回り道編・第2話「綾乃の悩み事-野宿編」-4


 テントの外で再びつけた焚き火でお湯を沸かすと、木片のように見える長旅用の茶葉を削ってお茶を入れる。それを今まで歩いてきた分だけへこみや傷が出来てきた二つのカップに注ぎ、鳴き声が聞こえなくなったテントの中へ持って入る
「はうぅ〜……」
 泣き声は止まっても、綾乃ちゃんは未だ深い落ち込みから脱してはいない。
 濡れた体でそのまま帰ってきており、衣服を川原に置いてきてしまっていて、何も羽織っていない体を今覆い隠しているのは彼女の寝袋だ。ジッパー側を下に向け、床に額を押し当てて丸くなっている姿に芋虫……と言う表現が頭に浮かぶけれど、下手な言動には注意しなければならない。
「これ飲んで。少しは落ち着くよ」
「先輩……あぅうぅ〜……」
 こちらが呼びかけると、モゾモゾと寝袋の下から顔を出す……が、あたしと視線が会うと、またモゾモゾと寝袋の下に頭を引っ込めてしまう。
「あ…ありがとうございます……後でいただきますから、そこに置いておいて貰えるとありがたいのですけど……」
 それ、寝袋じゃないから無理に体に巻きつけても膝とかちょっぴり見えてるんだけどな〜……と、天井に吊るしたランプの光に照らされてほんのり赤く艶っぽく見える肌をチラ見しながら、ホッと胸を撫で下ろす。
 ―――そんだけ喋れるなら大丈夫よね。
 少し前までは連続して謝って連続して錯乱して連続して泣きじゃくってどうしようもなかっただけに、恥ずかしがっていてもこちらの声が届いて返事を返してくれる事は落ち着いた証拠だ。刺激し過ぎさえしなければ会話だって出来るはずだ。
「さて……それじゃ話してくれる?」
 丸まった寝袋がビクッと跳ねるのを目にしながら、腰を下ろして自分のカップに口を付ける。
「あえて“何を”話して欲しいとは言わないけど、自分で自分のおかしいところには気付いてるでしょ?」
「………い、言わなくちゃダメですか?」
「ダメ。もし自分で言いたくないんなら、あたしが聞かせてあげよっか? 目撃談とか体験談とか。そう、あれは旅の仲間が不意に姿を消した事が始まりでした。心配したあたしは万が一を警戒しながら森に踏み入り……」
「はうぅ〜……い、いじめですか?」
「どちらかと言うと被害者はあたし。寝ていたあたしに何したか思い出しなさい」
「ふみゅ〜……」
 少し言い過ぎたか……そんな不安が頭を掠めるけれど、綾乃ちゃんは先ほどのような錯乱した様子は見せない。ある程度は自分の心を整理できたのだろう。
「綾乃ちゃん……そりゃあたしはあんまり頼りになるとは自分でも思ってないけど、フジエーダからここまで一緒に旅してきた仲間だよね。胸に押し込めてる苦しみとかを喋ってくれるんなら黙って聞いてあげることぐらいは出来るよ?」
「………………」
 それ以上は無理に追求せずに黙ってお茶を啜り飲む。そして数分……ゆっくりと流れる静かな時間に身を委ねていると、寝袋で体を隠しながら綾乃ちゃんが起き上がってきた。
「あの………申し訳ありませんでした。私……」
「ん。細かい話は後にしよ。せっかく挿れたお茶の風味が飛んでっちゃうよ?」
 頭を下げる綾乃ちゃんの前に、あたしは綾乃ちゃんの分のお茶を差し出す。謝るのはもう十分、とりあえず落ち着こう……と言うこちらの意図を汲んでか、綾乃ちゃんも少し俯き気味にテレテレしながらカップを受け取った。
「………変だなって、自分でも思ってはいたんです。今回の…その………体の変化は何かが違うって」
 お茶を飲んで喉を湿らせ、心を落ち着けると、ポツリポツリと口を開き始める。
「いつもはこんな事ないんです。男の人の……んと……あ、アレが生えるのは昔からでしたし、少し下腹部が重たくなるって言う前兆もあるけど……おかしくなるのはそれぐらいで、決してあんな……えと……あの………」
「あ〜……恥ずかしいなら言わなくてもいいから」
 「おチ○チン」だとか「オナニー」とかエッチな単語を口にするだけでも恥ずかしいのだろう。会話のところどころで口ごもる様子に苦笑を漏らすと、綾乃ちゃんもカップに口をつけて体を小さく縮めさせてしまう。
 だからこそ……綾乃ちゃんが森の中でおチ○チンを擦ったり、川の中で大胆に全裸で股を開いたり、寝ているあたしの手におチ○チンを握らせたりしたのが不自然なのだ。
「わ…私も物凄く恥ずかしかったんです……だけどおチ○チンが生えたら妙に気分が昂ぶって、恥ずかしいと思うだけでも体の芯がカ〜ッて熱くなって……気がついたら、その…森の中で……」
「ふむ……それって単に、欲求不満だったからじゃないのよね?」
「私、そんなにはしたない子じゃありません……クスン……」
「あはは、ゴメンね……それで、今はどうなってるの?」
「どうって……」
 あたしの口からはあえて「どこが」とは言わない。カップを両手で包むように持ちながら顔を俯けた綾乃ちゃんは、時間をかけてあたしが何を訊ねたのかを理解し、小さな声で、
「………お、大きくなったまま…です……」
 と声を絞り出した。
「んじゃムズムズもしてるわけよね。あれだけチャレンジして、結局最後までやっちゃえなかったわけだから」
「だって………スゴく恐かったんです。込み上げてきたのがアソコから溢れそうになる瞬間……必ず我に帰っちゃって、そのまま出しちゃったら後戻りできなくなりそうな……」
「なるほどね……」
 あたしも男の人に抱かれて感じてしまうたびに、もう女性のままでいい…と思ってしまう事がある。女として過ごす時間が長くなるほどに、男としてのアイデンティティーが崩壊しそうになる機会は否応無しに訪れてきて、そのたびに激しい後悔に襲われたりする。綾乃ちゃんが最後の一線を越えられずに射精を堪えてしまうのも、同様の感情から来るものなのかもしれない。
 ―――だけど、
「ねえ綾乃ちゃん……?」
 あたしは空になったカップを床に置くと、綾乃ちゃんの手からもカップを優しく取り上げる。
「もしかして……あたしにして欲しいのを、ずっと我慢してたの? 自分じゃ出来ないから……」
「ひィん…!」
 綾乃ちゃんが寝袋をかき寄せるけれど、あたしの手がするりと股間にもぐりこむ方が速い。覗いていた膝から内股へと指先を滑らせると、可愛い年下の女の子は顎を跳ね上げ、お茶の香りが残っている唇を浅く開く。
 だけどいきなり直接股間に辿り着いたりはしない。ピリピリと震える太股を何度もなぞり、久しぶりに間近で見る綾乃ちゃんの感じ悶える表情を堪能しながらフッ…と耳に息を吹きかけてみたりする。
「ん〜〜〜ッ!」
「どうしてあたしに言わなかったの? 言ってくれたら……こんなに苦しむまで我慢しなくてもよかったのに……」
「だって……せ、先輩、怒ってると…お…思った…から……だから……」
 あたしを押し返すための腕は寝袋を掴んで離せないので、綾乃ちゃんはあたしの為すがままになるしかない。………のだが、久しぶりに攻め手に回れたことで昂ぶり出していた高揚感も、涙を浮かべながら搾り出した綾乃ちゃんの一言で雲散霧消してしまう。
「怒ってるって……なんで?」
「私……先輩以外の人に弄ばれて……だからもう、わ、私の事なんて、どうでもいいって……」
 あたし以外に弄ばれた……と言うと、隠し温泉でギルドマスターたちに出合った時のことしか思いだせない。
「私は先輩の所有物で……体を預けるのは先輩だけだって決めてたのに……」
「そんなこと気にしてたの?」
「き…気にします! だって私――――――」
 怒ってなんかいないのに……綾乃ちゃんの杞憂を晴らすべく、あたしは綾乃ちゃんの唇を塞いでいた。
 ―――あたしが綾乃ちゃんを嫌いになるはずないのに……
 背中に回した腕が邪魔な寝袋を払いのけ、生まれたままの姿の綾乃ちゃんの肌をじかに抱きしめる。そして唇をネットリと吸い上げると、右の頬に伝い落ちる涙の滴を舌先ですくい取り、そして反対の瞳から溢れる涙もすすり上げる。
「せんぱ…い……ん……あ…ふっ………」
 涙を吸い取られるままに心地よさげに身を任せる綾乃ちゃん。その唇に軽くもう一度あたしの唇を重ね合わせると、抱きしめたままあたしは後ろへと倒れこんだ。
「きゃあ!?」
「そういえばさ……綾乃ちゃんからしてもらったことってないよね。だから今夜は……あたしの身体、好きにしてもいいよ?」
「な、何言ってるんですか!?」
「綾乃ちゃんが一番したがってる事……オナニーでイくのがいやなら本番しかないでしょ?」
 やわらかいあたしの胸に顔をうずめるように倒れこんで狼狽している綾乃ちゃんの髪を指で梳く。
「じゃあ訊くけど……オナニーしてた時にあたしの名前を呼んでたよね? あたしでどんな妄想してたの?」
「う………」
「それにさ、あたしの手に腰を振って擦り付けてたのは誰だった?」
「い、言えません、そんなこと!」
 そう言う返事を返す時点で、いやらしい妄想を抱いていたと告白しているようなものだ。そんな綾乃ちゃんの素直な反応に胸をギュッと締め付けられると、耳たぶの裏を指先でくすぐり、もう片方の手で寝袋から露わになった背筋にツツッ…と指先を滑らせ、なだらかな腰から背中へと撫で上げる。そして肩甲骨の間まで達すると五本の指を開いて触れるか触れないかのギリギリのところで白い肌を撫で回し、顔を赤らめて声を押し殺している綾乃ちゃんを追い詰めるように脇腹をなぞっていく。
「ひっ、く、んぅうぅぅぅ……! そんな…くすぐっ……んあああぁ……!」
 肌が薄桃色に染まると、綾乃ちゃんは呼吸すらままならなくなるほどに込み上げる快感に喉を詰まらせて喘ぎを繰り返す。背中以上に敏感な場所に触れることも出来るけれど、決して触れるつもりはなく……ある一定のレベルより上の快楽を与えてもらえずに焦れてきた綾乃ちゃんは、本人の意思とは無関係に脈打ち始めたペ○スをあたしの太股へ押し付けたまま、髪留めで小さく束ねた一房の髪を振り乱すように悶え始める。
「そ、んな……あうゥ……! 先輩…私、もう……んはぁ〜……!」
「それじゃダメよ。今の綾乃ちゃんは女の子であるのと同時に男の子でもあるんだから。ほら……気持ちよくなればなるほど、綾乃ちゃんのおチ○チンはピクピクしてるでしょ?」
「あっ……動かさないで、あっ…ううぅ……」
 寝そべったまま軽く右膝を上げて前後に蠢かせると、自ら大量の潤滑液を吐き出したおチ○チンが肌の上を滑る。昼間からずっと射精を堪え続けてきた肉茎の反応は鋭く、綾乃ちゃん自身はイヤイヤと首を振っているのに、下腹部は激しく戦慄いて水から迎え腰を振って快感を貪り始める。
「我慢しなくてもいいのよ……綾乃ちゃんの好きなようにあたしを弄んで……」
「ダメ……ダメですゥ……そんな事したら先輩が………!」
「大丈夫……あたしはどんな綾乃ちゃんでも受け入れてあげる。女の子でも男の子でも構わない。だって……綾乃ちゃんは綾乃ちゃんなんだから。だからあたしが……お姉さまがちゃんと射精まで受け止めてあげる」
「先…輩……」
 舌を浅く突き出して湿った吐息を漏らす綾乃ちゃんが、あたしのシャツを握り締めながらとろけ切った顔で見上げてくる。その頬に右手を添えると、まるで子猫が甘えるように擦り寄ってきて、物欲しそうに腰をゆすり立ててくる。
「ふふふ……今度は綾乃ちゃんの番。さ……おいで」
 頬から首、そして顎へと指を滑らせると、あたしは両手を投げ出してテントの床に仰向けになる。そんな無防備な姿に綾乃ちゃんも戸惑うけれど、コクッと小さく喉を鳴らすとシャツを大きく上に押し上げているあたしの胸へと両手を這わせてくる。
「ん…ふぅ……」
 最近、ずっと背負い袋を背負って旅しているせいで、背筋が鍛えられてきている。そのせいであたしの胸は重力に逆らうように瑞々しい張りで形をほとんど崩す事無く上を向いている。女になった当初よりも一回りボリュームを増したかのような膨らみに綾乃ちゃんはたどたどしい手つきで触れると、恐る恐るこね回し始める。手の平を一杯に使って大きくこね回されると、痺れるような心地よさに思わず鼻を鳴らしてドキドキしてしまう。
「あの、先輩……へ、変な事、してませんか?」
「安心して。物凄く……気持ち…いいから………ぁ♪」
 欲望の赴くままに荒々しく揉みしだきたいのを堪えながら、綾乃ちゃんはパン生地を捏ねるように何度もあたしの胸へ指を食い込ませていると、不意にズボンの中へと押し込んでいたシャツの裾に手をかけてくる。
「直接触りたいの? もう……綾乃ちゃんがそんなにおっぱいが好きだったなんて……」
「ち、違いますよぅ……」
 だけど綾乃ちゃんはシャツの裾から手を差し入れると、あたしのお腹を手の平で撫で回しながら、寝巻き代わりに着ていたシャツを託し上げていく。そのくすぐったさに、あたしは自分の指を噛んで短く速く鼻を鳴らしながら、脱がしやすいように背中を軽く浮かせてしまう。
 こちらの意図に気付き、綾乃ちゃんは一気にシャツをめくりあげてしまうと、まろび出たあたしの胸の膨らみを前にして、触れるよりも前に、感嘆のため息を漏らした。
「先輩の胸……羨ましいな………こんなに大きいのに……形もスゴく綺麗で……」
「そう? あたしはもう少し小さい方がいいんだけど……」
「そんなのダメですよ……私……今のままの先輩のおっぱいが……」
「はあァん………!」
 綾乃ちゃんが右の胸の先端を口に含む。上唇と下唇で突起を挟みこむと、慣れない舌使いで先端を押さえつけ、形を確かめるようになぞり上げていく。
 ―――っあ……なんか…綾乃ちゃんの舌使い、スゴくいやらしい……
 柔らかい唇が乳首を左右に捻るように擦る。次第に濡らされていく乳首を震わせるくすぐったさに肌は次第に赤みを帯び、刺激を待ちわびている反対側の乳首には浅く指先を押し込まれる。
 上手……と言うわけではない。むしろ消極的で、あたしを傷つけたりしないように丁寧に愛撫しているのが伝わってくる。むしろ綾乃ちゃんになら乱暴にされても耐えられるのにと、もどかしく腰を揺すってしまうものの、他の誰に抱かれる時よりも胸を満たす安心感のおかげで気兼ねなく快感を味わう事ができた。
「んっ……ぁ……は…んぁ………」
 口を開けば、もどかしい愛撫に焦らされた身体が訴えるように艶のある息を漏らす。綾乃ちゃんの唇が乳首を離れ、大きな飴を舐めるように張りのある曲面を伝い落ちていくと、もうすっかり尖ってしまった乳首を自分の指でキュッと摘まみ上げたくなる衝動に駆られ、同時に膣の奥からジュクン…と大量の湿り気が溢れ出てくるのを感じてしまう。
 ―――綾乃ちゃんに…こんなに感じさせられるなんて……あぅ…うっううッ……もっと先っぽ…んッ、はぁあァァァ……!
 一度堰を切った愛液は、下後の内側で次々と溢れ出してくる。するとまだ脱がされていない短パンの上へ綾乃ちゃんの指が伸び、強く押さえつけてきた。
「んあァ! あっ、はぁんッ! あ…あうぅ!」
 長旅に耐えうるように丈夫な記事で作られたズボンの生地が無遠慮に割れ目へと押し付けられ、思いも寄らない快感にあたしは太股を打ち震わせて甘い声を迸らせた。
「先輩……もう、我慢できないんです。先輩が……いやらしい声を出すから……」
「んいィィィ〜〜〜!」
 ズボンのウエストを引かれ、分厚いチャックの部分が秘所に食い込むのではなく恥丘全体を押しつぶすように圧迫すると、押し出されるように愛液が膣口から溢れ出る。そんなあたしの様子を焦点が揺れ始めた瞳で見下ろし、綾乃ちゃんは唇に淫靡な笑みを浮かべた。
「先輩のズボンの中から音が聞こえませんか? ブジュ…ブジュ…て。何の音ですか、これ?」
 ―――そ、それは……
「何の音か……教えてくれないと私、分かりませんよ……?」
「う……うううゥ………」
 普段の綾乃ちゃんからは想像できない意趣返しの言葉と表情に、込み上げてくる羞恥心が唾液で塗らされた胸を小刻みに震わせる。
 だけどもう……荒い呼吸を繰り返しながら汗ばんだ半裸の身体を大きく喘がせると、自分の手でチャックの一番上のボタンをはずしてしまう。
「確かめて…みる………?」
 あたしは顔に照れた笑みを浮かべて腰を浮かせる。すると「しかたありませんね…」とでも言いたげな表情で綾乃ちゃんはあたしのズボンとショーツに同時に手を掛け、二枚まとめて健康的な丸みのヒップからするりと脱ぎ降ろしてしまう。
「ん……ふゥ………」
 緊張でしっとりと汗ばんでいた肌が直接空気に触れると、あたしの周りに濃厚なメスの香りが充満し始める。露わにされた下半身の膨らみに緊張が走り、いつの間にか口中に溜まっていた唾をコクッと飲み下すと、綾乃ちゃんの手がされるがままに、丸まったズボンとショーツで両膝を一つにまとめられた脚をテントの天井に向けて高々と抱え上げられてしまう。
「あ、綾乃ちゃん!?」
「ふふふ……先輩、こんなにお漏らしなさってたんですね。こちらには触れてないのに、トロトロになってますよ」
「そんな……こと………」
 言われるまでもなく、とじ合わせた太股の付け根から、アナルの窄まりへ向けて温かい滴がこぼれているのは感じている。けれど綾乃ちゃんに意地悪く指摘されてしまうと、豊乳が弾むほどに羞恥心が体を痙攣させ、冷たくも熱い興奮に背筋をゾクゾクと震わせてしまう。
 ―――やっぱり……いつもの綾乃ちゃんじゃないの?
 年下で、気弱な少女であるはずの綾乃ちゃんの視線があたしの秘所に突き刺さっている。唇からこぼれた吐息が湿った秘所に絡みつくと下腹部の奥がキュッと引き絞られ、間接的な刺激を歓迎するようにクチュ…といやらしい音が蜜壷の中から響いてしまう。
「いやらしい……私が慕っていたお姉様のおマ○コって、こんなにも締まりがなかったんですか?」
「んうゥ!」
 膝を上へと押し上げながら、綾乃ちゃんがあたしの割れ目を下から上へと舐め上げる。言葉とで耳を、舌で秘所を……二つの刺激を同時に受け、錯乱した頭の中は焼け付いてあられもない声が喉の奥から迸る。
「だ…めェ! はあァ……綾…乃…ちゃん……んウッ! あああっ、あッ、あ―――――――――ッッッ!」
「お姉様のおマ○コ、今までいっぱい男の人にグチャグチャにされてきたのに、綺麗な形をしてるんですね。左右の形も整ってて綺麗な色をしてて……羨ましいな。嫉妬しちゃうぐらいに……」
 ―――ひ、広げちゃダメェ〜〜〜! 見られちゃう、綾乃ちゃんのアソコの中まで…はァ、あああッ……!
 あたしの股間に顔をうずめ、二本の指で陰唇を押さえて無理やりむき出しにした粘膜を音を立てて嘗め回してくる。
 舌先が粘膜に、膣口に、そしてクリトリスに触れるたびにあたしの体は何度も痙攣し、肌に快感の波が走り抜ける。決す手巧みとは言えない拙く未熟な舌使いではあるけれど、何をされてもあたしの体は敏感な反応を繰り返してしまい、いい様に弄ばれながら突き抜ける快感に天井へ向けたつま先をまっすぐ上に向けて蹴り上げる。
「………どうします? そろそろやめて欲しいんじゃありませんか?
 あたしと綾乃ちゃんの間に壁のように立ちはだかっていた両脚を右に向けられる。そうして体をよじった姿勢のあたしに興奮を主張しているペ○スを握り締めて覆いかぶさると、手の中からはみ出た先端を秘唇へ擦り付けてきた。
 ―――我慢できないのは……綾乃ちゃんだって同じのはずなのに……!
 それなのに、あたしの方が先に根を上げてしまう。もう身も心も綾乃ちゃんに抱かれる事を待ち望んでしまっていて、入り口に押し付けられている亀頭を導き入れようとたっぷりと美雨を纏った粘膜が蠢動を繰り返している。
「綾乃…ちゃん……」
「ふふっ……先輩のその顔を見るの、ずっと楽しみにしてたんですよ」
 この笑みだ―――いつもの綾乃ちゃんでは決して見せない淫蕩な笑みに胸を震わせた直後、今にもはち切れんばかりに充血していた肉棒があたしの中へと押し込まれてきた。
「あっ、はあッ、んぁああああぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
 待ち望んでいたものをようやく捻じ込まれ、テントの中にあられもない声を響き渡らせる。
 太くなく細くなく、長くなく短くなく……あたしのお尻に腰を叩きつけ、深々と根元まで挿入されたペ○スはあつらえたかのようにあたしの膣内に収まった。先端はちょうど子宮に触れるギリギリの位置で、リズムも何もなくがむしゃらに振りたくられるたびに膣奥の性感帯を舐め上げるように刺激する。ヴァギナが引き裂かれるような強烈な圧迫感はなく、子宮口を殴りつけるような荒々しい突き上げもない。それゆえに痛みも息苦しさも感じる事の無い快感のみのSEXに蕩けるような心地よさを味わってしまう。
「あああぅ…はァ、んァ…ァ、んゥ……!」
「い、いいィ……やっぱり…先輩のおマ○コ、ああ、ああッ、んあああァ!」
 あたしの太股に左手を置き、腰を突き出してパチンと肌と肌とがぶつかる音が鳴り響くたびに、小さくとも柔らかい乳房が小刻みに震えている。綾乃ちゃんが紛れもなく女性である事を認識しながらも、熱い吐息の音色とともにあたしの体の奥深くを目指す硬い勃起したモノの感触が執拗なまでにあたしに甘い声を上げさせる。
「ハァ、んっ、ああァ…綾乃ちゃん……ひゃうんんっ!」
 十分すぎるほど蜜で湿ったあたしの膣内が、声を上げて力むたびに綾乃ちゃんのカリ首を締め上げる。激しい抜き差しで多いかぶさっていた包皮をめくり上げられたくびれは強烈に締め付けるあたしの膣内で何度となく痙攣し、その回数を重ねるほどに、恍惚の笑みを浮かべて涎を垂らしていた綾乃ちゃんの眉根に深いシワが刻まれる。
「ひッ…クぁアアアアアッ!」
「あン……ダメ、止まらないで……あたし、もうすぐいッ…イくから、だから、このまま突いて、一緒…一緒にイこ……ね?」
「そんな……言われて……んあ…あっ、ああああああっ!」
 あたしと綾乃ちゃんの立場が入れ替わったのかと錯覚してしまうような嬌声を迸らせると、脈打ち出したペ○スが抜け落ちる寸前まで腰を引いて動きを止めてしまう。けれどあたしは膝でわだかまっているズボンとショーツからモゾモゾと左足を引き抜くと、綾乃ちゃんの頭をまたぐように開脚して仰向けになり、膝で腰をはさみ、巻き付けた足首で腰を引き寄せる。
「あ―――……ッ! だ…ダメです、これ以上は……本当に、出ちゃう、せ…先輩、お願いですから……」
「い、いいよ…このまま、あたしの中で……だから、は、激しくぅ……」
「ちが…ッ! ゆ、許して……これ以上は……わ、わたしィ……!」
「もういいから……何も言わないでこのまま突き上げてェ!!!」
 ペ○スを抜こうと綾乃ちゃんが腰を引くたびに、あたしの脚はそれを許さずに引き寄せる。吸い込まれるようにヴァギナへと戻ってきた肉茎へ余す事無く肉ヒダを絡みつけ、絞り上げると、強まる摩擦感に追随して恍惚感までもが急速に昂ぶり、ついには自分から迎え腰を振って綾乃ちゃんと結ばれながら恍惚の表情を浮かべ、四肢を強張らせていく。
「んっ…あああッ! あ…あ…いっ…くぅぅぅ!!!」
「イきそう? だったら、あたしも……あん、あんゥ、綾乃ちゃんのおチ○チンが…子宮に当たってビクビクしてる……」
「先輩、わたし、ああっ…も…わたしィ……!」
 この期に及んでまだ逃げようとする綾乃ちゃんの首に腕を巻きつけて引き寄せ、糸を引くような唾液に覆われた舌を伸ばして綾乃ちゃんの唇を割り開く。そして唇同士を密着させ、お互いの喘ぎ声さえすすり合う様な口付けを交わしながら今日一日……いや、一ヶ月間一度も射精せずに溜め込んできた綾乃ちゃんの精液を搾り取るように膣口に力を込める。
「出ちゃう、出ちゃうぅ〜〜〜! 先輩、おねがい、ホントに、わたし、ダメェ、んァアアアアアアアアッ!」
「んんんゥ! イっ…く……キて、このままあたしの中で思いっきり出してェェェ〜〜〜!!!」
「はぁあぁぁぁ!!! 出る、やッ、いや、イヤァ―――――――――、――――――………ッッッ!!!」







「んっ………」
 いつしか眠りに落ちていた綾乃は強烈な空腹感に胃を絞り上げ、ゆっくりと目を開ける。
「………先輩?」
 まだ寝ぼけている眼を擦りながら体を起こすけれど、その動作の途中で不快感に顔をしかめてしまう。
 目蓋を擦った手の甲が、ネットリとした液体に覆われていたからだ。しかもそれが、恐らくは自分が放ったものであろう白濁液ともなれば、さらに表情は歪んでしまう。
 ―――そう言えば私、何をしてたんだっ………ふゃあああああ〜〜〜! わ、わた、やっちゃった、先輩にとんでもない事を〜〜〜〜〜〜!!!
 世の中、思い出さない方が幸せな事は山のようにある。そして今しがた綾乃が思い出したことも、そう言った過去の出来事の一つだった。
 記憶にある痴態は、思い返しただけで赤面してしまうほどハードエロスなものばかり。しかも起きたばかりの体は逸しまとわぬオールヌード。もう少し大きければ…と思いたくもなる胸の膨らみをさらけ出しているのみならず、エッチした名残りが下半身を中心にべっとりと纏わりついている。
 そんな感じで恥ずかしさで頭を抱えてこのテントの中で行われた饗宴をなかったことに出来ないかと頭を抱えていた綾乃だが、意識がはっきりした途端に疲労による気だるさ、空腹感、乾き、貧血などなどなどが一斉に襲い掛かってくる。視界が傾いていくのは感じているが、それを支える体力なんて一欠けら残っておらず、そのままペシャッと倒れこんでしまう。
「………先輩に……全部知られちゃったよぅ………」
 身体は起こせなくても、恥ずかしがる事はどんな体勢でも出来る。溜め込んでいた魔力を全部放出し終えたのか、知らぬ間にペ○スが消えてしまって物寂しさを感じてしまう股間をモジモジさせながら身を丸め、風邪でも退いたかのように熱を帯びた額に膝をくっつける。
「あうぅ〜……ど、どうしよう………」
 きっとたくやなら、笑顔を浮かべて「なんでもないよ?」と答えてくれるだろう……が、それと綾乃の恥ずかしさとは別物だ。
 男の子としての性処理の仕方を知らなかった……と言うか、射精するのが恐くて最後まで一人ではできなかったのが原因ではあるけれど、自慰していた所とか、理性が耐え切れなくなってついに射精してしまった所とか、その後も抑えの効かなくなった欲望のままに求めてしまった所か、一番知られたくない部分を一番知られたくない相手に知られてしまった事実が綾乃の思考を簡単に決壊させてしまった。地帯の記憶が頭の中を一周するたびに恥ずかしさは増し、膝に押し当てている額もとどまる所を知らずに熱くなる一方だった。
 そもそも……テントの床はありとあらゆる淫水でビチャビチャのドロドロになっている。そんなところで転がっていては落ち着けるはずもないのだが、頭を抱える綾乃には動く気力も体力もなければ、そう考える余裕も残っていない。
 だからこそ、本来なら自分と一緒に眠っているはずのもう一人の姿がこの場所にないことに、安堵こそすれどこに言ったのかと思考をめぐらせる事すら出来ずにいた。
「綾乃ちゃんたらかわいいお尻♪」
「はにゃいィ!?」
 突然にお尻をペロンと撫でられて、綾乃は身体を震わせて悲鳴なのかどうなのかよく分からない声を上げた。そのまま床から飛び跳ねるように起き上がり、お尻を抱えて振り返ると、テントの入り口を開けてたくやが中を覗き込んでいた。
「おはよ。おなかが空いてたんでよく眠れなかったんじゃない? 二日も何も食べてなかったんだから」
 たくやの様子は普段とほとんど変わらず、綾乃に笑顔を向けていた。その様子に驚きと困惑を隠せない綾乃だったが、視線がたくやが手にしている器にとまり、そこから漂うおいしそうなスープの香りに鼻をヒクヒクさせると、目を覚ます原因にもなった猛烈な空腹感が直結しているお腹を締め上げて恥ずかしい音を盛大に鳴り響かせた。
「あ……やだ、私………!」
「気にしなくていいって。たくさん作ってあるから、いっぱいお代わりしてかまわないからね」
 スープがなみなみと入っている器を手渡されると、飢餓感が羞恥心をあっさり蹴散らしてしまう。今まで感じたことのないほどの空腹に負けて、熱いスープを次々と喉へ流し込むと、空になった器をじっと見詰めて十秒以上思案した挙句に、恥ずかしそうにお代わりを求めてしまう。
「慌てなくても、まだまだお代わりはなくならないわよ。にしても、あんなにいっぱい出したんだからお腹が減ってるのってやっぱり当然?」
「あうゥ……イジワルしないでください……」
「ふふっ、少しぐらいやり返しておかないとね♪」
 綾乃に犯された仕返しと言う意味なのだろうが……たくやの声には綾乃を責める様子はなく、むしろ顔を赤くして俯いている綾乃の様子を楽しんでいるようでさえあった。
 ―――やっぱり、先輩でよかったな……
 とても口に出しては言えない言葉……ほんの少し気を緩めれば、たくやの温かい優しさにつられて思わず唇からこぼれそうになる言葉を、綾乃は安堵の笑みを浮かべて胸の奥へと閉じ込める。
 ―――言っちゃうのは恥ずかしいし……それに、先輩の事を好きな人は大勢いるから……
 他の誰よりもたくやの傍にいられる自分はただそれだけで幸せなのだから……だから今は、その幸せを味わうようにたくやの作ってくれたスープに口をつける。
「先輩……このスープ、とても美味しいです」
「そうでしょ? なんたってモンスター総動員して滋養強壮の薬草をこのあたりで集めてきて作ったスープだもんね♪」
「………………………今、なんて言いました?」
 なぜか、嫌な予感がして綾乃は笑顔を浮かべたまま表情を固めてしまう。そんな綾乃に対して、
「もう……三日目の夜はまだ始まったばかり、な・ん・だ・か・ら・♪」
 と、たくやはテントに入ってくるなり、ジャケットを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、シャツまで脱いで、普段は身につけない娼婦のお仕事用の色っぽい下着姿で綾乃へ急接近してきた。
「えと、えと、あの、えと、わ、私、もうおチ○チンなくなっちゃったから、だから、エッチな事はもう出来ないんですけど!?」
「ダーイジョーブ♪ 今度はあたしのターンだから、可愛がるのはあたしだし♪」
 そう言うたくやの右手には魔法の双頭ディルドーがいつの間にか握られていた。
 その上、たくやの左手にはブヨブヨグジュグジュ不定形状態のスライムが乗っかっていた。
「食事はた〜っぷり作りおきしてあるから大丈夫! 綾乃ちゃん……今度は二日でも三日でも心行くまで付き合ったげるからね♪」
「い…いいです! 結構です! 遠慮します!」
「そんなに恥ずかしがらなくても……安心していいよ。“お姉様”はちゃ〜んと分かってあげてるから……♪」
「本当に、私、もう、なんともありませんからぁ〜〜〜!」
 身の危険を感じてお尻でズリズリ後退さっていく綾乃だが、たくやは獲物を追い詰めるかのように唇を嘗め回しながら距離を詰めてくる。
「一体どうしたんですか!? わ…私、そんな先輩―――」
 何とかたくやを思いとどまらせようとする綾乃……なのだが、視界の隅っこでプラプラと動いているものに気付くと、一気にどうしてこの様な事態になっているのかを全て悟ってしまう。
 綾乃が見たもの……それはたくやのお尻から何故か生えてる悪魔の尻尾だった。
 ―――先輩は確か悪魔さんの精液とか体液でサキュバスに変身するって……も、もしかして、もしかしなくても、私の射精した精液に含まれる闇属性の魔力で……!?
 たくやに起こった変化とその原因……完全な変身ではないがサキュバスの能力にたくやが目覚めているのが自分の精液のせいだと気付き、綾乃は愕然とする。そしてついにテントの端まで追い詰められると、淫靡な表情で微笑むたくやから目が反らせなくなってしまう。
 もうどうしようもない……記憶が曖昧になるほど濃密に過ごした二日間よりも、さらに濃厚で激しい時間になるであろうこれからに思いを馳せながら、綾乃は快感に溺れてしまう前に胸の内にある言葉をたくやへ向けて喉から搾り出した。
「先輩の……バカァ――――――――――――――――――――――――――!!!」
 もちろん、一番いけないのも、一番馬鹿なのも自分だと綾乃は気付いている。
 だけど好きな人を受け入れるのも恥ずかしいと思ってしまう綾乃には、自分がこんなに恥ずかしい想いをしているのに本心から迫ってきてくれないたくやには、どうしても一言言っておかなければ気がすまなかったのだ。


 それでも綾乃の胸をずっと締め付けていた苦しさだけは、何事もなかったみたいに消えてしまっていた―――


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