性獣の家 第3回

沼 隆(ヌマ・タカシ)

登場人物

丸岡 美利 美容師  稔の新妻
塩津由紀江 美利の母

丸岡  稔 自動車修理工
丸岡  晋 稔の父 農業
丸岡 絹子 稔の母


(1) 里マグワイ

谷影の集落では、里マグワイというしきたりがある。
新婚の夜から1ヶ月後の満月の夜、
新郎の家では、親戚を招いて、宴を催す。
丸岡稔は、実家を出て、黒井町の妻の実家にいるのだが、
丸岡家の長男だから、このしきたりは義務である。

丸岡家は、大きな屋敷で、
大広間で、宴会が催される。
結婚披露宴をもう一度盛大にやるようなものだ。
丸岡家の親戚一同が集まった。
新婦・美利の側からは、母親の由紀江が招かれた。

日が沈まないうちから宴が始まって、
夜遅くまで、飲めや歌えの大騒ぎが続いた。
稔と美利は、着物姿で、正面に並んで座っている。
女たちは、料理を運び、酌をして回る。
由紀江は、ほとんど面識がない男たちに
酒を勧めて回る。

「おまえさん、ベッピンじゃのぉ」
「いいチチ、しとるで」
「ケツも、なかなかじゃのぉ」
「旦那が、おらんそうじゃのぉ、そら、寂しかろう」
「こんなべっぴんと、オメコしたかぁ」
「こんなベッピン相手なら、三つでん、四つでん、なんぼでもでくるぞ」
「チ●ポ、たっとるバイ」

男たちが酔っ払って、
広間の床に寝転がっていびきをかき始めた頃、
稔の母親の絹子が、稔と美利に言った。
「さあ、始めんさい」
里マグワイのしきたりについて
美利も由紀江も、結婚披露宴のようなものと、聞かされていた。

酔っ払った稔は、のそのそ立ち上がり、
美利の手を引いて、
広間に続く部屋のふすまを開ける。
豪華な寝具が敷いてあった。
美利は、驚き、その場に凍り付く。
「稔も、美利さんも、立派につとめを果たさねば」
と絹子が言う。
「絹子さん、まさか……」
由紀江が尋ねる。
「由紀江さん、見とうなかったら、あっちに行ってなさい」
と、晋が言う。
「美利さんは、丸岡の家に嫁に来たんじゃから、
 谷影のしきたりに従ってもらわねば」
と、絹子が言う。
「そうじゃ、そうじゃ」
いつの間にか起き出した男たちが声をそろえた。
「新婚夫婦が、ちゃんと、マグワイをしとるか、
 確かめるのが、谷影の集落で暮らす者のつとめじゃ」
「稔、ちゃんとハメて見せねば、いかんぞ」
「オナゴを、しっかり、いかせてやらねば」
「チ●ポがでかいだけじゃ、つまらんぞ」
「さぁ、稔、男じゃちゅうところを、見せなさい」
「稔、しゃきんとしんしゃい」
絹子は、酔い覚ましの冷たい水を稔に飲ませる。
稔がよろめきながら、着物を脱ぐ。
素っ裸になった。
肉棒はだらんと下がったままだ。
「なんね、なんね、チ●ポ、勃っとらんばい」
「それじゃぁ、オメコにおさまらんばい」
「絹子さん、なんとかしてやらねば」
由紀江は、おぞましい成り行きに、
部屋から逃げ出したいほどだが、
美利一人残すわけにはいかない。
後ろの方に座っているばかりである。
晋が隣にやってきて言った。
「由紀江さん、里マグワイは、
 子孫繁栄のための神聖な儀式じゃ。
 びっくりしたかもしれないが、
 ちゃんと、見てやりなさい。
 これが無事にすんだら、
 美利も、一人前の女になれる」
衆人が注視している布団の上では、
絹子の手で美利が裸にされる。
美利は、羞恥のあまり、顔を背け、
両腕で下腹部を隠そうと、もだえている。
「おおおおお! いいからだ、しとるやないけ!」
「おっぱい、きれいじゃのぉ!」
「尻のかたちも、よかバイ!」
「あそこの毛も、よう生えとるねぇ」
「ふさふさ、しとるばい」
「やっぱり、若いオナゴは、よかねぇ!」
「ぷりっ、ぷりっ、しとるのぉ!」
絹子に促されて、美利は布団に横たわる。
稔の肉棒は、相変わらずだらんとしたままだ。
「あっ!」
由紀江は、驚いた。
絹子が、稔の肉棒に手を添えて、
口を近づけていき、
おもむろにしゃぶり始めたのだ。
「そんな……」
あまりのことに、由紀江は腰を浮かせる。
「息子を助けるのが、母親のつとめ」
と、晋が言った。
稔の肉棒は、母親のフェラチオで次第に堅くなっていく。
座敷の男たちも、黙ってみている。
絹子は、たっぷり時間をかけて、肉棒をしゃぶる。
しっかりと勃起すると、
「稔、さあ、マグワイを始めなさい」
と、言った。
部屋中が静まりかえる。
新婚夫婦のセックスを、皆、固唾をのんで見守る。
稔は、美利に覆い被さっていき、
肉棒を美利の肉穴に挿入していく。
「んっ」
美利が、腰を引きながらうめく。
「んんっ」
稔は、ピストンを始める。
稔の筋肉質の尻が、ぷりぷりと上下する。
そして……

「ふうっ」
息を殺して、マグワイを見つめていた者たちが、ため息を漏らす。
稔が、美利のカラダから離れる。
絹子が、懐紙で肉棒をぬぐってやる。

「はやか……」
晋がつぶやいた。
由紀江が、何のことかいぶかるように晋を見る。
晋は、肩を落として落胆している。
「あのバカ、はやすぎる」
「……?」
「美利、イッてなかろうが、由紀江さん」
「……」
「美利をいかせなければ、里マグワイの意味がない」
「……」
「皆の前で、美利をいかせてこそ、男ぞ」
「……」
「情けないやつじゃ、バカ息子が!」
「……」
「こんなざまでは、いつまで待っても
 孫の顔が見られんぞ、
 なあ、由紀江さん」
返事のしようがなく黙っている由紀江である。

酒肴が運び込まれて、男たちは、宴会を再開する。
心なしか、しんみりしている。
晋を気の毒に思っているのだ。
進む

戻る