第46話「狂走する名歯亀」(挿絵:さばにしきさん)


※時々CGと文字が重なる場合がありますので、その時は1回再読み込みしますと直ります。

 街中でクリスマスソングが流れる12月中旬、名歯亀の様子が少しずつ変 わってきた。葉須香の開脚逆立ちの罰をしてるだけでは物足りなくなって きたのだ。    とんでもない事に1年の学年主任と立場を悪用し始め、ふつふつと野心 が出てきたらしい。  あろう事か、自らをすべての教師の頂点に立つ「絶対権力教師」とも名 乗ってきた。  そんな名歯亀が1年女子に対して、強行的な持ち物検査を開始した。 「神聖な学校に派手なアクセサリなど無用だべぇぇーー!違反したものは パパより怖いお仕置きが待ってるのだべぇぇ〜」  そう言って、校内違反を起こした1年女子たちに対し、罰と称してピチ ピチのスクール水着を着させ、クリスマスが近いということで自分が座っ た玉座を牽引させて校内を練り歩いていた。 「これは罰なのだべぇぇーー!我輩に逆らうもの..いや我が校の規律を 犯すものには、たとえ女子であってもお尻ペンペンより恥ずかしいお仕置 きが待ってるのだべぇぇーー」  そんな野心を見せ始めた名歯亀に対し、1年の女子たちは特別風紀委員 を立ち上げて対抗することになった。  1年代表の気仙 松佳(けせん まつか)が1年女子たちを守るために精 鋭を率いて乗り込もうとしているので、これから大きな波乱が起こるのか も知れない。  その頃、葉須香の方は、冬休みに入る前のクリスマスの時節罰をするこ とになり、去年と同じプレゼント交換の罰ということで葉須香がエッチな サンタクロースの格好で教室の中に入ってきた。 「葉須香ちゃん。今年も俺たち、いい下着買ってきたぜ」 「あ・ありがとうございます」  今年も白い袋にいっぱい詰めてやってきた葉須香が袋の紐をほどくと、 袋の中には葉須香の下着がいっぱい詰まっていた。 「うおぉぉ〜、去年俺たちがプレゼントしたものが入ってるぞ」 「結構、穿きこんでないか?ちゃんと使ってくれたのか〜」 「はい..せっかく貰ったものなので..」  そう、今年も自分が身につけていた下着をプレゼントとして交換する罰 をすることになっていた。  葉須香が去年のをちゃんと穿いてくれてたことを男子たちも知っていた せいか、ほとんどの男子が本気でいいのを買っていた。 「俺、相当奮発したから使ってくれよ。葉須香ちゃんに合う清楚なものに したから」 「俺はちょっとエッチなのだけど、普通に穿けるから安心しな」 「みんな、ありがとう」  葉須香にとってはかなり恥ずかしい罰だが、今年も男子たちと自分の下 着を次々と交換していった。  意外に高価な下着が多かったので、結果としては損でなかったかも知れ ない。  こうして、2学期最後のクリスマスの罰を受けて冬休みを迎えた。  ただ、冬休みの間にも葉須香の罰が行われることになった。  年の暮れごろ、突然葉須香の家のチャイムが鳴り、玄関を開けると多く の男子(1組&4組)と裾部が掃除道具を持って集まっていた。 「あ・あの..みんな、その姿は?」 「今日は1年の締めの罰として皆で大掃除をすることに決まったんだよ」 「罰で大掃除?」 「まあ、時間もないから始めるぞ〜」「おぉぉ〜」 「ちょっと..ま・まって」  よく事情がわからない葉須香をそのままに男子たちがどんどんと家に入 っていく。 「じゃあ、どんどん家財道具を外に出していくか」 「俺は机運ぶから、お前はタンスな」 「えっ..ちょっとぉぉ..」  本当に本格的な大掃除を始めた男子たちが次々と家のものを外に出して いってから、掃除していく。  見た感じ、葉須香の罰というよりは男子たち自身の罰のような有様だった。  しかし、次の瞬間、葉須香が恐れていた展開へ繋ぐことになった。 「服も全部、洗濯しないとな。どんどん出して洗っていくぜ」 「べ・別にそこまでしなくても..」 「ほら、葉須香ちゃんの服も洗ってあげるから脱いで、脱いで♪」 「わ・私の服は洗わなくても..」  あわてて逃げようとした葉須香だったが、すでに時は遅く、男子たちに あっという間に服を全て脱がされてしまった。 「ちょっとぉ〜、裸で私どこに行ったらいいのよぉ〜」 「それなら、ここで一緒に日光浴するといいよ」 「えっ?それはいやぁぁぁーー!」「遠慮することないよ」  何と庭に天日干しにしていた畳を二枚立てかけて作った三角状の上に素 っ裸のままで跨がされてしまった。 「こんな姿、ご近所さんに見られたらどうすのよぉぉー」  まるでSMのような姿で待たされることになった葉須香。  ちなみに、この日は隣近所の人や両親は地元の寄り合いに行っていたの で葉須香の恥辱な姿は見られることがなかった。  そして、男子たちが風呂の掃除をし始めた時に庭で待っていた葉須香に 声を掛けてきた。 「じゃあ葉須香ちゃん。今度は風呂場の掃除を兼ねて葉須香ちゃんも奇麗 に洗うことになったから」 「えっ?いやぁぁ〜別に奇麗になんかしなくていいわよぉ〜」  また抵抗する間もなく、葉須香は風呂場に連れられてしまい男子たちの 手で身体の隅々まで洗われてしまった。  そして、身体を洗っていた男子たちの中に洗うのが上手いのもいたせい か、終わった頃には少しだけ火照った姿を見せてしまった葉須香だった。  こうして、何とか大掃除が終わって満足した姿で帰っていく男子たち。    ようやく嵐が過ぎ去って、火照った身体を冷ましながら葉須香は1年を 振り返っていた。 「このままじゃ、来年は全て晒されてしまうかも..今度こそ忘れ物をし ないようにしなくちゃ!」  そう、このままの罰の流れから行けば来年早々でおま●こを開かれるの は間違いないことだからだ。  最後のここだけは守りたい!そう思った葉須香は除夜の鐘を聞きながら 来年こそは忘れ物をしないように強く誓うことにした。  こうして年があけて元旦、朝から裾部が手土産を持参して名歯亀の家に 年始の挨拶に伺った。 「あけましておめでとうございます。ようやく師らしくなってきまして俺 は嬉しいです」「そうか、心配をかけただべ〜。小生..いや我輩のこと なら、もう心配無用だべ〜。さあ、飲むだべ、飲むだべぇぇー」  あの裾部が名歯亀に対してペコペコしている。数ヶ月前とは関係が逆に なった感じだが、実はこれが正しい関係だったようだ。 「葉須香の担任に勧めて正解でしたよ。あの頃の師を再び、見れるとは俺 は猛烈に感動してますよ」「すまんな。我輩もいろいろあったんだべ〜。 だが、もう心配無用だべ〜。我輩は絶対権力教師、我輩の力は絶対!かか ってくるものはみんなパパより怖いお仕置きが待ってるだべぇ〜」 「おおっ、師の心強い言葉、久々に聞きましたよ。けど、噂では1年女子 が特別風紀委員を立ち上げたみたいですよ。1年の気仙 松佳が最強の女 子生徒を引き込んだようなので注意してくださいよ」 「それは格闘・スポーツの達人、1年女子の竹奈と天才策士・電脳の申し 子、1年女子の梅乃のことだべか?」 「そうですっ。この3人が組んだ以上、たとえ師でも油断は禁物ですよ」 「ふふ、たがが小娘3人に何が出来るというだべ!」 「いや、あの3人を侮っては危険ですよ。師よ」 「裾部よ、お前にいいものを見せてやるだべぇ〜。我輩の偉大な未来を祝 う門松を見せるだべぇぇーー」がらっ! 「!こ・これはぁぁー」

何と名歯亀に立ち向かった3人が恥ずか
しい全裸門松となって名歯亀の家に飾ら
されていたのだ。
「師よ..いったい、どうやってこの3
人をここまでに..」
「裾部よ。人には誰にも言えない弱みが
あるんだべ。それを我輩の盗撮..おっ
と神の視線が捕らえただけだべ」
「なるほど、師の十八番でしたな。後ろ
めたい秘密と弱みを探り当てるのは」
「この鬼畜じじいっ!こんなことして、
あとでどうなるか覚えていなさいっ!」
「そんなこと言っていいのだべ。貴様ら
は我輩に屈服したのだべ。もし抵抗すれ
ば他の女子で罰を償うことになるだべ」
「ううぅ..」「わかったわよぉ〜」
「我輩には些細な反逆も許さぬだべ〜。
少しでも手向かうものはお姉さまぁより
気持ちいいお仕置きが待ってるのだべぇ
ぇー。快感電撃ポチッとだべぇぇ〜」
ビリビリッ「ああんっ♪」「はぅんっ」
「3学期が始まった頃には、我輩の手足
となって動く精鋭として生まれ変わるの
だべぇぇーー」
「師よ。恐ろしいお方だ。いや、これほ
ど頼もしい師の姿を再び見えて俺は嬉し
くてたまらない!」
「裾部よ。3学期は楽しみにするだべぇ〜」

「さすが師ですな。しかしここまで勢いを取り戻したのなら、葉須香もさ っさと落としても良かったのでは..」 「そうしたいとこだが..無いのだべ」 「無い?何が無いのですか..」 「ここまで落とす後ろめたい秘密や弱みが無いのだべ..この我輩の圧倒 的な力を駆使しても葉須香を追い詰めるものが全く出てこないのだべ.. 無念だべ」 「そうなんですか..確かに葉須香は裏表が無い、いまどきの女子高生と しては珍しい純真無垢な女子ですからなぁ〜」 「だが、それが我輩の闘志を燃やすだべ。葉須香は我輩の奥義を尽さねば なるまいだべ〜」 「あの笛地でも達成できなかったものを見れるときが来るとは、今から楽 しみですな。師よ」 「ふふ!我輩は絶対権力教師!どんな力にも屈することは出来ないだべっ! 今度こそ我輩のパラダイスが完成するだべ!かっての失敗も今こそ取り返 す時なのだべぇぇーー」 「師よ。それはもしかして師のトラウマとなったあの出来事ですな。今で も学校7不思議の1つとして語られてましたからな。行き過ぎた恥辱を行 うと神隠しの天罰を食らう。俺もこのことを恐れて、つい最近まで我慢し ていたが、それも終わるときがきたのですね」 「そうじゃ!裾部よ。我輩の傍で至極の味をいっぱい味わわせてやるだべ! 我輩はぁ絶対権力っ、最強の教師なのだべぇぇぇーーーっ」  ボーン、ボーン。「ひぃぃぃっ!誰だべっ、時報をセットした馬鹿者は」 「?師よ、どうしたんですか。12時を伝えるただの時報ですよ..」  時報を聞いただけで、急に怯えた名歯亀に裾部が理由を聞いてきた。 「もしかすると、この時報が例のトラウマに関係するのですか?」 「うむ..あれは今思えば、若気の至りだっただべ..この我輩の理想を 粉々にした出来事だっただべ..」「師よ..良かったら話してくれませ か?」「うむ。今となってはいい教訓となっただべ。あれは我輩が校内で 恥辱の罰の限りを尽くしていた時だっただべ..」 −−−−−−−*****−−−−−*****−−−−−−−  10年前..2日後に出張を控えた名歯亀が学校の宿直をしてるとこに1人 の女子生徒が尋ねてきた。  その女子は名歯亀に従順であり、夜食を作りにわざわざ来たのであった。 「すまんなぁ〜。俺のためにそこまでするとはなぁ〜。もちろん朝まで一 緒に居てくれるよな?」「ええ、そのつもりで来たから♪」  いろんなプレイを想像していた名歯亀が涎を垂らしてた時に突然ポケベ ルのコールが鳴り響いた。 「誰だ。こんな真夜中に!すまん、ちょっとポケベル見てくるから」 「・・・」  急いでポケベルの内容を確認した名歯亀が大声を出して怒り出した。  何故なら、そのポケベルを鳴らしたのは先ほどまで一緒にいた女子が出 したものであったからだ。 「おい、このポケベルを鳴らしたのはお前か?あっちに旅立つのはいつか って!明後日って言っただろ!」 「そう..明後日?明日でしょ♪見て、今、23時59分よね..」 「ん?何を言ってるんだ?」「先生♪0時になったわ..」「???」  ボーン..ボーン.. 「・・・!!!ごぁっ」「先生..今いいとこに連れていくから..」  ボーン..ボーン..  0時を知らせる音が鳴り響く中、女子が意識を失う名歯亀にこう声を掛 けてきた。 「先生、朝までなんて言わないで..ずっと楽しんでくださいね。ずっと」  翌朝、職員室には名歯亀が前倒しで出張したという手紙が置いていた。 −−−−−−−*****−−−−−*****−−−−−−− 「そう..我輩は出張なんかしてないだべ。我輩は自分のロッカーに閉じ 込められて、そのまま使ってない倉庫に閉じ込められたのだべ..」 「やはり噂は本当でしたか..1人の教師が何日間も閉じ込められて命から がらの状態で学校から逃げ出したと耳にしたことがあったので」 「あれは奇跡の救出だっただべ。偶然で倉庫にきた男子が違和感を感じて、 ロッカーを開けてくれたんだべ。我輩はその男子にお願いしてこっそり逃 がしてもらったんだべ」「師よ。それじゃ、その女子を訴えなかったんで すか?これは重大な犯罪ですよ」 「無理だっただべ。証拠は何1つない上に、悪名高い我輩の言葉が通じる 状況じゃなかっただべ。むしろ我輩の無事な姿を見せたら、あの女子が次 に何を企んでくるのが恐ろしかったのだべ。ここはそのまま出張してその 後で転勤するのが一番だと思ったんだべ」 「そうだったんですが..で、その女子はどうなったんですか?」 「あまりの恐怖で顔も名前も忘れてしまったんだべ。いや、もう2度と会 うつもりはないだべ。ただ我輩を助けた命の恩人は覚えているだべ」 「師を助けた男子ですか?」「うむ、お前も知ってる男なんだべ」  10年前の名歯亀を助けた男子は裾部が知る人物であり、おそらく葉須香 も知ってる人物であった。


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