C76夏コミ用ドラクエ3二次創作小説
「人妻勇者」番外編・「少年戦士」-1


「こ、このたびアリアハン騎士団ににゅ、入隊いたしました、ら、ラララ、ラクト、です。よ…よろしくお願いします!」
 アリアハンの騎士団に入団したラクトが他の騎士団員の前で自己紹介したとき、「何の冗談だ?」と誰もがその顔に疑念の表情を浮かべた。
 先ほど入隊の挨拶をした少年は、女性の平均身長にすらわずかに及ばないほど小柄な身体だ。細身で、艶やかな黒髪は長く、動きの邪魔にならないように紐で束ねた姿は、むしろ美少女と紹介されたほうが納得を得られるほどの可愛らしく、逆に言えばとても戦士には見えなかった華奢な体格だ。
 もっとも、美少女だとしても、それが入団拒否の理由になるわけではない。
 誤解のないように説明しておくと、アリアハンの騎士団にも女性の戦士はいる。その数は全体の二〜三割を占めており、決して少なくない。モンスターが徘徊する世界だからこそ実力が全てであり、その実力を示しさえすれば女性であるからという理由で入団を拒まれることは決してない。
 それを知り、実際に審査を受けてきた彼らだからこそ、目の前にいる小柄な少年が厳しい審査をパスするほどの実力や素養を備えた戦士とはとても思えなかったのだ。
 騎士団といえば軍隊と警察をあわせたような組織であり、王政という中央集権国家の枠組みの中では大きな権力を与えられるのと同時に、非常時には人命救助や災害救助にも借り出される過酷な部署だ。それゆえにルイーダの酒場に集まる戦士などとは異なり、男女関わらず相応の実力を満たしていなければ入団は認められない。
 だがよく見ると、少年の身体は決して無傷ではなかった。年上の騎士団員たちを前にして緊張し、小柄な身体は小刻みに震えているけれど、軽装の皮の鎧の下から覗く腕や足には無数の傷痕があり、彼がそれに見合うだけの努力を積んできているのは見て取れた。可愛らしいという表現こそが適切な顔立ちにも大きな絆創膏が貼られており、ラクトには不釣合いなほど長い鉄の剣を握る手もボロボロだ。
「―――ようこそ、アリアハン騎士団へ。俺たちは君を歓迎するよ」
 騎士団の中でも年配の男がそう言うと、他の団員たちも一斉に歓声を上げる。それこそがラクトを仲間の一人と認める通過儀礼のようなものだった。
「は…はい、ありがとうございます! ボク、が…頑張ります!」


 −*−


 こうしてアリアハン王宮騎士団の一員になったラクトだが、それからは厳しい基礎訓練の毎日だった。
 身体は小柄ではあるものの、ラクトの体力は実際には人並み以上に備わっている。重い鋼の鎧を身につけての三日間に及ぶ山中訓練にもベテランに混じってしっかり付いてきたし、一般人には拷問のように見える訓練にも一度として根を上げたことはない。少々引っ込み思案で人付き合いが苦手な事を除けば、体格に恵まれていない分を持ち前の努力で補い、ラクトは瞬く間に立派な戦士に成長しつつあった。
 入団から一月ほどたったある日のこと、まだ他の騎士団員たちとともに訓練させてもらえていなかったラクトは衝撃的な光景を目の当たりにすることになる。
 木剣を手にした女性が練兵場を疾け抜ける―――それと同時に、まだラクトでは一本取ることさえ出来ない屈強な戦士たちが、数人まとめて宙に吹っ飛ばされた。
「うわ…ァ………!」
 練兵場に沸き起こる歓声は、大地すらも揺るがす嵐のような声の奔流だ。
 それは倒された戦士たちを野次る声でも心配する声でもなく、アリアハンの城下町にいる女性たちとどこも変わらない服装のままで次々と戦士たちを打ち倒していく彼女を褒め称える賞賛の言葉だった。
「スゴい……」
 勝敗で言えば騎士団たちの惨敗であるはずなのに、むしろ騎士団員たちは嬉々として女性に手合わせを願い出る。そして女性もまたそれを拒まず、砂埃の混じる風に短い髪を揺らしながら、自分よりも屈強な男たちを微笑を浮かべたまま次々と叩きのめしていく。
 駆けるように、踊るように、舞うように……その光景はラクトにとって、まさに衝撃の連続であった。
 練兵場で戦い続けている女性は、性別というハンデをものともしない暴力的なまでの強さを少年戦士に見せ付けている。暴風のように練兵場を舞台に所狭しと戦い続けながらも、どこか優雅ささえ感じる身のこなし……それは体格というハンデを負ったラクトにとって、理想そのものとさえ言えた。
 だがそれ以上に、
「綺麗な……人だな……」
 ラクトの目には、彼女がさながら戦女神のように映っている。強さと気品を兼ね備え、そして溢れんばかりに女性としての魅力に満ち溢れている。年齢はラクトよりも上だろうが、その感情はまさに一目惚れであり、背後から迫る人影にすら気付けないほどに、強烈な印象に完全に心奪われてしまっていた。
「ラクトく〜ん、こんなところにいたんだ。ダメじゃないか、訓練サボっちゃ」
「うわァ!?」
 いきなり首に腕を回され、ラクトの後頭部が柔らかい胸の谷間へと押し付けられる。
 そこにいたのはラクトの訓練の指導官を買って出た女戦士だった。その身体を包み込んでいるのは標準的とは言えあまりに過激すぎるビキニアーマーであり、純情な少年戦士はこの数日のパワハラ攻撃で何度となく接触して感触を覚えてしまった女戦士の乳房の感触に一気に顔を赤くさせてしまう。
「やめっ……む、胸、頭に…あ、当たって………」
「いいじゃない、別に。私はわざと当ててるんだし♪ それよりもどう? “あの人”ほどじゃないけど私も結構スゴいでしょ?」
「あ…あうゥ………」
「それで見てたのはやっぱり“勇者”様? 騎士団員になると、誰もが一度はあれ見て度肝を抜かれちゃうのよね〜」
「ゆ…勇者……って、あの人が……ですか?」
 何時しか練兵場内での乱戦も収まっており、今は打って変わって騎士団の中でも特に実力のある戦士たちによる緊迫感のある一対一の模擬戦が行われていた。当然、先ほど何十人も打ち倒した女性……女戦士の言葉を借りるなら“勇者”がただ一人で勝負を受けている。
(あの人が勇者……魔王を倒した……あの……)
 曲がりなりにも戦士であるラクトが“勇者”を知らないはずがない。
 この世界で、勇者といえばただ一人の人物を指す。魔王バラモスからこの世を救い、更なる魔王ゾーマを常世の国アレフガルドで倒して凱旋した女性の勇者。当時まだ子供だったラクトは、城のバルコニーから手を振る彼女の姿を見上げ、感激に打ち震えたほどだ。
 そして……その彼女の名前は、
「確か……レン…さん…でした…っけ……」
「そうそう。やっぱり皆あの人には憧れちゃうよね〜。時々自分の腕をなまらせないために私たちにああやって稽古を付けてくれるんだけどさ、今まで一度も負け知らずだもん」
「で、でも、じゅ、十年前、ですよ? 勇者が魔王、た、倒したの…て……なのに…負け…た…ことが……?」
 頭に温かくて柔らかい感触がプニプニと押し付けられているのを必死に我慢して、改めて練兵場に目を向ける。
 中央に立つ女性―――勇者レンは、正面の相手から叩きつけられる闘気を涼しげに受け流している。木製の模擬剣は下げたままなのに、むしろ相手の騎士団員の方が気圧されて……と思った次の瞬間には、目にもとまらぬ速さで振り下ろされた木剣が騎士団員の手首を打ち据え、ひるんだ一瞬の隙に連撃が脛、肩、胴、胸、腕と次々に打ち込まれる。
 普通それほどの速度の剣戟であれば、速さを重視すると一撃一撃の威力が低くなってしまいそうなものなのだが、連撃の全てを防ぎきれずに何発か食らってしまった男は、手にしていた模擬剣を取り落とし、耐え切れずにその場に崩れ落ちてしまう。
「スゴ…い……」
 だがいくら強いと言っても、その見た目はどう見てもラクトと同じか少し上ぐらいにしか見えない。しかし記憶が正しければ、勇者が旅に出ていたのは十六歳から四年間。十年前に凱旋したときにはちょうど二十歳だったはずだ。逆算すれば、
「今年で三十歳。羨ましいな〜。結婚して子供が二人もいて、それなのにあの歳でピッチピチだもん。うちの騎士団であの人にアタックして返り討ちにあって天井を突き破ったの、十や二十じゃすまないんだから」
「………ッ」
 女戦士に抱きしめられたまま、ラクトは衝撃の真実に思わず唇を噛み締めていた。
 一目惚れした直後に、その気持ちが音を立てて崩れ落ちていく……年齢のことなら気にしない。見た名状の年齢に驚きはしたものの、年上であることには変わりないのだし。けれど既に結婚していると言う事実が、ラクトの恋が決して実らないと告げていた。
 アリアハンに限らず、世界中のほとんどが他の町や村とはあまり交流を持たない閉鎖社会である。そのため娯楽と言えば、酒場で酒を飲み、繁華街で女を買う以外では、自分の妻を抱き、他人の妻を抱くことぐらいしかない。これは決して不倫などではない。確かに乱れ、ただれた関係ではあるが、妻を“共有財産”にすることでコミュニティとしてのつながりが強固になり、日常生活に置いても協力し合える密な関係を築けるのだ。平和ではあっても互いに助け合わなければ生きていけない世界では、このような事は日常茶飯事であり、王侯貴族では一夫多妻すら認められている。性に関しては、それを律するほど世界はまだ成熟してはいなかった。
 だからもし、レンがそのようなコミュニティに参加しているのであれば、平民でのラクトには身体を重ね合わせる機会があるかもしれない。けれどそれは若すぎる故に潔癖さを求める少年には受け入れがたい事だった。
(それに……あの人がそんな事をするはずがない……)
 目の前で、町娘となんら変わらない姿をしたレンがその強さを見せ付けるたびに、ラクトの中で一度は崩壊した恋愛感情が崇拝と言う形で組みあがっていく。自分の理想である勇者の姿にそれほどの感銘を受けたからなのだが、そんなラクトへ胸の谷間を押し付けていた女戦士はにんまりと微笑むと、自分の胸までしか身長のない少年戦士の口を覆いながら、もう片方の手で盛り上がってしまっている股間を撫で上げていた。
「んっ…んんゥ……!」
「いけないですねェ、ラクトくん。勇者様見てこんなに興奮しちゃって」
 ラクトが上げたくぐもった悲鳴は、幸いにも連勝を続けるレンへの歓声でかき消されている。そして不幸にも最後尾にいたために、誰も不審な行動に気付いてくれず、ラクトの股間の捕らえた女戦士の指は少年の性感を弄ぶようにさわさわと撫で回し続ける。
「んムッ……ん、んゥ〜……!」
 レンを見つめ、レンを想って昂ぶった股間は、女戦士の手指に扱かれるほどに硬くなり、ビクビクと脈動を繰り返す。ラクトのそんな敏感振りにますます笑みを濃くして嬉しそうに見下ろすと、女戦士は熱い湿り気を含んだ吐息を少年戦士の耳元に吐きかけ、邪魔な半ズボンをズリ下ろしてしまった。
「んゥ!? んんんゥ〜〜〜!!!」
「あんまり騒ぐとおチ○チン丸出しなのがみんなにばれちゃうよ? でも……やっぱり……ふゥ〜ん、ラクトくんてば包茎だったんだ」
「ん……んゥ………!」
 むき出しにされた股間を隠そうとしても、ラクトの両腕は女戦士の片腕で巧みに絡め取られてしまう。そして片方の手でラクトの口を押さえていては両腕が使えず、包皮から真っ赤に腫れあがった先端をチョンと突き出している仮性包茎のペ○スを、いじられもせずに、周囲に何人もの騎士団の仲間がいる中でビクンビクンと震わせてしまう。
「大きな声を出せば……気付かれるからね……」
 耳元で女戦士がそう呟くと、まるで心臓を鷲掴みにされたようにラクトは表情をゆがめて、目じりにたまっていた涙を溢れさせてしまう。口を覆っていた手でその涙の粒を掬い取った女戦士は、少年の涙をそのまま口に運んで舌の上で転がしながら、恥ずかしすぎて硬直したラクトの身体をゆっくりと撫で下ろしていく。
「ッ………!」
 女性の手で身体をなぞられるなど初めての経験のタクトにとって、服の上からでも手馴れた動きの女戦士の指先になぞられるのは刺激が強すぎた。
「ふ、ゥ……ん…ゥ……!」
 汗を吸ったシャツの上から乳首を探りあてられ、キュッとつままれると、仰け反った頭が女戦士の乳房に深く埋もれる。かと思えばぬるっとした唇が耳たぶを咥え、不意を突かれた小さな身体はビクッと震え、女戦士の手の平に包まれた肉棒をドクンと跳ね上げてしまう。
 あちらを責めればこちら、こちらを責めればあちらと、身構えようとするラクトの裏をかく指と舌先の交互の攻撃に、食いしばった歯の間から苦悶に似た声がこぼれる。
「ァ……ぁ…アァ………」
 とても童貞の少年には耐えられない愛撫の連続に、ついにラクトがワナワナと震える唇を大きく開き始める。屈強な戦士たちの隙間から見える勇者の姿が霞んでしまうほどに瞳を潤ませ、アゴを突き出し、唇の端からとめどなく唾液を溢れさせる。
 それを見て女戦士は、いきなりラクトの身体の向きを入れ替えた。肩に手を置かれたかと思うと次の瞬間には視界が百八十度回転し、ビキニアーマーに包まれた立派な乳房が目の前に現れた事を驚く間もなく、アゴを掴まれ上を向かされる。
「んんゥ………!」
 熱狂する人々の背後で、ラクトの唇が女戦士の舌に割り開かれ、生まれて初めてのキスが強引に奪われる。
(ダメ……こ、拒まなきゃ……!)
 ラクトの脳裏に遠くから見ただけのレンの姿がよぎる。……が、力が入らなくなっていたラクトの腕では、女性とは言え戦士としての年季が違う女戦士の腕の中から逃れられない。
(舌が……擦れて……や、ァ……ダメ、こんなの……んゥ〜……!)
 まるで怯える乙女のように背中を震わせ、足を震わせるラクト。けれど女戦士は、あまりにもショタ心を刺激する後輩の口内をさらに貪るように蹂躙する。
(あ、や、あ、あァ……口の中が…く、くすぐったい…のにィ………!)
 歯茎や舌の裏側まで舐める巧みな口付けは、少年には未経験の快感の連続だった。女戦士の舌先が思いも寄らない場所に触れるたびに可愛らしい喘ぎを洩らし、むき出しにされた仮性包茎のおチ○チンをビクン…ビクン…と快感に正直に脈打たせてしまう。
「んッ……んクッ………んゥ〜………」
 また勇者が勝利を収めたのだろうか、女戦士の腕の中でようやく唇を開放されたラクトの周囲では、天を突き上げるほどの大歓声が上がっていた。
「…………ッ!」
 口を閉じ、タップリと流し込まれた女戦士の唾液をコクッ…と小さく音を響かせて飲み下す。とても一度では飲みきれない唾液の量に苦悶しながらも、勇者レンの様子が気になるラクトは首を背後に向けようとするが、それよりも早く女戦士の両腕が乳房の谷間に少年の頭を抱きかかえる。
「ねえ……二人きりになれる場所に行きましょうか。こんなところで弄ばれてたい?」
 その問いに、答える言葉がラクトにはなかった。
 この場に残って、もっと勇者レンの戦う姿を目に焼き付けたい。けれどそれを正直に答えれば、嫉妬に狂った女戦士は、もっと人の注目を集めるようにラクトを弄ぶだろう。
 だからただ、流されていく。……誰も二人に視線を向けないのをいい事に、女戦士は股間を隠させもせずにラクトの手を引いて、建物の中に入っていった―――


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