43 - 「三十路たくやプレ版「たくやの新生活」-後編」


 朝のまどろみから目覚める――と、隣に彼がいた。
 ………はい? なんでしょう、この、何度か経験したけど新鮮なお目覚めは?
 目の前にある顔は、もちろんあの人の顔じゃない。
 あの人とはもう別れた……それはもう、寝ぼけていても間違えることはない。だったらこの美男子は誰だっけ?
「―――――――――あ」
 思い出した。はっきりと。昨日、なにがあったのかを。
 ―――ほんとに、夢じゃなかった。……う、うわああああ、ど、どうしようどうしようどうしよう!!!
 元・教え子との濃密SEX。くわえてまたいで上り詰めては挟んでしゃぶって、今度は逆に揉まれて吸われて転がされて噴かされて……何度も上と下を入れ替わり、まだ春先なのに全身が汗まみれになるほど激しく過ごした夜。何度も意識が飛んだはずなのに、行為の一つ一つまではっきり一気に思い出し、あたしの頭は最初っから恥ずかしメーター振り切った状態で即再起動した。
 ―――やっば―――い! うわ、どうしよ、今度こそエッチなトラブルに巻き込まれない新生活をっと思ってたのにぃぃぃ!!!
 いっそのこと、全部夢だったらよかったと、起きた直後にそう思う。何しろ、どこからどこまでが夢なのかも定かじゃない。だったら全部を夢にして否定してしまいたかったわけで……ぶっちゃけ、明くんとのあれやこれやのなにもかもが思い出しただけで顔から火がでそうな恥ずかしい行為ばかりだったりする。だからこその全否定だ。
 けれど、股間の奥の奥にまでまとわりつくぬかるみが、明くんとの再会も、久々に味わった心許せる人との快感の心地よい名残がすべて現実であることを物語っていた。
「……………気持ち悪い」
 肌に滲んだ汗やかけられた精液の不快感で目が覚めたらしい。明け方……お互いに春休みであるのをいいことに、窓の外が白んでくるまで性欲をむさぼりあったのだから、エアコンの効いた部屋では汗もかく。七時半は早起き過ぎるだろう。
 ―――ま、激しいだけのSEXは結構慣れちゃってるから……我ながら要らない体力だけは付いちゃったよね。
 とは言え、さすがに腰がだるい。AV男優顔負けの巨根と体力を持った明くんを相手に、自分から積極的に腰を振ってアクメをむさぼったのだから、さすがにこれはしょうがない。
 そのかわり、相手は骨抜きだ。先に根を上げてベッドに崩れ落ちたのは、ケダモノ扱いされるほどに女泣かせの明くんの方で、その後始末を手と口と胸でたっぷりとしてあげて最後の一滴まで口の中に吸い出してから眠ったのだから……どちらかというと、テンション上がったときの淫乱さはあたしの方が上だと行っているようなものだ。
 ―――それにしても離婚して三日とたたずに年下の子と……世間体的に、これがばれたらまずいよね……
 寝心地抜群のベッドから身を起こしたあたしは、横で幸せそうに寝息を立てている明くんに目をやり、そのまま頭を抱え込んだ。
 これならまだ見知らぬ男に監禁レイプされてた方がましだった。年下相手に本気で中出しを望むほど感じたなんて……昨晩のあたしを思い返すと、顔から火がでそうほどに恥ずかしくなる。
 そしてもしこの事が奥様ネットワークにでも流出しようものなら、即刻引っ越しせざるを得ない。
 ―――どうなんでしょう、あたし的には。年下相手に本気になっちゃうのは……
 女も三十を過ぎると色々考える。その結論の一つが離婚であり、新天地での再就職……だったはずなのに、知り合いの誰もいない場所まで夜逃げしてまで一緒になろうとか、いくらなんでも考えすぎだ。
「もう……とんだ女たらしに育っちゃって」
 まだ起きようともしない――それだけあたしにあれこれ吸い取られたんだろうけど――明くんの頬を突っつくと、むずがる赤ん坊のような声を上げ、これも本能だろうか
 明くんも自分で考えられる立派な大人だ。ほんと、英才教育しすぎたか……そんなことを考えながら、意外に柔らかい明くんのほっぺたの感触を堪能していると、
「ん……」
「おはよ。目が覚めた、お寝坊さん?」
 閉じていた瞳がうっすらと開き、目が合う。
「せ…んせ……?」
 あたしが目の前にいる……夢から覚めて、それでもまだ夢か現かわかっていないような顔をして目を瞬(しばたた)かせるかつての教え子を見ていると、思わず笑みがこぼれ出てしまう。
 ―――ま、やっちゃったものはしょうがないか。酔っていたとは言え、お互いに合意だったんだし。
 再会が突然で劇的ならば、こんな急展開もありだろう。
 明くんにしても、あたしがいなくなってからのトラウマやらストレスやらを多少は吐き出せただろうし、今日はゆっくりと思い出話に花を咲かせるのもいい。
「でもま、その前に腹ごしらえか。たいしたものないだろうけど、なんか作ったげるからね」
「や…だ……も…どっかいっちゃ……」
「馬鹿ね。食事の準備するだけだって。ほらほら、今のうちにパパッとシャワー浴びて目を覚ましてらっしゃい」
「せん…せ……」
「も〜、しょうがないわね。キスで目を覚ますのはお姫様なのよ?」
 ふと未だに自分のことをお姫様とか言っちゃうと違和感を感じてしまうのに苦笑しながら、あたしを引き留めようと手を伸ばす明くんの頬に軽く口づけをする。……いわゆるモーニングキッスだ。
「……………」
 キスされた頬に指を這わせて呆然とする明くん……うん、これじゃ逆効果だ。
 シャワーは後にさせて、とびきり濃いコーヒーでも入れてあげた方がいいだろう。けど、入居してすぐに生活できるよう最低限の必需品は揃えてあるはずでも、どこになにがあるのか勝手が分からない。
 そんなことを考えながら、下見の時に確認したキッチンへ歩を進める。―――あたしに油断がないわけではなかった。想像以上に広い新居と蜜月のような甘い夜の余韻……まるで新婚当初のような気持ちに浮き足立っていたと言えなくもない。
 だから背後の異変に気づかなかった。いきなり押し倒されて驚きの声さえ忘れ、されるがままに後ろに腰を突き出させられたところで、ようやく視線が背後を向く。
「先生っ! イヤだ、もう二度と離すもんか! 先生は、先生はもう僕の―――!!!」
「な、なに寝ぼけて暴走してるのよ!? 明くん、こら、離しなさいやめなさいって!」
「そう言ってまた僕を置き去りにするんだ! もう離すもんか、離すもんかァ!!!」
 これはダメだ。完全に目がイってる。あたしの声でも暴走状態の明くんの耳には全く届いていない。
 ―――って、や、粋なリハ、やめ……んんぅ! クチュクチュは、あ、そこ、そこは、んあ、んはぁあぁぁぁ〜〜〜!!!
 背後からのし掛かられ、昨晩の行為が湿り気として残っている淫唇をグチャグチャと卑猥な音を立ててかき回される。フローリングに大きな乳房を押しつけるような格好で肉壁を擦りあげられ、膣口を絞り上げてしまっていると、新たな愛液がヴァギナを保護するために溢れ出し、太股を伝って新居の床にこぼれ落ちてしまう。
「かあっ……おねが…あとで……キチンとしたげるから、こんな、こんな乱暴なの……」
「嘘だ。先生だって喜んでるじゃないか。こんなにネトネトの愛液垂らして腰揺すって!」
「んうぅうううっ!」
 荒々しく膣口から引き抜かれた指が、そのままあたしの唇へとねじ込まれた。
 自分の愛液と膣の奥深くへ注ぎ込まれた精液の混ざりあった濃厚な味わいが、口内で暴れ回る。二本の指に舌を挟み、擦りあげられると、背筋にゾクリと被虐めいた震えが駆け抜け、指の代わりに肉茎を押しつけられている恥丘の中心からお漏らしのように熱いものが……
 ―――でも、こんなの、絶対にダメぇ!
 指をあたしの唇から引き抜くと、明くんは言葉を忘れた獣のように低く唸りながら、握りしめた肉棒であたしの秘唇をなぞりあげてくる。敏感な粘膜同士が擦れあい、先走りにまみれた亀頭が膣口の窄まりに押しつけられると、たまらず腰を揺すって自ら迎え入れてしまいそうになるけれど……唇をきつく噛みしめると、逆腰を左右にくねらせて逆に挿入を拒み続ける。
「先生、おとなしくして! じゃないと僕は……!」
 いつまでも照準がつけられずに苛立ち、明くんの声に含まれる凄みが増す。その声に一瞬身をすくませてしまった隙をつかれ、腰を引き寄せられると太い肉棒が乱暴にあたしの膣内へとねじ込まれた。
「んんんぅ……!」
 昨晩のSEXで疲れ果てていた身体が一斉に目覚め、膣口と肉穴を押し広げて至急の入り口を突き上げてきたペ○スを締め付け始める。途端に、あたしの中で拒絶と恍惚が混じりあって戸惑いになり、フローリングの上で裸体を震わせながら表情を歪ませる。
 けれどそんなあたしの様子にはお構いなしに、まるで犬の交尾のように腰と局部を擦りつけ、膣内で男根を暴れ回させてきた。
「んいぃ! や、んはあっ! くふ、ふあぁああああっ!!!」」
「ヤだって言って、何でこんなに締め付けてるんですか。やっぱり、僕と、僕とするのが、先生だって!!!」
「ちが、ふ…うぅん!」
 引き締まった明くんの得よう腕に抱きしめられ、膣奥を抉られながら乳房をぎゅっと絞り上げられる。
「こんなに、感じてるくせに、どうして僕のことをぉ!!!」
 ダメ、そんなに、おっぱい乱暴にされたら――昨晩の精液が異臭を放つ肌から滲みでた汗。その汗をローション代わりにフローリングの上を前後に滑るように揺さぶられる。
「あはぁあああああああああっ!!!」
 ―――もうダメ、飛びそう、子宮ばっかり狙い撃ちされて、開く、アソコの入り口が壊れて開くぅぅぅ〜〜〜!!!
 今も昔も変わらないショートの髪を揺らして泣き喘ぐ。下腹部に力を込めて拒むほどに擦れあう粘膜からの快感が爆発的に増し、巨根に膣奥をかき回されて官能を否応なく掘り起こされる。歯をガチガチ打ち鳴らして性欲の大波に飲み込まれて溺れて、力強く脈打つ肉棒をキュッキュッと月混みにあわせて締め付けてしまっていた。
 ―――こんな、一方的なSEXなんて……!!!
 結婚や愛情の行き着く果ては、こんなにも相手を支配するだけの乱暴な性交なんだろうか……離婚を決意するまで考え続けてきた問いが、オルガズムが近づくにつれて心の中に持ち上がってくる。
「ああん、ああああ、あきら…くぅうぅぅぅん!!!」
 もうお互いに起きてすぐの身体は限界に達していた。細い腰を引き寄せられ、野太い肉棒に子宮の入り口をこじ開けんばかりにヴァギナを刺し貫かれると、もうダメ。メモ口も大きく開き、ビクビク痙攣する舌を突き出しながら、若い恋人にレイプされてあたしは……結合部から愛液の飛沫を噴き出しながら彼より先にアクメまで上り詰めてしまう。
「んあ、やうゥ、イく、イってるぅ! とめ、そんな、突かないで、お、おおお、おマ○コがぁぁぁ!!!」
 ブレーキの壊れたダンプカーのように、達してしまって感度が限界を振り切った膣内を、明くんの巨根が蹂躙する。
 絶頂を迎えたあたしに遅れること、ピストンにして二十回弱……その一突きごとに続けざまに気をやらされてしまうのは、拷問に近い悶絶だ。そして最後は子宮口に亀頭の先っぽをねじ込まれながら膣内射精……いや、胎内に直接濃厚な精液を浴びせかけられ、あたしは唇を戦慄かせてむせび泣いてしまった。
「は…ぁ……ぅん……っ…、―――……!!!」
 明くんの腰の動きは止まったのに、あたしの腰はまだカクカクと震えている。
 イきすぎて、感じすぎて、もうなんにも感じないほどしびれてしまっているヴァギナに根本までねじ込まれた肉棒の射精の脈動と火箸のような熱さに、全身が水飴のようにとろけていく錯覚に陥りながら……陥りながら……
「先生……僕、まだ、まだもっと先生と……!」
 朝から元気で、一発ぐらいじゃ萎えることも知らないペ○スが、まとわりつく膣肉を引き剥がし、ちゅぽんと音を立てて膣口から引き抜かれる。
 太い肉棒び押し広げられていた肉穴はすぐには戻らない。熱い湯気を立ち上らせ、ヒクヒクと蠢きながら、妊娠することなんて、まるで考えずに――むしろ妊娠させたいかのように――遠慮なく中出しされた精液を奥の奥から大量に溢れださせていた。
 朝からこの一発は強力すぎる……強引に、無理矢理に、あたしの意志なんかお構いなしに、自分の性欲を満たすだけのSEXなんて、もう何年も、毎日のようにされてきたから……だから――――――頭に完全に血が上ってしまった。



「この……大バカたれぇええええええええええ!!!」


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