第1話


最近あったことを書きます。 非常につらいことではあるのですが、書くことによって気持ちの整理もつくか と思い、ここに記させていただきます。 素人の文なので、読みにくい点はどうかご容赦ください。 私は現在31歳で、都内で建築関連の会社員をしています。 私の妻は20歳。美しく、グラマーで、スタイルもいい女です。サイズに関して は一度聞いたことがあるのですが、恥ずかしそうに「Eかな…」と言っていた ことがあります。 同じ会社で何度も顔を合わせているうちに親しくなりました。 自分のことを色々と分かってくれ、自分には不釣り合いなほど非常にできた女 だと思います。 そんな妻と結婚したのはつい先月のことでした。 お金のほとんどない私たちは、新婚旅行として、電車で東北のある温泉宿に行 きました。 温泉宿はこぢんまりとしたもので、私たち以外には、団体の旅行客が来ていた だけでした。 「私、こんなところでも、あなたと一緒なら、好きよ」 妻はにこやかに笑いながら言いました。 非常に嬉しかったです。とはいっても「こんなところでも」というところに、 やはりほんの少しの不満はあったのかと思いました。 「当館の自慢は、温泉なんですよ」 という女将の言葉にも半信半疑ではありましたが、私たちは夕食を取ると、す ぐに温泉にはいることにしました。 風呂は女湯と男湯、そして混浴の2つがありました。 別浴の風呂は小さいため、ほとんどの人間が混浴にはいることになります。 私たちは、少しだけ中をのぞいてみました。 温泉は驚くことに、非常に清潔で広いものでした。 「すごいねー!」 妻も目を丸くして喜んでいます。 「でも、混浴なんだよね…」 それが一番の心配のタネでした。 妻は私との性体験が初めてで、それ以外の男性と肌を重ねたことはなかったよ うです。 そのとき、近くから宴会のような騒ぎ声が聞こえてきました。 「ま、誰も入ってこないんじゃないかな…」 私は妻と一緒に入りたかったので、言い聞かせるように言いました。 今から考えると、何てことをしてしまったんだと思います。 妻はしばらく迷っていましたが、 「そうね。入ろうか。あなたが一緒なら、いいかな」 と言いました。 私は、一緒に入れるという感動にうちふるえながら、妻の手を握り、中に入り ました。 中には、誰もいませんでした。 「恥ずかしいから、先に入ってて」 そういう妻に押されるように、私は服を脱ぎ、ハンドタオルを腰に当て、中に 入りました。 中は広く、落ち着いた感じの屋内風呂でした。 他にも奥に露天があるようでしたが、とりあえずこの中で妻を待ちました。 すると、中に妻が入ってきました。 ハンドタオルで前を隠していますが、それでも普段はほとんど見たことのない 妻の姿に、自分自身がドキドキしたのを覚えています。 「二人きりだね…」 ムードが高まった、その瞬間です。 外から、たくさんの足音がしました。 「おー! 人はいってるんじゃねーか?」 「えっ! これって女物じゃないの?」 「うわ、ラッキー!」 「えっ…!」 妻はあわてて身を堅くしました。 そんな声と同時に、3人の中年男性が中に入ってきました。 「あ、どうもー」 「失礼しますー」 私もついクセであいさつをしてしまいます。 「あ、どうも…」 その瞬間です。 どこかで見覚えのある顔でした。 「あれ? タナカさんじゃないですか?」 「え?」 「あー! やっぱりー!」 それは、私の会社の下請けをしている工事会社の社員さんたちでした。 「こんなところであうなんて、奇遇ですねー?」 「あ、はい…」 私はつい下手に出てしまいます。 あちらは仕事としては下請けなのですが、私の担当地区に工事に携わる会社は そこ一件しかなく、少しでも機嫌を損ねてしまうと、工事自体がすべて滞って しまいます。 それは、全部担当である私に責任がかかってきます。 彼ら自身もそのことを知っているのか、かなり手を抜いた仕事をします。 仕事中に競馬新聞を読んでいたり、遊んでいることもかなり見受けられます。 私も現場監督をしたことが何度もあるのですが、それに対してどうしても強く 言えません。 それがさらに彼らを図に乗らせ…。 そんな悪循環をしています。 「どうしてここにいるんですか? 俺らは社員旅行なんですよ」 「あ、いや、私たちは単なる旅行で…」 するとそれを聞いた一人の社員は、ニヤニヤと笑いながら言いました。 「おっ! そちら、奥さんですか!?」 「あ、はい…」 妻はさらに身を固くして、私の後ろに隠れています。 「奥さん、こんにちは! いつもタナカさんにはお世話になってます…いや、 お世話してます、かな?」 一人はイヤミたらしくそんな言い方をしてきます。 もちろん私にそれを否定することはできません。 「あはは…」 「こんにちは!?」 しかしそう言われては、私も妻を紹介しないわけにはいきません。 「ほら」 私は妻を促します。 妻はおずおずと男性の方を向いて、あいさつをします。 「あ、はじめまして。主人がお世話になっています」 妻も飲み込みのいい女ですから、とにかくノリを良くして、早く交流を終わら せようとしたのかもしれません。 すると男性(ここでは、ABCさんとしておきます)のうち、もっとも立場の 弱いCさんは、それを見て驚いたように言いました。 「へぇっ! タナカさん、こんなに綺麗な奥さんがいたんだ!」 真ん中の立場であるBさんも同意します。 「うぇー! タナカさんにはもったいないんじゃない?」 「は、はは…」 私は怒ることはできません。 「へぇ…」 Bさんは妻のことをなめまわすように見つめます。 「綺麗だねぇ。オッパイもでっかいし」 その瞬間妻の動きがピタッと止まりました。 このセクハラまがいの発言に、驚いたのでしょう。 しかし彼女はやはりノリのいいところを見せようとしました。 「やっだー! そんなことないですよー!」 するとAさんは、Bさんに耳打ちしました。 Bさんは脱衣所から宴会場に行き、ビールを持ってきました。 「ちょっとご主人、奥さんの隣に座ってもいいかなぁ?」 その言葉に、妻は少し身を固くします。 妻は今、湯船の縁に腰掛けていますが、何より妻はハンドタオル一枚です。 横に来られたら、背中やその下まで丸見えになってしまいます。 「いや、それは…」 「いやいや! お酒をつぐだけだからさぁ」 「我々も、たまにはこんな綺麗な奥さんの近くで、お話してみたいのよ!」 男性達は押し切ろうとします。 私は自分の立場を感じると、少しだけならいいかと思い、横によりました。 「ほら、どうぞ」 男性のうち、BさんとCさんは、妻の隣に座りました。 「はい、失礼しますよ」 「あ、はい…」 妻は恥ずかしそうに体の前をハンドタオルで隠しています。 二人は妻の隣に座ると、チラチラと胸を観察しました。 「奥さん! 本当に綺麗ですねぇ〜!」 さらにCさんは妻の後ろをいやらしい目で見始めました。 「色白だし、ねぇ…」 「は、はぁ…」 妻も恥ずかしさに耐えながら、両手でタオルをギュッと胸に当てていました。 「ほら、ビールどうぞ」 そして男性は、妻にコップを持たせます。 そうすすめられては、断るわけにはいきません。 妻は左手でタオル、右手でコップを持ちました。 妻は酌を受けて、そのままつがれたビールを飲みました。 「奥さん! 強いねぇ!」 「えー? そうですかー?」 私もそれほど酒に強いわけではないのですが、妻はそれに輪をかけて弱い女で す。 しかしおそらく関係を知った手前、断るわけにはいかなかったのでしょう。 「奥さんの! ちょっといいとこ見てみたい!」 「ほら、いっきっきーのきー! そこでいっきっきーのきー!」 あおられるようにして、妻は酒を飲み干しました。 3人の男性達はニヤニヤと笑ってみていましたが、彼らは私たちにすすめるば かりで、自分たちはほとんど飲んでいませんでした。 しばらくすると、妻はかなり顔を真っ赤にして、言葉も少しろれつが回らなく なっていました。 私は少し心配になりましたが、とはいっても、この男性達も紳士的に振る舞っ ているように見えたので、安心していました。 そんなときです。 少しずつ男性たちの態度が変わっていきました。 「じゃ、ここらへんで、Aさんにお酌してもらってもいいかな?」 「おう! これだけ飲んでもらったんだから、そんくらいしないとね」 「え?」 今、妻はハンドタオル一枚です。 そしてCさんは、妻にビールを渡しました。 Aさんは、少し離れた場所で、ゆうゆうとコップを構えています。 妻は少し迷っていましたが、断れない雰囲気を感じたのか、ビールを片手で持 ちました。 「いやいや奥さん、それは失礼ですよ」 「え?」 「ビールは、両手で持つのが、酌ってもんです」 「………」 妻は迷いながらも、両手でビールを持ちます。 そしてヒジでハンドタオルを胸に貼り付け、そして下の方を足の間になんとか はさみながら、Aさんの方にザブザブと湯船の中を向かいました。 もちろん、後ろはBさんとCさんに向けられています。 二人は何気ない顔をしながらも、チラチラといやらしい目で、妻を見ています。 「あと少しで、見えるんだけどなぁ…」 「だよなぁ…」 あきらかに妻を見ているセリフです。 私は悔しさで唇が震えましたが、それでも何も言うことはできませんでした。 (つづく)


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