没落姉妹 前編


宮下沙耶と麻耶は2卵生の双子だがどちらもモデルやアイドルとして通用しそうなほどの容姿でロングヘアーがよく似合う美人姉妹加えて家柄も頭もよく2人して某名門学園高等部の生徒会長副会長を務めると共に新体操でも有名を馳せているという学園内でも知らぬものはいない2人だったが2人の人生にとんでもない転機が訪れてしまう。
彼女たちの両親が経営していた会社が倒産してしまいまたたくまに破産へと追い込まれてしまったのだ。
失意の両親たちをみかねた2人は悪いことと知りながらも生徒会で管理している部活予算1000万を横領してしまった。
しかし、そのことはあっというまに他の生徒の知るところとなり2人は返金を迫られるが横領した金を両親はすでにギャンブルで使い果たしてしまっており金を返す代わりに2人を好きにしてくれと言われてしまう。

こうして自業自得とはいえ2人の地獄が始まった。
親が借りてくれた豪華なマンションは引き払い家財道具一切を返済のためとして取り上げられてしまう。
テレビ、冷蔵庫などは言うに及ばず衣類まで一組を残しすべて取り上げられ2人が自分のものとして持てるのは1枚のパンツと制服の上下のみとなった。
「で、こいつらどこに住ませましょうか」
「そうね、野宿させるわけにもいかないし、学園の隅に今は使ってない鳥小屋があったでしょう、あそこでいいわね」
そう言ったのは鳥越千早、1年でありながら生徒会長に立候補して落選、2人をどうするかという問題になったとき真っ先に自分が何とかすると言い出したのが彼女である。
彼女はまず親に2人が盗んだ1000万を肩代わりさせあとは自分が2人から返してもらうという形にしたため他の生徒たちから反対もでることはなかった。
生徒たちの中には宮下姉妹の両親の会社が傾いたのも鳥越の親のせいではないかと噂するものもいるが、真相は定かではない。

千早と取り巻きの2人によって鳥小屋に放り込まれた2人は当然のように反論した。
「鳥小屋だなんて冗談じゃありません、私たちは人間です」
そういって反論するのは妹の麻耶だ、麻耶は勝気な性格をしているが今となっては盗人猛々しいという風にしかみられない。
事実自分たちの予算を使い込んだ生徒会長の成れの果てを見ようと鳥小屋の周囲には黒山ができていた。
「何か文句あるの?」
千早が余裕ありげに言い返す。
「文句だなんて、千早さんには感謝しています、でもこれは・・・その・・・少しやりすぎではないかと・・・」
沙耶はそういうと自分の手にはめられた手かせを上げてジャラっという音を立ててみせた。
今沙耶と麻耶が身につけているのは上下の制服と両手両足の手かせ足かせそして首輪だけだった。
ここに来るまでも校庭を裸足で歩かされ足の裏は少し擦り切れていた。
「盗人の分際で何言ってるのよ」
千早はそう吐き捨てるとポケットから何かのリモコンを取り出してスイッチを押した。
「きゃっ」
次の瞬間麻耶の首輪が光ったかと思うと麻耶が悲鳴を上げ飛び上がった。
「びっくりした?あんたらに貸してあげたアクセサリーは小型のスタンガンが仕込んであるのよ」
そういってさらにスイッチを押す千早、そのたびに悲鳴をあげ飛び跳ねる2人。
残酷なショーのようだが鳥小屋の中で飛び跳ねる美少女というのはただ滑稽なだけだった。
もはや2人に同情するものは誰もいないばかりか抵抗できないままいたぶられる2人を嘲笑するものがほとんどだった。
「なにあれ〜」
「人間ああなっちゃおしまいよね〜」
「みっともない姿〜」
「鳥小屋でも豪華すぎるんじゃない?」
千早がスイッチを押すたびに周囲から笑いが起こり沙耶と麻耶は今の惨めな境遇を思い知らされた。
「もう許してください、これ以上されたら死んでしまいます・・・」
「そうね、2人とも本当に反省しているなら許してあげてもいいけど」
「はっはい、反省しています、申し訳ありませんでした」
頭を下げる沙耶、しかし麻耶は頭を下げようとはしなかった。
「ふ〜ん、まだそういう態度とるんだ」
麻耶の態度に腹を立てた千早は沙耶の5箇所に電流を流した。
さっきは1度に1箇所しかやられなかったが今度は5箇所同時である、たまらず泡を吹き倒れる沙耶、そしてそんな沙耶を見てもまだ笑っている生徒たち。
「泡吹いてるよ」
「マジみっともね〜」
「アンコール!」
「アンコール!!」
再び押されるスイッチ、電撃によって目を覚まし悲鳴を上げる沙耶。
「卑怯よ、やるなら私にしなさい」
しかし千早は麻耶の言葉を無視して沙耶に電流を流す。
「ごめんなさいぃ、麻耶の分も私が謝りますからもう許してくださいぃ」
涙と涎を溢れさせながら土下座する沙耶、生徒たちがそんな沙耶をみて一段大きな笑い声を上げたことは言うまでもない。
「いやぁああああ、もう死ぬ死んじゃうぅぅう、やだあああぁ、ゆるしてぇ、謝らせてくださいぃ」
その後も千早は沙耶に電流を流し続けた。
「あ〜あ、これ以上やったら死んじゃうかな〜」
設計上はまだ死なない程度なのだが当然そんなことを教える千早ではない。
「誰かさんが素直に謝ってくれたらこんなことしないで済んだのにな〜」
そう言って麻耶を見る千早、実際こうなる前にすでに麻耶は幾度となく頭をさげ許しを乞うていた。
もはやさっきまでの勝気な美少女の姿はそこにはなかった、そこにいるのは涙でくしゃくしゃになった顔で必死に許しを乞う哀れな女でしかなかった。
千早は許すかわりに2人に自分が言ったとおりに謝ることを条件として出した。
沙耶はもとより麻耶ももはや歯向かう意思の欠片さえ持ち合わせていない、2人は声をそろえて言われたとおりの言葉を口にした。
「私たちは人様のものを盗むという最低の行為をした人間のクズです、こんな私たちに更生の機会を与えてくださった千早様には感謝の言葉もございません、どうか皆様も私たちを人間として扱わず恥辱と屈辱を与え私たちが更生できるようご協力ください」
そういいながら土下座する2人にはもうかつての凛とした面影はなかった。


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