第5話「文化祭の後片付け」(原案:鋼夜さん)


 いろいろ恥ずかしい目に遭った文化祭が終わってホッとする沙智菜。  たが、まだ恥辱な出来事が終わったわけではなかった。  そう、まだ文化祭の後片付けが残っており、それも一番時間のかかるダ ンボールの片付けを押し付けられてしまった。    次々と自分の清掃分担を終えて帰っていくみんなを後目に、急いでクラ スの出し物で使ったダンボールを捨てやすいようにつぶす沙智菜。  そして、つぶしたダンボールをゴミ捨て場に持っていく途中、他のクラ スの様子を伺うと、打ち上げ後に清掃するらしく、まだ解体すら終わって ない状況だった。  文化祭が終わってすぐにゴミを捨てにいくのは沙智菜のクラスぐらいで あり、きっとゴミ捨て場には誰もいないはず。  それなら..ダンボールを捨ててくるついでに露出もできる。  またもや露出の衝動にかられる懲りない沙智菜。  校舎裏に着いた沙智菜はそこで裸になり、小さなダンボールを箱状に戻 して、箱の中に服や下着を入れた。  そして、校舎脇まで出て、表のゴミ捨て場を覗くと真面目なクラスの男 子が何人かごみを捨てに行き来している。戻っていってはすぐごみを持っ てくるので割と近い教室に割り当てられたのだろう  そのまま待っていたら、どんどん他のクラスの解体も終わりごみを捨て に来る。それはまずい。  沙智菜はダンボールを壁代わりにして、裸のままで捨てに行くことにした。 (これって、まずいかもぉぉ〜。ああぁっ!男子がくるっ!!)  何と男子がまたごみを捨てにきた。  ここは、ゆっくり歩いていこうと思ったとき、別階段から女子の声がした。  ダンボールは男子のほうに向けているため、女子が出てきたら裸をみら れてしまう。もう、急いでゴミ捨て場に向かうしかない。  でも、ごみを捨てにきた男子は目の前にいる。だが、運がいいことに男 子はこちらが裸だとは気づかずに階段のほうへ行った。 (よかったぁ〜。見られずに済んだわ)  すぐに、沙智菜がゴミ捨て場のダンボール置き場に入る。  表のほうが燃えるごみ等で、裏がダンボール置き場となっているのだ。  ひとまずここにいれば大丈夫かと思われたのだが、別階段から出てきた 女子たちがこんなことを言ってきた。 「もぉー 何で女子にダンボールなんか運ばせるのよ!!」このままじゃ、 ここにくる!しかも確実に。  すぐに隠れる必要があるが、隠れる場所といえば少し詰まれたダンボー ルの中にもぐるしかない。  そうなれば服の入った箱状にしたダンボールは外側において置かなけれ ばならなくなる。  服を外に出すのは気が引けたが、わざわざ開けないだろうと思い、ひと まずおいてダンボールの中に隠れた。  ドサッ! ダンボールをおいた音がした。  わずかだが重くなった気がする。 「あら?どうしてこの箱だけ展開してないのかしら。だめじゃないちゃん としなきゃ。あら、服が入ってるじゃない?きっとクラス衣装かなんかで 使ったんだゎ。ちゃんと分けて捨てなきゃ」  ビニールのがさがさという音がした後、彼女の足音は遠ざかって行った。  服はきっと燃えるごみのどこかの袋に入れたのだろう。だが、取るため に出るわけにはいかない。だって、またすぐごみを捨てに来るから。  何分か経つと、ごみを捨てに来る人がいなくなった。  沙智菜は急いで裸のままで、外に出てごみをあさるが、服は一向に出て こなかった。  そして、探すうちにゴミ収集車が来てしまった。きっとダンボールも回 収するだろうからダンボール置き場にも戻れない。 (ここを離れなくちゃ..)  沙智菜は全力で走って階段への扉を開けようとしたのだが、中から生徒 の声がするのに気づいた。  ここからは入れない。だがぐずぐずしているとここに帰宅生徒が出てき てしまう。  ここは職員室横の勝手口から校舎内に入るしかないだろう。  勝手口をゆっくりと開け、そのまま小走りに校庭に出る。  茂みの中をすすみ、第二館から連絡通路を通じて自分の教室の前までた どりつけた。  あとは教室に誰もいないことを願い、そーと扉を開けて首だけを覗かせ た。これだと教室内からは沙智菜が裸でいることが分からないが、廊下側 の方は全て丸出しの姿になっていた。  シーン。「よかったぁ..みんな帰っている」  運がいいことに誰もいなく、生徒証や定期はバックに入れていたため無 事だった。  ただ、服も下着もないので裸のままで帰る羽目になった。 (あ〜ん、裸で帰るなんて女子高生がすることじゃないよぉぉぉーー。周 兄さん、許してくださいぃぃーー)  そんな沙智菜の脳裏に周兄さんの勝手なイメージが浮かんできた。 ********************************   「許すに決まってるだろ。どーせなら、それでバスに乗らないか?」   「歩いて帰るなんて大変だろ?それも遠回りをするのは大変だぞ」 ******************************** (こんな姿でバスなんて乗れないよぉぉー!時間かかっても遠回りして見 つからずに帰らないとぉぉー)    この後は何とか無事に家につくことが出来た。  自分の部屋に戻り、自分のしたことを思い出すとなかなかすごい露出を できて満足した沙智菜だった。  でも、裸で帰ったせいで沙智菜は翌日、風邪を引いてしまった。  まあ、露出のせいだけではないだろうが、仕方なく1日学校を休むことに。 「じゃぁ、お母さん買い物にいってくるね。汗かいたらシャワーでも浴び なさい」と沙智菜ママが言い残して出かけていく。  汗だくだったので言われた通りにシャワーを浴びるのだが、何とこうい う時に限ってドアのインターホンが鳴ったのだ。  ピンポーン♪宅急便ですぅー と玄関から声がして、思わず「はぁーい」 と大きな返事をしてしまった沙智菜。 (しまったぁぁーー居留守をするはずだったのにぃぃーー)  仕方ないので沙智菜は、印鑑を取って玄関へ行ったのだが、頭がボーっ としていたため、何の気なしにドアノブに手をかけ、まわし始めてからあ る事に気がついた。  しまった!シャワーの途中だから服着てないっ..いけないいけない。  こんな格好のまま出て行ったら何をされるかわからない。  とにかく急いで何でもいいから隠さなければと思い、一度浴室に戻り、 バスタオルを巻いてから、印鑑を持ってドアをあけた。 「うあっ!」「す・すいません、お風呂入っていたので..」 「こちらこそ、すいませんっ..は・はんこかサ・サインおねがいします」 「はい..」  宅急便のお兄さんが気を利かせて、こちらを見ないようにしながら荷物 を差し出してくる。  荷物を受け取り、印鑑を押すとこまでは多少の恥ずかしさで済んだのだ が、問題はその後だった。 「ごくろうさまでした」 「は・はい」  宅急便のお兄さんが慌てて玄関から出て、ドアを閉める瞬間、何と沙智 菜のタオルが見事に落ちてしまった。  パサッ...バタンッ..  もしかするとドアが閉まるわずかの間だけ、全裸を見せてしまったかも 知れない。  いや、これがもっと前に落ちていたら完全に自分の裸を宅急便のお兄さ んに晒してしまっただろう。  そう思うと露出癖が止まらなくなってしまう沙智菜であった。 「あと1回ぐらいなら..タオルのままでも..」  ハラハラドキドキしながら次の来客を待つことに..  ただ、そういう時に限ってセールスマンが何度が訪れてしまい、恥ずか しいタオル姿を何人か見せる羽目になった。  その後、沙智菜ママが帰って熱が上がった沙智菜に怒ったのは当然のこ とであろう。


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