10年前、学校にパラダイスを築こうとしていた名歯亀。自分の権力と野
望を見せ付けるために爆発でも壊れない自分専用のロッカーを購入した。
だが、これが1人の女子によって彼自身の墓標にされるとは思いもしな
かっただろう。
奇跡的に1人の男子の手によって、名歯亀はロッカーから救い出された。
その命の恩人は裾部をも知るあの男であった。
「師よ..まさか、その男子とは笛地ですかっ!」
「うむ、よく分かったのだべ。奴がお前に話したのだべか?」
「いや、笛地が使ってた罰専用のロッカーが師の専用ロッカーだったので。
聞いたらちゃんと師から譲り受けたと聞いたので」
「そうじゃ、我輩を救ってくれたお礼としてロッカーをあげたんだべ。ま
さか10年後に教師となって使ってくれるとは思いもしなかっただべ」
「そういうことでしたか。笛地のおかげで師もこうやって力を取り戻した
ということですな。あいつを早く研修から戻して一日でも早い我々のパラ
ダイスを目指すとしますか」
「いや、奴は戻らなくていいだべ。絶対権力教師は二人は要らぬだべぇー!
ずっと研修にいったままでいいのだべ。もう今の我輩にはどんな罠にも効
かぬのだべぇー。この番傘をどんな時でも身に付けてる限りは安心だべぇ」
「?そういえば、いつも身に付けてましたな..それはいったい」
「これはな〜、ただの番傘じゃないだべ。厄除けの効果がある偉大なるも
のなんだべぇ〜。これを四六時中身に付けていれば安心と言われたんだべ。
現にこの10年間、番傘を毎日片時も離さずに過ごしたおかげで我輩は平穏
無事だったのだべぇぇー」
「なるほど、そういう意味があったのですな。これからも、ずっと手放す
に持ってくださいよ、師よ」
「当たり前だべ〜。あんな過ち、2度とやってたまるものだべ〜。定年を
1年延ばしてもらって今度こそ、我輩のパラダイスを気づくのだべぇぇ」
「おおっ、さすが師よ。今度こそ期待しますよぉ〜」
「うむっ、そのためにもあの葉須香を早く落とさねばいかぬだべ。こうい
う休みの時ほど、人は油断するのだべぇぇーー。我輩の神の視線はすでに
葉須香を捕らえているのだべぇぇーー」
「うおっ!抜け目ないですな、師よ。これで葉須香も一気に落とせますな」
「それでは、我輩の葉須香カメラをポチっとだべ」
どうやったか知らないが名歯亀は高度のハッキング技術であやゆる監視
カメラをコントロールすることが出来、数々の人の弱みを暴いていたらしい。
名歯亀の目の前の大型モニタに罰から開放された葉須香の映像が映るは
ずだったが..そこに映ったのは違うものだった。
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