43 - 「三十路たくやプレ版「たくやの新生活」-中編」


 持ってきた荷物はそんなに多くない。大きな家具は部屋に全部備え付けてあるし、持ってきたのは服などの私物とマンガやゲームのコレクション、仕事用のパソコンと膨大な量の研究資料ぐらいなものだ。
 前の夫との思い出になるようのものを持ってこなかったのは当然として、研究に必要なデータや書籍が思っていたよりも結構な量になってしまっていた。おかげでパソコンルームに備え付けれられた壁一面の大きな書架は一気に六割ほど埋まってしまった。
 以前はダメダメ学生のレッテルを張られていたあたしが何の研究をしているかというと、過去の性転換の体験、それから自分の身体を元に戻すことを生涯の目標に据えての遺伝私学だ。これでもあたしの名前は、遺伝子研究の世界ではそれなりに知られるほどだったりする。
 麻美先輩が作った薬で、あたしが性転換させられたことで得られた膨大なデータ。それを元に北ノ都学園研究チームで開発された性転換薬「エックスチェンジ」は、佐藤麻美と川原千里という希代の天才二人の功績によるところが大きい。けれどそんな二人をまとめあげて薬の完成にこぎ着けたチームリーダーは、何を隠そうこのあたしだ。
 その後、麻美先輩は薬学、千里は工学の道に進み、時には衝突しながらもお互いにさらなる研究の道に励んでいる。取り残された形になったあたしはしつこい求婚に屈した形で結婚。今では独自の研究結果を論文にしてたまに発表している程度。それでも、結婚している間にいくつもの研究機関や外資企業が独自の着眼点を評価してくれて、何度もオファーしてきてくれていた。
 ありがたいことに、性転換役の特許権やいくつかのパテントで、食うに困らない程度の収入はある。だからまあ離婚したらのんびり次の道でも決めようと思っていたんだけど……中断していたライフワークの「あたしの身体を元に戻す研究」をそれなりに設備の整ったところで研究したかったところだ。タイミングよく好ましい条件で再就職口を紹介されて快諾し、こうして引っ越してきたわけだけど―――


 ―*―


「あたしが悪いんじゃないもん……どっちかって言うと被害者なのよ? バカ旦那は加減ってものを最後までわからずに露出だアナルだ調教だ〜って調子に乗って。挙げ句の果てに、あたしの収入を当てにして仕事辞めてきて、何がこれから二十四時間愛しあえるよ! あの甲斐性なし、あんな奴こそ女になっちゃえばいいんだ、もげろ、もげちゃえ、玉なくせぇぇぇ!!!」
「せ、先生、もうそろそろお酒は……」
「いーじゃない! あたし大人だもん、自己責任だもん、明くんだって幻滅したでしょ、だからほっといて! ングングングングングップハァ!」
 立派なソファーがあるのにフローリングの上にタンクトップ姿で座り込んだあたしは、500ml缶のビールを一気に飲み干すと、広げたピザの箱の横にタァンと叩きつける。
 対面に座る明くんとの間には、ピザに中華に寿司にカレーと、とても二人では食べきれない宅配料理が夕食代わりに並んでいる。どうせこれ全部食べたって太らないし、むしろ栄養が胸にばっかいっちゃうし、むしろ今はお酒、酔って何もかもどうでもよくなっちゃいたいから、次、500の四本目いきます!
 ―――とまあ、こうやって引っ越しの打ち上げをやってるわけだけど、引っ越し中の空気は最悪だった。あたしと明くんの間に流れる微妙な雰囲気を、口の悪い若い作業員は全く気づかない。思ったことを口にしただけだろうし、離婚直後に若い子にドキドキしたのもまた事実だし不謹慎だったかもしれない。けど、こう、何とも言えない怒りが腹の底から沸き上がって、頭じゃ自分が悪いとわかっていてもお酒でも飲まずにはとてもやってられないのだ。
「先生、もうお酒はやめた方が……」
「なによ、幻滅したって言いたいの? そうよね〜、数年ぶりにあったらバツイチで浮気賞で飲兵衛になってたら百年の恋だって冷めちゃうわよね〜」
「そういう意味で言ってるんじゃないんですけど……」
「今更あたしに遠慮なんかしなくたっていいって。明くんからすれば三十過ぎちゃったおばちゃんだもん。ほら、それよりももっと食べて飲んで。若いんだから、これぐらいへっちゃらでしょ?」
「…………この量は、年齢に関係なくちょっと無理です」
「そお?」
 ただ働きしてくれた引っ越し屋さんの子にもって考えて注文したから、やっぱり多すぎたかな……中華のプレートからエビチリを口に運んで、さらにビールを一口。
「そー言えばさァ、明くん、どーして一人暮らしなんかしてるの?」
「別に……大した理由なんかないですよ。今時、一人暮らしの学生なんて珍しくもないですし」
「まあまあそう言わずに。聞かせなさいって恋バナ恋バナ♪」
 さんざん愚痴を聞いてもらったお返しに、今度は明くんのことを根ほり葉ほり聞いちゃいましょ〜♪……て事で、アルコールによる身体の火照りでタンクトップの下に汗がにじんでいるのを感じながら身を乗り出すと、お酒を勧めているにも関わらず烏龍茶をちびちびやりつつ、どこか自嘲めいた笑みを浮かべ、
「恋なんて……出来ないですよ、僕は」
 そう吐き出した。
「んなことにでしょ〜? 背も高くて二枚目で、何かスポーツだってやってるんでしょ?」
「体動かすのなんか、たまにツーリングに行くくらいだよ。一人になりたいときに……」
「だったらそのときに女の子でも誘えばいいじゃない。ふたりっきりで静かな温泉旅館で一泊とか、ムードでると思うけどなぁ……」
「ははは、それはないって。遊園地だ水族館だってわがまま言うだけ言って、結局自分が楽しむことしか考えないんだから。付き合うだけ、お金と時間の無駄だったよ」
「ふ〜ん……その言い方だと、付き合ったことはありそうね。ま、女の子なんて一人や二人じゃないんだし、いろんな子とつき合えるのも学生でいる間の特権よ?」
 自慢じゃないけど、あたしが男だったときには何人もの女の子といい関係だったのだ。ま、紆余曲折はあったものの、最終的には幼なじみの明日香一筋になって、だけど男に戻れなくなったのと明日香が留学から戻ってこなかったことから関係は自然消滅。最後には押し切られて結婚して離婚して今に至ってるけど。
 女の姿でならまだしも、男の時はそれなりでしかなかったあたしがそうだったのだから、明くんならきっと……と缶ビール片手にピザをかじりながら考えていると、
「三十人ほど試したけど全部ダメだったよ。今日も分かれたばかりだし」
「ぶっっっっ!?」
 口にしたばかりのビールを思わず吹き出しそうになった。
「もって半月……かな。付き合いたいって言われたら、可愛かったら付き合ってみて、だけどどんな娘でもすぐ根を上げる。好きにもなってない相手だから扱いが雑になっちゃうみたいで、一晩SEXしただけでケダモノ扱いしながら出て行かれた」
「ちょ、ちょっとちょっと。もしかして、夜道で後ろから刺されるようなことしてるんじゃない……?」
「むしろセフレになれって言われる方が多いよ。けど、そう言うのは僕のしたいのと違うから断ってる」
 ―――どうしよう。まさか、元・教え子が、あの真面目で可愛かった明くんがこんな子になっちゃってるなんて……
 こうなった原因はどう考えてもあたしのせいだろう。道程を奪ってから、なかなか男に戻れなかったストレスもあり、何度もエッチしただけでは飽きたらずにあれもこれも……昔のあたしも、別れた夫に負けず劣らず外道だったな〜と反省しても遅い。
 明くんの女性に対する態度や考え方は、あたしにもわかるほどに歪んでいる。
 異性を好きになれない。
 異性を雑に扱う。
 これが同性愛だったらどうかと言う話ではない。自分のことを語る明くんはどこか寂しげな表情を浮かべ、今は女性の側であるあたしの方へ目を向けず、視線を落とし舐めるように烏龍茶を飲んでいる。
 あたしの勝手な思いこみだけれど、そんな形で女性と付き合ってきた明くんも、かなり辛い思いをしてきたことだろう。女性の側から近づいてくるなんて男性からしてみるとうらやましい話だが、その回数だけ振られ続けてきたと言う意味でもある。主な原因が明くんにあるとしても、気に入らなかったからすぐに別れるなんて、あまりにわがままが過ぎると思う。
 ―――明くんだって、相手を好きになろうとしてるのに……
 その気がないのなら、最初からつきあい始めたりしない。抱いたりしない。自分の心の病を知っているから、酷いことをしたと自覚しているから、あたしの前で辛そうな顔をのぞかせている。
 ―――そんな顔を見せられたら、あたし……
 アルコールが回って熱を帯びた身体の奥底から、ズクンと、それより熱いモノがこみ上げ始める。
 人を好きになる気持ちが分からないと言うのなら、大勢の女性に傷つけられたと言うのなら、あたしが明くんの心を癒してあげたい。どう考えたって、今のあたしでは一緒に泥沼のような肉欲まみれの生活にはまってあげることしかできないだろうけど、抱えているモノを全部吐き出させてあげることが出来たら……それは、幼い明くんに性の悦びを教えて歪めてしまったあたしの償いになるんじゃないかと―――
「先生、どうして僕の前からいなくなったの?」
「え………?」
 不意の問いかけに、あたしの心臓が鷲掴みにされた。
 すぐに、答えられない。―――短く鋭く息を吸い、吐き、もう一度吸おうとしたときには、明くんは次の言葉を紡いでいた。
「僕のことが嫌いになったの? 飽きたから捨てたの?」
 そんなことない。
 ただ、当時のあたしは男に戻れない事実と明日香のいない現実で不安定になっていて、なし崩し的に結婚まで押し切られたから……
「僕がいらなくなったから捨てたの? 先生にとって、僕はただのおもちゃだったの?」
 そんなことはない。
 どうでもいい相手だったら、肌を重ねたことを思い出として覚えていたりしない。美化したりしない。
 あの時は何でもしたし、何でもしてあげた。明くんが喜ぶことを、あたしが満たされることを。そうしてあたし色にどこまでも汚れていく男の子の性長を感じながら、言葉にできない悦に浸っていた。……とても自慢できたものじゃない性癖だけど。
 ―――でも、置いていったことに変わりはないんだよね……
 その事実は、今更どう足掻いたところで変えることは出来ない。だから……あたしに言えることは、この一言しかなかった。
「いや〜、ほんとにゴメンね。あの後さぁ、何とか連絡とろうと思ったんだけど旦那に携帯のアドレス全部消されちゃって。結婚早々大喧嘩。やっぱ相性って大事だよね、それ確かめないで強引に結婚させられるとろくな目に遭わないってよくわかったわ」
 ―――あ、あれぇ? もっと申し訳なさそうに謝ろうと思ってたのに、なにこの明るい謝罪。これ、相手の神経を逆なでしちゃいません!?
 酔って饒舌になり過ぎた唇は、アクセルを軽く踏んだだけで急発信し、ブレーキを踏んでもちっとも効きやしない。
「先生、僕は……!」
「そ、悪いのはあたしなのよね〜。だからさ、今、こうして明くんの目の前にいるんだし」
 ―――え、ちょっと待って。た、たたたしかにさっきから「あっつぃな〜」とか思ってたけど、明くんの……お、男の子も前なのにぃぃぃ!?
 ビールを一気に煽ると、ミジンコぐらいしか残っていなかった最後の自制心も、のどの奥に流れ込む炭酸の心地よい刺激と一緒にどこかへ流れ落ちていく。
 それからはもう、止まれない。おもむろに両手でタンクトップの裾をまくると―――
「んっ……」
 乳首が引っかかりはしたけど気にしない。そのまま一気に頭の上までめくりあげてしまっていた。
「うわ、あ、え…ええええええええええっ!?」
「んっふふ〜♪ あー、きっもちい〜♪」
 引っ越し作業の後だったので、服はタンクトップにハーフパンツのみ。食事するのに胸を締め付けられているのはいやだったのでノーブラだ。明くんとのXXXを期待して露出の多い格好をしていたわけではないけれど、おかげで一枚脱いだだけで、94センチGカップがプルンと弾けるように露わになる。
「ふぅ……♪」
 適度にエアコンの効いた室内だと、確かに服を着ているより脱いでる方が楽で快適だ。火照る肌に心地よい空気がふれる感触にうっとりとした息がこぼれ、汗ばんだ豊乳の谷間へと流れ落ちていく。
 ―――我が胸ながら……相変わらず見事なもので。
 まるで十代のようなハリとツヤ。そして十代ではあり得ない圧倒的なボリューム。巨乳好きの人にはあたしの胸はよほどたまらないらいけれど、何時間も何時間も乳揉み魔に乳レイプ(?)されてからと言うもの、妙なイき癖がついてしまったあたしの悩みの種の一つだ。
「んっ……♪」
「―――――――――」
 内股をもじもじさせながら、両腕で日本人離れしたバストを両腕で抱えあげ、男の子を誘惑するとろけたまなざしを明くんへと向ける。
 ―――こういう……自分から誘惑するのって、すごく久しぶりかも……
 結婚していたからと言って、ほかの男性と関係をいっさい持たなかったわけではない。むしろそう言うトラブルは全く望んでいないにも関わらず、あたしの都合などお構いなしにやってきていた。
 でも、天地神明に誓って自分から進んで誘惑したことは一度もない。―――それなのに今は、あたしの理性を無視して動きだしたイヤラシい身体は、明くんに獣のように激しく犯されることを望みながら、たわわに実った胸を大きく高鳴らせていた。
 ―――これは照れる……と言うか恥ずかしいぃ!
 頭でわかっていても、引っ越しと言う運動とエアコンの暖かい空気、それに年下の男の子を誘惑することで生まれる羞恥心にも似た興奮でほんのり汗ばみ、肌を桜色に染めたイヤラシい身体は止まらない。アルコールを燃料に、四つん這いで明くんのそばに寄ると、
「ほら……明くんが大好きだったものだよ?」
 彼の両手をとり、自分から乳房に押しつけさせた。
「うわわわわわあああああああ!? 先生、なに、なにやって、あったかいよ!?―――じゃなくて、柔らかいよ!?」
「んっ……最初から乱暴に揉んじゃだめ……か、感じ…過ぎちゃうから……ん、あぁ……」
 でも、好きなだけ揉んでいいんだから……あたしの乳房に十本の指を思わず食い込ませてくる明くんの姿に、初めておっぱいを触らせてあげたときの姿をダブらせると、赤く火照った頬に微笑を浮かべ、明くんのに重ねた自分の手で乳房をゆっくりと揉み上げる。
「せん……せえ……」
「言ったでしょ……好きにしていいんだって。それとも、あたしみたいな年上のおばさんじゃダメ?」
 イタズラっぽくそう訊ねると、明くんは勢いよく首を左右に振って、
「先生がダメだったら小学生だって老け顔だァ!!!」
 ―――ちょっと。あたしってそんなに童顔!? そりゃ、以前は麻美先輩や千里にまで子供っぽい子供っぽいって散々言われてきたけど……
 でも明くんがそういってくれたことは、むしろ嬉しくもある。もしかしたら同い年の娘の方が……と心のどこかに不安を抱いていただけに、ちゃんと性的対象として見てもらえていたことを確認できて、
「あっ……♪ はあ、ああ……んうぅ……♪」
 ―――こ、声、出ちゃうぅ……明くんに胸を揉まれて、年下の子が相手なのに、あたし、声がぁ……!!!
 あたしの胸から張り付いて離れない明くんの手の平。完璧なほどに半球状に盛り上がった膨らみに指先が深く食い込みたびに、指と指の間から乳肉が搾り出されるたびに、熱い湿り気を帯びた吐息が反り返る喉から溢れ出してしまう。
 それに明くんの指使いも甘い。荒々しく、あたしの胸が赤みを帯びるほどに乱暴をこね回すと、過敏になったその肌を指先と、そして舌先がなぞり上げていく。輪郭を確かめるように、乳首の周囲には何度も舌と指が這い、下乳のラインを舌先にくすぐられながら乳輪ごと摘まれてグリグリと圧搾されて……いつしか、後ろ手に床へ手をついたあたしの乳房は明くんに塗りたくられた彼の唾液で塗れ光り、上を向いた乳首は今まで見たこともないほどに高く天井向けて突き上がってしまっていた。
「明くん……す、すごく上手に……♪」
「先生が教えてくれたからだよ。女の悦ばせ方を一から十までね。ほら、こっちきて」
 最初は年上のあたしが主導権を握るつもりでいたけれど、酔いの回ったイヤらしい女の身体は、男の子に奉仕される方を選び、手を引かれるままに彼の膝の上へと移動してしまう。
「くふぅ……! 吸われてる……あたしのオッパイ、明くんに吸われてるぅ〜〜〜!」
「夢に見てたよ……先生のおっぱいをこうして吸いたてることを。どんなに他の子を抱いた後でも、その夢を見るたびに、ぜんぜん収まらなくなって……」
「んはあァ!!!」
 右の乳首にも左の乳首にも、明くんの唇がむしゃぶりついてくる。背中に手を回され、彼の腰の上にこちらの腰を乗せた姿勢では逃げられようもなく、硬く尖った乳首に舌が絡み付いていやらしい音を響かせるたびに、身体の一番深い場所にある心がキュウン…と切ないほどに収縮してしまう。
「先生、これ、きもちいい?」
 気持ちいいに決まってる……何年もずっと積み重ねてきた想いのこもった明くんの愛撫に、あたしの興奮もとどまるところを知らない。愛すると誓った人と別れたばかりのはずなのに、陰部はとろとろのシチューのように蕩けきり、大きく盛り上がった明くんの大切な場所と擦れあうたびにショーツの内側に熱い液体を吐き出してしまっている。
「ん……ああァ……きもち…いいけど……ま、まだまだ…かな?」
「―――誰と、比べてます?」
「ふふふ……気になるなら、もっとあたしのことを感じさせて……んああああああっ!!!」
 あたしの左の胸が、明くんに鷲掴みにされる。
 痛みを伴う強烈な快感は一気に脊髄から脳天にまで駆け上がり、反射的に反り返ろうとする身体は強引に引き戻され、
「ぁ………んっ!」
 唇が、奪われる。
 ―――明…くぅん……!
 再会は今日だったというのに、まるで恋人同士のように絡み合う唇と舌。強引で、だけど口内へ捻じ込まれた舌先のどこかぎこちない動きに、まるであたしへの想いが流れ込んできているような気持ちになってしまう。
 ―――こんなキスされたら、あたし、もうダメぇぇぇ!!!
 明くんが喉を鳴らして乳首を吸い、乳房が歪むほどに強く揉みしだかれると、何もかも抑えられなくなる。
「ちょっと……まって………」
「ボク、先生、先生ぇ!」
「お願い…ィ……意地悪なこと言ったのは謝るから……」
 彼の肩を掴んで強引に身体を引き離した途端、まるで捨てられた子犬のような目で明くんは訴えかけてくる。
 あたしだって今すぐにでも明くんとしたい……何年ぶりかの明くんとのSEXなのに、胸だけでなんてイきたくない。だから腰を浮かせてズボンを脱ぐと、豊満な乳房の谷間に明くんの顔を挟んで締め付けながら、そそり立つ肉棒の上に自分の腰をあてがえた。
 ―――あ、あ、これやだ、あたしも入れたいけど……これは……あぁぁ……!
 圧倒的な質量を持つ肉棒の先端が敏感な部分を擦りあげると、腰がビクンと跳ね、肉茎を伝い落ちる涎の量がさらに多くなる。
 だけどあたしよりも明くんの方が過敏に感じている。男のもっとも敏感な場所と花弁とが卑猥に絡まりあい、時折キュッキュッと締め付けてまでいるのだ。互いに涎を滴らせる膣口と射精口が何度も口付けし、あと一押しで窄まりにハマりそうなところで腰をくねらせて挿入を拒むと、雄々しくそそり立つ肉棒がビリビリと痙攣するのが伝わってきて、あたしの腰の奥の奥がよりいっそうネットリととろけてしまう。
「いじめ……ないで……じゃないと、僕、もう、が…我慢がぁ……!」
 少しジラしすぎたか、今にもこぼれそうな大粒の涙で目を潤ませ、喘ぐように明くんが訴えてくる。
 だけど、その表情もたまんない。女顔の明くんが荒く息を乱しながら射精をこらえて苦悶する姿に膣奥がヒクンと跳ね上がるのを感じつつ、熱っぽく吐息をこぼすと……この子を骨の髄まで支配してしまいたい、そんな衝動に突き動かされ、むさぼるように唇を重ね合わせていた。
「んん……っ!」
 あたしが上で、明くんが下……あたしの喉の奥から再現なくあふれる唾液を流し込み、口の端からこぼれるほどに溺れさせながら、じれったいほどにゆっくりと直立する肉棒へ腰を落としていく。
 ―――あ……入り口が亀頭に押し広げられてく……あ、あ、先っぽ……あたしの中にィ……!
 まるでゴムのわっかの様に、あたしの膣口はくわえ込んだ途端に明くんのカリ首をギュッと締め付ける。そのまま上下に腰を揺すりたてると張り出した亀頭のエラが入り口に何度も引っかかり、あたしの下で明くん鼻で苦しげに喘ぎ、太い肉茎を痛ましいほどに脈打たせた。
「んんぅ! んあァ、んん、んグウウゥ! んフッ、ンッ、ン―――――!!!」
「フフフ……そんなに出したい? あたしとSEXして、あたしのおマ○コにたっぷり中出しさせてほしい?」
 そんな答え、言わなくても解りきってるのに……だけど言わせたい。お酒によっていい気分になってるせいで、ちょっぴりSっ気出してるあたしは、亀頭を頬張って嘗め回すようにくわえている恥丘に力を込め、ゴクリと唾液を飲み下している明くんの喉元をなで上げる。
「い、いれたい! 先生の膣内(なか)に、思いっきり出させて、出させてええええええ!!!」
 ずっと抱き続けてくれていた想いが実りそうな直前で、お預けをくらい続けて明君が壊れかけている。強引に迫れば腕力に劣るあたしにはどうしようもないのに、お預けさせられている犬のように床へ後ろ手を突いて、顔を涙と涎で濡らしたまま懇願して……そのあまりの必死さにゾクリとくる嗜虐心の悦びを感じつつ、両手を明くんに首に絡ませ、
「んは…ァ……そんなに挿れたいなら、挿れさせたげる。明くんの、好きなように、お…犯されてあげるぅ……♪」
 自分でもどうしようもないほどにだらしなく顔の筋肉を緩んでいくのを感じながら、ゆっくりと、あたしのおマ○コがすぐにイっちゃわない様、じれったくなるほど慎重に腰を下ろしていく。
「せん、せええええぇ……!!!」
「もう少し……もう少しだけ我慢して、あとちょっとで……は…はいっちゃ……ったぁ〜……♪」
 明くんの肩へ顔を押し付けるように抱きつくと、野太い肉棒は根元の部分にやや長さを余らせながらも、あたしの子宮の入り口へ今にも精液を吐き出しそうな肉棒の先端を押し付けてくる。
 硬い……もう愛おしさが止まらなくなってしまった元・教え子の肉棒はまるで処女幕が残っていたかのような痛みを感じるほどにあたしの膣内を押し広げている。締りの良すぎるヴァギナがすさまじい圧迫感に襲われ、深呼吸をするほどに頭の中にピンク色の靄がかかっていって……そうして、かわいい明くんの成長振りを堪能していると、フッとあたしの身体が浮き上がり、
「くあああァあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 ついに耐え切れなくなり、あたしの腰をしっかりと抱え上げた明くんが、狭い膣内へ巨大な肉棒を根元まで強引にねじ込んできた。
 ―――お、おマ○コが、あたしの、おなか…お、押し上げ、られてぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!
 子宮を突き上げられる突然の強烈な衝撃に、あたしはガクンと大きく首をのけぞらせる。
 ―――い、いきなり、激しすぎるぅぅぅ! 好きにさせてあげるって言ったけど、こんなに奥まで、おへその裏っかわまで犯されて、ダメ、らめ、あたしもう、もおおおおおおおおッッッ!!!
 お尻を両手で鷲掴みにされ、火箸のように硬くて熱くて長い肉棒にヴァギナをグチャグチャにかき回されながら、あたしと明くんはもつれ合うように床に倒れこむ。
「ああァ! 気持ちいい、先生の中、ドロドロで、ヌチャヌチャで、し…締め付けてきてぇ!!!」
「明くん、スゴいの、奥まで、届きすぎて、おチ○チンが、あたしのナカで、脈打ってぇぇぇ〜〜〜!!!」
「先生、愛してます、誰よりも、世界中の誰よりも、僕は先生のことが!!!」
「やっ……そんなの、今は……い…言わないでよォ……!!!」
「ダメです、言います、先生だって、僕のチ○ポで感じてるじゃないですか! いいんでしょ? 僕とSEXして気持ちがいいんでしょ!?」
 ―――だって……は、ハズかしいもん……エッチしてるのに…そんな真剣な顔で告白なんて……はあ、はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
 もうフローリングの上は蜜びたしだ。ズルッと勢いよく肉棒が引きずり出されるたびに、あたしの膣奥から湧き出る愛液はもう垂れまくり状態。力強く腰を叩きつけられるたびに、おマ○コの一番深い場所を掘削され、官能を強引に掘り起こされ、それに加え、お尻の下で愛液が卑猥な音を奏でるとよって淫乱になっているはずなのにどうしようもないほどのハズかしさが胸に湧き上がってきて明くんの顔をまともに見つめられないほどに感度が跳ね上がる。
「あ…きらぁ……♪」
 腕に力をこめて彼の顔を引き寄せると、むさぼるように唇を絡ませる。そして明くんの腰へ両脚を絡みつかせると、もうこれ以上ないほどに熱を帯びて蕩けた視線を目の前にある教え子の……もう、あたしと結婚も出来る年齢にまで成長した男性へ向けると、
「あたしも、あたしも愛してる、明くんのことぉぉぉ!」
 ―――この言葉は嘘じゃない。けど、本当でもない。
 まだ、結婚を考えるほどに愛しているかどうかははっきり分からない。お酒飲んで酔ってるしエッチの最中だし。……でもエッチの相性は最高すぎる。おチ○チンを抽送され、膣奥を激しくかき回され、もうオルガズムはすぐ目の前に迫っていた。子宮口をゴリゴリ突きあげられるのにあわせて、家庭教師と教え子という関係の間に生まれる愛情が、肉欲の交わる愛情へ変わっていたのは本当の気持ち。
 だから―――
「ほ…ほんとに? 本当に僕のことを……!?」
「愛して、あげる……だから、このまま、あたしが壊れるまで、明くんが壊れるまで、愛し続けてぇぇぇ!!!」
 この言葉を皮切りに、初めて明くんの方から強引な口づけを求めてくる。それを受け止めてあげると、お互いの想いをぶつけ合ったこの短くも濃厚な快楽の時間を終わらせようと、腰の動きが加速し、泡立つ愛液にまみれたヴァギナの奥へ今までで一番強烈な一撃が叩き込まれた。
「んああああああぅん! あきら、とまんない、このまま中で、中で出してくんなきゃ……らめぇえええええええええええっ!!!」
「先生! 先生!!! せんせぇええええええええええええええ!!!」
 あたしの事を何度も呼びながら腰を叩き付けて来ていた明くんがギュッと眉根に力をこめると、あたしはその身体を抱き寄せ、彼の胸板に豊満すぎる乳房を押し付ける。そして一際強く脈動した肉棒がググッと膨れ上がると、
「――――――――――――――――――――――――ッ!!!」
 あたしの身体の一番深い場所へ、明くんの長年の想いの込められた精液が大きく弾け、叩きつけられる。
「んっ―――、――――――――、ァ――――――――――――……!!!」
 あたしもまた、絶頂に達して、服を脱ぐのも忘れていた汗だくの身体をビクビクと戦慄かせる……ここ最近、分かれた夫と身体を重ねても感じることのなかった充足感があたしを満たしている。これが好きな人と交わる喜びの感情なんだって、大量の白濁液を迸らせる肉棒をヒクつくヴァギナで強く締め上げながら実感してしまっていた。
 久しぶりに会った教え子への、母性とも親近感ともつかないけれど、確かに感じる愛情が精液の熱さとともにあたしの身体へしみこんでくる。
 ―――だからまだ、まだなの。これ一回じゃ……まだ明くんのことを感じたりないのぉ……
 若さもあるんだろうけれど、それを差し引いても明くんのはかなりスゴい。あたしのおマ○コから溢れ出すほど大量射精したのに、硬さを保ったままのペ○スは脈打つたびにグリッグリッとあたしの子宮の入り口を圧迫してきている。
「せん…せ…ぇ……ボク…き、きもち…良すぎて………だけど、だけどもっと先生と、先生とおマ○コしたいよぉ……!!!」
「ふふっ、あたしも……かな。明くんのこと、もっともっと気持ちよくしてあげたいの。だから……今度はもっとゆっくりと、ね?」
「わかりました。ゆっくりと、時間をかけて何回でも先生のことを……!」
「んあっ…! あっ、お、押し上げて……あ、あぁ、ズ、ズンって、子宮に…明くんの…んんんぅ〜〜〜!!!」
 長く大きなストロークで、あたしの膣内から射精されたばかりの精液が掻き出されていく。そしてカリ首が膣口に引っかかるほどにヴァギナから大きく引きずり出された肉棒が、じっくりと膣奥にまでねじ込まれてくると、その逞しさにあたしのおマ○コが隅々まで悦びに打ち震え、白くにごった愛液を結合部からしとどに溢れさせてしまう。
「ハァ…ハァ…せ、先生の奥に、僕のが届いてる……ああぁ、ね…ネットリ絡み付いてきて……!」
「明くんのも…スゴいの……さ、最後だけ…強く…ク、クるぅ……!!!」
「ダメ、ダメだよ、そんなに締め付けたら、先生の、熱いおマ○コに、また、またぁぁぁ!!!」
「んあああああっ! ゆっくり、もっとゆっくりぃ! じゃないと、こんな、大きいので、太いので、ゴリゴリされて、イかされ…あたし、あう、あう、んいぃ! あきら、あきらくぅぅん!!!」
 もう身体が反応しまくって、ぜんぜん止まらない。あたし一人には広すぎるリビングに、二人で激しく愛し合う体液と肌のぶつかり擦れあう音が鳴り響き、二度も、三度も、連続して膣内射精される恍惚に夫との忌まわしい思い出が次々に洗い流されていく。
 ―――それなのに……あたし……
 ここまでされているのに、明くんへの想いが良くわからない。
 嫌いじゃない。むしろ好き。大好き。このまま一生明君と二人きりでこの部屋に閉じ込められてSEXしっぱなしでも、それはそれでいいような気さえしている。
 だけど、アルコールで酔ってるから、離婚したばかりだから……そんな言い訳を自分にしてまで、自分の気持ちをはっきりさせたくない自分がいる。
 ―――あたしは……いつか、元の姿に……
 引越しのときの荷物整理で自分が積み重ねてきた研究の資料を目の当たりにして、胸によぎった気持ち。そんなちっぽけの気持ちがどうしても、明くんに身も心も全て捧げようとする気持ちにブレーキをかけている。
 ―――だから身体だけは……もう何もかも忘れるぐらいにぃ!
 あたしのおなかの中は明くんに注ぎ込まれたものでたぷたぷになっていて、その感触と精液の熱さがあたしに女の身体になれた悦びを満喫させてくれる。
 だけど、まだ夜は長い……年若いあたしの新しい“恋人”に何度も子宮の奥まで突き上げられながら、新生活一日目から訪れたこの至福の時間に酔いしれ続けていた―――


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