まさか、父親の鞄を間違えて持ってきてしまうとは、自分でも少し呆れ
てしまった葉須香。
全忘れというあり得ないひどい忘れ方をしてしまった葉須香に男子たち
の口からは制服で走っていいよという台詞は一切出なかった。
男子たちもあまりの忘れ物に呆れてしまったのだろうか?
否、やはり男子たちは葉須香の全裸を見ることを密かに待ち望んでいた。
葉須香の裸は、普段の制服姿とは違った魅力があり、それが見れる全忘
れは男子たちの心を思い切り揺さぶっていたのだ。
あとはスカートの丈が短いところも邪な気持ちを持たせてしまったよう
だ。
「そ、それじゃ..5周走ってくるね」
「ああ」「ゆっくり走れよ」
「う、うん..」
葉須香は小さく答えたが、その声は震えていた。心の中では、恥ずかし
さと悔しさが入り混じっていたからだ。
今日も全裸で校庭5周の罰をするために昇降口へ向かうが、誰も居ない
途中の階段で葉須香は1度立ち止まった。
深呼吸を2、3回ほどしてから、すぅぅぅーっと限界まで息を吸い込み、
校舎に響き渡る大声で叫んだ。
「絶対っ!絶対ぃぃぃ〜っ!全裸で走らないからっ!制服で走る!もう罰
で全裸になんかならないからっ!」
その声は校舎の壁に反響し、葉須香の決意の強さを物語っていた。どう
しても納得がいかないという葉須香の強い想いだった。
「効果的なのは..わ、分かってるけど、やっぱり全裸はいやぁぁっ!制
服で走っても意味ないのは分かってるけど〜」
葉須香は自分に言い聞かせるように呟いた。中途半端な気持ちじゃいつ
までも改善できない!それなら何の罰が一番効果あるのか?それでも絶対
にしたくないと葉須香は強く誓った。
「せっかく毎日、制服を着たままで過ごせるんだから、もうあんな全裸で
立つなんて嫌ぁぁっ!再開なんて絶対反対っ!」
わすれんぼの罰の再開。そんなことになれば今度こそ、自分のおま●こ
が晒される日がやってくる。それは絶対に避けたいっ!レベルアップでそ
こまで晒したくなかった。
今の葉須香は、制服で走ることへの強い意志と、全裸での罰への強い拒
絶が混在していた。葉須香は再び深呼吸をし、昇降口へと向かった。その
決意は揺るがないものだった。
だけど、そんな葉須香の前にまた許奇が現れた。
「あ、あの鞄間違えて全部忘れました。けど制服で校庭走ります!」
「昨日より忘れ物がひどいが..いいのかそれで」
「だって、悪化してるじゃないですか!昨日は教科書1冊だけなのに..」
「まあ走ったあと、あんだけ気が抜けたら、こうなるな」
「抜けてませんっ!ちゃんとチェックしました!」
「葉須香、昨日の午後の授業、相当居眠りしたと聞いてるが..」
「あれは朝あんなに走って、昼ごはん食べたら、眠くなります!」
「そうか..どうしても裸で走りたくないんだな」
「当然ですっ!あんな恥ずかしいこと出来ません!」
(今日は言い負かされないんだからっ!悪化なんて..しないから)
「わかった。そこまで言うなら無理強いはしない。今日は制服でいいんだ
な」「問題ないです」
(よしっ!今日は裸で走らなくてもいいかも!早く校庭に行かなくちゃ)
話が終わってその場を立ち去ろう葉須香に許奇が振り向いて質問した。
「ところで葉須香、1つだけ聞いていいか?」「何ですか..」
(ぅぅ..またこのパターンだよ..これを乗り越えないと..)
「おそらく今日の男子たちは制服で走れと言ってないよな?何故だが分
かるか?」「…わ、私が全部、忘れたからです」
「なるほど..それはちょっと違うな」「え?男子も呆れたからじゃ..」
「う〜ん、残念。男子を刺激したからが正解だな」「私の裸を見たいって
ことですよね?」「そういう意味ではないな..」「え?」
葉須香は許奇が何を言いたいのか分からなかった。
そんな許奇が葉須香に1つ提案をしてきた。
「じゃあ、こうしよう!今の葉須香がとんでもない忘れ物をしてたら、諦
めて全裸で走るのはどうかい?まあ、僕としては制服のままでも問題は無
いんだけど」「言ってることがよく分かりませんけど、全部忘れたのは認
めます」
「まだ位置に気づいてないみたいだな。まあ男子もはっきりと見てないか
ら確信は出来なかったようだな」「位置っって、何のこと?」
ここで急に葉須香の顔が急に真っ赤になった。丈の位置と同時に何かに
気づいてスカートをパンパンと軽く叩いた。
どうやら、とんでもない忘れ物をしたようだ。
「あ、あの先生..もしかして..私の忘れたものって..」
「ああ、女子がこっそり届けてくれたよ。おそらく葉須香が穿き忘れたと」
そう、鞄を間違えたショックでトイレで用を足した際に、葉須香はショ
ーツを穿き忘れて教室に行ってしまったのだ。しかもスカートの穿く位置
もいつもより上すぎにしたままで。
早い話、スカートに注視すれば、ノーパンだとすぐに分かる位置だった。
「制服で走ってもいいが、確実にスカートは捲れるぞ!」
「!!!ぅぅっ..」
「で、どうするんだ?言ってみろ」
「す、須和葉須香は今日も忘れ物をしました!だから、今から脱ぎますっ!」
「よし!じゃあ早く脱げ!」
(ノーパンで走ったら、全裸と同じだよ..結局こうなるのね)
どうやら、罰には逆らえず、葉須香の足元には制服が脱ぎ捨てられてい
く。だが、ブラだけの姿になったところで葉須香は最後のあがきを見せた。
「あ、あの..ショーツ返してくれませんか?」「今なのか?」「はい」
(せめて下着姿で走るから..裸は..やっぱりいやぁ〜)
「返すのはいいが、忘れ癖は悪化するぞ」
「ぅぅ..ぬ、脱ぎます..」結局、ブラも脱ぎ捨て、返してもらったシ
ョーツも穿かずに床に置いた。
すでに校庭の方からは、窓から身を乗り出した生徒たちの声が聞こえる。
さっきの大声を聞いて何かに気づいた幾つかのクラスがこれから起こる
ことを期待して校庭の方を注目してきたのだ。
「このまま..走ったら..もう後にはひけない..でも..ここまでき
たら再開されても
葉須香の足は校庭へ向かっている。わすれんぼの罰が再開されるかも知
れないことを伝えるために。
心の中は「絶対に嫌っ!いやっ」と何度も訴えてるのに、足が止まらな
い。いや、逆に校庭が間近になると走り出した。
ついに素っ裸の葉須香が校庭に現れ、白線の引かれたトラックに合わせ
て走りだした。おっぱいもおま●こも隠さずに走る葉須香。
けれど、いつもだと起こる歓声が響かない。どうやら、この全裸5周の
罰に気づいたクラスは葉須香がかって寒風摩擦を見せた3年のクラスだけ
で、他のクラスは気づかなかった。
どのクラスも葉須香に迷惑をかけないように声のトーンを押さえながら
見ることにしたらしい。
「うぉ!葉須香ちゃん、マジで全裸で走り始めたぞ!」
「しかも、どこも隠せないなんてたまらんな!」
「やっぱ、葉須香ちゃんのおっぱいが一番最高だ!」
男子たちはそれぞれの場所から声を出して、葉須香の罰を喜んでいた。
「・・・1組の男子も見ている..もう明日からは絶対に忘れ物をしないよ
うにしなくちゃ!絶対によ!だって忘れたら裸で校庭5周なんだから..」
そう、これで校庭全裸5周の罰は確定してしまった。明日から忘れ物を
したら、葉須香は素っ裸で校庭を5周しなければいけない。
今さらながら「罰はこれだけなんだから」「再開はしないから」と素直
に言って罰をやめたい葉須香だった。
一秒でも早くこの場を去りたい葉須香はペースを上げていく。足元の砂
が舞い上がり、風が髪をなびかせる。全身に汗があふれ、揺れるおっまい
が汗を飛び散らすのが恥ずかしかったが、それでも走り続けた。
「もう少し…もう少しで終わる…」
息が切れ、足が重く感じる。それでも、葉須香は自分を奮い立たせて走
り続けた。周囲の視線が痛いほどに感じられ、恥ずかしさと悔しさが入り
混じった感情が胸に込み上げる。
「はぁはぁ、あと1周..」
ついに、最後の一周に差し掛かる。葉須香は全力で走り抜け、ゴールし
た瞬間、膝に手をついて息を整えた。すぐにでも校舎に戻りたいけど、心
臓が激しく鼓動し、全身が疲労で震えていた。
「はぁはぁ..全力で走り過ぎたよ..」
まだ、疲労が全身を襲い、なかなか校舎に戻る気力が湧かない。膝に手
をついたまま、しばらくその場に立ち尽くす。おっぱいから汗が滴り落ち、
呼吸が荒くなる中で、葉須香は自分に問いかける。
(ぁぁ..この流れでいったら再開しちゃう..この後みんなにどうやっ
て説明したらいいのぉ〜)
ここまで葉須香が罰をした以上、もし罰の再開を提案されたら、どうし
たらいいか分からなかった。しかも、この後どんな姿で教室に戻るべきな
のだろうと悩む葉須香だった。
(やっぱり全裸なのかしら..けど、それはやっぱ無理ぃ〜)
罰の再開をある以上、葉須香が全裸で教室に行くのは当たり前だが、そ
んな度胸も無く、罰を終えた葉須香は制服姿で戻ってきた。
ドキドキしながら、葉須香が教室のドアを開けると男子たちは普段通り
に接してきた。
「お疲れ、葉須香ちゃん。今は何も言わなくていいから」
「えっと..その..」「いいから、いいから!今は休むのが第一」
「う、うん」「次は自習だから、そのときでいいから」
(自習時間..それって..もしかして..)
何か男子たちの間で企んでいるようだが、それについて文句を言える立
場でもないのも分かっていた。
そして、男子たちの企みは次の自習時間ではっきり分かった。
「えっと。今日の自習時間だけど、僕が取り仕切っていいかい?」
ぼさぼさ頭で無精髭を生やした許奇が頭をかきながら教壇に立ち、生徒
たちに向かって話し始めた。
「今日は須和葉須香さんの..いや、葉須香の忘れ物について、これ以上
悪化させないために罰を再開するかどうか、みんなで決めたいと思う」
教室内は一瞬静まり返り、生徒たちは互いに顔を見合わせた。葉須香は
席で小さくなりながら、心配そうに許奇を見つめていた。
「それって、どうやって決めるんですか?」
「分かりやすく、僕を除いたみんなの投票で決めよう。選択肢も二つだけ。
2年の時の罰を再開するか、しないかだ。ただ、かっての名歯亀先生のよ
うな結果が決まったような投票はしない」
「先生、それはどういうことですか?」
「名歯亀先生なら多数決で決めるだろ?そうなると女子の何人かが再開に
投票すれば再開になってしまう。それはちょっとひどい話だろ?」
「いや、でも投票ですよね?どうやって決めるんですか?」
「満場一致さ!つまり、満票にならない限り、罰の再開はしない!」
「あ、あの..先生、それは私自身も投票していいんですか?」
ここで葉須香が先生に思い切り聞いてみた。
「もちろんだ!葉須香も投票に参加してもらう!罰の再開が嫌なら、素直
に再開しない方に投票すればいい」
「おいおい、先生。それこそ、もう結果は決まってるんじゃ」
教室内はざわめき始めた。男子たちは顔を見合わせ、罰の再開が難しく
なったことに意見を交わした。
「いや、やっぱ全裸で立つのは駄目だろ?悪化したときだけの罰でいいん
じゃねーか」「そうだな」「俺も再開なしかな」
何と罰の再開無しに他の男子たちも頷いた。
「正直言うと、俺は罰の再開して欲しいけど、こりゃ無理か..」
「先生が満場一致じゃないとダメって言うなら、再開は無理だな」
「大体、葉須香ちゃんだけが反対したら、それで決まりだよな」
男子たちの冷静な判断をする声があちこちから聞こえた。
「まあ、再開無しで決まりだな」「ああ」「仕方ない」
どうやら、男子たちはほとんどが再開なしにする流れになっていた。
一方、女子たちも真剣な表情で話し合っていた。
「教室なんだから、全裸で立つなんてやめようよ!」「そうよ」
どうやら、女子たちも概ね、罰の再開には反対の意見だった。
「大体、葉須香が全裸で立ったら、他のクラスの男子も暴走しちゃうし、
そういうのは見たくないかも」「特に1組がね」
「それに、葉須香ちゃんもいつまでも裸にされるのも嫌だし」
「みんな、ありがとう」
葉須香は心の中で絶対に全裸で立ちたくないと思いながら、自分の意見
を素直に投票用紙に書き込んだ。
投票箱に用紙を入れるとき、葉須香の心臓はドキドキと高鳴っていた。
手が震え、用紙を箱に入れる瞬間、何故か一瞬ためらった。
葉須香が投票したあとで、男子たちが次々と投票した。
投票の際、男子たちの何人かは心の中で”俺だけ罰の再開に賛成してい
いよな?”、”どうせ、再開なしが決まりなら、俺は素直に再開ありで”
と思う者が投票用紙に”罰を再開する”と書き込んで投票した。
男子たちが投票を終えると、女子たちが投票した。
女子たちの何人かも心の中で”私だけ再開ありでも大丈夫よね?”、”
ショーツを穿き忘れるなんて罰は必要よね”と思う者が投票用紙に”罰を
再開する”と書き込んで投票した。
実は葉須香本人も”もう罰の再開は無いみたいだし、ここは素直に悪化
を防ぐには罰の再開は必要と書いてもいいよね”と心の中で決意し、”罰
を再開する”と書き込み、投票した。
「よし、全員投票終わったな。今から急いで中身を確認するから少しだけ
待ってくれ」
許奇がものすごい早さで全ての用紙をチェックし始めた。彼の手は素早
く動き、用紙を一枚一枚確認していく。教室内は静まり返り、生徒たちは
息を飲んでその様子を見守っていた。
「じゃあ、結果を発表するぞ。男子の票は読み上げていこう」
許奇が結果を読み上げると、教室内は一瞬静まり返った。生徒たちは緊
張の面持ちで許奇の口元に注目していた。
「罰を再開する」
許奇が男子たちの票から読み上げた。教室内はざわめき始めた。
「罰を再開する、罰を再開する、罰を再開する、罰を再開する」
二票目以降も同じ結果だった。男子たちは「お前もかよ!」と互いに顔を
見合わせ、複雑な表情を浮かべていた。
「これが男子の最後の票だな。罰を再開する。男子は全員、再開希望だな」
意外な結果に男子たちは申し訳ない顔を浮かべていた。
「意外と一票ずつ読み上げるのは時間がかかるな。女子たちや葉須香の票
はまとめて発表しよう」
許奇が最終結果を読み上げると、教室内は一瞬静まり返った。
「満場一致で!つまり満票で!罰の再開が決定だ!」
「マジか!」「な、何で?」「って葉須香ちゃんも?」
「そんなことってあるの〜〜 !!」
葉須香は驚きのあまり目を見開いた。誰一人として罰を再開しないに投
票していなかったのだ。もちろん、葉須香自身もだ。
男子たちは全裸で立つ姿を見たいという衝動に負けて投票し、女子たち
は葉須香の忘れ癖を悪化させたくないために投票した。そして葉須香自身
も、素直に罰がやっぱり必要だと罰の再開に投票したのだった。
教室のざわめきが再び戻り、男子たちは興奮した様子で騒ぎ合い、女子
たちは葉須香にごめんね!と謝罪の眼差しを向けた。
葉須香は深呼吸をし、心の中で覚悟を決めた。
そう、明日から葉須香は忘れ物をしたら全裸で立つことが決まったのだ。
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