「それ行け! 悪の秘密結社」 第一話


  生徒会の会議が長引いたせいで、わたしはちょっと焦っていた。バイトの時間に遅れてしまいそうなのだ。
 都内の有名私立女子校に通うわたしは、ちょっと特殊な秘密のバイトをしている。秘密とはいってもエッチ系や風俗とかではない。
 ある意味、それ以上に危険で親バレしたくない内容のバイトなのだ。
 バイト先の「会社」が入っている薄汚いオフィスビルに到着したわたしは、早速更衣室のロッカー奥に設置された隠しボタンを押した。
 ズズズ……ゴゴゴ……コンクリートが擦れる重々しい音を立てて壁が動き、地下秘密基地への入り口が開く。
 開いた壁の奥は、トロリと濃厚な闇が満たしていた。暗い通路の奥から冷たく乾いた風が吹き出て、頬をザワリと撫でる。
 妖しい胸のときめきを感じつつ、わたしは地下への通路に足を踏み入れた。
 ズズズ……ゴゴゴ……背後で扉が閉じる音がして、わたしの周囲から一切の光が消える。
 この瞬間が凄く好きだ。生真面目な生徒会長という仮面を脱ぎ捨て、闇の中に身を委ねるこの瞬間が……。
 わたしのバイト先は、悪の秘密結社である。
 何をもって悪と定義するのかは人それぞれだろうが、奇怪な人造人間を製造し操って暗躍している我が組織、「DASH(ダッシュ)」の活動内容は、まあ、悪と呼んで差し支えないだろう。
 組織名は、なんだか長ったらしい英文の頭文字を取ったものらしいが、覚える意味も価値もない気がしたのであえて詮索しなかった。
 十数段の階段を下り、闇に塗り込められた通路をしばらく進んだわたしは、突き当たりにある壁にぶつかる寸前で歩みを止める。
 階段を下り切ってから正確に二十六歩前進。もう何度も歩いているから壁にぶつかるようなへまはしない。
「ダークレジーナ、参りました」
 クラスメイトと話しているときよりもかなりキーを落した声で、組織内での名を告げるわたし。
 ズゴゴゴゴゴ……さっきよりも重々しい音を立てて壁が開く。扉の向こうは、何やら内臓的なものを感じさせる内装を施された本部施設だ。
 赤っぽい内部照明に照らされた通路を、黒い全身タイツに身を包み、金属製の仮面を付けた下級アンドロイドどもが巡回している。
 何を話しかけても「ビビッ!」としか言わないつまらない奴らだが、捨て駒としては役に立ってくれる。
 わたしは深々とお辞儀する彼らに鷹揚に頷いて見せつつ、幹部用の個室に入った。
 室内は、客船かビジネスホテルの個室みたいな無難でシンプルな作りで、天井の照明もごく普通の蛍光灯だ。
 メガネを外し、制服を脱いでハンガーに掛けたわたしは、着衣を全て脱ぎ捨ててシャワーでざっと汗を流す。
 濡れた髪を程良く乾かしてから、シャワールームの隣にあるカプセル状の装置に全裸のまま入ると、わたし専用のコスチュームが自動装着された。
 上から85、60,88の自慢のプロポーションを包むのは、黒い竜が身体に絡み付いているような、いかにも悪っぽいデザインのビキニ鎧だ。
 腕には肘までカバーする、プロテクター付きの黒ラバーロンググローブ、足元は、股の付け根まであるロングブーツで固めている。
 頭部を覆うバイザーは竜の頭部を模しており、目元は視力矯正機能のあるゴーグルで覆われていた。近眼は、才色兼備、容姿端麗、文武両道、武芸百般なわたしにとって唯一の弱点といえるものだ。
 背中にはお尻がようやく隠れる程度の丈の裏地が銀色、表が黒のショートマント。右腰には毒蛇をモチーフにしたムチ、左腰には細身の剣。
 コスチュームの装着を終えて姿見の前に立ったわたしは、どこからどう見ても悪の女幹部である。優等生のメガネッ子生徒会長の名残はどこにもない。
 司令室に行くと、わたし以外の幹部はすでに集合していた。
「遅いぞ、ダークレジーナ」
 一応ナンバー2の地位にある「将軍ジェノーザ」が赤いカメラアイでわたしをジロリと睨んで言う。相変わらず、耳障りで凄く嫌味な響きの声だった。
 将軍は、顔の右半分以外ほとんどの部分を金色のメカ鎧で覆った大男だ。わずかに露出した顔面は、ちょっとヤクザぽい強面の中年男。
 いかにも武人といったいでたちで、腰にごつい剣を帯びてはいるが、わたしが知る限りでは、戦闘の最前線に出てきたことは一度もない。
「遅れてもうしわけない」
 そう言って軽く会釈するだけに留めておく。
 こんな時に、「生徒会の会議が長引いて……」などと言って場の空気を白けさせるほどわたしは無粋ではない。
 なんと言ってもここは悪の組織の秘密基地なのだ。
 いかにもな雰囲気の司令室にいるのは、将軍とわたしを含めて五人。
 作戦立案を担当する参謀長ズール。彼は不健康に痩せた身体に中世ヨーロッパの貴族風衣装をまとっており、黒い丸レンズのサングラスをかけている。髪はボサボサで、右肩には脳味噌に機械の手足を生やしたような不気味なペットを乗せている。
 彼曰く、その不気味ペットは大容量の外部記憶装置らしい。
 その横で、卵形の飛行機械に乗って浮遊しているのが、組織一の天才科学者、ドクターカオス。黒いフードで完全に覆い隠された顔の前には液晶画面が設置されていて、そこにCGの顔グラフィックが投影されている。
 今日の顔は、緑色をした宇宙人っぽいものだった。
 この顔グラは、ドクターの気分によって色々と変わる。
 そして、玉座に座るのは我が組織の総帥、女帝ゼヴィア。
 中性的な美貌を持った長身の美女で、その身体を紫色のローブに包んでいる。
 波打つ金髪のロングヘアの上には、禍々しくも美しいデザインの王冠が載せられていた。
 凛々しく美しいその姿を目にしただけで胸の鼓動が早まり、体温が少し上がってしまうわたしである。
 断言しよう。わたしはこの方のためならマジで死ねる!
 この組織でバイトするきっかけになったのも、テレビで流れたゼヴィア様の映像がきっかけなのだ。
 いきなりテレビ局(しかもローカル局)を占拠し、人類全てに服従を呼びかける放送を行う彼女の姿を見た瞬間、わたしの中で何かが目覚めたのだ。
 詳しいいきさつは省くが、苦労の末ゼヴィア様に謁見することができたわたしは、彼女の寵愛と信頼を勝ち取り、今や組織の戦闘指揮を任せられるまでになっている。
 まさに身も心も、ゼヴィア様に捧げたわたしである……むっ、ヤバイ、身体が火照ってきた……。胸が甘く締め付けられて苦しい、甘美な思い出が脳内で勝手に再生されて、うれし恥ずかし気持ちいい思い出で身体がしっとりと汗ばんできてしまう。
 まあ、わたしの体調はともかくとして、競合組織を駆逐し、いよいよ世界征服に乗り出した我が組織であったが、その野望を阻まんと立ちはだかる者たちがあらわれた。
 悪の組織があるところ、必ず現われるお約束の障害物、色とりどりのコスチュームに身を包んだ正義のヒーロー集団である。
 少女ばかりで構成された妨害者の名は、「聖少女戦隊ジャスティレンジャー」という。
 悔しいが、彼女らは強かった。我が組織の誇る合成怪人は次々と撃破され、ここ最近の作戦はことごとく失敗している。
「……さて、皆さん」
 肩に脳味噌を乗せた参謀長が、おもむろに口を開いた。
「今回の作戦は、憎きジャスティレンジャーたちを一網打尽に捕え、徹底的に辱めて社会的地位を失墜させようという画期的にして壮大なものです」
 ここで一旦言葉を切った参謀長は、サングラスの黒い丸レンズ越しに一同を見回して勿体を付け、再び口を開く。
「名付けて、再生怪人総進撃! 今までジャスティレンジャーたちに倒されてきた怪人たちを修復し、物量をもって圧倒します!」
 わたし以外の幹部たちの間からどよめきが上がった。
 わたしはため息を押し殺し、ただ沈黙を守っている。
 再生怪人の群れで攻めるという作戦は、特撮番組において、中盤のテコ入れや最終回前によく実行される、ありきたりな作戦だとわたしは思う。
 しかし、わたし以外の幹部たちは、この作戦が素晴らしく独創的なものだと信じて疑っていないようなのだ。
 いわゆる戦隊モノや変身ヒーローモノをまったく見ていないんじゃないかと思われる。
 もしかしたら、彼らもアンドロイドなのかも知れない。どう見ても一般社会に受け入れてもらえない外見と性格の奴ばかりだし……。
 わたしが最前線で戦う戦闘隊長などという地位にあるのも、他の連中が使えないということに女帝陛下が気づいておられるからではないだろうか?
「数で攻めるのはいいとして、怪人たちのコントロールは大丈夫なのだろうな?」
 わたしは一抹の不安を感じつつ参謀長に問いかけた。
 今まで、複数の怪人を作戦に投入しなかったのは、本部から行われている怪人のコントロールが非常に難しく、二体以上の同時制御が事実上不可能であったからなのだ。
 どうも脳波だか呪術だか思念波だか毒電波だかを使って制御しているらしいが、詳しいことは判らない。
「その点については問題ない。過去の戦闘データからフィードバックさせた思考ルーチンプログラムを、再生怪人にインストールしてある。AI制御による半自動で戦闘を行えるはずじゃ。おぬしは状況の変化を見極め、各怪人に適切な命令を下して欲しい」
 天才科学者、ドクターカオスが、液晶画面に映ったCG顔をこちらに向けて自信たっぷりに解説してくれる。
「了解した。必ずやジャスティレンジャーを全員捕えて見せよう!」
 怪人の操作を一任されたわたしは、自信に満ちた声を上げる。
 もちろん、女帝陛下に聞いていただくためだ。

 周囲は悲鳴と破壊音が交錯する大混乱の状況を呈していた。
 わたしたちが襲撃したのは、「国際屋台フェスティバル」というイベントの会場である。
 連休初日と言うこともあって、会場はかなりの人手でごった返していた。
 そこにあらわれた再生怪人軍団と、ザコアンドロイドたちによって、イベント会場はあっという間に制圧、占拠された状態になっている。
 長い舌を伸ばし、屋台を片っ端から壊しているのは、極彩色のボディカラーをした合成怪人、サイケデリックカメレオン。伸縮自在の舌と幻覚ガスを武器にする怪人である。
 広場の隅に観衆を追いつめて威嚇しているのは、やたらと一杯角が生えた合成怪人、ウシカブト。全部で七本の角を使った突進攻撃と分厚い装甲皮膚を誇るパワーファイターだ。
 毒花粉と毒針を交互に発射して、観衆たちを昏倒させているのは、オニユリとオニヒトデの合成怪人、オニユリヒトデ。
 上空で警戒飛行を続けているのは、索敵能力と機動力に優れた合成怪人、ハゲタカトンボ。以上、わが組織が誇る再生怪人軍団である。
「そろそろ来る頃だな……」
 わたしがつぶやくと同時に、上空で警戒していたハゲタカトンボが敵の接近を報告してきた。
「そこまでよっ! 悪党ども!」
 凛と澄んだ、良く通る声がイベント会場に響いた。
「来たな! ジャスティレンジャー!」
 見上げる視線の先、オフィスビルの屋上に、鮮やかな色彩に身を包んだ四つの人影があった。
 赤、青、ピンクに黄色の競泳水着風ピッチリコスチュームに網タイツ、肩、肘、膝には申し訳程度のプロテクターが装着されており、頭部はフルフェイスヘルメット風のヘッドギアによって完全に覆い隠されている。
 それぞれのキャラが、花鳥風月を模しているという何とも和風な戦隊だ。
「戦場に咲く一輪の花! ジャスティイエロー!」
 マスクの額に花の紋章をあしらった、黄色ずくめの少女が可愛らしい声で名乗りを上げる。身体も小さく胸もツルッペタンで、どう見てもまだまだ子供だ。
「空駆ける正義の鳥! ジャスティブルー!」
 二人目の名乗りを上げたのは、やや貧乳気味ながら、見事に引き締まったスレンダーボディ。戦隊の参謀役とも言えるジャスティブルーだ。額には翼を広げた鳥の紋章。
「悪を蹴散らす勇気の風! ジャスティピンク!」
 三人目、ピンクのピッチリコスに身を包んだ少女が声を上げる。何よりも目を引くのは、Gカップに迫ろうかという爆乳だ。戦隊の良きお姉さん役、ジャスティピンクである。
 額の紋章は竜巻を模したものだ。
「闇を払う聖なる月! ジャスティレッド!」
 そして、わたしにとって最大のライバルにして、戦隊リーダーが最後に名乗りを上げた。戦闘能力も、コスチュームの下に秘めたプロポーションも、わたしと互角。
 戦隊を束ねるにふさわしい実力者、ジャスティレッドである。
 額に燦然と輝くのは、真紅の三日月。
「我ら、少女戦隊、ジャスティレンジャー!!」
 四人そろっての決めポーズ。
 さっきまでパニック状態だった観衆どもが、希望に満ちた歓声を上げた。
 悔しいけど、邪魔する気が失せるほどに格好良く決まっている。
 しかし、そのポーズを取れるのも今日限りだ!
「たああアッ!!」
 四人の少女戦士は、かけ声も高らかにビル屋上から跳躍し、包囲網のまっただ中に降下してきた。
 たちまちのうちに乱戦が始まり、下級アンドロイドどもがバッタバッタと倒されてゆく。
 四色の戦闘ヒロインたちは、それぞれが異なる武器を手にしていた。
 イエローは、黄色い花を模した大型手裏剣を、ブルーはアーチェリー、ピンクは六尺棒、そしてレッドは真紅の刀。アンドロイドたちも短剣を手にして攻撃を仕掛けてはいるものの、片っ端から撃破されている。
「何をしている! 行け、再生怪人ども!」
 わたしの命令で、四体の怪人たちがようやく動いていた。本当に高性能のAIを搭載しているのか?
 イエローにはオニユリヒトデ、ブルーにはハゲタカトンボ、ピンクにはサイケデリックカメレオン、そして、レッドにはウシカブトが対峙する。
 形勢は一気に逆転し、ジャスティレンジャーたちがじわじわと押され始めた。
 彼女らは確かに強いが、一対一で合成怪人に勝てるほどの戦闘能力は持っていない。
 しかし、それでも侮りがたい敵であることは確かである。
 それぞれの戦士は、一発逆転の必殺技を持っているのだ。まともに食らえば、再生怪人といえどもかなりのダメージを受けてしまう。
「やっつけちゃうよぉ! 電撃花吹雪!」
「毒針毒花粉ブワァァァァ!!」
 イエローの広域攻撃技と、オニユリヒトデの毒攻撃が、文字通り火花を散らしてぶつかり合う。
「くうっ! 接近戦に持ち込んで技を放たせないつもりか!」
 ハゲタカトンボと派手な空中戦を繰り広げていたブルーが、焦れた口調で叫ぶ。
 飛行能力を持った再生怪人は、わたしの指令に従って徹底した接近戦を仕掛けている。弓の達人であるブルー必殺の遠距離貫通攻撃「ハヤニエアロー」を放つ間合いを作らせなければ、弓使いの戦闘ヒロインは恐るるに足らず!
 ピンクと戦っているサイケデリックカメレオンも、舌と尻尾を駆使した連続攻撃で棒術使いの巨乳少女を圧倒していた。
「くっ、うっ、えいっ!」
 変幻自在の舌と尻尾の攻撃を防御するたびに、Gカップオーバーの巨乳がプリュンプリュンと派手に揺れたわんでいる。
 ピンクの必殺技、六尺棒を高速回転させて竜巻を起こす、「ピンクトルネード」を完璧に封じられた巨乳ヒロインは、防御するので精一杯の状態だ。
 そんな中で、レッドだけが怪人を圧倒していた。
「たあっ! とぉ! はぁっ!」
 気合いとともに放たれる斬撃が、装甲怪人ウシカブトの身体に連続ヒットしている。
 横薙ぎ、縦斬り、逆袈裟、鋭く疾い斬撃が命中するたびに、怪人の身体から派手な火花が散る。
 我が組織が作り出した怪人の中でもずば抜けた防御力を誇るウシカブトであったが、それでも一撃ごとに装甲皮膚が削られてゆく。
 勝機と見たレッドが、必殺技を放った。
「悪滅! 炎月斬りッ!!」
 炎をまとった刀による必殺の一撃が、ウシカブトに炸裂する。
 ブモオォォォォォー!!
 燃える月輪に包まれて断末魔の声を上げた再生怪人は、次の瞬間爆発四散した。痕に残るのは、直径一メートルほどの焼け焦げたクレーターのみ。
 やはりレッド! 他のメンバーとはひと味違うようだ。
「わたし自身が相手をしてやろう。ゆくぞ!!」
 わたしは右手に剣、左手にムチを手にしてレッドに襲いかかった。血がたぎり、身体が激しく疼いている。これだ! この瞬間を私は待ち望んでいたのだ。誰にも邪魔されず、ライバルと認めた相手と思う存分戦うことを!
「望むところだ! ダークレジーナ!!」
 剣と刀がぶつかり合って火花を散らし、目にも止まらぬ速度での打ち合いがひとしきり続く。
 ギイイイインッ!!
 ひときわ激しい火花を散らして、剣と刀が噛み合った。
「やるな……レッド」
「貴様こそ……」
「うわぁぁぁぁーーーーーーっ!!」
 鍔迫り合いになってにらみ合うわたしとレッドの傍らに、ブルーとハゲタカトンボがもつれ合って落下してきた。
 いい感じで盛り上がってきていたのに、空気の読めない奴らだ。
 鋭いかぎ爪を持ったハゲタカトンボの四本腕が、青い戦闘ヒロインの手足をガッチリと掴んで動きを封じている。
 どうやら決着がついたらしいな……。
「ブルー!」
「隙ありっ!!」
 味方のピンチに気を取られた一瞬を見逃さず、わたしはレッドを一気に突き放しながら横殴りにムチを振るう。
 ムチの一撃をまともに食らい、火花を散らして吹き飛ばされるレッド。
「くううっ!」
「観念しろ! 他の連中も彼のザマだ……」
 起きあがろうとしたレッドの喉元に剣先を突きつけ、わたしは降伏を勧告する。
 いささか不本意な決着だが、勝機を逃すわけにはいかない。わたしの目的は正々堂々と戦うことではなく、勝利することなのだ。
 我ながら、悪の幹部向きの性格だと思う。
 他の連中も、怪人に圧倒され、敗北しつつあった。
「あぁぁっ! きっ、きつい……ッ!!」
 カメレオン怪人の尻尾に六尺棒を奪い取られ、舌でグルグル巻きにされたピンクが苦痛の声を上げる。身体を緊縛した舌の隙間から、密着コスチュームに包まれた美巨乳がムニュッ! とはみ出している様がSMチックだ。
「やあああんっ! 重いいいぃぃぃぃーッ!!」
 必死に抵抗していたイエローも、オニユリヒトデにのしかかられて泣き声を上げている。
「ジャスティレンジャー、破れたりッ!! 基地に連行しろ!」
 わたしは高らかに勝利の声を上げて基地へと凱旋した。


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