その1「羞姫、誕生!」


 「んっ・・・ふぁ・・・あんっ!・・・」  深夜のワンルームマンションの室内に、艶かしい少女の声が響く。  パジャマ代わりのスウェットパンツの中に手を突っ込み、イケナイ行為を続けているのは、まだ十代と思われる  見かけの美少女だった。  軽く染めた茶色の髪を、肩の辺りまで伸ばしており、健康的な色の肌は、今は自ら送り込んでいる快感でほんのり  と染まっている。  名前は鮎川 姫子(あゆかわ ひめこ)。  この春から一人暮らしを始めたばかりの少女である。  一人エッチは、つい最近覚え、癖になってしまっていた。  人見知りしないあっけらかんとした性格なのに、恋愛とかエッチのことになると、途端に恥ずかしがり屋に  なってしまう。  そのせいで、いまだに処女のままだった。  一人暮らしを始め、人恋しさから何となく始めてしまった一人エッチだったが、その快感に目覚めてしまい、  最近では毎晩してしまうようになっていた。  ワンルームマンションなので、当然、室内は狭い。  姫子が自慰に耽っているシングルベッドの正面には、姿身の鏡があり、どうしても自分の恥ずかしい姿が  映ってしまう。  それがまた、一人エッチの快感を高めてしまう事に、最近になって彼女は気付いていた。  鏡の横には、ちょっと旧式だが、大画面のテレビが置いてある。  ビデオジャーナリストの卵である彼女にとっては、撮影してきた映像のチェックにも使用する、言わば商売道具  みたいな物だった。  女子校を中退し、つてを辿って、映像情報の最先端企業が軒を連ねるこの街、江楠田市にやってきたのはいいが、  いまだにアルバイト扱いで、都市のイベント取材や、ローカルな仕事しかやらせてもらっていない。  そういう欲求不満な部分も、一人エッチが激しくなる原因なのかもしれない・・・。 「んぁ・・・んふんっ!・・・あ・・・あっ!・・・ひんっ!・・・」  既にトロリと潤んだ秘裂の中を指が滑る度に、姫子は甘い声をあげて身悶える。  その姿はたまらなくエロチックだった。  挿入に対する恐怖があるので、弄るのはもっぱらクリちゃん周辺である。  ぬめらせた指先でソフトに擦りあげたり、軽くタッピングしてみたり、思い切って摘んでクリクリしてみたり・・・  まだぎこちなさの残る指使いで自らを追い詰めながら、姫子は真っ白な世界に飛び立とうとしていた。 「くぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・やぁ・・・来ちゃうっ・・・あっ!・・・あっ!・・・あっ!・・・  きゅうぅぅぅんっ!」  ベッドの上で腰を突き上げ、大きくのけぞった姫子の身体が、しばらくそのままで硬直した。  彼女は自分の指を、絶頂の証が熱く濡らすのを感じる。  その時、消えていたはずのテレビの画面が、青白い光を放ち始めた。  ぐったりと弛緩して、絶頂の余韻に浸っている姫子は、その事に気付いていない。  テレビ画面から、光る霧のようなものが溢れ出し始めた。  それがベッドに横たわっている姫子の方に近付いてゆく。  光る霧は、横たわっている姫子の身体を包み込み、次の瞬間、その身体もろとも、一瞬でテレビの中に戻っていた。 「ふぁ!・・・あ・・・あれっ?」  いきなり強く引っ張られたような感じがして、姫子はまだ快楽の余韻に蕩けた表情を浮かべたまま目を開いていた。  辺りは白い光に包まれている。  さっきまで居た、ワンルームマンションの一室ではなかった。  とてつもなく広大な空間のようだった。 「????」  姫子は首を傾げ、目をごしごし擦り、再び辺りを見回した後。 (これは夢だ!)  そう、結論していた。 「ようこそ、選ばれしファイターよ!」  いきなり声が掛けられ、姫子はそちらを振り向いていた。  そこには、人間ぐらいの背丈の、巨大な赤い亀が、二本足で立っていた。 「ほおら、やっぱり夢だ!・・・亀さーん、高属性の赤○ン出せぇ〜!竜宮城連れて行けぇ〜」  姫子はそう言いながら、亀の頭をぺしぺしと叩く。 「・・・いきなり連れて来られて混乱しているのかな?君は・・・」  ぺしぺし叩かれながら、赤い亀はちょっと戸惑った声を出す。 「みゅ?・・・何だか勝手が違うなぁ・・・こういう時は、あっさり竜宮城に連れて行くもんだよ、夢なんだからさぁ」  相変わらず軽い調子で言う姫子に。 「残念ながら、これは夢ではない」  赤い亀は、少し重々しい口調で応える。 「ここは淫夢界・・・我等淫魔の世界だ。私は穏健派の一人で、亀甲魔という」 「ほえ?お醤油メーカー?」 「それはキ○○○ー○ンではないかぁ!・・・って、何で淫魔がこんな突っ込みいれにゃいかんのだ・・・」  赤い亀はどうやらちょっと困っているような声で言う。 「かいつまんで言うとだな、君は過激派淫魔の野望を阻止するための戦士の一人に選ばれたのだよ!」 「みゅぅ・・・変な夢・・・亀さんが出てきて、戦士にノミネートだなんて・・・」  いまだに夢だと思い込んでいる姫子は、亀の言う事など真に受けていない。 「どうも話が噛み合わないな・・・こうなったら、実力行使あるのみ!」  亀がそう言うと同時に、甲羅の一部がぱかっ!と、開き、数十本の赤い縄が飛び出していた。 「えっ!何?・・・ひゃわぁぁ!」  パジャマ代わりのスウェットの下に潜り込んだ縄は、姫子の身体を一瞬で拘束していた。 「やぁぁ!そんなとこに食い込ませないでよぉ!」  股間のスリットにギリギリと食い込んでくる縄の感触に、姫子はちょっと涙目になって叫ぶ。  縄は股間だけではなく、全身いたるところに巻き付き、複雑に絡み合っていた。  何気に自慢なFカップのおっぱいも、縄でくびり出されて更に突出させられている。  圧迫感や、ちょっとした痛みはあるのだが、それが何となく快感に思えていた。 「さて・・・脱衣!」  亀が叫ぶと同時に、姫子が身に纏っていた全ての衣服が消え去っていた。 「きゃあ!・・・何!?・・・これって・・・SM!?」  いきなり全裸にされ、その身体を緊縛している赤い縄を見せられた姫子が声をあげる。 最初に感じた痛みは  既に無く、全身を締め付ける縄がもたらしてくるのは、ジンジンと疼くような快感だった。 (SMって意外と気持ちいいんだ・・・)  そんな事を考えてしまう姫子だった。 「さて、それでは仕上げに入ろう。この仮面をかぶりなさい」  姫子の目の前の空間に、ふわりと赤い仮面が浮かび上がっていた。  バイク用のフルフェイスヘルメットみたいだが、それよりも一回り小さい。 「うう・・・ヒーローモノみたいでカッコいいけど・・・身体がこれじゃあ・・・」  姫子はあらためて自分の身体を緊縛している赤い縄を見ながらため息をつく。 「いくら夢でも、こういうのは嫌だなぁ・・・」 「まだ夢だと思ってるのか・・・全く、ちょっとトロいのか?いやいや、それでも潜在能力では一番だったんだ。  私の見立てに間違いは無い筈・・・」  赤い亀は、自分に言い聞かせるかのようにぶつぶつとつぶやいている。  それを横目に見ながら、姫子は仮面を手にとり、ひっくり返したりしげしげと眺めたり、興味深そうにしていた。 「この仮面は気に入った・・・ねえ、身体の方も、もっといいコスチューム出してよ」 「贅沢を言うな。淫魔と戦うための最適なコスチュームじゃないか!防御もほぼ完璧だぞ!」 「何処が防御ですかぁ!」  思わず突っ込みを入れてしまう姫子。 「君の股間に食い込んだ縄が、敵の挿入攻撃からガードしてくれる。これを鉄壁と言わずして、何を鉄壁と言うのか!」  力説する亀を、じと目で見ながら姫子は。 「悪趣味・・・」  と、ばっさり言い放っていた。 「ええい!文句ばかり言わずにさっさとその仮面をかぶらんかっ!私達はお前らの世界の事を思ってこうしてやって  るんだぞっ!」  ちょい切れ気味の亀の剣幕に押され、姫子は仮面をかぶっていた。 「おっ!・・・ベストフィット!・・・何だか・・・身体が熱くなっちゃう・・・んぁ」 姫子はそう言いながら、  亀甲縛りにされた裸身を艶かしくくねらせる。 「それでいいのだ!淫魔をその身体に引き寄せ、快楽戦闘のテクニックで昇天させる!それが仮面ファイターなのだ!」  ここぞとばかりに亀は力説する。 「そして、お前の名前は・・・仮面ファイター羞姫!今はまだ、そのポテンシャルを発揮できないが、修行を積めば  必ず最強のファイターになれる!・・・と、思う・・・」  最後はちょっとトーンダウン気味に、亀は言う。 「あふぅぅんっ・・・どうしよう・・・変な気分になっちゃうよぉ」  生まれて初めての緊縛快感の疼きに、姫子は切なげな声を出す。 「心配要らん。お前の淫気に引き寄せられて、下級淫魔がやってきたぞ!最初の戦いの相手には丁度いいだろう。  ・・・私は離れた所でセコンドをやらせてもらう。じゃ、そういう事で、頑張れよ〜」  赤い亀はどこかへと去って行った。 「ほぁぁ・・・亀さん、何処行くのぉ・・・このまま放置プレイなんて嫌だよぉ」  くねくねと身悶えしながら言う姫子の背後から、何かが近付いてきた。 「ほおお!これはこれは、美味しそうなセニョリータではないか!」  その声に振り向いた姫子は、疼きも忘れて硬直していた。 「今度はクモさんですかぁ!」  そこには、ほぼ人間サイズの巨大なタランチュラが立っていた。  ただし、その顔は口ひげを蓄え、小太りで脂ぎったラテン系のオヤジ顔である。  ちょっと見た目は、メキシカンが下手なコスプレをしているようにしか見えない。 「さあ、お嬢さん、わしと快楽のダンスを踊りましょう!ベサメムーチョ!!」  いきなりクモ男が襲いかかってきた。 「きゃあ!何するのぉ!変態!ひゃわぁぁ!」  六本もある腕で手足を封じられ、姫子・・・羞姫はあっさりと押し倒されていた。 「むうう・・・美味そうなおっぱいだ、まずは揉み心地から」  そう言ったクモ男は、余っていた二本の手で、縄によって突出させられたFカップのおっぱいを揉みこね始めた。  寝ても全く崩れない、張りのあるおっぱいを、クモ男の毛むくじゃらの指がフニフニと揉み始める。 「ふぁ!・・・あ・・・あぁ・・・」  おっぱいから沸き起こった、信じられないほど甘美な快感の波が、一瞬で羞姫の抵抗を封じていた。 「うむう。素晴らしい弾力!ややアルデンテ気味だが、このコリコリした芯のあるもみ心地はまさに、ムイ、ビエン!」  怪しいスペイン語を交えながら、クモ男は羞姫のぷりぷりのおっぱいを思う存分揉みこねていた。  最初はソフトに揉んでいた指先は、次第にハードな動きを交え始める。 「ふぁ・・・あっ!・・・あんっ!・・・ああんっ!・・・」  グニグニと荒っぽく揉まれ、根元から先端に向けて扱きあげるようにされると、羞姫の喉から押えようの無い甘い声  が漏れ始める。  既に手足の力が抜けている事に気付いたクモ男は、それまで動きを封じていた残る手も動員して、羞姫のおっぱいを  責め始めた。 「さて、この敏感そうな乳首をいじらせてもらおうかな・・・」  おっぱいを揉みこねる手はそのままに、Fカップの胸の頂点でつん!と、尖った乳首に、いやらしく動く指が攻撃  を開始していた。 「ひっ!・・・ひあぁぁぁ!・・・やっ!・・・乳首っ!・・・ひっ!」  いきなり乳首を襲った壮絶な快感に、羞姫は声を裏返らせて激しく身悶えする。  その動きを残る二本の腕で封じ、クモ男は執拗に乳首を弄り始めた。  剛毛に覆われた五本の指が、いやらしい動きで乳首をくすぐる。  巧みに動く五本の筆で乳首を責められているようなものだった。  それが左右同時に施される。  乳輪をすりすりしながら、ピンと立った乳首の周囲を旋回し、摘んで扱きあげながら先端を小刻みにくすぐって、  羞姫の裸身を激しくわななかせる。  更におっぱいに食い込ませた指先でハードに揉み込まれ、張りを増した乳輪に乳首を押し込まれてグリグリと  転がされる。  経験の少ない姫子・・・羞姫に耐えられる快感ではなかった。 「やっ!・・・ひっ!・・・あっ!・・・あ!!」  絶え間なく発せられていた甘い声が止まり、その身体がのけぞって硬直する。  おっぱいへの責めだけで、羞姫はエクスタシーを迎えさせられていた。 「むふふふ。思った以上に敏感だったみたいだな。これは素晴らしい拾い物だ。今度は舌触りを確認させてもらうよ、  セニョリータ♪」  肉厚で好色そうなクモ男の唇が、しこり立ったピンクの乳首を咥えていた。 「ふわぅっ!やぁぁ・・・吸わないでぇ・・・ひぃぃ!」  イったばかりで、まだジンジン痺れている乳首を唇で挟んで扱き上げられ、小刻みに吸い上げられて、羞姫は消え  入りそうな声をあげて、亀甲縛りにされた裸身を震わせる。  左右交互に唇の愛撫を加えたクモ男は、こんはレロレロと舌を這わせ始めた。  乳首を小刻みに弾くようにして舐め回しながら、反対側の乳首には毛むくじゃらの指が襲いかかり、思う存分  弄り回す。  しばらくすると、左右交代して再びねちっこい責めが続けられる。 (やぁぁ・・・ダメ・・・気持ち良過ぎて変になっちゃうよぉ・・・)  真っ白に染まった意識の片隅で、わずかに残った姫子の理性が危機を告げていた。  縄の食い込んだ秘裂の奥は、既に熱い体液で溢れ返っている。  止めどなく湧き出してくる愛液は、全て縄が吸収していた。  それが次第に全身に絡んだ縄に染み透っていく。  コリッ!  乳首に軽く歯が立てられた。 「ひゃうぅぅぅっ!」  羞姫の裸身が大きく跳ね上がる。 「噛まれるのに弱いんだね。それじゃあもっとコリコリしてあげよう」  そう言ったクモ男は、しこり立った乳首を軽く噛んでコリコリと扱き上げ始めた。  噛まれて引っ張られた乳首が開放されてプルンと戻る様を、好色そうな目で見ながら、左右交互に責め立てる。 「ひんっ!・・・あんっ!・・・くぁぁ!・・・やっ!・・・乳首!・・・ひっ!」  羞姫は甘い声をあげて跳ね回るばかりだった。  やがて、思う存分おっぱいを責め嬲ったクモ男は、いよいよ挿入に移ろうとしていた。「ふうう・・・堪能させて  もらったよ・・・さて、そろそろ熱いパトスの迸りを君の中に・・・むう!なんと邪魔な縄だ!・・・食い込んで、  ずらせないじゃないか!」  指をかけてずらそうとするのだが、秘裂に深々と食い込み、更に愛液に濡れてヌルヌルになった縄は、全く  ずれなかった。 「ここまで来て置いて挿入できないのは・・・おっ!そうだ!ここがあるではないか!」 嬉しそうに言った  クモ男は、身体をずり上げ、毛むくじゃらのペニスを、さっき散々責め嬲ったFカップのおっぱいの間に  挟み込んでいた。 「ぬふふふふふ・・・パイずりで大量発射させてもらいますよ!」  左右から寄せて更に深くしたおっぱいの谷間に、凶悪なペニスが挟み込まれて動き始めた。 「おう!ムイ、ビエン!」  予想以上の心地良さに、クモ男は恍惚の表情を浮かべる。  更に乳首もさっきと同じように指による責めが再開された。 『羞姫!・・・応答せよ!・・・羞姫!』  耳元で聞こえる亀の声に、羞姫・・・姫子はうっすらと目を開いていた。  おっぱいの間に何か太い毛むくじゃらなものが挟み込まれて動いているのを感じる。  乳首もスリスリ、コリコリ、弄られ続けている。  硬い毛が、おっぱいの柔肉をちくちくと刺しながら擦りあげる感触が気持ち良かった。  「んぁぁ・・・気持ちいい・・・気持ちいいよぉ・・・」  姫子はうっとりした声をあげて、快楽に酔いしれている。 『その程度の淫魔に屈服してどうする!縄に十分愛液が行き渡った筈だ!ファイナルエクスタシーで一気に  勝負をつけろ!!』 「ほぁ?」 『こう叫ぶんだ!亀頭剣、召還!』 「んぁぁ・・・きとうけん・・・しょーかん」  蕩けた声で姫子が叫んだ途端、夢中になってパイずりしていたクモ男が吹っ飛ばされていた。 「ふぁぁ!何ぃ!何か出てくるよぉ!」  股間に起こったむず痒い感触に、羞姫は戸惑った声を上げる。  秘裂にきっちりと食い込んでいた二本の縄が、パクッ!と、左右に別れていた。  ピンクの秘裂が割り開かれ、全てが丸見えになる。  谷間の底でひくついていた膣口から、何か太いものがズルズルと出てきていた。 「やぁぁ!なんか出て来ちゃったよぉ!」  明らかな拡張感を伴って生えてきたものを凝視しながら、羞姫は叫んでいた。  それは、男性のペニスをかたどった剣の柄だった。 『それが亀頭剣だ!一気に引き抜いて、奴を斬れ!!』  亀の声が耳元で響く。  さっきまでのハードな愛撫の余韻で、脳がオーバーヒートしている羞姫は、言われるままに股間から出てきた  剣の柄を掴んでいた。 「ふわぁぁ!」  握り締めた途端、壮絶な快感が羞姫の身体を貫いていた。 『どうした!早く抜け!』 「だめぇぇ・・・凄過ぎて・・・抜くのが怖いよぉ!」 「うぬううう!まさか仮面ファイターだったとは!セニョリータ、わしをだましたなぁ!」  ようやく立ち直ったクモ男が憤怒の形相で迫る。 (仮面かぶってる段階で気づけよ!)  とか、心の底でツッコミを入れながら、羞姫は一気に引き抜いていた。 「はわぁぁぁぁぁぁぁっ!」  神経が根こそぎ引き抜かれるような快感とともに、長大な刀身を持った剣が秘裂から引き抜かれて、目の前に  迫っていたクモ男を、下からなぎ上げるように両断していた。 「ひょえぇぇぇぇぇぇ!」  情けない断末魔の声を上げ、クモ男が消滅していく。 「はぁぁぁぁ・・・」  羞姫も腰が抜けて、ぺたりと座り込んでいた。 『良くやった!まずは一勝だな!』  満足そうな亀の声。 「え?・・・まだ戦うのぉ?」 『当たり前だ!過激派淫魔は何十匹も居る!これからが本当の戦いだぞ。今日はご苦労。元の場所に戻してやるから、  ぐっすり休みなさい』  少し優しげな亀の声。 「その前に、これ、解いてよぉ!」  亀甲縛りの身体を見ながら、羞姫は言う。 『仮面の両脇にあるスイッチを押してごらん』  亀の言葉に従い、こめかみの辺りにある出っ張りを押し込むと、全身を緊縛していた赤い縄がしゅるしゅると解け、  仮面の後頭部に、縄の束となって纏められていた。  仮面がするりと脱げ、消える。 『じゃあ、元の世界に戻すよ』  声と同時に、青白く光る霧が姫子を包んでいた。  続く


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