前編


〜前編〜  地球は狙われている。  昨今、UFO目撃談は急増している。  宇宙人が地球を狙っている証拠である。  今、宇宙人は人間になりすまし、我々のすぐ側で生活しているのだ。  近い将来、人類を滅ぼし、地球を征服する機会を、闇の中で虎視眈々と狙っているのだ。  この物語は、そんな宇宙人と遭遇してしまった、ある不幸な少女の物語である。  夕暮れ時。  逢魔が時。  駅前の商店街、そこに足を踏み入れる一人の少女。黒目がちの瞳にあどけなさの残る口元。スレンダー  な身体に、それなりに膨らんだ胸の果実。腰まで伸ばした長い三つ編みは歩く度にピコピコ揺れ、尻尾  の様に少女の喜怒哀楽を表現していた。  この少女、名前を内藤綾那と言い、私立の中学に通う12歳である。今日は音楽のテストの出来が悪く、  遅くまでリコーダーの練習をさせられていたのだ。  人の波と共に電車を降り、商店街に足を踏み入れた途端、綾那はちょっとした違和感を感じた。  いつもの通り慣れた道、見慣れた商店、判然としない人々の顔、顔、かお………。  澱んだ空気に霞む商店街。  何かがおかしい。  何がおかしい?  理由はなかった。  理屈もなかった。  何かしら、漠然とした不安と共に、不可思議な違和感が、するすると心に忍び込んでくるのだ。  やがて少女は、この不条理な心理状態を否定し、かぶりを振って、いつものように歩き出した。  が、しかし。  商店街の遙か前方。目を凝らさねば見えないくらいの距離から、奇妙な男が歩いて来た。  普通なら、商店街の中で行き交う人々、そんな人間の姿など気にも留めない。意識は別の事に向き、  小脳の働きに任せて、ただ漫然と歩くだけだ。  しかし、その男の姿は目に留まった。  あまりにも異様な風体だったからだ。  眼鏡をかけている。  いや、眼鏡は普通の眼鏡だ。何処にでもある極めて普通、当たり前の銀縁眼鏡だ。  その男の奇妙な部分は他にあった。  やや骨張った身体を、真っ赤な全身タイツに身を包んでいる。また、その頭部はとんがり帽子のように  天を指し、先には丸い球体が乗っている。  そして股間には生白い塊。  男はその塊をぶら〜〜ん、ぶら〜〜んと呑気に揺らし、さも機嫌良さそうに歩いていた。 まるで田舎  から出てきたおのぼりさんの様に、周囲を眺め回し、しきりに感心し、ある時は鼻歌などを唄い、軽や  かな足取りでこちらに向かって歩いてくる。  綾那はその様子にたじろいだ。異物が確認できる距離まで来ると、更に顔を引きつらせた。  しかも、おかしいのはこの男だけではなかった。周囲の様子も些か妙だった。  普通ならもっと大騒ぎになる筈だ。陰部を丸出しにした変質者がふらふら歩いているのだから。  しかし、誰も驚かない。その男が女性の横を通り過ぎても、悲鳴の一つも上げないのだ。  僅かに視線を向ける者もいたが、特に何を気にする風でもなく、何事もなかったかの様に通り過ぎていく。  だんだんと近づいてくる男。綾那はその男から目が離せないでいた。  心の中では悲鳴を上げている。  本能は逃げろと警告を発している。  でも、綾那は動かなかった。  その男に興味があった訳ではない。  足が動かなかったのだ。  そして遂に、男がすぐ側まで近づいて来た時、その男と目が合ってしまった。 「美少女はっけ〜〜ん♪♯これより拉致しま〜〜っす!!」  一瞬、男が何を言っているのか分からなかった。 「………ほえ?」  綾那が可愛らしく小首を傾げたその瞬間、男は両手を広げて綾那に飛び掛かった。 「きゃあああああっ!!」  身を縮ませ、悲鳴を上げる綾那。  しかし、そんな状況であっても、周囲の人々はこれまで同様、その総タイツの男には何の関心も示さなかった。  男は綾那を抱きすくめ、太股の間に足を絡ませて、股間をぐいぐいと押し付けてくる。  少女の滑らかな太股に、柔らかな陰茎がぐんにゃりと触れ、綾那はあらん限りの声を張り上げて助けを求めた。 「いやあああっ!誰かぁあっ!!」  身を捩って総タイツ男から逃れようとする綾那。  しかし、綾那が逃れようと藻掻く事に、男の陰茎は刺激を受け、むくむくと活力を得ていった。  更に更に悲鳴を上げる綾那。やっとの事でサラリーマン風の男にしがみつき、その男の注意を引く。 「た、たすけてぇえっ!!」  切迫した綾那の様子に、しかし、その男はひどくうんざりした様子で応じた。 「あのねえ、君。助けてたってね、その人、宇宙人だろ?僕にどうしろって言うの?」  綾那の顔に、大きなハテナ・マークが張り付いた。  目に涙を溜め、唇をわなわなと震わせる綾那。男はその様子に気の毒そうな顔を向けるが、それ以上は何も  しようとはしない。 「あのさ………」男は更に続ける。「あのさ、その人、宇宙人だから、僕みたいな普通の地球人にはどうして  あげることもできないわけ。だからさ、この手離してよ」  綾那の手を外そうとするサラリーマン。綾那はその手を必死に掴み、頑として離れようとはしない。  宇宙人と呼ばれる男はその間にも綾那の身体を撫で回し、今や上着の中に手を突っ込んでいた。  そこに、天の助けか、自転車に乗った警官が通りかかる。 「お、お巡りさん、助けてぇっ!!」  綾那が叫ぶ。  ただならぬ事態に、自転車から飛び降り、警官は駆け寄ってきた。ほっと安堵の息をつく綾那。しかし、警官  の反応は綾那の予想には反していた。 「なんだ、宇宙人か。宇宙人なら仕方無いな。で、あんたは何してるわけ?」  警官はサラリーマンに目を向けると、そう質した。 「いやぁ、お巡りさん、助けて下さいよ。この子が宇宙人に襲われてるからって、この手を離さないんですよ」  サラリーマンに泣きつかれ、警官は改めて綾那に向かった。  宇宙人は既に綾那の上着を捲り上げ、ブラジャーをずり下ろしていた。可愛い乳房がぷりゅんとこぼれる。 「あのねぇ、あんた、この人困ってるじゃない。手ぇ、離してあげなよ。そりゃあ、宇宙人に襲われて気の毒とは  思うけど、相手が宇宙人だと逮捕もできないの。大体、宇宙人を取り締まる法律って無いでしょ?だから、手ぇ  離してあげなさいよ………」  しゃがみ込み、そう諭す警官。しかし、そんな不条理な事があってたまるものか。目に涙を溜め、ぶんぶんと  かぶりを振る綾那。 「なあ、もう良いだろ?いい加減離してくれよ。俺、見たいテレビがあって早く帰りたいんだよ」  そう言うと、サラリーマンは無理矢理綾那の手を引き剥がした。 「いやぁぁぁああっ!!!」  悲鳴を上げる綾那。しかし、サラリーマンは意に介さなかった。 「ありゃあ、火星人ですかねぇ?」  サラリーマン風の男は背を向けると、共に立ち上がった警官に話しかけた。 「赤い服来てたからなぁ、多分そうなんじゃないかな?しかし、良いよなぁ、宇宙人は………、あんな可愛い子  と犯れて。俺も宇宙人になりたいよ」  世間話のように応じる警官。最早、綾那の姿など目には入っていない。 「ははは、良いんですか?お巡りさんがそんなこと言っちゃって」  遠ざかる二人の姿を、綾那は絶望と共に見送った。最早、綾那に注意を向ける者は誰もいない。  幼い綾那の身体を、タイツ男は良いようにまさぐった。 「あんぅっ!?」  綾那は小さく悲鳴を上げる。タイツ男の指先が、ニプルの先に触れたのだ。  掌で柔らかな乳房を撫で回し、指の平で乳首を刺激する男。焦らすように、触れるか触れないかのところで指  をくりくりと動かすタイツ男。  くにくにと弄られ、くすぐったいような、むずむずするような、奇妙な感覚が広がっていくが、綾那には鳥肌  が立つような嫌悪感しか感じられなかった。 「(いやぁ、どうして私だけ………)」  綾那はあまりにも理不尽な事態に、頭が混乱していった。  しかし、タイツ男は綾那の感情などまるで気にも留めず、蛸のように足を絡み付かせ、背後から乳房を弄ぶ。 「地球人の美少女の乳房はとても柔らかいで〜す。乳首を弄ると堅くなってくることを発見しました〜」  綾那の乳房を掴みながら、宇宙人と称する男は言わなくても良いようなことをわざわざ公言する。 「(ち、ちょっと、なんでそんなことわざわざ言うのよ〜〜っ!!)」  綾那は必死になって宇宙人から逃れようとするが、男の力には敵わない。綾那が藻掻けば藻掻くほど、むちむち  した太股が宇宙人の陰茎を刺激し、股間の逸物はどんどんと堅さを増していく。 「(うえぇ〜ん、気持ち悪いよぉ〜)」  どうにもならない状況をひたすら嘆く綾那。しかし、宇宙人の行動はどんどんとエスカレートし、ついにはスカ  ートの中にまで手を伸ばしてきた。


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