プロローグ
「おしゅうちさま(御羞恥様)」
かって江戸時代に、そう呼ばれていた悪戯好きな妖怪がいました。
彼は女性を羞恥な目に合わせることが好きで、よく女性の着物の
裾を少し捲る悪戯などをして楽しんでいました。
当然、そんな軽い悪戯の為、ひどい害でもないので女性も訴える
事なく、笑って許していたのです。
ただ、時代の移り変わりで彼の存在は自然現象として扱われてしまい、
徐々に彼の存在価値を否定され始めてきました。
それと同時に彼がいた土地の人口も減ってきた為に、力までも少しずつ
失うことになり、明治・大正・昭和の時は彼の姿が表に出ることが殆ど
ありませんでした。
しかし、21世紀に入ってからは彼の住む村に電車が通り、駅が出来、
いくつかの村町などの合併などもあって、急速に人口が増えて、わずか
数年で都市と呼ばれるとこまで発展しました。
そのおかげで「おしゅうちさま」の力も戻り、江戸時代の時よりも
大はりきりし始めます。
そう、「おしゅうちさま」は羞恥を目撃する人が多ければ多い程、
その使える力が増して行くのです。
ちなみに「おしゅうちさま」のテリトリーは駅が中心となっている為、
彼の力は駅周辺でしか見ることが出来ない。
ただ、偶然なのかこの駅の近くには何故か5つの有名女子高と3つの
人気女子大が集まっているので、すごい事だろう。
そんな訳で「おしゅうちさま」のターゲットは大半が女子高生に
絞られることになり、駅周辺では女子学生の羞恥が耐えないのだ。
ここで、ふと思うのが「おしゅうちさま」を嫌がって女性が来なく
なるのではという点だが、その点は全く問題なかった。
何故なら、昔からの言い伝えにより「おしゅうちさま」に狙われた
女性は代わりに幸せを貰えると言う事もあって、恥ずかしい目に
あった女性も仕方ないと許してくれるのである。
もちろん、女性が許してくれるせいもあって、「おしゅうちさま」
はもっと羞恥の力に磨きをかけてくるのだった。
今日もそんな「おしゅうちさま」による羞恥の幕が始まるのであった。
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