最終話(第18.4話)「得体の知れない快感」
夏がもう終わる中、衣愛代はとあるスペシャル番組の撮影に来ていた。
その番組はTVで定番のスターの催眠術番組の撮影であり、ここでの目
玉はよく悪役の人が犬になったり、威勢のいい役者が泣き虫になってみん
なを笑わす最近流行りの催眠術番組の鉄板ネタがメインであった。
衣愛代自身ははっきり言ってこの番組はほとんどやらせだと確信してお
り、視聴者の中でもそう思う人は多くないだろう。
その番組に衣愛代は出る事となり、台本としては真っ向から催眠術士か
ら対決し催眠術にかからない設定だ。
当然、真っ向から対決するわけだから催眠術士の方もとんでもない事を
衣愛代にやらせると言う内容らしい。
そう、それは衣愛代に全裸で行水させるというもので、実際の放映でも
おま●こ以外は全て隠すことなく視聴者に見せてしまうものだった。
もちろん衣愛代には八百長でやらせるものでもなく全て本人の意思に任
された内容で、打ち合わせの段階でも、そこはガチでいきましょう!と番
組サイドからの了承も得た。
(催眠術で私がそんな恥ずかしいことできるの?いやいやいや..そんな
こと絶対に無理よっ!)
衣愛代は催眠術に興味を持って出演することになり、当然本人はここで
の催眠術そのものは全て嘘と思ってるので気軽に出演を承諾した。
そしてスター催眠術スペシャルの本番が始まった。
今回、あの広永も一緒にでており、まず早速広永の出番となり、広永に
掛けられる催眠術は赤ん坊になるものであった。
(いくらなんでも広永さんが赤ん坊の演技なんて..)
広永がどんな演技をすると見ていたら、何と広永は見事に赤ん坊となり
おしゃぶりを加えて、会場から催眠術士へ大喝采が送られた。
その後も定番の犬や泣き虫、蝶々など次々スターたちが面白い痴態を見
せ続け、ついに衣愛代の出番がきた。
衣愛代の出番と同時にスタジオの真ん中には水の入ったたらいと簡易用
の水汲みとおけが用意される。
「さあ、最後は衣愛代ちゃんの出番だぁぁぁ〜!番組はまだまだ時間があ
るから、催眠術にかかったら番組終了まで衣愛代ちゃんの行水タイムとな
っちゃうぞぉぉ〜」
司会者のいやらしい掛け声に衣愛代は少しムッとして「私は絶対にかか
りませんから!」と反論した。
そう、衣愛代本人はこんな所で行水する気など1つもなく、その顔にも
催眠術に絶対にかからないと言う自信が現われていた。
催眠術士も気づいていた。この番組が全てでまかせで嘘だと衣愛代が強
く思っていることに。
実はこの催眠術士は昨今の催眠術番組への汚名返上に海外した来日して
本物の術者で、あの作山が連れてきた者だった。
その本物の催眠術士が最後の忠告を衣愛代にした。
「衣愛代さん。本当にイイノデスカ?ヤメルノナラ今ここで言ってクダサ
イ。女性をハズカシメルのは少々ココロが苦しいです」
だが今の衣愛代は自信があり、続ける事を望みついに催眠術が始まった。
そして緊張の中、5分後催眠術は終わったのだが意外に衣愛代自信に何
の動きもなかった。
司会者もその状況を見て番組初の催眠術をかからなかった衣愛代にエー
ルを送った。
衣愛代自信も意識もはっきりしており、やはりこの番組そのものがお互
いの合意にそったにせものと確信した時、突然、衣愛代の体に変化が生じ
た。
そう、体全体がものすごく暑くなり始め、その暑さは味わった事のない
ほどのものだった。
汗もいきなりどっと体中から出ており司会者もその異常さに少し驚く。
そんな中、催眠術士が「彼女は今、私の術にカカリマシタ。彼女はソウ、
熱帯のサバクの真ん中イマス」
催眠術士が説明している中、会場からある方面に向かって大きなどよめ
きが発しられた。
そう何と衣愛代が次々と服を脱ぎ始めている。
今の衣愛代にとっては服は暑さと汗を増幅されるものであり、あっと言
う間に下着姿に自分からなってしまった。
下着はすでに汗でびしょびしょとなり胸もお尻も完全に透けていた。
そしてその下着もあっさり衣愛代は脱ぎ捨て平然とどこも隠さず立って
いた。
全て丸見えの状態で衣愛代は何かを見つけたらしくふらふらとした歩き
でスタジオの真ん中まで歩いていく。
そうそれはあらかじめセットしておいた行水のセットであり、衣愛代は
平然とそのたらいに身を入れ行水をし始めた。
もちろん、今の衣愛代はどこも隠していない上にっこりと笑いながら行
水を続けていた。
こうして収録は終わり、またもや衣愛代は羞恥をさらしてしまった結果
となってしまった。
けれど、今回の衣愛代はしかたないと思って諦めていた。
まさかここまで催眠術にかかるなんて思ってもいなく今回は自行自得と
感じとりあえず後日放映のTVのチェックは忘れないようにと思った。
実際の放映としては、やはり番組の冒頭から”衣愛代VS催眠術士”の
メインテロップが流れそして例の勝負ではやはり衣愛代の行水シーンが堂
々と流れていた。その上、映せないおま●この場所だけは衣愛代の顔マー
クがついて流れていた。
ただ、行水のシーンは意外にやらしくなく何か綺麗な感じを衣愛代自身
も感じた。
そう、視聴者の方も同じ風、いいやそれ以上に清楚な感じをしたらしく、
こうしてまた意外に世間の評価はとても良かった。
だけれども、これが元で今度は衣愛代の”おっぱい”も”おしり”同様
に世間ではTV出し公認のものとなってしまった。
そしてこの事がさらなる羞恥なる仕事を呼ぶことは予想するまでもなか
った。
秋がもう近づく中、衣愛代にとあるCMの撮影の話しがきた。そのCM
とは某鉄道大手会社からの依頼だった。
それも大型のCM内容の為、衣愛代にとっては断る事が出来ない話しな
ので、ろくに内容を聞かずOKをしてしまった。
まあ、某鉄道大手会社のCMなので内容はどんなのでも問題ないと思っ
てた衣愛代だったが当日の撮影日その内容を聞いて驚いた。
なんと先日話題の行水のシーンが気に入りその行水をメインにしたCM
内容なのだ。
当然、全て裸で撮らなければならず、衣愛代はあまりに露骨すぎる内容
に意を決しスポンサーと監督の所に抗議しに行こうと決心する。
そして監督の所まで行った時、そこには先にあの作山がいたのであり何
やら監督とスポンサーに抗議していた。
「あのね。これじゃ、うちの衣愛代はただの露出女ですよ。こんな高原の
中でたらいもって行水する女性などいませんよ」
「しかし作山くん。うちもいろいろ考えてね。どうしてもだめかな?」
かなり抗議してる作山に衣愛代は感動し全てこの場を作山にまかせ自分
は待合室まで戻ることにした。
そして1時間後、作山が新しい台本をもって衣愛代の所に戻ってきた。
「ごめんよ。衣愛代ちゃん。さっきの内容は全部破棄してもらったからね。
これが新しい台本だよ」
衣愛代はここまでしてくれた作山に感動し早速その台本を見せてもらっ
た。だが、その台本に書かれた内容は考え方次第で行水よりも恥ずかしい
内容であった。
そう、その内容は衣愛代が今回のCMの舞台の目玉である高原を思い切
り走りその先に見える綺麗な湖畔を見つけた途端に全ての服を脱ぎ裸で湖
に飛び込みはしゃぐ内容だった。
その上最後は湖の中から突然立ち上がり「来てよかった」と両手をあげ
て叫ぶシーンだった。もちろんその時は一切隠さないで笑顔でやるのであ
った。
衣愛代は少し嫌そうな顔をしていたが作山が「衣愛代ちゃん。これの大
事な点はどれだけいやらしくない風にやる事だよ。もし変な恥ずかしさで
やったら途端にやらしいものになってしまうよ。わかっているかい?」
作山があまりにもいやらしさを出さず真面目に語っているのでついに衣
愛代もその案に乗る事に決めた。
そして撮影は始められ、衣愛代は気持ちよく高原を駆け上り、湖畔の所
まで行き、思い切り深呼吸をした後で簡単に服をぬぎはじめていく。
もちろん、周りにはスタッフもいてカメラマンもいるのだが衣愛代は躊
躇をしないで下着まで一気に脱ぎ捨てるしかない。
さすが今まで羞恥な目になってるせいもあり1度腹をくくれば堂々と演
技も出来るほどになっていた。
衣愛代はどこも隠さずまま湖に飛び込み楽しくはしゃいでいた。
まるで本当に誰もいない湖畔で優雅に楽しんでみえる程だった。
そして最後のシーンを岸まで潜って泳ぎそのまま思い切り水しぶきを出
して立ち上がり「来てよかった」と両手をあげて大声で叫んだのだった。
こうして全て終わり、エンドカットの声が響き撮影は終わった。
ただ、カットがされたにもかかわらず、しばらく衣愛代はどこも隠さな
いで立ち尽くしていた。
そう、この頃よく感じる奇妙な感覚が思い切り湧き上がり衣愛代に得体
の知れない快感を与えていたからであった。
エピローグへ
※ この話は、2001年5月作成のもので全体の4割程度で止まってるため、
洒落含めて18.4話として公開していますので、ご了承願います。