肉欲の罠(修正版) 17

沼 隆

おことわり この作品は、フィクションです。
      登場する人名、地名、団体名は、
      実在するものと一切関係がありません。

登場人物  菊池 奈津 〈阿蘇大学〉生
      細木 種弘 〈随喜学園〉生
      土屋  亘 〈明峰大学〉生
        *   *   *
      茶谷 雅人 種弘の同級生
      鈴木満里奈 種弘の同級生 雅人のカノジョ


(1) 奈津

菊池奈津(きくち・なつ)のワンルームマンションは、
住宅街、淫水寺町にある。
奈津の部屋は、202号室。
夜遅くなると、真っ暗になって、怖いのだけれど、
バス停は近くだし、
バス停のそばには、コンビニがあるのだった。
そういうわけで、
阿蘇大学教育社会福祉学部に入学してから、
ずっとここに住んでいる。
阿蘇大学という名称なのだけれど、
教育社会福祉学部のキャンパスは、
熊本市内にある。

奈津は、教員になるつもりは、なくしてしまったが、
大部分の学生が教育実習を受ける雰囲気に流されて、
自分も受けることにしたのだった。
で、随喜(ずいき)学園で、第一日目の実習が終わって、
くたくたになってマンションに帰ったところを、
後をつけてきた随喜学園性3人に強姦されたのだった。

「あした、学校で会おうぜ」
「また、やってやるからね」
「また、キモチよくしてくれよな」
と捨て台詞を残して3人が出て行ったあと、
奈津は、あかりを消した部屋の中で、じっとしていたのだが、
怒りがこみ上げてきて、
警察に行った。

示談が成立して、告訴は取り下げられ、
奈津の貯金通帳に300万円が振り込まれた。
細木種弘は、〈肥薩中央病院〉院長のひとり息子、
茶谷雅人は、〈珍宝堂製薬〉創業者一族、
辻先ケンは、レストランチェーンのオーナーの息子、なのだ。
貧乏人の子供なら、家裁送りになるのだろうけど、
地元名士の息子たちとなれば、金で片がつく。

結局、奈津は、教育実習を、一日で放棄。
随喜学園は、理事長判断で、
してもいない実習に、合格証明を発行し、
阿蘇大学は、そんなこととは知らないまま、それを受け取った。

「奈津、だすよ」
「いいよ」
「ううっ、うううっ、うううっ」
「ああっ、すごいっ、びくん、びくん、って」
「お、おれ、いぐっ」
「いって」
「うぐっ」
「いって、いって、いっぱい、だしてっ」
種弘が、激しく腰を突きだしてきて、
それから、勢いよく奈津の中に射精した。
「ああっ、奈津、キモチ、いい…・・・」
「ん……あたし……も……んんんん」

「ねえ、あのおばさんと、まだ会ってるの?」
「ん? ああ、千葉のおばさんか」
「千葉の人なんだ・・・・・・千葉から、ヒロに会いに来てるんだ」
「うん」
「ねぇ、おばさんと、あたしと、どっちが、いい?」
「バカだなあ、奈津に決まってるよ」
「そうなんだ・・・・・・ヒロ、嘘つき?」
「ほんとだよぉ」
30過ぎのおばさん、テクニックは、すごいけど、
奈津のおっぱい、おしり、きゅんきゅん
しまってるし、
それに、毎日やれる。
千葉のおばさんは、2度会ったきりだ。
熊本と、福岡で。
奈津は、そう、毎日、やれるのだ。
種弘は、学校帰りに、奈津のマンションに寄るのだった。
塾をさぼって、
エッチして、
塾が終わる時間に、家に帰る。
毎日、毎日、毎日、毎日、
射精しても、射精しても、射精しても、
したりない。
エロビデオで学習したことを、
奈津を相手に実習する。
奈津の体の、いろんな場所に、
性感帯を見つけ出して、
奈津をよがらせる。
種弘の快感も、どんどん増している。
ある日のこと、
射精が近づいてくる予感。
奈津の、ピンク色に染まった顔を見つめながら、腰を使っていた。
奈津の腰の動きが、種弘の動きにぴったりシンクロして、
種弘のサオが、サオの付け根が、腰が、
強い快感に包まれて、
さあ、いくぞ、
と、ぐいぐい着いたとき、
「あああああ、いくっ、いくっ、いくっ、いくっ」
と、奈津が大きく叫んだのだ。
悲鳴のような叫び声は、種弘をびっくりさせたが、
種弘は、突き続けた。
「いいいいいいいっ!!!!!!!」
奈津の大きく開いた目は、焦点を失い、
鼻腔はふくらみ、
ぱっくり開いた口から、荒い息を吐く。
胸が、ぐいぐい突きだされて、
そして、肉穴は、
くわえ込んだ種弘のサオを、ぐいぐい締め上げる。
痛いほどだ。
「ぐぅっ」
あまりの締め付けに、種弘はうめいていた。
そして、そのときが、ついに来た。
熱い精液がほとばしる瞬間、
奈津は、
「うええええええええっ!!!!!!」
と、すさまじい声をあげた。
びくんびくんと脈打つサオを、
肉穴はもう一度、絞り上げた。
奈津が自分の意志でしたのではなくて、
奈津の体が、無意識にしたことだった。
がくん、と奈津の体から力が抜けた。
サオを締め付けていた肉穴が、ゆるんだ。

(2) コンサート

奈津の携帯の着メロが鳴る。
「〈タマブクロ〉のコンサート、行かないか?」
土屋亘(つちや・わたる)だった。
「無理だよ」
奈津が、答える。
「やっと、手に入れたんだよ」
福岡ドームで、〈タマブクロ〉のコンサート。
ワタルは好きなんだろうけど、奈津は……
もう、ワタルには、全然興味がない。
「ごめん、ワタルくん」
亘は、コンサートの晩は、奈津と一緒に過ごすつもりで、
ベイエリアのおしゃれなラブホに予約を入れてある。
冗談じゃ、ねぇよ……
亘が、むかついている気配が、奈津に伝わってくる。
思い切って、言っちゃおうか、と奈津は思う。
好きな人が、できたんだ、
ワタルくん、福岡だから、
いつもそばにいてもらえないし……
「奈津、カレシ、できたの?」
「……」
「そうなの?」
「……」
「それって、ひどすぎないか?」
「……」
「奈津、〈タマブクロ〉大好きだって、言ったじゃないか」
奈津が好きなのは、ヒロのタマブクロなのだけれど、
黙っていた。
「このチケット、3万もしたんだぞ」
「ごめんなさい、ワタルくん」
「ざけんじゃ、ねぇよ!」

(3) ワタルの災難

菊池奈津(きくち・なつ)のワンルームマンションは、
熊本市淫水寺町という、住宅街の中にある。
明治時代には、淫水寺というお寺があったのだが、
いまは、地名だけが残っている。
土曜日の朝、9時過ぎ、若い男が、奈津の部屋の前にいた。
イライラした顔で、ドアの前を行ったり来たりしている。
土屋亘(つちや・わたる)
福岡市西区にある明峰大学の学生だ。
ワタルが、奈津と知り合ったのは、数ヶ月前、
熊本発、福岡行きの高速バス、〈ひのくに号〉の中だ。
その日、福岡のラブホテルでエッチして、
それから、奈津の部屋でエッチして、
(ワタルは、エッチしに、熊本まで来た)
そのあと、奈津が、トラブルに巻き込まれたようで、
連絡が取りにくくなっていた。
けれど、ワタルが大好きな〈タマブクロ〉のコンサートが、
福岡ドームである。
奈津は、初めてエッチしたベッドの中で、
「〈タマブクロ〉、あたしも、好きだよ」
と、はっきり言ったのだ。
で、発売開始と同時に完売したチケットを
ネット・オークションでやっと手に入れた。
なんと! 3万円も払った。
で、誘ったら、断りやがった!
今夜、そのコンサートがある。
ワタルは、どうにもガマンできなくなって、
天神バスターミナルから、熊本行きの始発に乗って、
やってきたのだった。
コンサートのチケットだけではない、
シーサイドエリアのおしゃれなラブホテル、
〈ココナツミルク〉に予約してあるのだ!
無理矢理にでも、連れて行くんだからな…・・・

部屋の中で、チャイムの音がするのだけれど、
応答は、全くなかった。
奈津の携帯は、相変わらず、
「ただいま、出られません」
を繰り返すだけだ。
ドアに、ぴったり耳を押しつけてみたけれど、
人がいる気配が、なかった。
「くそっ! マジ、留守かよ!」
いらついたワタルは、声に出していた。
隣の部屋から出てきた女が、
ワタルと同じ年頃の女だったが、
ワタルと目があった。
女は、露骨に、
何なの、こいつ、
キモチわる〜い、
という顔を浮かべて、
ワタルのわきを足早に通り抜けていった。

ワタルは、建物の裏に回った。
ブロック塀を足場にして、
2階にある奈津の部屋のベランダに入り込んだ。
ベランダのガラス戸は、ロックされていなかった。
不用心では、ある。
律儀なことに、ワタルはスニーカーを脱いで、
部屋に上がり込んだ。
奈津の、匂い。
コスメに混じって、奈津の匂い。
女の匂い。
メスの匂い。
狭い部屋だ。
ピンクのベッド、
ベッドわきのティッシュ、
目覚まし時計、
小さなテレビ、
小さな冷蔵庫、
小さな整理ダンス。
整理ダンスの上に、フォトフレーム。
奈津と並んで、笑っている男。
どこかで、会った気がする。
あっ!
あいつだ!
あの、くそガキ!
〈ひのくに号〉の中で、
通路の反対側の席で、
奈津にフェラされた男。
男が、奈津を振ったので、
奈津はワタルを誘った。
くそっ!
あの女!
こいつと、つきあってるのか!
奈津が、男の腰に抱きつくようにして、
胸を、男の腕に押しつけて、
楽しそうにほほえんでいる。
てめぇら!
ワタルは、フォトフレームをベッドに投げつけた。
整理ダンスの上に、通販のカタログが2冊。
エッチ系のランジェリー。
《シークレット・ピーチ》
エッチ系のファッション。
《セクシー・ピーチ》
タンスの一番上の引き出しを開ける。
洗剤の匂いと、奈津の匂いが、立ち上る。
ワタルは、その匂いを、深く吸い込んだ。
キャミソルなどのアウター、
2段目に、ミニスカ、
3段目に、カラフルで、セクシーなブラとパンティ。
ああ、奈津の匂い。
見覚えのあるブラジャーを握りしめ、鼻に押し当てて、
思いっきり匂いをかいだ。
肉棒が、硬くなる。
奈津が、あのとき、〈ひのくに号〉の中で付けていたブラ。
けれど、今、奈津は、この部屋にいない。
ワタルは、下着をワシづかみにすると、部屋中にまき散らした。
引き出しを、全部空っぽにした。
パトカーのサイレンが近づいてくる。
ワタルは、気がつかない。
部屋中を、散らかし放題に散らかしたころ、
チャイムが鳴った。
「菊池さん!」
男の声。
ワタルは、ハッとなって、
うろたえた。
「菊池さん!」
男が、もう一度、叫んだ。
「開けなさい、警察です」

ワタルは、ベランダに逃げる。
スニーカーを履こうとしたとき、ベランダに男が現れて、
腕をねじ上げられた。

(4) シロガネーゼ

ワタルが、パトカーに押し込まれ、警察署に連行されていったころ、
11時頃だったが、
菊池奈津が、どこにいたかというと、
細木種弘、ヒロの部屋にいたのである。

ヒロの家は、熊本市の白銀台にある。
大きくて、おしゃれなお屋敷。
屋敷の裏には、庭園が広がっている。
白銀台は、高級住宅地だ。
おくさまたちは、シロガネーゼ、くまもとバージョン、というわけ。
ヒロの家には、もちろん、
SICOMのセキュリティが24時間作動中である。

ヒロのお父さんは、〈肥薩中央病院〉院長だ。
お母さんも、理事だし、
おばあさんも、理事なのだ。
おじいさんは、死んだ。
病院は、ヒロのおじいさんの、
おじいさんの、おじいさんの、おじいさんが、
江戸時代にはじめた。
細木家は、由緒正しい家柄で、土地の名士なのだ。

土曜日の朝、ヒロの両親が、一泊旅行に出かける。
北海道に週末ゴルフに行くのだ。
父親が、
「北海道は、いいぞ、おまえも、一緒に行かないか」
と、誘ってくれたのだが、断った。
ヒロは、週末何をするか、決めてあった。
母親に、
「今夜は、雅人(まさと)が泊まりに来るから」
と、言うと、
「そう、雅人くん、呼んでるの。
 じゃあ、いつものように、
 お客様用のベッドルーム、使ってもらいなさい」
と、言った。
茶谷雅人の家族は、
地元を代表する企業〈珍宝堂製薬〉の
創業者一族である。
細木家と茶谷家は、古くからのつきあいなのだ。
ヒロの母親は、雅人のカノジョが、満里奈だということも知っている。
「お食事、どうするの?
 塚地さん、頼んであげようか?」
といった。
塚地さんというのは、細木家が、
お客さんをするときに来てもらう、
ベテラン家政婦さんなのだ。
でも、ヒロは、じゃまされたくなかった。
「食事、出前とって、いい?」
「そうね、そうしなさい」

両親が出発すると、
まもなく、奈津がやって来た。
奈津は、今夜は、ここにお泊まりする。
あしたの夜遅く、
ヒロの両親が帰ってくる前に、出て行けば、いい。
奈津を泊めることは、母親には言えない。

ヒロは、待ちきれなかった。
奈津をベッドに押し倒し、
キャミソルとブラジャーをはぎ取って、
こぼれだした乳房にすわぶり着いた。
ぶにゅっ、という感触が、たまらない。
乳首を舐めると、
「ああん」
と、奈津は切ない声を出すのだが、
乳首を吸うと、
「あふん、あふん、あふん」
ともっとキモチよさそうな声を出す。
ヒロが、舐めたり、吸ったりしていると、
いつの間にか乳首がふくらんでいる。
ヒロのチンポが堅くなって、
パンツの外に出たがっている。
先走りが、パンツにシミをつくっている。
ヒロは、まくれ上がっているミニスカートを、脱がせた。
パンティが濡れている。
指でなぞっただけで、
「あああああんんん」
奈津は、とろけるような甘い声を出した。

抱き合って、ベッドの中でうとうとしているとき、
玄関のチャイムが鳴った。
「だれだよ」
ヒロは、ぶつくさ言いながら、
パジャマを着て、部屋から出て行った。
塚地さんだった。
「お母さんから電話があって、
 雅人くん、泊まりに来るんでしょ、
 お客様用の寝室、チェックしといて、って、おっしゃって」
「なんだよ、そんなこと、いいのに」
「それに、女の子が、来てるのかな?」
「うん、そうだよ」
奈津のサンダルを、塚地さんは、ちらっと見た。
「ついでに、お昼ご飯、つくりましょうか?」
「いいの?」
「うん、まかせといて」

ヒロは、ベッドに戻った。
奈津が、
「だれ?」
と聞くので、
塚地さんのことを、説明した。
「メイドさん?」
「ま、そんなもんかな」
廊下をすたすた、歩いていく塚地さんの足音。
塚地さんは、客用の寝室の窓を開け放ち、
ベッドメイキングをして、
掃除機をかけて、
それから、キッチンで、昼食を作り始めた。

奈津は、下着を着け、キャミを着て、
ミニスカをはく。
来たときの格好だ。
ヒロも、コットンのショーツとタンクトップを着て、
ダイニングに行った。
「いらっしゃい」
塚地さんが、奈津にほほえんだ。
「こんにちは」
奈津が、ペこっ、と頭を下げた。
「ビーフストロガノフ、つくったわ。
 デザートは、冷蔵庫にいれてあるから。
 じゃあ、私は、これで、帰ります。
 洗い物は、食器洗い機にいれといてね。
 あした、やります」
「あしたは、いいよ、塚地さん」
「お台所が汚れるの、あたし、嫌いなの。
 ヒロくん、知ってるでしょ」
塚地さんが来るようになってから、
キッチンは、いつもぴかぴかなのだ。
ヒロは、塚地さんを玄関まで見送った。
「ヒロくん、きちんと避妊、するのよ」
「う」
「コンドーム、用意してるわよね」
「うん」
「ほんと?」
「だいじょうぶ、心配しないで」

「おばさん、料理、プロみたいだね」
「うん、おいしいだろ?」
「すっごく」
それから、冷蔵庫を開けると、
マンゴが、切り分けてあった。
「わぁ。マンゴ?」
「うん」
ねっとりとした、豊穣な甘みが、舌の先から、口中に広がっていって、
舌で、果実を細かい繊維につぶしていくと、
やがてとろとろとしたクリーム状になって、
ごっくん
飲み込むのだ。
「ああ、おいしい」

(5) ともだち

5時過ぎ、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、来た」
「え?だれ?」
「雅人(まさと)」
あっ、とヒロの顔が、一瞬固まった。
雅人は、以前ヒロが、奈津を輪姦したときの、
仲間のひとりだ。
「あのさ、奈津」
「なんなの?」
「マサト、覚えてるかな?」
奈津の顔が、こわばった。
「どういうこと?」
「今夜、マサト呼んでるんだ」
「ええええっ!」
「おれと、マサトは、親友なんだ」
「でしょうね」
「で、奈津が、おれを許したように、
 あいつも許してやってくれないか」
「あやまりに、来たっていうの?」
「うん、ていうか、友だちになって欲しい」
「いやだよ」
「おれの友だちとして、扱ってくれないかな」
「そんなの、いやだよ」
「あいつ、おれと奈津のこと、うらやましがってる」
「なによ」
チャイムが、鳴る。
ヒロは、玄関のほうに向かって、
「ちょっと、待って」
と叫んだ。
「あたし、帰る」
立ち上がる奈津を、ヒロは、抱きしめた。
「帰したくないよ、奈津、
 おまえのこと、愛してるんだ、
 わかってるだろ?」
ヒロが、自分に夢中になっていることを、奈津はわかっている。
きっかけは、あんなひどいことだったけれど、
いまは、ヒロを夢中にさせている。
「奈津、おれ、おまえを、愛してるんだ」
「どうしたらいい?」
「あいつ、マサトを、
 おれの友だちとして、見て欲しい」
チャイムが、鳴る。
「すぐ、行くからっ!」

奈津は、ヒロのあとについて、玄関ホールに出た。
ドアを開けると、マサトと、女の子が立っていた。
「マサト、こっち、満里奈」
「こんばんは」
奈津は、マサトをにらみながら言った。
「こんばんは、満里奈です」
「こんばんは、奈津です」

奈津は、マサトのせいで、よそよそしかった。
満里奈が買ってきた〈ら・ばるば〉の、とろふわプリンを食べる。
マサトが、奈津のキモチをやっと察したのか、
すまなそうな顔をして、上目遣いに、ちらちら見るのだった。
「これ、おいしいね」
「でしょ! よかった、奈津さん、気に入ってくれて」
その、〈ら・ばるば〉から、まもなくピザが届いた。
満里奈も、マサトも、この家に何度も来ているのだろうか、
てきぱきとテーブルをセッティングしていく。
ヒロは、ワインセラーからキャンティを1本出してきた。

リビングルームには、大型のプラズマテレビがあって、
その正面に、大きなソファがある。
4人がゆったり座れる広さだ。
ヒロくんが、MTVをつけた。
ラトーヤ・プッシーが、
《ファッキン・プッシー》
を歌っている。
カフェオレ色の肌が、つやつやと輝き、
ぽってりと厚い唇が、
なまめかしくうごめく。
大きな瞳は、しっかりとこちらを見つめていて、
吸い込まれそうだ。
ホットパンツが、股間にぴったり張り付いて、
ワレメに食い込んでいる。
そこを、こちらに向かって、キュン、キュン、突きだすのだ。
性行為、そのままだ。

「この曲、好き」
満里奈が言った。
「ラトーヤ、かっこいいよ」
奈津が言う。
「このビデオ、マジ、感じるよ」
ヒロくんが言う。
「バド・コックスが撮ってるんだ」
雅人が言う。
「だれ、そいつ?」
ヒロくんが聞くと、
「マドンナのプロモで、有名になったやつだよ」
「ふうん」
「1本で、500万ドル稼ぐんだって」
「すげっ」
バックダンサーの中で、一番かっこいい男が、
ラトーヤとからむ。
ふたりが、妖しく腰をうごかす。

フォクシー・ペインの、
《サック・マイ・プッシー》
にかわった。
下着姿のフォクシーが、
チャーミングなハスキーボイスで、
「サック、サック、サック・マイ・プッシー」
と歌っている。
ヒロは、抱き寄せた奈津の唇を吸いながら、
右手をパンティに這わせていき、
プッシーを愛撫する。
「んん」

マサトも、満里奈を抱き寄せた。
「だめぇ」
満里奈が、小声で言った。
「ふたりが、見るよ」
「おれたちのことなんか、気にしてないよ」
「でも」
マサトは、満里奈の唇を、自分の唇でふさぐ。
舌をさしいれて、満里奈の舌を舐める。
「ああっ」
満里奈の吐息が、マサトの口腔を満たす。
ヒロが、奈津を裸にするところが見えて、
マサトも、満里奈のスカートを引き下ろそうとする。
「だめぇ」
抵抗する満里奈に、
あっちを見てみろよ、という風に、
視線で示す。
満里奈は、見た。
ヒロが、全裸にした奈津の乳房を吸いながら、
ワレメを愛撫していた。
「ああん、マサト、恥ずかしいよぉ」
それが、満里奈が見せた最後の抵抗だった。
マサトは、満里奈を裸にした。
そして、自分も裸になった。
ヒロと一緒に。
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