絶対 に大当たりを見逃さない!」と決意を新たにしたようだった。


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