プロローグ
光野 美愛代(こうの みあよ)。
誰もが彼女を見ると、あるアイドルの名を頭に浮かべてしまう。
そう、かって清純派アイドルとして有名だったアイドル、光野衣愛代と、
とても良く似ていることから衣愛代を思い出してしまうのだ。
さらには声も衣愛代によく似ていることから、衣愛代と勘違いされてし
まうこともあった。
唯一の違いと言えば美愛代の方がショートヘアーの為、清純というより
は活発な明るい衣愛代ちゃんと言った風に見えるのだ。
何故ここまで似ているのか。そもそも苗字が同じという事を考えると答
えは簡単に導かれることだろう。
そう、美愛代は衣愛代の実の妹であり、年齢も1つ違いの高校1年の普
通の女子高生である。
姉の衣愛代に負けない容姿の為、一時はアイドルへの誘いもあったが、
落ち目になっていく姉を見て芸能界には絶対に行かないと深く思ってい
た。
自分は名門の高校を出て、そのままエスカレート式で大学まで行ってや
ると深く思う美愛代。
しかし、それほど世間は甘くなく、実力が追いつかない美愛代は平凡な
中学を通うことになり、そのまま平凡な高校に行くことになってしまった。
「ううぅ..こんなはずじゃなかったのに..」
このままいくと大学すら危ないと感じた美愛代にある吉報が届く。
何と名門私立天羞学園から転入の話しが舞い込んできた。
天羞学園と言えば、省庁や大企業の就職率1000%で有名なとこであ
り名門中の名門校なのである。
ただし、男女共に全寮制である上に場所が過疎地にあることが少し嫌な
感じだが、こんな機会を逃したら名門なんて入れないのだ。
どうしてこんな話しが来たのかと言うと、学園長が姉の衣愛代の大ファ
ンということで来たのらしい。
「姉さんに感謝♪感謝だよぉぉ〜」
エスカレート式の学校だという事は1度、入ってしまえば後は自然に大
学まで卒業できると言うことであり、受験勉強をしなくていいと思った美
愛代は嬉しくてたまらない。
早速、翌日に快諾の返事を出して、転入届を出す美愛代。
ただし、この天羞学園には、いろいろと変な噂も聞くが、名門学校に行
けるのなら、多少のそういう噂も仕方ないと受け入れるしかなかった。
そんな美愛代の浅はかな考えが、今後の運命を大きく変えていくとは本
人は思っていないであろう。
第1話へ